ハイスクールD×D オン・ステージ!   作:魔女っ子アルト姫

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その週、貴光は学校を公欠していた。天空軍、自然軍、冥府軍の三勢力同盟によって締結された一大勢力の交渉兼調停役として任命された事が影響し冥府軍や天空軍の情報などを頭に叩きこまなければならなかったからである。自然軍とはまた違ったキャラの濃いメンバーなどとの連携や戦力調整などで走り回っていた。

 

冥府軍幹部死を司る神〈タナトス〉、冥府軍幹部女戦士〈パンドーラ〉冥府軍最高幹部冥界女王〈メデューサ〉。どれを取っても一人ひとりが極めて危険な力を有している、がそれ以上に良い性格をしており本当に冥府という死後の世界の軍に属しているものなのかと疑問に思うがそんなことを言っていたらハデスに言わなければならないので何も言わないでおこう。その際にメデューサに甚く気に入られてしまい数度魂を束縛する魔法を掛けられそうになりその度にナチュレとパルテナが止めに入り貴光は冷や冷やする思いをしている。

 

『アッハハハハッタカミーってば色男だね~。あのメデューサちゃんに気に入られちゃうなんてお見事お見事~♪良かったら嫁に貰ってやってよ♪』

『ハデスさん、頼むから辞めてください……あの人が本気にしたら如何するですか』

『でもパンドーラちゃんよりマシじゃね?』

『……』

 

それに比べたら天空軍はどれだけ楽だったことか……冥府、自然軍と比べて目立った将はパルテナ親衛隊隊長〈ピット〉のみ。しかし天空軍のイカロス達の錬度も決して低くはなく他の軍と遜色も無い。何より一癖も二癖もありまくる冥府軍に比べたらどれだけ対応が楽なことか……。加えて女神〈パルテナ〉とは以前からの顔見知りなのもあった為か情報の今回などは潤滑に行われた。面倒な事も漸く記憶し休みが貰えた貴光は街へと繰り出していた。

 

「どうせなら光実とかが交渉役になってくれれば良かったのに……」

 

貴虎はユグドラシルでの立場、光実は経験的な不足を理由を候補から外され結果として残った貴光がそれをする事になってしまった。個性が強すぎる軍の同盟、それを円滑にするには優れた交渉役であり調停役である貴光が行動しなければならない。だがそれによってこれからも高校は休みがちになるだろう。まあそれでリアスや一誠と顔を合わせなくて済むのは良い事だが……。

 

「紘汰達と会いづらくなるな……」

 

こうして就任してしまったからにはその任を確りと果たすつもりではいるが友人達と会いにくくなるのはしょうがない……容認するべき要因だろう。今日も本来は授業があるが疲れを癒す為に街に出てきている、神やその眷属達ばかりと一緒にいたせいか街を行き交う人々が如何にも物珍しげに見えてくるのは気のせいではないのだろう。そんな風に物珍しげに前をろくに見ずに歩いていると歩いていると誰かとぶつかってしまう。

 

「キャッ!」

「っとすまない、大丈夫かい?」

「はっはいすいません……あっ私の言葉お分かりになりますか!?」

 

ぶつかったのは金髪碧眼の美少女だった、教会などで着るシスター服を纏っている事から教会などの関係者らしい。そして口にしているのは英語、非常に滑らかな言い回しからすると普段から英語を主にしていた且つ自分が英語が分かると言うことに表情を輝かせている事から英語が分かる人間に当たる事が出来なかったようだ。

 

「勿論。英語は日常でも良く使う上に交渉でも使う、会話など料理するより簡単だ」

「はぁ良かった……私、ずっと英語が分からない人ばかりで心細くて……」

「気持ちは分かる、ほら立つと良い」

「あっすいません、お借りします」

 

彼女にとって日本は居辛い事だろう、日本では主な言語である日本語以外の言語で会話する事は余り無く日常生活で単語を混ぜる程度にしか使われない。誰にか尋ねて見て厄介事に巻き込まれたくないという考えから協力を拒否する者も多い。

 

「あ、あの私この街の教会に新しく赴任して来たシスターのアーシア・アルジェントと申します」

「俺は呉島 貴光だ。んっ教会……?だがこの街には廃墟となった教会しかないぞ、あの教会も近々取り壊しになり新しく立て直される予定だ」

「ええっそうなんですか!?」

「ああ。一ヵ月後には始められる、既に教会は閉鎖されていて入れないぞ」

 

教会の建て直しを受け持っているのはユグドラシルコーポレーション、周囲の住民達の依頼もあり行われる事になった。

 

「ど、如何しましょう私はそこに行くように言われてて……他に行く場所なんて……」

「何?教会の責任者から話が行き届いてなかったのか……?よし、それなら俺の家に来るといい。しばらくの間泊っていくと良い」

「えっでもご、ご迷惑になるんじゃ……?」

「何教会の工事を請け負っているのは俺の兄さんがいる会社でね、間接的とはいえ俺も少し責任を感じているんだ。だから来ないか?」

 

貴光の言葉と言われた状況を整理していくアーシアは少し考えてから笑顔を向けた。

 

「それでは少しの間お世話になります、よろしくお願いします!」

「おう、それじゃあ早速家へ案内だ」

 

 

 

「うぅ~ん良いね良いね~もう直ぐ出来上がるよ~ん」

 

暗い暗い空間の中に紫の光に照らされた果実が実ろうとしていた、異様な果実は今か今かと熟そうと栄養を蓄え続けていく。それを見つめるハデスの表情は非常に愉快そうなものだった。

 

「後少し、だね。むふ、楽しみだな~どんな風に変身しちゃうのかな?このハデスさんお手製のロックシード…早く、見てみたいねぇ」

 

不気味で無邪気で邪悪な笑いが周囲に響いていく中成長する果実、それは何れ貴光に渡されるであろう新しい力……それは冥界とハデスの力を受けた末に出来上がるロックシードになるであろう。


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