ハイスクールD×D オン・ステージ!   作:魔女っ子アルト姫

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悪魔ライザー・フェニックス、悪魔リアス・グレモリー、そして自然軍天空軍冥府軍の同盟軍によるレーティングバトルの開催が決定した事によりリアスは焦っていた。ライザーは勝てば問題ない、ゲームの経験も豊富且つ実力も確かな自分の眷属達と自分が人間などを配下にしている自然王に負ける筈が無いと高を括りながらリアスに10日後迎えに来ると言い残しながら去っていくがそんな言葉は耳に入ってこなかった。

この事を現魔王をしている兄へと報告したリアスは即刻ライザーの行動と言葉が齎した重大性を訴えライザーとの婚約を見直せる事に成功させつつ10日後の戦いに向けて眷属全員で特訓を敢行した。勝とうが負けようがライザーとの婚約は白紙に戻っているので問題は無いがあそこまで言われては黙っている訳は無いか無いという眷属達全員と共に上げた意見だった。

 

「あ、あの先輩貴光と一緒に戦うことを提案してみませんか?」

 

と一誠が特訓を敢行する前に意見してみたがリアスはそれは無駄に終わるだろうと断言した。向こうからしたら失礼な事をし続けた相手がいきなり頭を下げて共闘を持ち掛けてきたというのはかなり心象が悪い上に自分達に味方をするメリット事態が無いに等しいと言ってもいい。なんせライザーと同じ悪魔なのだから。イッセーはそれでも一応願い出てみようと願い出るが

 

『却下、メリットが無い』

 

と即答された。何の容赦のない言葉に一誠が撃沈しそのままリアス主導の元で行われた特訓に参加して行った、そしてあっという間に10日が経過した……。

 

レーティングバトル用に生み出された異空間、その中には丸ごとコピーされた駒王学園がある。リアス達は開始時刻までコピーされた部室内で待機しライザー率いる悪魔達は校舎の屋上で上級悪魔の貫禄を見せ付けるような体勢を取りつつ自然王配下の者達が来るのを今か今かと待ちかねていた。そして校門近くに転移の光が見えると其方へと視線を向けるとライザーは目を見開いた。

 

「あの、メデューサさん」

「なんだ」

「いやあの……髪の毛の蛇を俺の服の内側に入れるの止めて貰えます……?肩の当たりで止まってるのはいいんですけど舌がくすぐったいんですが…」

「害は無い、遠慮するな」

「しますよ……」

 

転移の光の中から現れたのは人間貴光、だがその隣で彼の腕に腕を絡ませながら薄く笑みを浮かべている美女とも言える存在に目を奪われた。美しさ故ではなく恐ろしさ故にだ。全身から発せられる邪気と異常とも言える威圧感、幻惑されるほどの白い肌と絶対零度の闇のように冷たい瞳は一目見るだけで精神がイカレそうなるような気がしてならない。闇の女神と名高き冥界女王メデューサ、何故あの闇の神と言われる存在が人間と共にこの空間にいるのか理解出来ない。そして新たに二つの転移の光がその近くを照らした。

 

「今日も今日とて宙に舞い~♪」

「群がる敵を薙ぎ倒す~♪」

「パルテナ様は~いつも笑顔♪」「ナチュレ様は~いつも笑顔♪」

「「僕/私はおかわり二杯まで♪」」

「「何だその歌……」」

「「なんとなく歌ってみただけ~♪」」

 

仲良く歌を歌いながら登場したのはパルテナ親衛隊隊長ピット、自然軍最強幹部と言われている電光のエレカ。錚錚たる面子がこの異空間に集結している事になっている事に思わずライザーの顔色はどんどん悪くなっている、彼は来るのは自然軍の一部だろうと思っていた。だがしかし現実としてこの異空間に姿を見せている面子は何だ?

 

「今日は神弓なのか、前は射爪だったのに」

「いやぁヘビーガンで来ようと思ったんだけどメンテ中でさ。まあ最初は修理された真・三種の神器で来ようと思ってたんだけどね」

「おい馬鹿やめろ」

「流石にそれはやりすぎだろ。幾らフェニックスでも塵も残らず消滅するな、三種の神器ですら私を倒す力を持っているというのに…真はやりすぎだろ」

「それで如何しようかってなったけど私もいるから神弓にしちゃおうって事になったのよ」

 

冥界女王、光の女神の親衛隊長、自然軍の最強幹部。本来敵対している筈同士の敵が一人の人間の味方をするように集結しているこの異様な空間にライザーは混乱し始める。

 

「あっそうだ貴光君これパルテナ様から、新しいロックシードだよ。パルテナ様が直々に奇跡と奇跡の力で育てた特注品!」

「おっありがとう。これで冥府と天界のロックシードが揃ったって訳だ」

「んでそれってなんのロックシードなの?」

「気になるな、貴光早速やってみろ」

「う~っす」

 

ベルトを装着すると早速ロックシードの錠前を外してみる。

 

ナツメヤシ!!

「あっナツメヤシなんだ。でもなんでナツメヤシ?」

「さあ?わたしにはさっぱり、貴光かメデューサ分かる?」

「俺は全然」

「ナツメヤシか……恐らくギルガメッシュ叙事詩に関するのだろうな。ギルガメッシュ叙事詩には生命の樹が度々出てくるがそのモデルとなっているのがナツメヤシと言われている」

 

思わぬ繋がりに思わず3人は感嘆の声を漏らしながらメデューサの博識さに素直に関心の意を示した。それに気を良くしたのかメデューサの表情は僅かに綻んでいる。

 

「……あの頼むからメデューサさん俺の魂を束縛する術式掛けようとしないでくれる?ナチュレ様から貰ったお守りが超反応してる……」

「ちっ。あののじゃロリ余計な事を……私に依存させ私がいなければ生きていけないようにしようとしたのに……」

「こわっ!?流石にそれはアウトでしょ!?」

「うーん流石貴光ね、冥界の女神に此処まで気に入られるなんて……」

「お前ら……まあいいや、兎に角変身してみるか……」

 

ベルトにロックシードをセットするとミントロックシードと同じように身体に力が流れ込んでくる感覚が露わになる。天界の輝きと暖かさに満ちた慈愛の力、冥府の物とは違った意味で強い力を感じる。

 

『ロック・オン!』

「変身!!」

ナツメヤシアームズ!! Miracle of Judgment!!

 

天から舞い降りてくる天使のように貴光へと降りてきたナツメヤシのアームズは展開して行き鎧となっていくが明るく照らす光のように輝く鎧とその手に握られている長杖(ナツメロット)は相手を裁く為にあるような雰囲気を発散させている。

 

「裁きの奇跡、ね……パルテナ様らしいや」

「まあピットも飛翔の奇跡頼りだしね」

「確かにな」

「ううぅ皆酷い……」

「杖か……使いやすそうだな」

 

そのような事がありながらも遂に訪れたゲームの開始時刻、悪魔達が目撃するのは……一体何なのか。




ナツメヤシロックシード

光の女神パルテナが作り上げたロックシード。成長には奇跡と奇跡の光を使用している為パルテナが実現可能な奇跡の力が宿っているロックシード中トップクラスに謎めいた物となっている。使用する者に超常的な奇跡の力を齎すと思われる。
ナツメヤシはギルガメッシュ叙事詩における生命の木の元となっているという記述を発見したので採用された。

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