ハイスクールD×D オン・ステージ!   作:魔女っ子アルト姫

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レーティングバトルが終わっても貴光にとっては忙しい日々が続くだけである。同盟間の関係の維持の為にナチュレの元へ、ハデスの元へ、パルテナの元へと走り回る日々が続いている。本来相容れない敵同士の関係の筈が悪魔の行為が目に余るために締結された同盟な為かいやいやな部分が大きくそれを上手く緩和するには天空軍、自然軍、冥府軍の全てと友好を持つ貴光が走り回って不満などを上手く緩和する緩衝材になるしかないのであるがそれゆえか彼の負担は倍増していた。

それでも時間があれば高校へと赴き勉学に励んだりダンス部に顔を出したりとしている貴光、そんな彼の最近の癒しとなっているのは呉島家でホームスティを続けているアーシアであった。

 

「貴光さん、今日のお弁当は好物を入れておきましたので頑張ってください!」

「っ……ああ、ああありがとう……。俺もこれで今日も頑張れるよ」

 

神々のお陰で帰宅時間すら貴虎より曖昧になりつつある貴光の癒しとなっている聖女アーシア、彼の為に日本食を覚えて弁当を用意したり帰ってきた彼を出迎えたり肩を揉んだりとしてくれる彼女が本当の意味で心の助けとなりつつあるのであった。そんなアーシアも命を救ってくれた貴光には何やら暖かな感情を抱いているのか彼に対しては好意的でこれは義妹になる日も遠くないと貴虎は微笑んでいた。

 

「アーシア、では始めるぞ。自然王の巫女になる道は険しいぞ!」

「はいナチュレ様!」

 

ただホームスティをしているという訳でもなくアーシアもアーシアで自分でやれる事を見つけたらしくそれが自然王ナチュレの巫女となる修行を始めた、と言っても元々聖女と言われていただけ会って適正自体は高く直ぐに立派な巫女に成れる事間違いなしというお墨付きを貰っている。ナチュレとしてもアーシアのような人材を受け入れられることを嬉しく思っているとの事。

因みに何故光の女神であるパルテナに行かなかったかというとパルテナ自身が巫女を余り必要としていないからというのが大きな理由があった。何かを伝えたいのであれば奇跡などを用いて自分で言う、忙しければピットを使いに出すという選択があるので自然軍に身を寄せた。冥府軍は言うまででもないだろう。

 

「はぁっ……」

 

思わず溜息を吐き出す、今日も高校に行く事が叶わず下校時間となっていた。一応バイクに乗って駒王学園まで来てみたが既に校門から生徒達が帰り始めている、もう1週間はまともに学校に行く事が出来ていない。一応課題を提出する事で点を貰えているので留年などの心配はないが矢張り出来る事ならば確りと通いたいという気持ちが強い。まあどうせ生きている限り三同盟の調停役として奔走する事になるのだが……それを考えると鬱なるので考える事を止める事にする。

 

「……帰るか」

「待て」

 

アクセルに力を込めようとした時此方に向けられて声が掛けられた。顔を向けてみるとそこには二人の女性がいた、だが唯の女ではない。その身からは聖書の神の力の気配がある、聖書の神の話はパルテナから聞いているが余りいい話は聞かなかった。人間を愛しているのは自分と同じだがベクトルが違っている為仲良くはなれないと言っていた。

 

「何だ」

「貴様何者だ、何故天界と冥府の力を同時に宿している」

「唯の人間ではないわね、正体を現しなさい」

「……はぁっ何でこうも俺は厄介事に好かれるんだ……。ついて来い、そうすれば答えを見せてやる」

 

深い深い溜息と嫌悪感を吐き捨てるとバイクを降りて押していく、それに続く二人の女。神の加護を受けているなのに受けてからの方が厄介事が多い気がするのは気のせいだろうか。適当な空き地へと到着するとバイクを停める。

 

「さあ貴様の力、聞かせて貰おうか?」

「……はぁ、随分と聖書勢力は情報能力が低いようだな」

「何だと!?私達を愚弄するか!?」

 

そう言いつつ引き抜いた剣を此方へと向けてくるがその行為は威嚇なのだろうか、だとしても自然王に敵意を示している事を知らないのだろうか。

 

「俺は自然王ナチュレ様に仕える呉島 貴光だ。聞かされてないのか」

「自然王……ナチュレのあああっっ!!?ちょ、ちょっとゼノヴィア剣収めなさい!!下手したら大戦争になるわよ!?」

「何を……!?こいつは私達を、神を愚弄したのだぞ!?」

「だぁから相手は自然王よ自然王!!自然を司る神!!!神話勢力とかに一切属さない神で最強とも言われてる神!!」

「……あああっっ!!!?」

 

一方に激しく説得されて漸く状況が飲み込めれたのか剣を収めた一方、どうやら情報自体は持っていたが顔写真などは無くそれで威嚇をしてきたらしい。ゼノヴィア・クァルタと紫藤 イリナは名乗りながら必死に平謝りしてきた、無礼を許して欲しいや望むのであれば言う事を聞くなどと出来る限りの誠意を込めての謝罪を送ってきたので貴光はそれで許すことにした。

 

「し、しかし何故自然王の配下である貴方が冥府と天界の力を?」

「現在自然王は光の女神パルテナ、冥府神ハデスと同盟を組んでいる。目的は悪魔の排除だ」

「な、何ですとぉ!?」

 

同盟自体は全く知りえていなかった情報だったのかゼノヴィアとイリナは激しく動揺する、だが同時にある考えが出てきた。パルテナとも同盟を結んでいるという事は自分達とも同じく同盟関係ではないのかという事だった。パルテナが住まうエンジェランドも天界に含まれる場にあり、パルテナも人間を愛する女神だと聞く、きっと自分達の力になってくれると思ったのだろう。

 

「言っておくが俺達同盟は手を貸さんぞ」

「「えっ……?」」

「俺達が動くのは悪魔に対してのみ、この同盟も悪魔に関してのみの同盟だ。よってお前達に力を貸す理由もないし俺が判断していい事ではない、ではな」

 

そう言い残すと呆然としつつ此方に慌てて話をしたそうに迫ってくる二人を無視してバイクを走らせ自宅へと向かうのであった。


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