ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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今回でUB再来編は終了となります。かなりテンポよく進めたので人によっては物足りなかったりよく分かんない部分も多々あると思いますが、話が長引くのがあまり好きではないヌシなのでどうかご容赦願いたく……。

ではあとがきでは恒例?となりつつある剣盾の現状報告を先週投稿できなかった理由も含め書いていきます。興味なかったら飛ばしてね♪


ラストミッション!最後のUB、ウツロイド!

『繰り返します!コードネーム“UB01 PARASITE”。通称ウツロイドがカンタイシティ付近にて感知されました!ウルトラガーディアンズの皆さんは速やかに対処してください!』

 

「遂に現れたか、ウツロイド」

 

空間研究所にて待機していたグラジオたちの耳にもウツロイド再出現のニュースが飛び込んできた。

 

以前体験した事件から、ウツロイドの恐怖を知っているリーリエの額には僅かだけ汗がにじみ出ており、体も少しばかり震えているのが分かる。そんなリーリエの事が心配になり、友人でもあるミヅキが彼女に一言声をかける。

 

「リーリエ、大丈夫?」

「だ、大丈夫です。怖くないって言ったら嘘になりますが、今の私は黙って見ていただけの私じゃありません。」

 

リーリエはそれに、と付け加え言葉を続ける。

 

「今は皆さんが一緒にいてくれますから!」

 

そう言ってリーリエはギュッと拳を強く握りしめ真っ直ぐな瞳でみんなを見渡しそう口にした。その言葉から、リーリエ過去の記憶と向き合う覚悟ができているのだという事が分かったため、ミヅキたちはそれ以上何も言うことはなかった。

 

グラジオも兄として、成長した妹の姿を見て口を緩めてフッ、と微笑んでいた。

 

「よし、他のメンバーは恐らくここにたどり着くまでには時間がかかる。俺たちでなんとしてでもウツロイドの捕獲を成功させるんだ。」

 

グラジオの呼びかけにみんな一斉に頷きウツロイドと戦う意思を見せる。グラジオ、リーリエ、ミヅキ、ヨウ、ハウの5人は決意を決めた表情で空間研究所を後にする。そんな子どもたちを、バーネットは母親のような眼差しで見つめ、全員の無事を祈り見送るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビッケからの通信によりウツロイドの出現を早急に察知することができたグラジオたちは空間研究所の外へと出て、ビッケより送信された情報の場所、最初にグラジオとシンジがウツロイドと交戦した森の中へと向かった。

 

先ほどの騒ぎと前もって非難を要請していたためこの森には人の気配が全くしない。何か変わったものがあるとすれば、上空に見覚えのある裂けた空間があることだ。間違いなくそれは、ウツロイドたちUBたちが自分たちの世界から経由してやってきたウルトラホールそのものだ。

 

それを見つけた5人はいつでも向かい打てるようにモンスターボールを手に取り待機する。暫くすると、ウルトラホールの裂け目が徐々に広がり中からある生物の触手の先端が姿を現す。紛れもなくウツロイドのそれである。

 

ウルトラホールの割れる演出と共にウツロイドが完全に姿を現す。それを見たリーリエは少し怯んでしまうものの、ここで逃げては駄目だと自身に渇を入れ、その場に踏み止まる。

 

「行くぞ!ウツロイド!今度こそお前を元の世界に戻してやる!」

『ジェルププ!』

 

グラジオの掛け声とともに、全員がモンスターボールを空中に投げる。

 

シルヴァディ、シロン、アシレーヌ、ニャヒート、フクスロー、それぞれが愛用しているポケモンたちによるUBとの最後の戦いに挑む。

 

しかし、意外にも先に行動をとったのはUBであるウツロイドであった。ウツロイドは以前戦った記憶のあるグラジオ、シルヴァディの姿を見て、敵として認識したようだ。

 

