Full Bloom 〜満開の歌声を〜 作:grasshopper
自分でタイトルは曲名にしたクセに、タイトル決めが難しいです。(何話かタイトルついてないのは本当にスミマセン!!!)
パスパレのお披露目ライブの回なので無難にしゅわりん☆どり〜みんにしました。
6000字超えましたが、前半会話少なくて読みづらいかもです(泣)。
side陸
ライブ当日の日曜日。
土日は朝から晩まで練習というのが僕らのバンドだが、今日は我儘を言って午後3時頃に切り上げてもらった。優人と春には「用事があるんだ」と言っただけで納得してくれた。今度埋め合わせをしなきゃいけないな。
今日は梅に入っているくせに雨が降ってないので余計ジメジメして蒸し暑い。長時間もドラムを叩いていたら汗もかく。だから僕は一旦家に帰って、着替えてからライブに繰り出すことにしたのだ。
僕はアイドルのライブは初めてなので、どういった服を着ればいいのか分からず。結果、いつもの私服と同じようなコーディネートになる。
家を出て、駅に向かう。
日曜日の電車は時間にもよるが人が多い。といっても、僕と同じ目的であり、同じ場所へ向かう人々ばかりに思えた。
そんなわけで、ライブ会場に到着した。その会場はというと……。
「い、意外と大きい……」
しかし僕は観る・聴く側なのでこれといった緊張があるはずもなく。昨日日菜に直接会って、貰ったチケットで中に入る。
それでも、会場内に入るとまた思ったことが溢れる。
「人も多いい……。1万人はいるかな……?」
それもそうだろう。これはPastel*Palettesだけのライブではないのだから。お披露目ライブがワンマンなわけもない。
ライブが始まり、いくつかのアーティストのパフォーマンスを拝見させて貰ったが、誰もが有名な人ばかりで、「流石」と思わざるを得ないステージだった。
そして、
『続きまして、新生アイドルバンド『Pastel*Palettes』の登場です!このステージで初お披露目となる彼女たちを、どうぞご覧ください!』
日菜は緊張してないだろうけど、他のメンバーには少なからずそういう心情な筈だろう。
そうこうしていると、ステージ袖から5人の少女が登場した。周りの人々は、彼女らを見て色々思うこともあっただろう。
なぜなら、元子役の白鷺 千聖がいたからだった。あの5人の中では、業界でのキャリアは1番長いし、若手女優の中でも演技力は抜かんでているとの評判だ。それでいて、あのルックスだ。人気にならない訳がない。
そんな彼女が何故アイドルに?と思う人は多いだろう。僕もその1人だ。恐らく、自己でやったのではなく、事務所の意向が100%なのだろけどね。
それにしても、1つ気掛かりな事がある。それはドラマーの子についてだった。彼女が美人だから僕は凝視していた訳でもなく、どちらかといえば自分の職業柄、見つめていただけだ。最初はドラマーとして気にかけていただけだが、今ではそれとは別にして気になっていた。
「彼女、どこかで……」
僕は目を細めてみたが、それでも収穫はなかった。それよりも、いつ演奏が始まるのかな?
