Full Bloom 〜満開の歌声を〜   作:grasshopper

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タイトルはご察しの通り、そういう内容です。あと、10/31にカバーがでるから……。


17話 世界は恋に落ちている

side春

 

昼休み。私はいつも通り、クラスの女の子達と一緒にご飯を食べていた。その際に彩がなんだか考え事をしていた。

 

「どうしたの彩?悩み事なら相談乗るよ」

私はそう声をかけた。他の子達は呑気に会話をしていたため、私の声は聞こえていないだろう。

 

「えっ!な、なんでも無いよ……!」

彩が何か隠すような言い方をした。

なんだろう、気になるなぁ。

彩がジュースを口に含んだ。私はこのタイミングでとある質問をするけど、それは後悔することになるんだ。

 

 

 

「……恋?」

 

「ブッ!」

彩が口に含んだいちごオレを躊躇なく私の顔に吹きかけた。わざとじゃ無いんだろうけど、これは汚いなぁ。

まあ、それはともあれ。

 

「図星?」

私は顔を拭きながらまた質問する。

 

「ど、どうしてわかったの……」

彩は口の周りがベトベトになっていることにも気づかないほど、動揺していた。

 

「顔に書いてあったから。……それと顔を拭こうね。女の子がはしたないよ」

世の中で1番はしたない女の子が、アイドルの卵に女の子のあり方の説教をする日が来るなんてね……。

そんなことを考えながら、彩が口を拭くのを見守った。そして、拭き終わり。

 

「相手は優人だよね?」

私は笑顔でそう言う。笑顔の理由は面白くなりそうだからかな。そして私の言った通り、相手は優人で間違いないよねー。だって赤面しちゃってるもん。

 

「…………」

 

「彩?」

急に黙り込んだので、思わず声をかけた。すると、ゆっくりと口を開き、

 

「その……わからないんだ。…………今まで恋したことなかったから。……それに、私、一様アイドルだし」

ムムム。確かにアイドルは恋愛禁止だけど、優人になら彩を任せられるんだよなぁ。(父親目線)

 

「よし!こうなったらそれが恋かどうか確かめてみようよ!」

 

「ど、どうやって?」

 

「そりゃあ、優人の家に乗り込むの!」

 

「えっ!む、無理だよ!///」

 

「大丈夫大丈夫。私も付いて行くからさ!」

そう言うと、彩は了解した。

さてと問題は優人の家にどうやって行くかだよね。家に行く口実がないと上がらせてもらえないだろうし。。

 

「あ!そうだ!」

私はとある方法を思いついた。これなら大丈夫!

そう意気込んで、優人の元へ向かう。後ろには彩もゆっくりとだけど、付いてきていた。

しかし、私は優人の元にたどり着くと、言葉を失った。

 

 

 

 

 

side優人

 

親友とは良きものだ。

いつも支え合い、泣き合い、笑い合う。それこそが美しく、爽やかさのある高校生の人間関係だと思う。

そして俺は幸運に恵まれ、親友と呼べる人間が少なからずいる。一生忘れることのないであろう、大切な時間を共有したものだ。

つまり、俺の高校生活は恋愛などに興味がなくても、順風満帆に送っていたのだ。

なのに、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何が悲しくて親友の土下座を見下ろしているのだろうか。

それもクラスメイト全員が見ている前で。

 

因みに、今土下座をかましているのは漣 冬夜。一様親友だ。しかし、絶交しようと思う。なぜなら次にこう言ったからだ

 

「優人様!何なりとご命令を!そして……ご褒美を!!」

 

おい待て。発言が明らかにドMの言葉じゃねーか。俺に踏んで欲しいの?ガチホモなの、お前は?

 

なぜこうなったのか……

 

それはほんの数分前のことだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、回想に入ると思ったか?

それは期待を裏切ってすみません。ただ、俺の親友がドMになってホモになったことなんて気にならないだろ?

 

それより大事なことがある。

梅雨が明け、7月の上旬になると、学校ではとあるイベントが発生する。学生諸君にはおわかりだろう。

 

期末試験だ。

 

人生のうちに、それも中学・高校生時代に何度も学生達の行く手を阻むあれだ。

 

そしてテストと言えばお決まりのイベントがあるだろう?

 

 

 

 

 

 

 

「勉強会だ!!」

 

青春モノには定番のイベントだ。そして大体は2人きりなどの場面が多い筈だ。

 

「1人、2人、3人……ハァ」

 

現実はそんなに甘くない。

つーか、なんで俺にイベントが来んの?他所でやってくれよ。そんな青春チックな漫画の主人公に俺は向いてないから。

今、部屋の中にいるのは俺以外に3人。春、丸山、そしてガチホモ。

 

「誰がガチホモだって!?」

うーわ。こいつ俺の考えてることがわかるとかいよいよ気持ち悪いな。さすがホモ。

 

「おお、ガチホモ。どっかわからないのか?悪いが俺じゃなくて春に質問してくれ。俺はそんな性癖持ち合わせてないから」

 

「だからホモじゃないからな!」

 

「あー、ハイハイ」

既に冬夜がホモだろうが興味はなかった。

 

ちなみにどこで勉強会を開いていると思うか?