ウツロイドの周囲に複数の石が浮かび上がる。以前グラジオたちとの戦いでも披露したいわタイプの技、パワージェムである。

 

「みんな!かわすんだ!」

 

それを一度は目にしていたことのあるグラジオがすぐさま攻撃の回避を指示する。その指示に合わせシルヴァディを含むポケモン全員がパワージェムを回避する。

 

「シルヴァディ!エアスラッシュ!」

「シロン!こなゆきです!」

『シヴァヴァ!!』

『コォン!』

 

シルヴァディのエアスラッシュ、シロンのこなゆきによる同時攻撃によりウツロイドに対して牽制射撃をする。ウツロイドはその攻撃をふわりと空に舞い上がり何事もなかったかのように回避する。

 

「ニャヒート!かえんほうしゃ!」

「フクスロー!このは!」

「アシレーヌ!バブルこうせん!」

『ニャット!』

『スロー!』

『シレーヌ!』

 

続いてニャヒート、フクスロー、アシレーヌによる合体技がウツロイドに迫る。だがその時、ウツロイドの体が虹色に光り始める。特殊技を跳ね返すミラーコートだ。3体の合体技がそれぞれミラーコートにより跳ね返されてしまい、ニャヒートたちは自身の攻撃で大きく飛ばされてしまう。

 

「ニャヒート!大丈夫か!?」

「フクスロー!」

「アシレーヌ!」

 

3人はそれぞれダメージを負ってしまった自分のパートナーたちに呼びかける。ミラーコートは相手の特殊攻撃を倍のダメージにして相手に跳ね返す技だ。そのため、この一撃によるダメージは予想以上のダメージであり、アシレーヌ以外は足が覚束ない様子だ。

 

ヨウはまさかの事態に焦りを感じ舌打ちをする。決して油断していたわけではないが、それでもある程度は戦える自信があったのだ。だがウツロイドは想定していたUBよりも格上かもしれない。

 

ウツロイドは再びパワージェムの態勢に入る。傷付き動きが遅くなったニャヒートとフクスローにとどめを刺すつもりだ。

 

そんなニャヒートたちを庇う様に、ヨウとハウも自分のパートナーを守るために慌てて抱きしめる。いつもは楽観的なハウでさえいつもの余裕がなくなってきている。

 

だがそんな彼らを庇い前に出た人物がいた。

 

「ウツロイドさん!」

「なっ!?リーリエ!」

「前に出たら危ないよー!リーリエは下がって!」

 

前に出たリーリエに危険だと慌てて呼びかけるヨウとハウ。だがそんな2人の言葉を遮るように、リーリエはウツロイドに呼びかける。

 

「ウツロイドさん!もうやめてください!あなたが何故私たちを敵視しているのか分かりません!ですが、私たちはあなたと争いたいわけではないんです!どうか……どうかあなたの気持ちを聞かせてください!」

『!?ジェル……ジェッププ!』

 

リーリエは必死にウツロイドへと呼びかける。ウツロイドは少し躊躇する素振りを見せるが、それでも悩みながら攻撃を止めることはなかった。

 

「っ!?くっ、シルヴァディ!」

「アシレーヌもお願い!」

『シヴァ!』

『アシレー!』

『コォン!』

 

グラジオ、ミヅキの指示に従いシルヴァディとアシレーヌ、それにシロンもリーリエを守るために彼女の前に立つ。リーリエはその光景から過去のウツロイドの記憶がよみがえってしまい、恐怖から思わず目を強く瞑ってしまう。

 

だがそれと同時に、心の中である人物の名前を呼びかけていたのだった。

 

(シンジさん……助けてください!)

