ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》 作:ブイズ使い
新たな挑戦として島巡りの冒険に出ることになった私、リーリエですが、最初は何をするべきでしょうか。
『あまり深く考えず、リーリエの好きなように旅をするといいロ!シンジもそうしてたロ!』
私の悩みに答えるようにロトム図鑑さんがそう言ってくれました。私はロトム図鑑さんの言う通り、私の好きなようにしようと思います。
最初の目的と言えばやはりメレメレ島のしまクイーンでもあるミヅキさんの大試練を受けるためにイリマさんの試練を突破することでしょうか。ですがその前に、少しリリィタウンに立ち寄りたいと思います。
そう思い私はリリィタウンへと向かいました。リリィタウンは博士の研究所から少し北に行った所、シンジさんの家がある更に少し北に行けば見えてきます。
リリィタウンへと続く道、1番道路はさほど長い道のりではないのでリリィタウンに辿り着くまで時間はかかりませんでした。しかし、リリィタウン目前まで差し掛かると、2人の人影が見えました。どうやら何か話しているようですが……。
「……この近辺に反応はあるが、どうやら違うようだな」
「そうだねぇ。じゃあもう一つの島でも行ってみる?」
その人物は高身長の男性と小柄な女の子でした。ですがアローラでは見たことの無い服装をしています。なんと言うか、宇宙服を思わせるような見た目の服装です。
私が彼らの事を考えていると、私に気付いた様子でこちらに近づいてきました。
「失礼、君はもしかして島巡りのトレーナーか?」
「あっ、はい、そうですけど……。」
私は男性の質問に戸惑いながらそう答えました。
「そうか、一つ聞いてもいいだろうか?」
「は、はい、なんでしょうか?」
「UB……という存在を知っているだろうか?」
「っ!?」
私はその人の言葉に驚きを隠せませんでした。まず一般のトレーナーにはUBの事は知らされていないはずです。余計な混乱を招くため関係者以外には伏せておくとお兄様やシンジさんは言っていました。
何故UBのことを知っているのか頭の中で考えていると、女の子が口を開き男性の方は頭を下げてきました。
「ねえ、お姉ちゃんも困ってるみたいだよ?」
「すまない、変なことを聞いたようだ。」
「あっ、いえ、そういう訳ではありませんが。」
本来UBの事はあまり公言すべきではないでしょう。ですが彼らはなんだか悪い人には見えません。ですので私はUBの事を彼らに話すことにしました。
「あの、UBのことであれば少しは知っています。」
「本当か?」
私は男性の言葉に頷き先日あった出来事を伝えました。私の話を聞いたその男性は「なるほど」と興味深そうに頷きました。
「ふむ、トレーナーと言うものは興味深いな。ポケモンを捕獲するモンスターボールと言うのも実に興味深い。」
「確かにねー。まさかUBまで捕獲しちゃうなんて驚きだよね。」
「え?それってどういう……」
「いや、気にしないでくれ。貴重な情報、感謝する。」
「またね!お姉ちゃん!」
男性の方が頭を下げ感謝し、女の子は手を振ってその場を離れていきました。
『彼らは何者だロ?』
「分かりませんけど……不思議と悪い人じゃない気がします。」
『どこかの誰かさんみたいなこと言うロネ?でもそこがリーリエのいいところだと思うロ。』
「ふふ、ありがとうございます。ロトム図鑑さん。」
そう言って私たちは気を取り直して改めてリリィタウンへと入っていきました。大きな街であるハウオリシティの近くにあるとは思えない小さな村ですが、四天王のハラさん、そしてしまクイーンでもあるミヅキさんの故郷だからか、意外と賑わっている村です。
村の中心にある台、主にポケモンバトルに使用されている舞台ですが、その上にしまクイーンのミヅキさん、それから彼女の家族にも近いハウさん、ヨウさんが集まって話をしていました。
「あっ、ヤッホー!リーリエー!」
私を見つけたミヅキさんは舞台から降りてきて、手を振りながら私の元に走って駆け寄ってきました。
「リーリエも今日から島巡りに出発するの?」
「はい!でも私もって?」
私がミヅキさんの言葉に首を傾げていると、ハウさん、ヨウさんも舞台から降りてきて近寄り声をかけてきました。
「おれたちも今日から島巡りにでるんだー」
「UBとの戦いや旅の疲れもとれたし、丁度いい頃合いだからな。」
