竿魂   作:カイバーマン。

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またまた春風駘蕩さんがイラストを提供してくれました。
未だ出番は無いけど、こんな形でユニット組ませたら面白そうですね、若干二名どちらが上なのか競い合って殴り合いおっ始めそうですが……w

【挿絵表示】



そして春風駘蕩を始め、色んな方に支援絵を頂いた影響もあって、私も思い切ってペンタブを購入し自分でも描いてみる事にしました。

【挿絵表示】


あ、はいもちろん絵心なんて持ってません……絵なんて描いたの遠い昔の事ですしまだまだ全然です。とにかく勉強してまともに描けるよう頑張ります

勉強の成果はツイッターで時々描いた作品を上げておくので、たまに覗いて生暖かい目で見てください。


第九十二層 猪魂

銀時達がいる深き森は神器クエストが終わってもなお多くのモンスター達が生息していた。

 

森というフィールドあって虫系や植物系が多数を占め、女性プレイヤーにとっては中々の難所となっている。

 

しかし二十一層は既に攻略済みの銀時にとってはこの辺のモンスターは全く相手にならなかった。

 

「おらおらぁ! テメェ等みたいな雑魚お呼びじゃねぇんだよ!!」

 

彼が振り回すは神器・金木犀の刀、木製とは思えない鋭き刃はあっという間に群がるモンスター達を蹂躙していく。

 

休む事無く繰り出される銀時の剣技は、勢いが衰えるどころかより鋭く、より精密に動きが活性化されていた。

 

だが彼の快進撃もここまでである、ダンジョンとは時に

 

油断していると寝首を掻いてくる恐ろしい怪物もまた潜んでいるのがお約束なのだから

 

「よぉし、このまま進めば一気に最深部に……ってうお!!」

 

粗方襲い掛かる敵を撃破して一息突こうとした銀時の前に突如、周りの木を踏み潰す程の巨大なモンスターが降り立った。

 

見た目は巨大樹のようだが禍々しい黒色に光り輝き

 

体の真ん中には数十本の獰猛そうな牙が生えた、粘液を垂らす大きく開いた口

 

枝と思われし部分はウネウネと触手のように気持ち悪く動かし

 

巨体を支える根にも見える足の部分には動物の蹄の様なモノが付いていた。

 

「チッ、もしかしてコイツ……例のユニークモンスターって奴か? しっかし今まであったモンスターよりもダントツで気持ち悪い見た目してやがるな……」

 

名称はわからないがこのおどろおどろしいデザインには銀時でさえ不快に感じるほどであった。

 

そのモンスターが起こすツンと来る悪臭に顔をしかめながら舌打ちすると、「しゃあねぇな」と得物を構えたまま呟き

 

「コイツの相手は俺一人じゃ骨が折れそうだ……おい、出番だぞコラ」

 

このモンスターは相当手強いと、それなりの修羅場を潜り抜けた実績を持つ銀時はすぐに察した。いくら神器を持ってるとはいえ、一人で相手にするには分が悪すぎると

 

無駄に時間を費やするのも得策ではない、そう思った彼はすぐに背後で待機している仲間の一人に声を掛ける。

 

「チームプレイで一気に仕留めるぞ、それとも自慢の”二刀流”を使ってお前一人で倒してみるか?」

 

「……」

 

彼の言葉に返事せず、背中に差した二本の得物を取り出し一呼吸終えて敵と対峙する銀時のパートナー。

 

そして次の瞬間……

 

 

 

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉ滾るぜ滾るぜぇ! 久々の美味そうな獲物だぁ!!」

 

”酷く刃こぼれした二本の刀”を振り上げ、頭に被っている”猪の頭皮”の下から楽しむかのように”彼”は咆哮を上げた。

 

「鬼だろうが化け物だろうが関係ねぇぇぇぇ!! どこであろうと俺様が強ぇ事に変わりねぇんだ! 俺様にたてつく野郎は全員ぶっ倒してやらぁ!!!」

 

「行けぇ!  嘴平伊之助(はしびらいのすけ)!! テメェの力を見せてやれ!!」

 

「だひゃひゃひゃひゃ!!! 言われるまでもねぇ!! こんなの俺一人で十分だぁ!!」

 

被り物の中から寄生を上げるともう彼は止まらない。

 

突如現れた不気味なモンスター目掛け

 

銀時の頼もしき相棒、嘴平伊之助が二本の刀を振り上げ真っ向から突っ込むのであった

 

「猪突猛進!! 猪突猛進んんんんんん!!!!」

 

 

 

 

 

 

「猪突猛進じゃねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

「おっぐ!!」

 

しかしそこへ横槍が突然入って来た。

 

突っ込む伊之助に対し、彼の後頭部目掛けていつの間にかいたキリトがドロップキックをかまし

 