 

リーリエは思い人の名をその姿を思い浮かべながら心の中で呼ぶ。困っていたらいつも何も言わずに手を指し伸ばしてくれた人、ピンチになるとすぐに自分の身を顧みず駆けつけてくれた人、自分も彼の事を助けてあげたいと思った大切な人のことを。

 

ウツロイドのパワージェムが容赦なくリーリエたちを包み込もうとした次の瞬間、リーリエにとって聞き覚えのある声が耳に入ってきた。

 

「ニンフィア!ようせいのかぜ!」

 

リーリエたちを暖かな風が包み込みパワージェムを容易く吹き飛ばした。その風を見てグラジオは「ようやく来たか」と小さく呟き、ミヅキは「やっと来てくれたんだね!」と希望を再び持った目を見せる。

 

ヨウとハウも、付き合いは短いものの、その声にどことなく安心感を抱くことができた。

 

そしてリーリエは、その声を聞いて先ほどまで感じていた不安と恐怖が吹き飛ばされ、勇気をもって目を開ける。すると目の前には、自分が今心の中で思い描いていた人物の暖かな背中が目に映った。

 

「リーリエ、大丈夫だった?」

「!?シンジさん!」

 

恐怖から解放されたリーリエは思わず目の前にいる人物、シンジに抱き着いた。覚悟は決めたとはいえ、やはり以前の事件から約2年ほどしか経っていないため未だトラウマ的記憶が脳に焼き付いてしまっているのだろう。

 

シンジはそんなリーリエを抱きしめ、彼女が無事だったことに一時の安心を感じる。

 

「遅くなってごめん。」

「全くだ。リーリエはお前が来るのをずっと待っていたんだぞ?」

「ちょ、ちょっとお兄様!?そんなこと直接言わないでください!」

「リーリエ顔真っ赤だよー?」

「リーリエも否定はしないんだな」

「暫く合わなくても相変わらずだね、お二人さんは!」

 

皆の冷やかしに顔を赤くしてまくし立てるリーリエ。そんなみんなの言葉に苦笑いをしながらどこか懐かしさを感じるシンジは、やっぱり相変わらずなんだなと心の中で呟く。

 

だが今はそれどころではないと皆に呼びかけ、再びウツロイドに視線を移す。ウツロイドは先ほどまで行っていた攻撃を止め、シンジの顔をじっと見つめている。シンジもそんなウツロイドの事を見つめながら、一歩ずつ歩みを進め近づいていく。

 

「あっ、シンジさ…」

「まて、リーリエ」

 

シンジに呼びかけようとするリーリエを、グラジオは彼女の肩に手を置き抑止した。

 

「シンジの事だ、何か考えがあるんだろう。」

「暫く様子を見よう?」

「は、はい……」

 

リーリエは不安そうな眼差しで歩みを進めるシンジを見つめる。

 

シンジの事を信用していないわけではない。寧ろ誰よりも彼の事を信用しているのはリーリエだろう。だがやはり彼女の脳裏にはかつてウツロイドにより神経毒により母親を支配されてしまった記憶がある。その記憶が彼女の恐怖心を煽り、不安を掻き立ててしまうのだ。

 

シンジはウツロイドにまた一歩、また一歩と近付き手を広げる。自分は敵ではないとウツロイドにアピールしているのだ。

 

「ウツロイド。君はどうしてこのアローラに来たの?」

『ジェル?』

 

ウツロイドはシンジの問いかけに首を傾げる。通常のポケモンとは違うUBは人間の言葉を理解していないのかもしれない。

 

だがそれでも、シンジはウツロイドに対して問いかけることをやめない。

 

「怯えているの?怖いの?」

『ジェル……』

「大丈夫。僕は君の敵じゃない。君の心の声、僕に聞かせて欲しい。君の全てを、僕は受け入れるから」

『…………』

 

ウツロイドは語り掛けてくるシンジにふわりふわりと近付く。その行動がリーリエにさらなる不安を掻き立てる。

 

次の瞬間、ウツロイドの触手がシンジをゆっくりと包み込んだ。それを見たリーリエの不安は最高潮に達し、駆け出そうとする。

 

「待てリーリエ!」

「離してくださいお兄様!このままじゃシンジさんが!」

 

