ハイスクールD×D オン・ステージ!   作:魔女っ子アルト姫

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訪れたゲーム開始の時間、リアスは眷属全員に冷静に落ち着いて対処するように厳命しつつ自分の身が危なくなったら直ぐに引くか身を守る事を優先する事を命令している。が開始から僅か1分、異空間を揺るがすほどの大爆発が起こった。空間その物が揺れる大振動にリアス達も動揺する中

 

『ライザー・フェニックスの『戦車』一名『兵士』二名リタイヤ』

 

いきなりすぎるリタイヤを促すアナウンスに驚く一同、既に戦いが始まっている事とライザーの眷属の悪魔三人が既に撃破されているという現実が襲い掛かってくる。ライザーは既に何度もレーティングバトルに参加しており相手が得意先だった場合にはワザと敗北しているが公式戦では実質的な無敗を誇っている。そんな彼の眷属の力は大きいはずなのにまだ始まって間もないというのに……何が起こっているのだろうか。

 

「ぶ、部長これって!?」

「……し、自然軍が大暴れって事かしら……?」

 

 

「あはははっ遅い遅い!」

「は、速過ぎて捉えきれない!?」

「そこっ!!」

「キャアアアッ!!!」

 

グランドの上空を凄まじい速度で駆け巡る閃光、青い稲妻を纏いながらも超高速移動しながら攻撃を仕掛けてくるライザーの戦車を翻弄しながら雷を落としていくエレカ。それらを必死に回避して行くものの移動先に置くように放たれた同じく雷のような速度で放たれる神弓が身体を貫いていく。

 

「か、身体が……焼ける、ように……!!っ……!?」

「流石〈エレカの神弓〉。ロクに狙ってなかったのに当たったよ。しかも雷の矢だから痺れてるし」

 

矢を放ったピットは改めて今回の得物である〈エレカの神弓〉の性能の高さに驚きを隠せ無い。威力自体は高くは無いがこの神弓の真価はその矢の速度と誘導性能、そして相手を痺れさせる事が出来る力がある事。相手への当て易さやサポート目的での射撃ならばこの弓に適う神器は少ない、がそれ以上に悪魔はダメージを受けて苦しみもがいている。チャージ弾を撃った訳でも無い何故そこまで苦しんでいるのか分からない。

 

「っっ…!!!!!!!!!」

「あれじゃない?それの素材は私の電磁マフラーだけど作ったのはパルテナだからじゃない?」

「あっそっか、パルテナ様の加護がこの神弓にも付与されてるから悪魔には聖水とかロザリオ以上にキツいんだ」

「それじゃあ、楽にしてあげるわ」

 

エレカは転がっていた小石を拾い上げると二本の指でそれを挟みこんだ、そこへ雷の力を加えていく。指の間にある石に込められている異常な電力とナチュレの加護を受けたエレカの力が合さり石はどんどん赤く溶岩のような色合いに変化していく、そして10秒後エレカはそれを投げつけるようにライザーの眷属へと投げるとそれは即座に悪魔の胸を貫きグランドの地面へと炸裂し大爆発を引き起こした。悪魔は倒れこみながら何処かへと転送されて行った。

 

『ライザー・フェニックス様の『戦車』一名、『兵士』四名リタイヤ』

「うーんまあまあかしら?でもこの技電圧の調整が難しいわね……。実践投入にはまだまだ練習が必要ね、というかなんか巻き添えにしてたみたい」

「ええっ……まさか電磁投射砲(レールガン)実用化……?うっわ自然軍こわっ……」

「そんな自然軍の幹部三人を倒した貴方は如何なのかしらねピット君」

 

自然軍最強幹部と名高いエレカとパルテナ親衛隊長ピットのタッグはあっという間に此方へと向かってきたライザーの眷属を倒していた。基本乱戦で多数方向からの敵で慣れているピットからしたら高々3人程度が一気にせめて来ても全く怖くはなく楽に退けつつエレカの元へと誘導しそこでエレカの雷と己の弓で動きを止め、エレカのレールガンで一網打尽にしてしまった。

 

「さてと如何する?貴光君でも応援に行く?」

「いや必要あるかしらね、だって……」

 

ナツメヤシオーレ!!