ヨウさんが「これからはライバルだな」と手を差し出してきたので、私もその言葉に答える形で握手に応じました。ハウさんも同じように握手をしてくださいました。まさにライバルという感じがしてなんだか嬉しいです。
「まっ、第一の関門!このミヅキさんの大試練を突破できればの話だけど?」
「昔、俺とのポケモンバトルで負けて泣いてたのはどこの誰だったかなー?」
「あははー、そんなこともあったねー」
「ちょ!?そんな昔のことはいいでしょ!?」
そう言えば三人は幼馴染と言う関係なのでお互いに昔の事をご存じなんでしたね。
……昔のミヅキさんの話は気になりますが、あまり触れるとミヅキさんに悪そうなのでここは触れないようにしておきます。
「と、ところでリーリエはこれからハウオリシティに向かうんだよね?」
「え?あっ、はい。まずはイリマさんの試練をクリアしないといけないので。」
「じゃあさ!私も一緒に行くよ!久しぶりにショッピングとかしたいんだぁ!」
「いいんですか?しまクイーンの仕事は……」
「いいのいいの!ほらほら!早く行こっ!」
「えっ!?ちょ、ミヅキさん!?」
『やれやれ、相変わらずせわしのない子だロ』
私はそうしてミヅキさんに引っ張られる形でハウオリシティに向かうことになりました。その姿を見てハウさんとヨウさんが少し呆れ気味になっていたのは言うまでもありません。
「はぁ……買っちゃった買っちゃった♪」
私は今ハウオリシティにある喫茶店にてミヅキさんと一息ついているところです。先ほどまでミヅキさんと一緒に(半ば強引に)ショッピングをしていました。
ミヅキさんはその時に気に入った服やアクセサリーなどを購入していました。私はその辺りのセンスはイマイチよく分からないですが、色々な商品が見れただけでも結構楽しいと感じる事ができました。
そう言えば私はシンジさん以外とお出かけしたのは今回が初めてかもしれません。お母様とも普段ショッピングなどしたことないですし……。
「楽しかった♪リーリエはどうだった?ショッピング」
「私ですか?はい、ミヅキさんと出かけられて私も楽しかったです。」
「そっかー!よかった。やっぱ女の子同士って言ったらショッピングが一番だよねー♪」
ミヅキさんは笑顔でそう言った後「あっ、そうそう!」と思い出したように再び口を開きました。
「今日はリーリエに見せたいものがあったんだ!」
「私にですか?」
「もうそろそろだと思うんだけどね……あっ、始まったよ!」
そう言ってミヅキさんは指をさし、私はミヅキさんの示した方向へと視線を映します。そこには喫茶店のテレビが設置されており、とある場所の映像が流れていました。
なんだかどこかで見たことあるような光景だな、とぼんやり眺めていると、テレビから流れてくる音声が私の耳に入ってきました。
『さあ始まりました!本日のエキシビションマッチ!』
エキシビションマッチ。確か公式戦とは違い記録にはのらないものの、お客さんの前で模範試合が行われることだと聞いています。
という事は誰かがポケモンバトルをするのでしょうか?一体誰がこの様な大舞台で試合をするのだろうか、と頭の中で考えていると、再び私の耳に入ってきた内容に驚きを隠せませんでした。
『では早速登場していただきましょう!アローラ初代にして我らがチャンピオン!シンジの登場だ!』
「えっ?」
その声と共に登場したのは紛れもなく私がよく知る人物、シンジさんでした。つまりテレビで放送しているものは、シンジさんが今から行うエキシビションマッチのライブ中継という事になります。
「驚いた?今日は久しぶりにアローラに戻ってきたチャンピオンが行うエキシビションの日なんだ。リーリエはシンジ君がチャンピオンになってすぐにアローラを離れちゃったから知らないかもしれないけど、あれ以降定期的にチャンピオンの非公式戦でもあるエキシビションバトルが行われるようになったんだ。」
「そ、そうだったんですね。全然知りませんでした。」
「エキシビションをやる理由としては、チャンピオンとしての力をトレーナーたちに誇示するためであったり、パフォーマンスの一環だったりするみたいだね。」
『それでは続いて挑戦者!リュウ選手の登場です』
ミヅキさんがエキシビションについての説明を終えると、続いて挑戦者のリュウさんと言うトレーナーが入場しました。
挑戦者のトレーナーは身体つきがかなりごつく、顔の形状もかなり厳ついため雰囲気だけでも強そうなオーラを発しています。
解説によればかなり実績のあるトレーナーらしく、多くのトーナメントで負け知らずとして恐れられるほどの戦績を上げているのだそうです。