手を引っ張り抑止してくる兄を振り払おうとするリーリエ。だが華奢なリーリエがグラジオの力に勝てるわけもなく、手が離れることはない。

 

そんな時、不安を抱いているリーリエの手に、柔らかな感触が伝わってきた。

 

『フィーア』

「えっ?ニンフィア……さん?」

『フィア!』

 

リーリエの手に触れていたのはシンジの相棒であるニンフィアのリボンのような触手であった。その触手は温かく、自分の抱いていた不安が徐々に薄れていくのを感じた。

 

ニンフィアはリーリエに、フェアリータイプ特有の癒しの波動を送ったのだ。この癒しの波動には相手の感じている不安を和らげたり、邪な感情を打ち消す力が備わっている。ニンフィアはその波動を利用し、リーリエの感情は少しずつ落ち着きを取り戻していったのだ。

 

『フィーア。フフィーア』

「シンジさんなら大丈夫……って言ってるんですか?」

『フィーア!』

 

リーリエの問いにニンフィアは笑顔で頷く。彼女はそのニンフィアの言葉で気付いた。

 

いつも助けてくれたあの人は、例え無茶なことであっても必ず解決に導いてくれていたのだと。自分が最も信頼する人物を、自分が信じないでどうするのだと。

 

「……そうですよね。私がシンジさんの事を見守らなくちゃ、ですよね!」

『フィア!』

 

落ち着きを取り戻したリーリエに、もう大丈夫かと感じたグラジオは彼女の手を離し、共にシンジの事を見守る。

 

シンジの体を複数の触手で包み込むウツロイド。次第に彼の体はウツロイドの影に飲み込まれ、姿が見えなくなってしまう。

 

それでもリーリエは、シンジが無事に戻ってくることを信じて待つことにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……?ここは?』

 

目を覚ますと、そこは何もない空間だった。

 

さっきまではリーリエたちと一緒にカンタイシティの近くにある森にいたはずである。だが今いるのはただ岩や崖があるだけの何もない空間。

 

しかし自分はこの場所を知っている。2年前に同じ場所へと訪れた記憶がある。

 

頭の記憶を呼び起こしていると、目の前に一匹のポケモンが姿を見せた。そのポケモンは自分に語り掛けてくる。

 

『ジェルップ』

『ウツロイド、やっぱりここは君のいた世界なんだね?』

 

自分の前に姿を見せたポケモン、ウツロイドは頷いてそうだと答えた。だが、この世界には少し違和感を覚えた。

 

その違和感とは、どことなく現実味を感じないのである。説明するのは難しいが、自分の体がまるで実態ではないような、なんというか独特な浮遊感を得ているような感じがするのだ。

 

まるで今見ているものは現実ではないのではないかと思えるほどに。

 

『もしかしてここは、君の作り出した空間?』

『ジェルップ』

 

シンジの問いにウツロイドは再び肯定で返す。だからなのかこの空間ではウツロイドと言葉を交わすことができるようになっているみたいだ。

 

周りをよく見渡してみると、上空には無数のウツロイドの姿が浮かんでいた。だがそのウツロイド達は自分たちのことに気付いていない様子だ。

 

恐らくここにいるウツロイド達は目の前のウツロイドの記憶にある仲間たちなのであろう。あくまで現実として実体化しているのは、自分と目の前のウツロイドのみだ。

 

暫くするとウツロイド達の様子に変化が起きざわつき始める。どうしたのかとウツロイド達の姿を見上げてみると、彼らの前に見覚えのあるものが浮かび上がっていた。

 

『!?あれって……』

 

そこに映っていたのは、UBたちの住む世界とは離れているはずのアローラの光景であった。そこには多くのポケモンたちが人間たちと暮らし、遊び、笑顔で過ごしている姿ばかりが映っていた。その様子をウツロイド達はただただ眺めているだけであった。