「セイハァァッッッ!!!!」

「このメデューサに向かって来た事を後悔させてくれるわ!!永遠に覚めぬ悪夢に囚われるがいい!!」

『キャアアアアアッッッ!!!!』

「「うわぁっ……」」

 

軽く向けた視線の先にはライザーの眷族と思われる悪魔を二人纏めて吹き飛ばしている鎧武の姿とチェーンソーを持ちつつ切りかかって来た悪魔にワザと切らせそこから呪いとも言える力を感染させて相手の精神という内部から侵食し相手を悪夢の世界に閉じ込めてしまったメデューサの姿があった。鎧武の攻撃を受けた悪魔は身体中にパルテナの加護による重症の傷が刻まれ即座に転送、メデューサによって悪夢に囚われた悪魔は苦しげにもがき助けを求めても目を覚まさぬまま悪夢に苛まれ続ける。そしてその悪魔も転送されるとアナウンスが流れる。

 

『ライザー・フェニックス様の『兵士』四名リタイヤ』

「うわっひでぇ……主にメデューサ……。悪夢の中って、あれ多分もう目覚めないでしょ」

「でしょうね…相当お冠みたいね……凄い怒りの邪気漏れてるもん」

 

「な、なによあれ……!?」

 

グランドへと出てきたリアスは驚愕した、そこにいる面々に。冥界女王、光の女神の親衛隊長、自然軍の最強幹部、悪魔からしても絶対に敵に回したく無い面々が勢揃いしてしまっている。悪魔に似通っているが格が余りにも違い過ぎるメデューサ、悪魔の天敵とも言える力を纏う天使のピット、大昔から神と同一視される雷のスピードとパワーを兼ね備える電光のエレカ。これが夢なら覚めて欲しいレベルの惨状。

 

「なんだあれも潰してもいいのか」

「さあ?あれは別にいいんじゃないんですか。あれからは謝罪貰ってますし、今回はフェニックスの首だけで十分でしょう」

「ふんならばそうしておくが」

 

一度メデューサに殺気を向けられるがその殺気を受けてリアス達は思わず意識を奪われそうになってしまう、意識を奪われないように踏ん張るのが精一杯。小猫は必死に身体を抱きしめ自分守ろうとし朱乃も地面に倒れこみながらも必死に意識を保っている。一誠は腰を抜かし気絶をしては目覚ますのを繰り返している。唯一まともに立っているのは膝を付きつつも剣を地面に突き刺し杖代わりにしている木場位だろう。リアスも膝を付いてしまっているがメデューサは直ぐに興味をなくし此方を見下ろしているライザーに目を向けた。

 

「これは、何の冗談だ……?」

 

気付けば既に自分の眷属は半数以上が倒されリタイヤしていた、まだゲームが始まってから10分と経っていない筈。それなのにこれほどまでに追い込まれているという事実が信じられなかった、リアスに自分の力を見せつけハーレムに加える良いチャンスだとまずは貴光たちに狙いを定めて攻撃を仕掛けたのが最悪の始まりだった。加えてあの男はなんなんだ、自分の眷属をいとも容易く倒す鎧を纏うなど訳が分からない。そんな時、貴虎とライザーは目があった。

 

「いい加減お前も戦え、不死鳥の誇らしさがあるのなら」

「がっ!?」

 

目が会った瞬間、全身を捉える重圧を感じる。そしてまるで引力に引き寄せられるように貴光の目の前に叩き付けられてしまった。

 

「ライザー様!?いま、か、身体が動かない!?」

「ど、如何して!?」

「ひっ!身体が、ど、どんどん石に!!?」

 

いきなり叩き付けられた主を助けようとする事も出来ずにその場で固定されてしまう眷属達、メデューサの石化攻撃を受け身体の7割が既に石化してしまっていたのであった。そして石化は進行していき全身を石へと変えてしまった。

 

「き、貴様っ……!貴様の仕業か!!」

「ああ。〈引力の奇跡〉だ、俺の望む方向に引力を発生させられる。流石パルテナ様だな、俺でも奇跡が使えるなんて。さてと……」

 

ライザーを引きずり出すことに成功した貴光はナツメロットを持ち直しながらライザーに向かい体勢を作り直す、すぐさま撤退する事を考えるライザーだが遥か上空にはエレカが、地上からは神弓で何時でも射抜けるような体勢にいるピット、そして逃げようものなら即座に石化させてやると睨みを利かせているメデューサという完璧な包囲網によって諦める。

