ハイスクールD×D オン・ステージ!   作:魔女っ子アルト姫

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堕天使、神の子を見張るもの(グリゴリ)の頭であるアザゼルの要請を受けて三大勢力が行う会議に出席する事を決めた貴光。この会議にナチュレ、パルテナ、ハデスが顔を出す事が絶対に有り得ない。忙しいからと言うのもあるが神々がそう簡単に顔を出す訳には行かないという理由らしいが頻繁に顔を見たり一緒に遊んだりしている貴光や光実は顔を見合わせて無言になるのであった。

コカビエルを倒したことで興味を引かれている貴光は出席は決定事項だが後は誰が行くかという事になる、メデューサなどが立候補したがそれを抑えて共に行く事になったのは貴虎であった。弟だけに面倒を押し付ける訳には行かないと言う理由かららしい。互いにスーツを着込み腰には既にドライバーを付けたままで会議の会場である駒王学園へと出陣した。

 

「警戒を怠るなよ、相手は全員敵と言っても過言ではない」

「分かってる。兄貴こそ戦いになったら鈍っててやられましたなんて笑い話にならないぜ?」

「甘く見るな。これでもメロンアームズのみで強化形態の5連戦に勝利している」

「いやそれ可笑しい。なに兄貴ってバグキャラ?」

 

校舎内に入りながらも軽口を叩く貴光だが冗談のつもりで言った事に対して兄が大真面目且つとんでもない事を言った事に思わず思考が膠着しかける。冗談などを言えるほど貴虎は器用な性格ではない、ならば真実になるが……強化状態となると通常のアームズで勝つには非常に難しいのにそれを5連戦で勝っている?兄は本当に可笑しいのではないのだろうか。

 

「何、ジンバーアームズ相手に敢闘した訳?」

「ああ。ジンバーチェリーが一番面倒だったな、素早かったから対処に時間を食った。まだ経験が足りん」

「面倒なだけかよ……」

 

現段階のアームズにある事をする事で至れるジンバーアームズ、だがその性能は非常に高い。通常のアームズで太刀打ちする事は非常に難しく性能の差を純粋な技量で埋めなければならないのにそれをあっさりと埋めて勝利したと平然と語る兄に僅かな恐怖を覚えてしまう。進んでいく内に悪魔、天使、堕天使の波動が身体に伝わって来るのが自覚できる。到達した会議室の扉を一息を置いてから開けるとそこは人間の世界にはあらぬような空気に満ち満ちていた。

魔王サーゼクス・ルシファーとその妻グレイフィア・ルキフグス、魔王セラフォルー・レヴィアタン。天使長ミカエル、堕天使総督アザゼルと護衛と思われるもう一人の存在。見る物が見たら最早卒倒物の面子が揃い踏みであった。それらの視線を受けつつも席についた。

 

「彼らが例の……」

「あっこの前私の事を色々言ってくれた子……えっマジで」

 

魔王の二人は間接的に繋がりがある。サーゼクスはリアス・グレモリーの実兄として、セラフォルーは以前の授業参観にて一度その姿を目撃しているが当の本人達からは完全に無視を決め込まれている。主に貴光の精神衛生上に良くない為に無視を決め込んでいる訳だが。アザゼルは確りと着てくれたことに安心しつつ何処か笑っており天使長ミカエルはあの二人がコカビエルを倒し得る力を宿している事にやや懐疑的な視線と思いを抱きつつも視線を送り続けた。

 

「失礼します」

「た、貴光……!?」

 

最後の入室して来たのはコカビエルとも戦闘を行ったリアスとその眷属達、中に入りその面子の中に元友人である貴光とその兄が居る事に驚いて声を上げてしまうが身動ぎ一つも起こさずに此方を見ない彼らに苦い思いを抱いてしまう。そしてメンバーが全員揃った事を確認すると会議が開始された。

 

会議は先日のコカビエルの事件からスタートしまずリアス達の報告から始まって行きアザゼルへの質問と確認へと移っていく中遂にその矛先が貴光たちに向いた。

 

「そして……呉島 貴光君がコカビエルを直接討ったっという事になるがそれで合ってるかな?」

「合っている」

「まず君達自然軍が何故この件に介入したのか、何故悪魔の管理する土地にいるのかを聞きたいね」

 

怪しげな眼を向けている魔王に貴光が口を開こうとしたがそれよりも早く貴虎が口を開いた。

 

「ハッキリ言う、悪魔の管理では無意味だからだ」

「なっ!?」

「ここ一ヶ月において一般人に対するはぐれ悪魔及び堕天使による被害は28件、私の弟の友人もつい最近悪魔に襲われ死に掛けている。そんな杜撰な管理を認めろというのか、どれだけの人間に被害が出ていると思っている……!?」

 

歯軋りをさせながら悪魔であろうと堕天使であろうと天使であろうと睨み殺すかのような勢いの瞳を部屋全体に差し向けた。管理すると言っておきながらこれである、ハッキリ言ってお粗末過ぎる。

 

「そ、それは……リアスもまだ自分の力を高めている身だ。彼女も出来る限りの事はしているんだ、これからもっと力を付けてくれる」

「ほうやっている事はやっているから起きている事からは目を背けろと魔王は言うのか、ナンセンスだな。呆れさせてくれる、リアス・グレモリーは優秀だが未熟。しかしこれからはもっと強くなるから黙認しろと言っていると取るぞ魔王。なら成長過程中の彼女ではなく既に優秀な人材に取り仕切らせ彼女は補佐とするべきだろう、魔王の実妹故の甘さか」

 

仮にもユグドラシルの主任としてリードを行っている身、人材配置の重要性を理解している貴虎の言葉は重くそれぞれに圧し掛かっている。彼は同じように自然軍に付いている弟達に甘い所もあるがそれはあくまでプライベートの話であり仕事ではそのような甘さは一切捨て能力や素質で判断して行動している。弟達はそれらを考慮しても本当に優秀なのだから。

 

「此処で宣言する、我ら自然軍は光の女神パルテナ及び冥府神ハデスと同盟状態にある。その目的は一方的に人間を管理すると言いながら杜撰極まりない事をする悪魔に対する物であり人間の尊厳を守る為。そしてその矛先は必要であれば堕天使、天使にも容赦なく向ける」

「な、何故我々天使にも!?」

「愚問だな。我々がお前達の愚かさを知らないとでも思ったのか」

 

凄まじい殺気を飛ばす貴虎にミカエルは思わず一歩引いてしまった、これが人間なのかと疑いを持ちたくなるほどの物。それを見たアザゼルは軽く笑いながら両手を上げた。

 

「確かにな……堕天使の方も好き勝手にする奴らも多い、こっちも出来るだけ目を配っているがそれでも全てを把握しきれないのが実情であり真実。それを否定する気もない、呉島さんよ必要だったら俺の組織に監視役でも置くかい?それでも構わないぜ」

「それは自然王が決める事、私にそんな権限はない」

「お堅いこって」

 

思わず肩を竦めたアザゼルを見た時貴虎と貴光に不吉な感覚が走った。何かが迫りながら束縛しようとするような物を感じる、二人は懐からロックシードを取り出した。

 

メロン! ロック・オン!!』

オレンジ! ロック・オン!!』

「変身するぞ貴光!」

「「―――変身!!」」

 

『ソイヤ!! オレンジアームズ 花道オンステージ!

『ソイヤ!! メロンアームズ !!

 

ロックシードによる変身、貴虎は白を基調とした斬月へと変身しその手に巨大な盾を手にした。そして周囲が動揺する中、時が止まった。


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