 

顔のない彼らからは感情を読み取ることは出来ないが、今の彼らを見れば何を考えているのか自分でもなんとなく察しがついた。

 

『もしかしたら君たち、僕たちと一緒に遊びたいだけだった……とか?』

『!?ジェルジェル!』

 

自分の言葉にウツロイドは強く頷く。そしてそんな彼らの思いに共鳴するかのように、彼らの背後にウルトラホールが出現する。そのウルトラホールに一体のウツロイドが警戒しながら入り込む。あれが恐らく自分たちと戦った目の前にいる過去のウツロイド自身であろう。

 

そしてそのウルトラホールを潜ると、場所が変わりそこはエーテルパラダイスのポケモン保護区であった。そう、自分がミヅキたちと共に初めてウツロイドと対峙した場所だ。

 

ここでウツロイドの記憶映像が途切れる。どうやらウツロイドは伝えるべきことは伝えきったようだ。

 

『そう、だったんだ。君たちが僕たちの世界に来たのは、ただ友達が欲しくて……』

 

ウツロイドは自分の気持ちを理解してくれた自分の事をただただじっと見つめ続ける。

 

恐らくウツロイドは同族である自分たち以外にも友達と呼べる存在が欲しかったのだろう。その感情に何かが応えたのか、アローラへと空間が繋がってしまい、初めて訪れた知らない場所で困惑し、不安を抱いてしまったのだろう。

 

目の前には見たことの無い植物、見たことの無い空間、見たことの無い生物、ポケモンとは言えど自分たちとは姿かたちが全く異なる。同族以外の者と接したことが無い彼はただただ不安で仕方がなく、どう接していいのかも分からなかったのだ。

 

だからだろう。ルザミーネの感情に反応するかのように、彼女の欲望を神経毒で増大させ夢をかなえさせる。そうすることでしかコミュニケーションをとることができなかったのである。

 

でもこれからは違う、とシンジはウツロイドに語り掛ける。

 

『僕たちは友達だよ』

『ジェル?』

『君は友達が欲しかっただけなんでしょ?だったら、僕は喜んで友達になるよ。』

『っ!?ジェル!』

 

自分はウツロイドに手を指し伸ばす。ウツロイドは触手で優しく自分の手に絡みつけた。彼なりの握手なのであろう。自分もそんなウツロイドの手を優しく握り返した。

 

その次の瞬間、不思議な空間に亀裂が入り、次第にパリンッという音と共に世界は崩れ去ったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シンジ……さん?」

 

リーリエは呟く。目の前にはシンジを包み込んだウツロイド。そしてもう一人、シンジがウツロイドの顔をじっと笑顔で見つめている姿があった。

 

シンジはウツロイドの顔に手をゆっくりと伸ばす。リーリエは緊張のあまり喉をゴクリと鳴らす。まさか自分の母親のような結末が訪れてしまうのではないかと。しかしその心配は杞憂に終わる。

 

ウツロイドの頬を撫でたシンジはゆっくりとこちらを振り向き、口を開いて驚きの事実を口にした。

 

「もうウツロイドは僕たちと敵対しないよ。」

「え?それってどういう……」

 

リーリエがシンジの答えの意味が分からず聞き返そうとする。しかしそのとき、ウツロイドがシンジに抱き着きはじめたのだ。

 

「こらウツロイド!そんなにくっついたらダメだって!」

『ジェップ♪』

 

そこにはまるで友人の様にじゃれつくシンジとウツロイドの姿があった。状況がよく呑み込めない彼らに、シンジはありのままの事を説明した。

 

するとグラジオは「相変わらず常識の通じない奴だな」と半分呆れた様子で答えていた。ミヅキもそれに関しては同意見なようで頷いていた。ハウに関しては「さっすがチャンピオンー!」と感動をあらわにしていた。ヨウはヨウで結局何も変わらない親友の姿にただただ呆れていた。

