『メロンエナジー!!』
貴虎が取り出したロックシードは通常のロックシードとは何かが異なっている物だった、透明感のある実は何か逸脱しているような雰囲気をかもし出している。戦極ドライバーには既にメロンがセットされているのにも関わらず如何するのかと思いながらも新たなにパーツのようなものを装着するとそこへロックシードを納めた。そしてブレードを下ろすとメロンと共にそれが開錠される。メロンアームズは元の形態へと戻りつつ上っていくとその頭上に開いた空間の穴から降りてきた新たなアームズと融合して行き再び斬月へと降りていく。
『MIX!!メロンアームズ 天下・御免!! ジンバーメロン!!ハハァ!!』
開かれたアームズ、通常のアームズとは異なり正に陣羽織のような形状に変化していた。だが同時にメロンアームズの力をひしひしと感じる。片手に持った剣と弓が一体化させているような武器、ソニックアローを構えながら周囲を囲んでいる魔法使い達を睨み付けているのは一騎当千の戦国武将のよう。それに負けじと貴光も勢いよく錠を開けた。
『スイカ!!』
「さあどんなのが来んのかね!!」
兄にだけ渡されていたというロックシード、扱いが難しいのかそれとも兄が最も上手く使えるからだろうかそれでも兄が託してくれたのだから自分でも使えるはずだと確信しながら頭上に開いた穴を見つめるが思わず兜の内側で噴き出した。ゆっくりと降りて来るそれは頭に被る処か全身すらすっぽり覆えるほどに巨大なアームズだったからだ。
「デッカァァァァァイイイッ!!!説明不要!!?えちょマジでデカ!?」
「大丈夫だそのまま装備しろ。それにお前なら潰れてもペラペラになって生きてそうだからな」
「嫌な信頼だなくそ兄貴!!ああもう男は度胸だ!!着やがれ!!」
もう半ばヤケクソになりながらも勢いのままロックシードをセットしブレードで開錠する。それによって一気に落下してくる巨大なスイカに飲み込まれるがそのアームズはいきなり超高速で回転し始めていくと竜巻のような空気の渦を巻き起こしながら周囲の魔法使い達を飲み込んでいくとそのまま爆発四散させていく。
『スイカアームズ 大玉ビックバン!!』
「おおおおっっっとまらねぇぇぇえええっっ!!!??兄貴止めてぇぇぇぇっっ!!」
「よし」
高速回転をし続けているスイカアームズ、如何やら制御しきれていないようで流石に弟を助けようと貴虎は近づいて行くとそのまま大玉スイカに蹴りを入れて空中で此方を見つめ続けている魔法使い達目掛けて蹴り付けた。
「そのまま行って来い!!」
「だぁぁぁぁっっっ!!!???兄貴覚えてろぉぉぉっっ!!!!」
『ジャイロモード!!』
蹴りを入れられた事で機能が解除されたのか球体状の形が変化して行き腕のような物がせり出しつつ鎧武はスイカの蔕の部分から顔を覗かせるようにしながら両腕からエネルギー弾を連射しながら周囲の魔法使い達をなぎ払って行く。
「もうロックシードって何でもありかよ!?でもハハッいいやこれすげえ面白い!!いやっほぉぉぉう!!!空を飛んでぞぉお!!」
初めて使用するスイカロックシードの力の凄まじさともう何でもありになって来たと思いつつもそれは冥府と天界から貰っている物で分かりきっているかと切りなおしつつ純粋にスイカアームズの力を堪能し始めた。逃げようとする敵を的確に両腕の銃砲で蹴散らしつつ空から貴虎の戦いを観戦していた。
「貴様、人間如きがそのような力など私は許さない……人間が悪魔を凌駕するなどあって堪るか!!」
「私にとって悪魔を凌駕するなど如何でも良い事だ、興味すら沸かん」
鎧武を空へと蹴り上げた直後、貴虎はこの襲撃を計画した張本人と相対していた。カテレア・レヴィアタン、かつて魔王だった悪魔。現在の魔王らに不満を抱きこの襲撃を計画した、が誤算があった。アザゼルが招待した二人の人間の存在だった。コカビエルを倒した貴光とその兄である貴虎、その強さは尋常ではなく共に強襲した魔法使いらを嘲笑うように蹴散らしている。直々に自分が叩き潰そうと姿を見せたが貴虎は全く取り乱さず冷静そのものだった。
「例え神を凌駕する力を持ったとしても人間は人間である事に変わりはない。例え機械の身体となろうともそれは人の魂と心を持つのであればそれは人だ。故にお前の言葉など意味は持たない」
「貴様……!!」
「そして私が剣を握り理由はシンプルだ」
ソニックアローを握る力を強めながら戦闘体勢を取る斬月、身体に漲るジンバーアームズの出力に身を委ねながら開放の時を待つ。
「私の守りたい者達を傷つけようとした者を倒す為だ!!」
「ほざくなっ!!」
その手に魔法陣を出現させながら増幅した魔力弾を発射するカテレア、それに対抗するように素早くソニックアローへと手を伸ばすとそのまま矢を引き絞るとメロンエナジーから供給されたエネルギーの矢が打ち出され魔力弾を打ち消しながらカテレアへと炸裂していくが黒いオーラでそれを無理矢理かき消すように防御するカテレアに斬月は素早く肉薄すると両端に付いた鋭い刃でその身体を斬り付けた。
「があっ!!?に、人間が私を傷つける!?力を増した私を!?」
「人間を余りなめるなよ悪魔、さあ戦いを教えてやる!!」
一瞬の怯みに更に肉薄していく斬月、流れるように次々と斬撃を食わしていく。黒いオーラすら切り裂いて身体に次々と傷を付けていく、それに何とか対応しようとするカテレアだが0距離に近い距離で魔力弾を放ってもそれすら軽々と回避する貴虎に恐怖心を抱いてしまった。全方位から魔力弾の雨を降らせようが空に打ち上げた矢が無数に分裂し雨を打ち消していく。余りにも強すぎる、絶対に勝てないという考えすら脳裏に浮かんでくる。
「如何やら魔王と言っても戦いには慣れていないようだな、ストレスも大分解消できた。もう付き合う気はない」
『ロック・オン』
ソニックアローへとメロンエナジーを装填、そのままブレードを倒す。
『メロンスカッシュ!!』
「さあ……消えろ」
『メロンエナジー!!』
力強く引かれていく矢、脅え一歩一歩後ずさりしていくカテレアの心臓に狙いが付けられ貴虎は冷たい視線でそれを見つめ続けた。圧倒的なエネルギーはソニックアローに集中して行くのを感じ取り空へと飛び立とうとするがそれを阻止するように放たれた一撃が瞬時にカテレアの身体を貫いた。その表情を恐怖に染めたまま大爆発を持ってカテレアの長い悪魔の命に終止符が撃たれた。
「やっぱり兄貴はバグキャラか……」
「何か言ったか?言ったならお前をメデューサに引き渡すが」
「はい何も言っておりませんお兄様!!!」
「ならばいい」