『両者、準備はよろしいでしょうか!?それではポケモンを!』
『行くぞ!ボスゴドラ!』
『ゴドォ!』
審判の合図と同時にリュウさんはボスゴドラさんを繰り出しました。そのボスゴドラを見て、ロトム図鑑さんが自動で起動しポケモンさんの解説を始めました。
『ボスゴドラ、てつヨロイポケモン。はがね・いわタイプ。山一つを縄張りとしており、進入したものは容赦なく排除する。硬い鋼の角は岩盤をも突き崩す破壊力を持っている。』
ロトム図鑑さんの解説だけでもボスゴドラさんがどれほどの強敵かが伝わります。それだけでなく、挑戦者のボスゴドラさんは強いのだということがテレビ越しでさえ伝わるほどの威圧感を放っていました。
はがね・いわタイプであればみずタイプ弱いです。シンジさんのパーティで言えばシャワーズさんが当てはまりますが、恐らくシンジさんが繰り出すポケモンは……。
『行くよ!ニンフィア!』
『フィーア!』
やはりと言うべきか、私の想像通りニンフィアさんでした。ニンフィアさんはフェアリータイプ故にはがねタイプを持つボスゴドラには圧倒的に不利です。
ですがニンフィアさんはシンジさんの旅を始めた時からの相棒です。恐らくこういう場面だからこそニンフィアさんを選んだのではないでしょうか。シンジさんはそれだけ自分のポケモンさんの事を信頼しているのでしょう。
『例え誰が、どんな奴が相手でも手加減はしねぇ!ボスゴドラ!アイアンヘッド!』
『ゴドッ!』
『ジャンプして躱して!』
『フィア!』
ボスゴドラさんは自身の頭部を硬化させニンフィアさんに向かって突撃します。その姿をじっくり見たシンジさんは、回避の指示を出しニンフィアさんはジャンプします。
ニンフィアさんはボスゴドラさんの攻撃を当たる寸前のところで回避します。しかし先ほどニンフィアさんがいたところには大きなクレーターができており、強い風圧がフィールド外へと突き抜けました。その光景だけでボスゴドラさんの攻撃力がどれだけ強力かが分かります。当たったら間違いなく一溜りもないでしょう。
『ボスゴドラ!かえんほうしゃ!』
『もう一度躱して!』
ボスゴドラさんは振り向いてニンフィアさんの姿を捉え、かえんほうしゃで追撃します。フィールドに着地したニンフィアさんはすぐにバックステップをして回避します。
その動きには私の目から見ても優雅で、一切の無駄を感じません。その場にいるお客さんや私の様にテレビを見ている人たちも見入っているようです。
『チィッ!ボスゴドラ!がんせきふうじだ!』
『ゴッドォ!』
ボスゴドラさんの周囲に複数の岩が生成されます。がんせきふうじは相手の行く手を阻み、動きを封じる技だったはずです。シンジさんはどうでるのでしょうか。
『でんこうせっか!』
ボスゴドラさんががんせきふうじを放ったのと同時にニンフィアさんはでんこうせっかを使用しました。
次々と迫りくるがんせきふうじですが、それをニンフィアさんは軽々と躱し徐々にスピードのギアを上げていきます。そして全ての攻撃を凌ぎきると、すでにボスゴドラさんの目前まで迫っていました。
ニンフィアさんはその勢いを利用し、ボスゴドラさんにでんこうせっかを直撃させます。効果はいまひとつですが、それでもボスゴドラさんはダメージを隠しきれておらず、顔を歪ませているのが確認できます。
『くっ!だが隙だらけだ!ボスゴドラ!アイアンヘッド!』
『ゴドォ!』
ボスゴドラさんは態勢を持ち直し、でんこうせっかの後隙を狙いニンフィアさんにアイアンヘッドで襲い掛かりました。このままでは直撃してしまう、と焦った私ですがそんなことは杞憂に終わりました。
『ニンフィア!』
『フィーアァ!』
『なにっ!?』
『ゴド!?』
なんとニンフィアさんはボスゴドラさんに軽く触れ、攻撃を受け流すように踏み台にして回避してしまいました。その動きは私の目に軽やかで美しく、柔軟で無駄のない動きに映っていました。
その動きに挑戦者とボスゴドラさんは驚きを隠せませんでした。その後、次の攻撃に対応するために態勢を整えようとしますが、思いがけないアクシデントと受け流されてしまった衝撃により大きく態勢を崩してしまいます。
『これで決めるよ、ムーンフォース!』
『フィア!』
ニンフィアさんは月の力を借りる自身の大技、ムーンフォースの力を解き放ちます。なんとか態勢を戻したボスゴドラさんでしたが、振り向いたときには時すでに遅し。目前までムーンフォースが既に迫っており、驚きと同時にムーンフォースの直撃を受けてしまいました。
『ボスゴドラ!?』
『ご……どぉ……』