 

「俺の女をよくも……お前は燃やし尽くす!!」

「やってみれば良いじゃねえか」

 

挑発する貴光に乗せられて炎を連射しながら殴りかかってくる、ロットを回転させ炎を打ち消しながら前進していく貴光は接近戦をしかけてくるライザーに乗りロットを振り続ける。フェニックスというから回復能力が自慢なのか防御を捨てた捨て身の攻撃が多く、ややペースを握られつつある。

 

「はははっその程度か人間!!」

「やりづらい……!」

 

ナツメロットはロックシードで生成されたもの、即ちパルテナの加護による神器に近い物。故にライザーは一撃を食らう度に大きな傷とダメージを受けているのにも関わらずそれを不死鳥の象徴ともいえる回復能力でゴリ押しするように突破している。

 

「ならっ……!!はぁぁっ……セイヤァァァッ!!!」

 

一度距離を取りつつロットへ力を込めなおし気迫と共に強力な一突きを放つ、その危険性を本能的に察知したライザーは思わず回避するが肩の一部に大きな傷を与えた。

 

「ぐぅう……良い攻撃だがこの程度直ぐに回復する!!」

 

そう、幾ら攻撃しても不死の力のあるフェニックスは回復してしまう。今までもそうだった、そうだった筈なのに……傷口は全く塞がる事も無く血を噴き出しライザーは大声を上げて苦しむ。

 

「ぐあああああっっっ!!!!な、何故だ、何故傷が塞がらない!!!?」

「当然。不死を殺したからだ」

「不死を、殺しただとぉぉ!?」

「〈不死殺しの奇跡〉だ。この奇跡を宿した攻撃は自然ならざる回復・復元を一切封じる、つまり能力で無理矢理治す事は出来ないって事だ」

 

これによって齎されるのはフェニックスの不死の力の無効化、傷を治すには時間を掛けて本人の事故治癒能力による完治しか出来なくなってしまう。不死の能力に依存しきっているライザーにとってこれほどまでに恐ろしい物も無い。尚も此方に迫ってくる貴虎にただならぬ危機感を感じるライザーは脅えながら後ずさる。

 

「や、やめろこっちにくるなぁっ!!?お、俺にこれ以上攻撃したらどうなるのか分かっているのか!?この婚約は悪魔の未来の為の物なのだぞ!!?」

「知るか、俺達にそんな事なんて無関係だ。唯お前が俺達、同盟に攻撃を仕掛けてきたからやっているだけだ」

ナツメヤシスカッシュ!!

 

スカッシュを発動させるとナツメロットにナツメヤシ型のエネルギー球が次々と付与されていく。杖先に巨大なナツメヤシが形成されたかのような状態になるとそれを一気にライザーへと投擲する、ライザーの身体を貫きながらも炎上し、エネルギーはそのままライザーを拘束し一切の身動きを封じる。

 

「フゥゥゥッッ……ハッ!!」

 

それを見つめながら身を屈めると一気に跳躍する、途中〈飛翔の奇跡〉でジャンプしたピットが更に上へと押し上げるとライザーの頭上を取った。

 

「行きなさい貴光っ!」

「セイッッッハァァァァアアアッッッ!!!!!!」

 

エレカの雷撃をその身に受けながら雷の全てを足先へと集中させながらもロックシードからエネルギーは更に溢れ出していく。同時に〈引力の奇跡〉が発動し貴光の身体は一気にライザーへと超加速していきエネルギーごとライザーを蹴り砕いた。

 

『『王』であるライザーフェニックス様が戦闘不能に陥った事で、ライザー・フェニックス様の敗北が決定致しました』

「どうするそちらの悪魔さん達、僕達とやる?」

「い、いえ遠慮させて貰います……」

 

この直後貴光たちは転送の光に包まれて消えて行き結果的に最後まで残っていたリアス達が勝者となったが何とも喜べず、ただただ驚きと恐怖に染まっただけだった。ライザーはこの結果に満足出来ずにリアスとの婚約は続いていると豪語したが既に関係が解消されていたうえに自然王との戦争の引き金になりかねない行動をした事で罰を与えられたのであった。


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