哀れ伊之助はズザァーと地面を滑って吹っ飛んでしまう。

 

「なんなんだコイツ! 一体どこから湧いて出てきたぁ!」

 

「おいおいキリト君いい加減にしてくれる? ルイージの時といいそうやって一々コラボ相手にいちゃもん付けて喧嘩売ると読者に反感買われるよ? 嫌われちゃうよ? 富岡義勇みたいに嫌われちゃうよ?」

 

「いい加減にしろ! 二度も余所様の所からキャラ拝借しやがって!!」

 

せっかく伊之助が暴れようとしてたのにいきなり邪魔しに現れた彼に対し、銀時は冷めた表情を浮かべボソリと忠告するがキリトからすれば「どの口が言うか」であった。

 

「アンタ本当になんなんだよ! 今更テコ入れなんてもう遅いって言ったよね俺!?」

 

「あ? 別にテコなんて入れてねぇし、なんか最近「鬼滅の刃」が女子から受けてるって聞いたからクロスオーバーしようと思っただけだし、新旧女受けの良い作品「銀魂」と「鬼滅の刃」がコラボすれば女性読者増えんじゃね?と狙ってみただけだし」

 

「思いきり下心丸出しの最低のテコ入れてんじゃねぇか!! だからアンタとクロスしてるのはこっちだから!! マリオでも鬼滅の刃でもなくSAOだから!」

 

どうやら銀時には銀時なりの狙いがあっての行動だったらしい、しかしそれはキリトからすれば自分達と手を切って別の所に鞍替えするようモノなので裏切られた気持ちだ。

 

そしてキリトが声を荒げて彼を怒鳴りつけていると、先程彼に吹っ飛ばされ大の字で倒れていた伊之助がムクリと起き上がった。

 

「おいテメェなにしやがる!! 俺様に喧嘩売るって事はやる気かああ!?」

 

「ややこしくなるから黙ってろイノシシ頭!! お前の所の原作、ラスボス倒して忙しいんだろ! なにこんな所で遊んでんだ!!」

 

「俺様に指図すんじゃねぇ!! ていうかなに背中に刀二本指してんだ! 俺様の真似かパクり野郎!!」

 

「誰がパクリだコラ! 今時二刀流のキャラなんて掃いて捨てる程いるわ!! それにお前より俺の方がずっと先に世に出てるんだよ!!」

 

キリトに蹴られてもピンピンしてる様子で復活した伊之助は見せびらかすように刀を二本振り上げると即座に彼に対して戦闘態勢。

 

眼前に巨大モンスターがいるというのに自分に喧嘩売ってくる彼に対し、キリトもまたパクリ呼ばわりされた事にキレて叫んでいると……

 

「行けぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!! ルイージィィィィィィィィ!!!!!」

 

「レッティゴォォォォォォォォォォ!!!」

 

「ってまだいたんかい緑のヒゲオヤジィィィィィィィィィ!!!!」

 

伊之助に代わり銀時が戦力投入したのは

 

まさかの一発ネタ要因だと思われていた異世界の助っ人ルイージ

 

奇怪な化け物に対し怯えながらかつヤケクソ気味にビヨ~ンとSEを鳴らして高くジャンプする彼にキリトは振り返って驚きの声

 

すると偉大なゲームから生まれた産物の勇猛果敢な戦いを見て伊之助もハッと気付き

 

「なんてこった! 先陣をあんな弱そうなヒゲオヤジに取られるとは!! うおぉぉぉ!! 俺様も負けてらんねぇ!!!」

 

「止めろぉ! お前までしゃしゃり出て来るなぁ! 頼むから原作に帰ってくれぇ!!」

 

ルイージに後れを取った事に悔しそうに叫ぶと、伊之助もまたキリトの制止も聞かずにお構いなしにモンスターへと突っ込んでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数分後、不気味な巨大モンスターは呆気なく銀時達の前に崩れ去った。

 

銀時の頼れる仲間、ルイージ&嘴平伊之助の活躍によって

 

「よーしよくやったなテメェ等、けどテメェ等が勝てたのは俺の冴えわたる指揮があった事だと忘れんじゃねぇぞ」

 

「オ~ノ~」

 

「ああ!? お前ずっと俺様たちの後ろで隠れてただけじゃねぇか! ぶった斬るぞ毛虫頭!」

 

灰となって消滅していくモンスターを確認し終えた後、ようやく草葉の陰から戻って来た銀時にルイージが首を傾げ、伊之助がプンスカと怒って抗議している中

 

キリトだけはやや離れた場所から彼等三人をジト目で眺めている。

 

「おいおい遂に余所の所から二人もスカウトしやがったよ……どうすんだよコレ、こっからどう収拾つければいいのコレ?」

 

「はぁ? なに一人でブツブツ呟いてんだよキリト君、俺の頼れる仲間達になんか文句でもあるんですか?」

 

