ハイスクールD×D オン・ステージ!   作:魔女っ子アルト姫

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『ソイヤ!! オレンジアームズ 花道オンステージ!

「さあ私の舞台(ステージ)に乗ったんだ、踊ってもらうぞ!!」

「貴様の力、私がいただく!!」

 

夕食後、ナチュレの言葉通りに街へと繰り出した貴光。そして彼を待ちうけていたのは以前貴光が撃破したと思われる悪魔の仲間だった、敵意剥き出しで向かってくるそれを迎え撃つ為に素早く鎧武へと変身した貴光はその手に持つ大橙丸を構え鎖鎌を持ち迫ってくる悪魔を迎え撃つ。

 

「ハッフッ!!」

「でぇぇぇいやぁぁっ!!」

 

鎖のリーチを活かした変則的な攻撃のリズムと徹底した中距離、此方の獲物が近接系しかないと見切っているからこその判断だろう。確かに大橙丸だけでは中遠距離に対処する事は非常に難しいが出来ない訳ではない。此方の身体を捉えようと飛んできたそれをガッチリと掴むとそのまま一気に此方へと引き寄せつつエネルギーを蓄積させ、それを一気に爆発させるように振るう。蓄積されたエネルギーは斬撃となって鎖を握っていた事で引き寄せられた悪魔のその翼を大きく切り裂いた。

 

「ぐああああああっっ!!!?き、貴様ぁぁぁっっ!!?」

 

翼を切り裂かれた事で悶え苦しみ地面を転げ回る悪魔、だがそこへ全くの慈悲も容赦も無く襲い掛かる鎧武。腹部を踏みつけながら大橙丸で翼を根元から切断し二度と飛行できないようにすると腹部を蹴りつけその反動で浮かび上がった悪魔の首を掴み締め上げながら持ち上げていく。

 

「グギ、ガガ……!!!」

「聞こえないな、しっかりと喋れよ」

 

力を緩める事無く挑発的な言葉を発しながら片腕をベルトのカッティングブレードへと伸ばして行き一度ロックシードを切るかのように倒す。

 

オレンジスカッシュ!!

「さあ、終わらせてやるよっ!!」

 

勢いよく悪魔を投げ捨てる鎧武、そのまま大橙丸を逆手持ちで構える。カッティングブレードによってロックシードのエネルギーが開放され大橙丸へと一気に供給されていく、先程のエネルギーとは比べ物にならない量の力が流れ込んで行き大橙丸はその名の如く美しいオレンジ色の光を放っている。

 

「でぇぇぇいやぁっっっ!!!」

 

エネルギーが頂点に達した時、大橙丸を一気に振るうとエネルギーが刃を延長するかのように伸びそのまま悪魔を一刀両断に切り裂いた。そしてそこから大橙丸を持ち直すと振り下ろすように振りぬき悪魔が最も嫌う十字架に切り裂く、超エネルギーの刃を受けた悪魔はその力に耐え切れる訳も無く爆発を起こしてこの世から消えて行った。

 

「ふぅ……終わった終わった」

「―――矢張り凄まじいわね、呉島くん」

 

変身を解除しようとした時、背後から掛けられた声。聞き覚えと嫌悪感が同時に湧き上がってくる事によって誰なのかを判断する事が出来た。肩に大橙丸を担ぎながら振り向いて見ると其処に居たのはリアスを始めとした一誠を除いたオカルト研究部の一同だった。

 

「何だマナー知らず、俺に用か」

「ま、まだ言うか……。それとさっきの戦い見せて貰ったわよ、まさかA級指定のはぐれ悪魔を容易く倒すなんて……放って置く訳には行かないわね、もう一度言うわ私の眷属になりなさい。その力は危険よ」

「断る、メリットが無いしマナーがなっていない奴が上司だと?ふざけるな」

 

明確な敵意を見せつつ大橙丸の剣先を其方へと向ける、それからリアスを守るように木場と子猫の二人が前へと出る。

 

「貴光くん、出来れば大人しくして欲しいんだけど…僕は君を怪我なんてさせたくないよ」

「剣を構えたままいわれても説得力がないな、大人しくして欲しいなら俺に勝ってから言ってみろ」

「そうするしかない、みたいだね……全力で行かせて貰うよ、そうしないと勝てそうにないからね」

 

力を込めて剣を構える木場に思わず貴光は闘志を燃やした、リアスの命令など無くても木場は最初から自分と戦って見たかったのだろう。同じく剣を使う者としてこれほど心が躍る事は無い、だがそれを否定するような先手必勝を仕掛けてきたのは少女子猫であった。腹部と捉えるような右ストレートを放ってくるがそれをバク転で回避する鎧武とそれを追いかけるように追撃する。

 

「当たってください」

「いや当たるように攻撃しろよ」

 

空振りし続ける事が嫌なのか最早八百長でもしてくださいとでも言っている様な言葉に突っ込みを入れつつも避け続ける。攻撃の伸びとスピードは悪くはない、食らえばそれなりの威力を発揮するだろうが余りにも直線的過ぎる為に避けるのは非常に簡単。まだまだ発展途上という言葉が良く似合う少女だ、しかし折角剣士同士の戦いが出来そうな所を邪魔してくれたのだからそれなりのお仕置きをする事にする。

 

パイン!