『ボスゴドラ戦闘不能!ニンフィアの勝ち!よって勝者、チャンピオンシンジ!』
ボスゴドラさんはその攻撃に耐え切れず目を回して戦闘不能となってしまいました。それと同時に、シンジさんのバトルを称賛するように会場からは嵐のような拍手喝さいが降り注ぎました。
本来では相性が悪く、その上高い耐久力を誇るボスゴドラさんを完封してしまったシンジさんとニンフィアさん。お二人の力は知っていましたが、改めてみると驚異的とまで言えるほどの強さです。
その後、勝者であるシンジさんにレポーターさんたちが勝利者インタビューを開始しました。
『素晴らしい勝利でしたね!チャンピオン!』
『ありがとうございます。』
それからレポーターさんたちのインタビューが続いていきます。シンジさんもその質問に次々と答えていきます。
しかしその中で、私は一つの質問に釘付けになりました。
『では最後の質問ですが、アローラを離れてどちらに行っておられたのですか?』
『カントーでちょっと旅をしていました。今回はある約束を守るためにアローラまで戻ってきたんです。』
「っ!?」
その質問を聞いて私は心の中で衝撃が走りました。間違いなくこの約束は私の事を指しています。
『約束……といいますと?』
『……この島巡りを達成し、必ずチャンピオンに挑戦する。僕は目標にされているのだと実感しました。だからこそ、僕はチャンピオンとして、トレーナーたちの目標であり続ける必要があります。僕は、そのトレーナーの挑戦を受けるため、この舞台に戻ってきました。』
『それほど注目しているトレーナーなのですか?』
『もちろん島巡りに挑戦しているトレーナー一人一人に注目しています。誰かを贔屓するようなこともしません。……ですが、そのトレーナーには是非この舞台まで昇り詰めてほしい。そう思います。』
『なるほど。チャンピオン直々に注目しているトレーナーがいるとは……これは今シーズンのアローラリーグは素晴らしい盛り上がりを見せてくれること間違いないでしょう!以上!チャンピオンへの勝利者インタビューでした!』
インタビュー終了と同時にライブ中継が終了し番組が終わりました。シンジさんの言葉に対して色々と考え込んでいると、ミヅキさんが私に口を開きました。
「さあ、挑戦者さんはどうするのかな?」
「えっ?」
「チャンピオンに公の場であんなこと言われたんだよ?その思いに指名された挑戦者さんはどうするのかなってね♪」
シンジさんの思い……そうです。私は約束しました。必ず島巡りを達成して、シンジさんのいる舞台まで進むのだと……。ミヅキさんに言われるまでもなく、私の答えは一つしかありません!
「その顔だと、迷いなんて元からなかったみたいだね♪」
ミヅキさんは「さてと」と呟く席を立ちあがりました。
「私は私のやるべきことのために、一旦リリィタウンに戻ろうかな?」
今回はミヅキさんの奢り、という事でミヅキさんは机に飲み物のお代を置いて手を振りその場を後にしました。
さすがに奢りは悪いのでは、と感じましたが、すでにミヅキさんも退出しており、断るのも奢ってくれた相手に悪いと感じたのでここは素直にミヅキさんの心遣いに感謝しました。
そして私は、ミヅキさんに渡されたお代を支払い、喫茶店を後にすることにしました。
多分この後暫くシンジの出番なしだと思います。まだ先の話書いてないから分かりませんが……。
ところでシーズン2始まりましたけどルールが酷いです。TODどうにかしろ増田ぁ!
元々マスターランクだったからか開始時点ではランク9のスパボ級でした。ただスパボ級が(別の意味で)魔鏡と言われているせいか個人的に一番勝率の悪いランク帯でした。シーズン2だとマスボ級で全然対戦してませんが……。
なんか印象ではカバが増えてきてる感じします。ただダイマックスで五里霧中や拘りアイテムは非適応なのに特性“はりきり”だけ適応されるのはどうにかならないんですか?フェアリースキンも火力補正乗るようにしろ増田ぁ!後第六世代のように1.2倍から1.3倍に戻せ増田ぁ!
リーリエの最後のポケモンは?
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べベノム(アーゴヨン)
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やっぱりあのポケモン
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おまはんに任せる