「いやそいつ等に文句は無いから、俺が文句あるのはアンタだけだから、マジいい加減にしろよアンタ」

 

なりふり構わず余所の作品からキャラを引き抜くという暴君っぷりに、流石にキリトもこればっかりはいい加減にしろと真面目に抗議

 

だが銀時は案の定というべきか、そんな事知ったこっちゃないといった感じで悪びれもせずに

 

「オメェになに言われようが俺は真面目にこの作品を思ってやってるだけだから、見ろ俺が選んだこの精鋭達を、ゲームで天下取ったマリオシリーズ、ジャンプで一躍スターに成り上がった鬼滅の刃、凄くね? これもう最高のクロスオーバーじゃね?」

 

「他人のふんどし何枚履くつもりだアンタ……クロスどころかトリプルだし」

 

「後はそうだな、読者層を考えてラノベで天下取った作品からでも引き抜けばこの作品は盤石の体制だ、なんかスライムとか骸骨とか流行ってんだろ最近? 適当にかっぱらおうぜ」

 

「それはもう既に間に合ってるだろ! 俺がいるだろ”俺”が!!」

 

この期に及んでまだ何処からキャラクターを強奪しようと計画する銀時に、キリトは自分を指さしてツッコミを入れながら話を続ける。

 

「だからもうそういうのいいんだって! 真面目にやれ真面目に! 俺達は今、キバオウに頼まれて森の中にいるとかいう謎のNPCを探してる途中! 事件解決のカギを握るのはその女の子のNPCらしいから俺達は一刻も早く見つけなきゃいけない! OK!?」

 

「へいへい、おーけーおーけー」

 

早口でここに来た経緯をスラスラと説明するキリトに銀時は気のない返事をした後、めんどくさそうに頭を掻きながらふわぁと欠伸をし

 

「ったく仕方ねぇな、ならこっからは真面目モードで仕事してやるよ。銀さんはふざけてばかりじゃない、たまにはシリアスだって出来るって所を読者の連中に見せてやるよ」

 

「いや読者とか関係なく普段から真面目にやって欲しいんだが……」

 

「要はその小娘のNPCをこのバカでかい森の中から探して捕まえれば良いって事だろ? だったら手っ取り早く奥の手を使っちまおうぜ」

 

「は? 奥の手?」

 

ようやく真面目に探す気になった様子の銀時、に見えるが奥の手は一体なんであろう……

 

キリトが顔をしかめて若干嫌な予感を覚えていると、銀時は軽くパチンと指を鳴らして

 

「よし、やれ伊之助」

 

「獣の呼吸……! 漆ノ型 空間識覚……!!」

 

「結局奥の手も他人任せじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

自分が何をするわけでもなく、再び余所から奪ってきたキャラを使いこなす銀時であった。

 

彼が指示するまでもなく既に伊之助は二本の刀を地面に突き刺し、両手を広げてしゃがみ込んで技を発動している。

 

獣の呼吸 漆ノ型 空間識覚

 

伊之助が持つ優れた触覚を更に研ぎ澄まさせ

 

大気の微細振動を捉える事で、幻惑の術の類を無視して広範囲の索敵を行う事が出来る技である

 

なお、この技の際は集中のため刀を手放すので、一時的に無防備となる。

 

「おいなんで普通に獣の呼吸の技の解説してんだよ! どんだけしゃしゃり出て来るんだよ!!」

 

「あのさぁキリト君ちょっと黙っててくんない? 今伊之助が集中して探してる所なのわかんない? 彼、真面目に仕事してるんだから邪魔しないでくれる?」

 

「うるせぇ! そもそも索敵スキルなら俺だって持ってるよ! わざわざこのイノシシ頭に出番割くなよ!」

 

「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 静かにしろパクり野郎、集中出来ねぇだろうが! いい加減にしねぇとぶっ飛ばすぞ!」

 

「やってみろよイボイノシシ!! ていうかさっきからお前、微妙に”俺と声が似てて”イライラしてたんだよ! ここでどっちが上か証明しても構わねぇんだぞ!!」

 

森の中でギャーギャーと互いに感情をぶつけ合う新生銀時パーティー。

 

そしてそんな彼等が騒ぐ一方で、そこから少し離れた場所ではというと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

視界もロクに見えない更に暗い森の中で

 

白いワンピースを着たとても小さな少女が裸足で立っていた。

 

「……やっぱり、何度抜けようとしても全部塞がれてます……」

 

その姿はどこかぼんやりと薄く見え、まるで森を彷徨う幽霊の様であった。

 

しかし少女はまるで本物のプレイヤーの様にしっかりとした意思を持ってるかのように

 

酷く困った様子で独り言を呟き、その表情にはどこか焦りの色までもが見えている。

 