「な、何です?」

『ロック・オン!』

 

無表情だった子猫もいきなりの事に動揺した、目の前で開錠された錠前を新たにベットにセットし直した鎧武は勢いよくカッティングブレードを倒しパインのロックシードを開ける。

 

『ソイヤ!!パインアームズ!! 粉砕デストロイ!!

 

新たに現れたパインのアームズ、それは先程のオレンジアームズと違い胸部装甲が先程よりも厚くなっており明らかに防御面が今日かされているのが見て取れるに加えてその手に持っているパインのような鉄球が目を引く。

 

「さあ打ち砕くぜ!!おうらぁ!!」

「キャア!!」

 

パイナップル型の鎖鉄球、パインアイアンを軽々と振り回しながらそれを子猫へとぶつけていく貴光。相手が女だろうが自分に勝負を挑んできた以上そんな事は関係なし、先程までの攻勢が嘘のように子猫は一気に劣勢に追いやられて行く。

 

「キャアア!!なんて攻撃力……!?防御、しきれない……!?」

「もういっちょうぉぉぉ!!!」

 

今度はアイアンを振り回すのではなく全力で蹴った、一気に加速したアイアンはその重量による信じられない威力を発揮し子猫の腹部をクリティカルヒットしそのままリアスの隣にいた朱乃に激突しながら壁へと叩きつけられた。その衝撃で二人は気絶してしまったがそれをリアスは信じられないような表情で見つめた。

 

「剣士同士の邪魔をするからだ、そこで寝てろ」

『ソイヤ!! オレンジアームズ 花道オンステージ!

「待たせたな木場」

「……本当に、強いんだね」

 

オレンジアームズへと換装を終えると木場は好敵手を見つけたかのように笑いが込み上げて来てしまった。想像以上の使い手であり実力者、剣から鎖付きの鉄球に持ち変えたというのにその実力が損なわれることもなく武器の強さを引き出していた事から当人の力量を測る事が出来たが凄まじく強い。

 

「ハッキリ言って勝てる気がしない、かな…それに子猫ちゃんも心配だしこの場は辞めてもいいかな?後日、邪魔が入らない場所で試合を申し込むとするよ」

「賢明だな木場。そこのマナー知らずもお前みたいにまともだったら良かったのにな……つうか何?マジで俺と敵対でもしたいの?」

 

鋭い視線を向けながらリアスを威嚇する、その視線に思わず怯んでしまうリアス。貴光が発するプレッシャーは普通の人間に出せるようなものではない、そこにまるで強大な神その物がいるかのような圧倒的な存在感と重圧感を感じてしまっている。

 

「そ、その力が私達に向けられないとも限らないのよ!!それにそんな力を一介の人間が持っていてはぐれ悪魔にでも奪われたら危険なのよ!だから眷属になってて言ってるの!」

「誰が悪魔なんぞになるが人間賛歌を馬鹿にすんな。それに俺は既に自然王に仕える身、てめぇなんぞ仕えてたまるか」

「し、自然、王……?えっ、嘘でしょ……?自然王、ってまさかあの…!?」

 

自然王と言われて該当するのはたった一柱、自然そのものを司り絶対に倒すことすら出来ないとされる神と言われている自然王ナチュレ。それに仕えているという事が本当ならば普段は姿すら見せないが姿を見せれば世界を瞬く間に制圧する事も容易いとされる自然軍を敵に回した事になり大問題になってしまう。それにガクガクと震えているリアスに興が冷めたのは貴光は変身を解除した。

 

「んじゃ俺帰るから、木場また今度やろうぜ」

「あっう、うん……そ、その自然王に仕えてるって本当なの……?」

「マジだけど?」

 

そんな発言をその場に放置すると貴光はそのままさっさと歩いて帰宅して行ってしまった。残されたリアス達は自然王を敵に回したのではないかという恐怖を感じながら如何したら良いのか魔王に相談する為に早急にその場から撤退したのであった。


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