『……』
センターのピンク色の髪をした子が黙っている。
緊張だ。
顔色を観れば安易にわかることだった。これは僕の洞察力がどうとかではなく、誰から観ても一目瞭然だったに過ぎない。
要は、ピンクの彼女は、
「吐きそうな顔」
をしていた。
『みなさーんっ!はじめましてーっ!私達、Pastel*Palettesです!略して『パスパレ』って呼んでくださいね♪』
ようやく言葉が出てきたので、観客側は皆、安心をしていた。
『私達のことをよーく知ってもらうためにー……。まずは1曲聴いてくださいっ!『しゅわりん☆どり〜みん』!』
あ、なんかMCがアイドルっぽい。いや、まあ、アイドルなんだけどね。それに他のアイドルとか知らないし。
「……今度優人か春にアイドル風のMCやってもらおうかな」
しばしば考えてみる。
…………本気でやりそうだから言わないでおこう。
そしてメンバー達が演奏を始めた。周りのお客さん達からの評価は中々に高い。
それもそのはず。生演奏なのだから。
しかし、僕はそれについて同時に少しばかり疑っていた。
日菜から聞いていた話では、パスパレが結成されてそんなに日が経っていない。それなのにこのクオリティはどうだろうか。この演奏はとても数週間のものではない。
…………いや、この考えはよしておこう。今は日菜のステージに集中だ。
しかし、センターの彼女は歌うのをやめた。いや、その表現は適切でなかった。
「音が……。当て振りだったか……」
僕はこの言葉を口にするつもりはなかった。だが、周りもその事実に気づいて野次を飛ばし始めので僕の声は隣のお客にも聞こえていない。
しかし、僕は彼女達を非難しようとは思わない。これも全部事務所の意向だと察したからだ。
言うなれば彼女らは被害者。叩かれるのはもっと別にいる。
だけど、またこの事態を対処するのも彼女達自身だ。それもあのアガリ症(と思われる)リーダーの子に。
「さて、どうするんだい……?」
こういう時の対処法は2つ(小さく分ければまだまだあるが)だ。当て振りを認めるか認めずに謝罪をしてステージから履ける。もう1つは本当に演奏をする。
前者を選んだ場合はネットでのバッシングは避けられない。下手をすればパスパレがなくなりかねない。
後者の場合は、演奏が出来なければ前者よりも酷くなる。それは当て振りを前提に練習を怠ったということになるのだから。仮にまともな演奏ができてもまた、振りだと思われる可能性が高い。
つまり、
「前者を選ぶしかない」
『…………』
しかし、ピンクの子は黙ったままだ。あの子の代わりに誰かが何かを言わないと一層事態は悪化する。
『皆さん、ごめんなさい。機材のトラブルで、残念ですが演奏ができなくなってしまいました。私達は、今後もライブを行なっていく予定なので、もしよろしければ遊びに来て下さいね。それでは、『Pastel*Palettes』でした!』
白鷺千聖が率先してくれたお陰で、5人はスムーズに舞台から去っていった。
「事態はスムーズにいかないみたいだけどね……」
興醒めした僕は、帰ることにした。
これから続く他のアーティストの演奏を聴かずに。普通、途中退場はできないが今はスタッフが慌てているため、僕もまた、スムーズに会場から去っら事ができた。
「……これだから、事務所に就きたくないんだよ……」
その日、日菜からの連絡はあったが、特にライブの事は気にしてない印象を受ける内容だった。
翌日、僕はいつも通り登校して既に学校に着いている。と言っても、僕は軽音楽部の部室で練習をしているから早く来ているのだけどね。といっても今から教室に行こうと思っていたのだけれど。
コンコンコン。
ドアがノックされた。から僕は「どうぞ」と言いたかったが、その前に
そうするや否や、日菜は、
「りっくーーーーん!!!」
「ちょっ!日菜!?」
彼女は僕の胸に飛び込んで来た。
「何やってんの日菜!?は、離れてよ!!」
しかし、僕の言うことは聞いてくれなかった。
なので僕は諦めた。
日菜にこうやって抱きつかれることは多々あるけど、毎回男子のみんなからの嫉妬の視線がすごいんだよなぁ。あとは、女の子からも意味ありげな視線を感じるけど。
「ライブ失敗しちゃったー!」
「そ、そのわりに元気そうだね」
この時、僕はもう照れていなかった。
「うん。だってあたし気分で入ったようなカンジだし?別に思い入れがあるわけでもないからさー」
「……いや、でもさ。このまま終わってしまうのはなんか嫌じゃないの?」
「うーん?確かにメンバーの子達と練習できないのはちょっと寂しいけど、会おうと思えば会えるわけだし」