「もう時間がありません、早くここから出ないと……”あの人”がこの世界を壊す前に……!」

 

彼女が手の平をかざすと、そこにはプレイヤーと同じくメインメニューが開かれる。

 

この行為を数えきれない程やってるかのように手早い動作でいくつもの画面を開いて複雑に両手の指を動かして何やら作業を行っているみたいだ。

 

「やっぱり権限を持たない私にはこのプロテクトを解除出来ない……! ああ、”あの子”がいればこんな事には……!」

 

しかしすぐに彼女の前にある多くの画面は次々と真っ赤に染まって、警告音と共に消滅してしまった。

 

それが一体どういう事なのかわからないが、ただ一つ言えることは……

 

「誰か助けを呼ばないと、じゃないと私一人の力じゃ……」

 

 

 

 

 

 

「この世界を救えない……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「世界を救うのは俺様だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「ってうひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

少女が作ったしんみりとしたムードをぶち壊し、林の中から物凄い勢いでイノシシ頭の男が両手に刀を構え飛び出してきた。

 

突然の出来事に少女は悲鳴を上げて驚き、その場に尻もちを着いて固まってしまう。

 

「え? あ、あれ……!? あなたはモンスター? プレイヤー? どっちなんですか……?」

 

「俺様は鬼滅隊だ!」

 

「なんですかそれ!? この世界でそんな名前のギルドも組織も存在しない筈ですよ!?」

 

「おいおい勝手につっ走るなよ伊之助君」

 

いきなり現れた珍獣の意味不明な言動に、少女は驚きつつもツッコんでいると、続いて別の男、銀時がガサゴソと現れる。

 

「こちとら野生の勘で動けるお前と違ってロクに前も見えな……あ」

 

「あ!」

 

銀時がけだるそうに現れるとその瞬間、尻もち突いている少女とはっきりと目が合った。

 

「あ、あなたは以前ここで”あの子”と一緒にいた……!」

 

しばしの沈黙が流れた後、呆気に取られていた少女がハッとして先に彼に向かって話しかけようとする、しかし銀時は彼女の姿を見てみるみる表情を真っ青にさせ……

 

「出たぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! スタンドだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「スタンド!?」

 

「もしかして事件解決のカギを握ってる小娘ってこのスタンドの事だったの!? やべぇよ! カギ握ってるどころかコイツが事件の主犯に違いないよ! だってスタンドだもの! スタンドなら乗っ取りなり怪奇現象なりなんでもありだもん!!」

 

「ええ!? す、すみませんさっきから一人でなにを……と、とにかく私の話を聞いて……!」

 

「く、来るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

冷静さを失い半狂乱の様子で一人で勝手に話を進め始める銀時に、少女は立ち上がって恐る恐る話し掛けながら接近を試みる。

 

しかしそれは失敗だった、幽霊、もといスタンドに対して強く恐怖を抱いている銀時は近付いて来る彼女に怯えながら叫ぶと……

 

「やれぇぇぇぇぇぇぇルイージィィィィィィィィィ!!!!」

 

「ヒャアウィゴォォォォォォォ!!!!」

 

「え、誰その緑の帽子を被ったおじさ……きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

顔中汗びっしょりの銀時の助けを呼ぶ声に応えて

 

あの超有名なマリオブラザーズ、の弟のルイージが現れ、幽霊を吸い込む掃除機、オバキュームのスイッチを間髪入れずに入れた。

 

すると次の瞬間少女が反応する間もなく、オバキュームの物凄い吸引力が彼女に襲いかかるのであった。

 

「吸えぇ!!! 跡形もなく全部吸えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

「レッティゴォォォォォォォォォォ!!!!」

 

「ま、待って! 私の話を聞いて下さ……!」

 

話を聞いてくれと悲痛な訴えも空しく、彼女は抵抗さえ出来ずにオバキュームによって徐々に吸い込まれていき、そして……

 

「ちょ! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

最期の悲鳴を上げたと同時に

 

キュポンと短い音が鳴ると既にそこに彼女の姿はどこにも無かった。

 

ルイージのオバキュームが見事、銀時に恐怖を覚えさせた元凶である幽霊少女を吸い込んで封印したのである。

 

そして辺りが何事も無かったかのようにしんと静まり返ると

 

「元凶は始末した、これで俺達の長い冒険はしめぇだ……」

 

銀時は安堵した様子でフゥーと息を吐き、汗でてかった額を袖で拭き、全てが終わったのだと悟った様子で空に向かって微笑み

 

 

 

 

「マリオ、炭次郎、キリト君……終わったよ」

 

「終わってねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

「いぎぃ!!」

 

勝手に物語の締めに入ろうとする銀時に向かって

 

遅れてやって来たキリトが今日一日三度目のドロップキックを彼の後頭部におみまいするのであった。

 

彼等のお話はまだ終わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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