 

一方リーリエは、シンジは相変わらず無茶はするがとてもすごい人なのだと改めて思う。だからこそ自分は、この人に惹かれ、いつしかその背中を追いかけるようになっていたのだとも……。

 

その時、ウルトラホールが徐々に徐々にとサイズを小さくしている。どうやらあのウルトラホールの維持も限界に近いようだ。

 

「ほら、君は元の世界に戻らなきゃ」

『ジェル……』

 

折角友達になったのに別れたくないと思っているのか、ウツロイドはシンジの傍を離れようとしない。そんなウツロイドに、シンジは先ほど見た記憶の事を語り掛ける。

 

「君には昔からいる大切な仲間がいるはずだよ。彼らも、きっと君の帰りを待っているはずだ。」

『ジェルプ……』

「大丈夫だよ。僕たちはもう友達だ。例え離れていても、必ずまた会えるから。」

『……ジェップ!』

 

シンジはウツロイドを撫でながらそう言うと、ウツロイドは安心したのかシンジの言葉に頷き、ウルトラホールへと戻っていく。ウツロイドが名残惜しそうにウルトラホールへと姿を消すと同時にウルトラホールも瞬時に消え失せた。

 

「よかった、これで終わったね。」

「よかった、じゃないですよ!」

 

シンジが一息つくと、リーリエが彼に対し一喝する。

 

「もう……心配したんですから……。」

「ご、ごめん、リーリエ」

 

リーリエは涙を浮かべてシンジに心の底から心配していたことを訴えかける。そんな彼女の姿に弱いシンジはタジタジになりながら謝る。l

 

「ったく、ホントに常識の通用しないやつだ。」

「ホントだよ、まさかウツロイドと友達になるなんて思わなかったよ!」

「やっぱりチャンピオンってすごいんだねー!」

「いや、こればっかりはすごいとはベクトルが違うと思うが……」

 

皆思い思いのことを口にし、シンジはなんだか申し訳ないなと心から反省する。最も、だからといって彼がこれから今回のような行動を控えるとは思えないが。

 

ウツロイドが帰還したことで、再びビッケからの通信が入る。今ので最後のウルトラオーラの消失が確認されたとのことだ。これでUBの件は一先ず解決したと言っていいだろう。

 

こうしてアローラに再び訪れたUBたちとの戦いは幕を閉じた。だが、これからさらなる冒険、新たな脅威がやって来ようとしていたことはまだ、誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダルス!もうすぐ目的地に到着するよ♪」

「そうか」

「ねぇねぇ!光の世界って一体どんな場所なんだろうね!」

「はしゃぐなアマモ。我々は……」

「私達の世界を救うために任務で行くって言うんでしょ?わかってまーす♪」

 

仮面をつけた二人組。長身の男性、ダルスに小柄な少女、アマモ。アマモの相変わらずな天真爛漫っぷりにダルスも思わずため息を吐く。

 

そうしてもう一人、二人の側を浮遊している紫色の小さな生物と二人が騎乗している翼の生えた神秘的な生物の鳴き声がここ、ウルトラホールに響き渡った。

 

『ベベェ♪』

『マヒナペ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ではまず先週投稿できなかった理由ですが、色違い厳選のためにガラル図鑑埋めをしておりました。

結果は、ニンフィアとブラッキーの色違いに見事成功いたしました!やったぜ。

特にニンフィアは♀、夢、ラブラブボールでしかも偶然にも孵化では1/16の確率生まれると言われているレアエフェクトのイーブイが奇跡的に生まれて当時狂喜乱舞しておりました。未だ興奮が冷めやりませぬ。

因みに色の孵化余りは4体ほどおり、夜に見る色ブラッキー尋常じゃないくらいにカッコいいです。

というわけで次回からまた別の話(多分リーリエの島巡り)になりますが、これからも応援よろしくお願いいたします。俺たちの戦いはこれからだ!

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