日菜はこのままパスパレが無くなっても大した事は感じないだろう。それが1バンドマンの僕としては非常に残念に思えた。
まあでも、選択するのは日菜自身なのだ。日菜が助けてほしいと思っていないのに僕が手を貸すのもおかしいと思う。
日菜のステージに立つ姿はもう一度ちゃんと観たいが。
というか、そろそろ教室に戻らなきゃ遅刻になるよね。
だから、僕は日菜と戻ろうと思ったその時。
スマホが震える。バイブが長いので電話かな。相手は……。
「優人から……。日菜、ちょっとごめん」
すると日菜はあっさり了承し、手を腰から離してくれた。
僕はスマホを耳にあて、
「もしもし優人?」
side優人
俺は朝からのバイトを終えて、学校に向かっていた。いつも通りの時間に登校していると、いつも通り冬夜と合流できる。一緒に行く約束はしてないが、1つの習慣だ。
そのまま、いつも通りの他愛の無い言葉を交わし、いつもの学校に着き、いつも通り教室に向かう。
しかし、教室内は全然いつも通りではなかった。他クラスや他学年の生徒が大勢、うちのクラスに出向いていたのだ。
「な、なにごとだ?優人?」
冬夜が俺に問うた。しかし、それは俺が聞きたい。
なので俺達は人ゴミを掻い潜ってなんとか室内に入る。
すると、この人ゴミ共が理解できた。
俺の席の隣の少女が病んでいたからだ。なんかたまに不気味な笑みをする可愛らしい女の子。
つまり、鬱もどきなのは丸山彩。
「「…………」」
俺と冬夜は絶句してしまった。
「あ、2人ともおはー」
「!あ、ああ春。おはようさん」
「!春か。グッモニん」
「冬夜君、どうしてそんなにわか関西弁なの?あと優人に至ってはツッコムのメンド臭い」
俺への扱い酷いけど、それも今更って感じがするのはなんでだろう。
しかし、そんな事よりも気になることがある。なので、早速春に質問してみることにした。
「んなことより、丸山の奴どうしたんだよ?側から見たらヤベー奴なんだが」
横で冬夜が「うんうん」と頷いている。お前、今のところ大して台詞無いのにそれでいいのかよ。。
「えー、君たちニュース見ないの?」
と言いながら彼女はスマホを取り出し、こちらに差し出した。
画面には『期待のアイドルバンド《Pastel*Palettes》がお披露目ライブで当て振り』となる見出しがあり、スクロールしてみると詳細が書かれていた。
「ホントに知らなかったの?テレビでも結構話題になってるよ。私も心配になってすぐ連絡したんだけど、返事なくて心配してたんだ」
このギャラリーもアイドル見たさに、もしくは可哀そうと哀れみの目を向けるためにここにいるのか。
呆れた。
そんな時間を無駄遣いする連中の方が丸山より可哀そうだ。
「いや〜、俺エンタメニュースは見ないからさ」
冬夜、反応するのはそこじゃ無いと思うぞ。
「じゃあ、今日学校に来てからは何かしら声かけたのか?」
「話しかけてみたけど、周りがこれじゃ本題に切り出しにくくってね。それで関係の無い話をして気分転換させようと思ったんだけど、大して意味なかったんだ」
確かに、周りの奴らが「丸山さん、可愛いのに可哀そう」とか「これでアイドル人生終わったな」「口パクとかマジウケるんですけどー!ww」とか言ってる奴らがいるからな。
……なんか、殴りたくなってきた。
「というわけで優人」
と、春は俺の右肩に彼女自身の右手を置き、
「彩を今すぐ元気にして。You must encourage her right now!」
「なんで英語に言い換えたんだよ!?つか、春が無理なのに俺に出来るわけないだろ!?」
「ハァ、優人なら大丈夫だから。You can do it! ほら、行った行った!」
そう言って軽く鳩尾に一発入れられる。こいつの後からジワるんだよな。だから本気で殺られる前に場を治めることにする。
「うっ!分かったよ!」
俺は取り敢えず自分の席に座りながら、
「おはよ、丸山!」
人を励ます時、どういう言葉が良いのかわから無いので挨拶から入った俺氏。
そして、丸山の反応はと言うと、顔をゆっくりとこちらに向け(その時首が『ギギギ』と鳴ったのは気のせい?)、首を傾げた。
「……………………あ、優人君だ。おはようございます」
怖っ!怖いよ。怖すぎてもはや恐い。なんかカラクリ人形みたいだけど。
しかし、俺はそこで周りの声が聴こえてきたのだ。
「え?優人が丸山に話しかけてるよ」「やっぱり優人君優しいね!」「ステキ!丸山さん羨ましいなぁ」等々。
別に、そんなんじゃない。周りの好感度が欲しくてしたわけではないのだ。
しかし、これでは確かに話しづらい。
よって場所を変えようと思う。みんなはどこが良いと思う。
空き教室?校舎裏?それとも体育館倉庫か?
