ハイスクールD×D オン・ステージ!   作:魔女っ子アルト姫

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「むっ……」

「なんですかナチュレ様、良い所でポーズなんかして……」

「そうですよ、これから良い所なのに……」

 

夕食後、自室で大乱闘をプレイしていた貴光と光実そしてナチュレ。それぞれの技量が全国トップクラスなプレイヤー同士の対決が白熱している中それに水をさすような気配を察知したナチュレは後ろ髪を引かれる思いでポーズを掛けた、それに対して二人はブーブー文句を垂れるがナチュレが浮かべている表情を見ると直ぐに切り替える。

 

「……不快な気配とオーラを発しおってからに、どうやら愚か者が動き始めたようじゃな」

「例のコカライじゃなくてCcapac Apu(コカパク・アプ)じゃなくてコカビエルでしたっけ」

「だから何で地縛神縛り……」

「如何やら本格的に動き出しおったようじゃな、愚か者め戦争でもやる気か?」

 

人間とは全く違った感覚を有している神だからこそ感じる何かがあるらしく教会から聖剣を奪ったコカビエルが遂に行動を起こしたとの事、感じられる範囲では聖剣が束ねられた存在が生まれた事が把握出来ている。既に悪魔が動いており駒王学園で意識をズラす結界が張られておりそこで戦いが始まっているとの事、ならば介入する必要があるのかと問われたら困るがこのまま放置してこの街が吹き飛ぶのは困るだろうとナチュレが問うと確かにそうですねと二人は納得しながらベルトを装着する。

 

「んじゃ行くか……駒王学園、兄貴は忙しいから来れないだろうし。まあ大丈夫だろ」

「そうだね。久しぶりに暴れちゃおうか」

「気を付けて行って来るのじゃぞ。夜食でも用意して待っておるぞ」

「おっナチュレ様の夜食美味いからな~こりゃ気合も入るってもんよ!行くぜ光実!!」

「うん兄さん!」

 

気合も十分に部屋を飛び出し玄関を出ると二人はロックシードをその手にしながら駒王学園の方をみると確かに小さく爆発音のようなものが聞こえてくるのが把握出来る。戦争でも行っているかのような音が耳を劈く、深呼吸をしながら気を落ち着けると開錠をした。

 

オレンジ!ロックオン!』

ブドウ!ロックオン!』

「「―――変身!!」」

 

カッティングブレードによって開かれたロックシード、それが巻き起こす変化。二人の男に舞い降りてくる果実は鎧となりつつ武器となる、ナチュレの配下の者として相応しい姿へとなっていく。

 

『ソイヤ!! オレンジアームズ 花道オンステージ!

『ハイィ!! ブドウアームズ 砲! ハッハッハッ!!

 

橙色の鎧武者と紫の鎧武者となった呉島兄弟、オレンジアームズを纏った鎧武とブドウアームズを纏った龍玄。真っ直ぐと駒王学園の方向を見つめながら互いに一つのロックシードを開錠する、それはまるでサクラの花のようなロックシード。それを放り投げるとそれは一気に巨大化しつつ変形しバイクへと変貌した。

 

「うっし行くぜ光実、遅れるなよ!」

「兄さんこそ、前の朝みたいな事にならないでよ」

 

サクラのロックシードは巨大化・変形し乗り物になる機能を備えた特殊なロックシードであり、変形したロックシードを総称してロックビークルと呼ぶ。そしてそのロックビークルことサクラハリケーンのアクセルを全開にして飛び出していく。速度が増して行く度に車体からサクラの花びらのような物が溢れ出させていくサクラハリケーン、その速度で素早く駒王学園に到達すると学園と外を隔絶するように展開されている結界に突撃して行った。

 

「突破ァァァッッ!!!」

「なんでああもう元気かなぁ……サクラハリケーンが空間跳躍するのって身体に負担掛かるのに」

 

易々と結界を突破した鎧武と龍玄、バイクから降りながら結界を突破した事をテンションをあげながら声を発している兄を何処か呆れたような目で見つめながら降りる弟。如何にも鎧武にはロックシードで掛かる身体への負荷が余り気にならないのか何時も元気でいる。羨ましいような単純に体力的な物なのか、複雑なことだ。

 

「さてと……まあグランドだなうるさいの。行くぞ」

「うん」

 