ご察しの通り、ウチだ。

 

「何で俺の家なんだよ……」

 

すると俺の声が聞こえたようで、春がこちらを見てきた。

 

「理由ききたい?」

春がなんだか嫌な笑みを浮かべている。大した理由があるのだろうか。

 

「ああ、教えてくれよ」

 

「えっとねー……」

春が俺の問いに答えようとする。その瞬間。

 

「だ、ダメェーー!」

丸山が叫んだ。そして春の口を両手で塞いだ。

 

「ど、どうしたんだよ?そんなに焦って?」

 

「い、いや。なんでもないよ」

丸山はそう言い、わざとらしい口笛をした。絶対裏があるな。なるほどな。そこまで勉強に切羽詰まってたのか。

 

「わかった。理由は聞かない。ただ、おまえが勉強してないのはわかったから」

 

 

side彩

 

あれ?今、なんか変な勘違いされたよね?

絶対優人君、私が全然勉強してないって勘違いしたよね?優人君の家で勉強会を開きたい理由がバレなくてよかったけど、なんだか傷つくなぁ。

 

「で、どっかわかんない所あるか?理数系なら任せろよ」

 

「う、うん!」

はあ、やっぱり優しいなぁ。急に勉強会を開かせてもらったのに。私は申し訳なくなってきた。

 

そして数分後。

「ねえ、優人君。ここ、教えてもらえないかな?」

 

「おお、いいぜ。……あ、そこか。この問題はここを……こうして……。どうだ!」

す、すごい。私が5分くらい悩んでギブアップした問題をこうも簡単に……。

 

「これ結構引っ掛けだからな。多分テストに出るだろうから、解き方覚えといたらいいよ」

 

「あ、うん。ありがと!」

かっこいいなぁ。

なんであんなにスマートにこなせるんだろう。そんなところに惹かれる人も多いんだろうなぁ。

優人君はさっきまで座っていたところに戻っていった。私はその姿を目で追いかけていた。椅子に座り、真剣な表情でノートと向き合い始める。

 

ドキッ。

 

普段の教室などではあまり見られない、真面目な表情。いつもとのギャップが激しく、なんだか大人っぽく見える。

 

わからない問題で頭を掻く仕草。

 

シャープペンシルの頭を下唇に当てて芯を出す仕草。

 

不意にこちらの視線に気づいて微笑んでくれる仕草。

 

疲れた時に窓から夕焼けを見る仕草。

 

その後、子供みたいにやる気を出す仕草。

今日一日で、優人君の色々な顔が見れた気がする。そしたらもっと色々な顔が見たくなり、優人君に惹かれる自分に気づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、これが恋なんだ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

勉強会は無事に終わり、私と春ちゃんは帰路についていた。その際、

 

「それで、優人のことをどう思ってるか、気づいた?」

 

「……うん」

 

「それは恋心?」

春ちゃんが少しいたずらな笑みを浮かべて聞いた。ほんとはわかってるのに、聞いてくるなんて。。でも、相談にも乗ってくれたので、ちゃんと答えるべきだと私は思った。

 

「…………うん」

その時、私の頰は紅潮していたと思うけど、夕日でバレてないよね?と、そっと願った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜おまけ〜

side優人

 

今日、俺と春と陸は、映画館に来ていた。

 

「あー!Fate面白かったー!!」

春が大きな声でそういった。そう、皆さん忘れてると思うが、彼女は生粋のアニオタである。見た目とは打って変わって、女の子とは程遠いくらいに部屋も散らかってる。

そして今日は俺と陸も映画に付き合わされていた。

 

「全く分からなかったけど、結構面白かったな」

原作はゲームらしいが、全く分からず。アニメや小説も見たことないため、全く分からないまま、Fateという映画を見に来たのだが、なかなか面白いものだった。

 

「ああ、そうだね。今度から僕もアニメとか見てみようかな?」

陸も高評価を出していた。この映画は3部作になっているようだが、残りの2作も見ようと思った。

 

「それより、春、お前は今日で何回目だ?」

 

「7回目!」

この数字は、今見終わった映画を何回見たか、ということだ。7……か。さすがだな。俺にはとても真似できん。

 

「だって、You ●ubeで動画あげるだけで、かなりのお金が入るから有効活用しなきゃね!」

こいつの金の使い道は全部アニメとかゲームに注ぎ込まれてるんだろうな。

 

「また見る時は僕も誘ってね。面白かったし」

陸のやつ、ハマったな。

まあいいや。

俺もハマりそうだし。

 

 

 

「これだから、日本はサイコーなんだよ!」

春が元気に叫んだ。珍しく子供っぽいところを見た気がする。

でも、今日ぐらいはいいだろう。

ずっと見たがってもんな。

 

 

 

 

 

 

 

俺と陸が帰りに深夜アニメの劇場版のDVDを借りたのは別の話だ。




Fate面白かったー。
見てないなら、見ることをオススメしますよ!

◎感想、評価等々、よろしくおねがいします。

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