どこも間違いが起こりそうな場所ばっかり……。
「よし!」
俺は時計を見た。そろそろ
俺は丸山の手を取り、
「行くぞ、丸山」
「……えっ!?ゆ、優人君!?」
俺が手を握ったことで意識は覚醒したらしいが、ここで話せないことに変わりはない。
俺は走り出した。人ゴミの中を進むのは大変だが、屈めば寧ろ場所は特定されにくい事を知っている。なので、アッサリと抜け出し、そのまま丸山の左手を引っ張り走る。
階段を駆け上がって、1番上まで駆け上がって。
屋上の扉を開く。
場所を特定されるのは時間の問題だが、SHRが始まるまでバレなければこっちのモンだ。
「ハァハァハァハァ」
丸山は息を切らしていた。まあ、男子の全力疾走に引っ張られた女子はみんなこんなものだろう。
「ごめん丸山。でもこうするしか無くって」
「ううん。私こそなんか変でごめんね。何か話しづらい事なんでしょ?」
丸山はあえて「パスパレの事なんでしょ?」とは聞かなかった。その話題に触れられるのは嫌なのはわかってる。
でも俺は、
「いやー、春にお前の事を励ませって言われたんだけどなー。俺的にはそんな気分じゃないからやめた。……でも」
「でも?」
「相談があるなら聞く」
「!!」
こないだ丸山から相談を受けたのがここだったから、俺はこの場所に丸山と逃げたんだ。
「優人君……助けて……」
side彩
「相談があるなら聞く」
無粋な言い方だった。
不器用な優しさに思えた。
でも、だからこそ信じることができたのだと思う。
「優人君……助けて……」
私はその時涙を零していた。高校2年生にもなって、人前で泣くなんてなぁ。
しかし、優人君はハンカチを渡して、
「『助けて』ってのは、どういう意味。今のパスパレの状況を変えろって事か?だとしたら、答えは『NO』だ」
「っ!……どうして!?」
優人君は力になってくれると思った。だって私を教室から連れ去ってここまで必死に逃げてくれたから。
なのに、なんで。
でも、優人君の答えは至ってシンプルだった。
「技術面においてのバックアップはできても、今のお前の立場をどうにもできないからだ。できるのは事務所とお前らパスパレ自身だ」
「……確かに……そうだよね」
「俺達と一緒にミュージックビデオ撮るって手もあるけど?」
「それはダメ!それじゃあ、優人君たちのバンドの人気が落ちちゃうかもしれないんだよ!?」
「いや、俺らの事はいいんだよ。陸や春も多分話せばわかってくれるから。それに、ちょっとの傷くらいはすぐに治るしな」
どうしてそこまでしてくれるの?という事は聞かない。でも、本気で言ってるのはわかった。
だからこそ、
「それでも、ダメだよ!人の人気に乗っかるのは良くないから……」
「そっか。じゃあ技術面でのバックアップしかやる事が無いかな」
「……えっ?」
優人君の言った意味がわからなかった。
「俺達のバンド《Full Bloom》はアイドルバンド《Pastel*Palettes》の技術指導をしたいと思ってる。いいか?リーダーの丸山彩さん?」
「で、でもいいの!?そんなに勝手に決めちゃって!?私としては是非お願いしたいんだけど……」
すると、彼はとっくにスマホを取り出して電話をかけようとしていた。
「勿論、今から聞くんだよ」
なんで電話を取り出したんだろう。春ちゃんなら教室にいるのに。
「もしもし陸。悪いなSHR前に」
陸って確か、ドラムの男の子だよね?
春ちゃんじゃなくて、そっちに聞くって、よっぽど陸って人が好きなんだね。
「陸、少し頼みがあるんだけど……」
見てわかる通り(裏)での話は主に優人君と彩ちゃん。パスパレとロゼリアのバンストを基盤に同時進行していきます(予定)。
↓ここからただの余談↓
僕も勿論無課金ながらバンドリやってるんですけど、こないだシュガーソングとビターステップのexpertがフルコンできたんです!!!
深夜にテンションMAXになって、そのあと中々ねつけませんでした(笑)。
フルコンしてない曲はあと10曲程度なので頑張るぞい!
あと、CHiCOさんのアルバムが発売されましたね!『私、アイドル宣言』を彩ちゃんにカバーしてもらいたいと思ってます!「可愛くなりたい』もいいですよね!もちろん、CHiCOさんも雨宮天さんの声も好きです!
そういえば!
雨宮天さんと言えば!
本日!仮面ライダービルドに声の出演になるんですよ!
仮面ライダー好きで声ブタの僕からしたら感動ですよ(笑)!
あとがき長々と失礼しました。また、近いうちに。