迷う事無くグランドへと走っていく二人の鎧武者、鎧の擦れる音が聞こえる中到着したグランドでは戦いでは無く正しく小規模の戦争が巻き起こっていた。ナチュレの情報通りオーラが増している聖剣をその手にしている神父と光の槍をその手にしながらリアス達に攻撃を仕掛けている堕天使コカビエル、それに対抗するように必死に戦いを続けているリアス達だが鎧武の視線は木場にのみ注がれていた。

 

「おい光実、木場のあの剣」

「んっ……あれって聖と魔が混ざってる……?アロンダイトみたい」

 

統合されたエクスカリバーと鍔迫り合いを続けている木場、だが彼がその手にしている剣は本来相容れないはずの聖と魔が混ざり合っている剣に見えた。それを見た光実は真っ先にアロンダイトを連想した、聖剣でありながら同胞だった騎士の親族を斬った事で魔剣としての属性を得てしまった聖剣アロンダイト。それと全く同じように矛盾に思える属性が一緒にある。まるでミントアームズのように……。

 

「木場、手合わせする時が楽しみだなぁ……まあいいや、兎に角横から水ぶっ掛けるぞ」

「無差別で良いよね木場さん以外」

「勿論」

「つう訳で、ミントアームズにいざ変身!」

『ソイヤ!!ミントアームズ!! 冥府神ハデス 現世降臨す!!

ブドウスカッシュ!

ミントスカッシュ!!

 

ミントアームズに装備を換装しつつその鎌にエネルギーを充填して行く鎧武、同じくロックシードで生成された武器であるブドウ龍砲へとエネルギーを蓄積されていく龍玄。乱戦の中、未だ此方に気付けていない皆皆に向けての一撃。呼吸を合わせて二人同時に攻撃を放った。

龍砲へと充填されていたブドウの果実のようなエネルギー、全てが充填されるとそれは巨大な龍となって空間を荒れ狂うように駆け抜けていく。そこへエネルギーで増強されたミントシックルの斬撃が飛び込み新たなエネルギーを得た龍は更に荒れ狂うように咆哮を上げつつ乱戦が繰り広げられていく所へと突入されていく。

 

「な、何っ!?た、大変皆よけてっ!!!」

「何だこれっ!?ふざけんなっってぐあああっ!?」

「こ、このエネルギーは一体!?」

 

リアスの悲鳴のような声によって全員がその時気付く事が出来た、こちらに迫り来る巨大な龍に。慌ててながら回避して行く皆を嘲笑うように木場と鍔迫り合いをしていた神父を巻き込むように龍は駆け抜けながらもコカビエルの翼を噛み砕くかのように貫通しコカビエルと神父を地面へと叩きつけた。リアスが龍が来た方向へと顔を向けるとそこには鎧武と龍玄が居た。

 

「あ、あれって呉島君!?今のまさか貴方が!?って隣の人誰!?」

「よっ糞悪魔。野次飛ばしに来たぜ」

「そう言いながら必殺級の技をぶち込む兄さんマジ外道」

「いや何の否定もせずに賛同したお前に外道とか言われたくないんですけど」

 

軽いコントをやりつつも近づいてくる二人にリアスは恐怖と驚き、そして安堵を感じてしまった。苦戦を強いられていたコカビエルとの戦いに思わぬ形で援軍が来たと思えてしまった。同盟を組んでいる訳ではないが恐らく彼らの目的もコカビエル、ならば簡易的な同盟を組み共に戦線を張る事が出来るかもしれないという観測をしたのだ。

 

「さてと……ナチュレ様の夜食が待ってんだ。良い具合に腹を空かせろよ」

「今日の夜食って何かな」

 

これから戦いをするというのに酷く暢気な言葉を飛ばしながらも得物を構える二人は真っ直ぐとコカビエルに視線を投げかけ握り締める手に更に力を込めた。




呉島 光実

呉島三兄弟の三男。駒王学園1年で現在ダンス部で活躍中、愛称はミッチー。貴光との仲は非常に良く普段からよくゲームをしたり遊びに行ったりしている。時々魘されている貴光の事を心配し毎朝様子を見に行っている。温厚で優しい性格だが何処か黒くしたたかな面も持ち合わせており割と外道な発想にも平然と付き合う。

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