「ハァハァ……! ご無事で何よりです……ですが異世界と言えどあまりはしゃぎ過ぎるのはよして下さい……そして服を着て下さい……」
「うむ、あいすまなかった」
将軍とはぐれてから数十分後、ようやくアスナは第一層の平原地区で彼と合流する事が出来た。
別れた時から変わらずブリーフ一丁の姿で腕を組みながら頷く茂茂に早く服を着てくれと申し上げつつ、アスナはチラリと彼の横にいる人物にジト目を向けた。
「……まさかあなたに助けられるとはね……非常に屈辱的だし血の涙を流しかねない程悔しいけど、とりあえずお礼だけは言っておくわ」
「はいはいどういたしまして、しかしまさかこのブリーフマンがアンタの所の連れだったとはな」
「次その方をふざけたあだ名で呼んだら問答無用で斬るわよ……」
歯がゆそうに睨みつけながらも、渋々といった感じでアスナが頭を下げた先にいた相手はキリトであった。
実はちょっと前に茂茂と合流した時、なぜか一緒にいた彼とも顔を合わせたので、いつも通りアスナはキリトに斬りかかろうとしたのだがそこに茂茂が止めに入り、彼に助けられた経緯を聞いたのである。
「この方を助けてくれたのは本当に感謝してはいるけど、この方に対する口の利き方には注意しておくことね、言っておくけどこのお方は高貴な生まれの強い権力を持った偉大な人物なの」
「何故にそんな高貴なお方がブリーフしか装備していないのか凄く気になるんだが?」
「もしいつものふざけた態度を取るのであれば、即その首が川岸に晒される事を覚悟しておきなさい」
「いやそんなとんでもない権力を持った偉大な人物を、パンイチのまま野放しにしてしまっていたお前の方が先に首飛ばされそうなんだが?」
アスナの注意を受けてもキリトはイマイチ納得していない、というかどう見ても変態にしか見えないこの男が高貴な身分の人間だとはとても思えない様子で不審そうに眺めていると、茂茂は相変わらずブリーフ一丁のままこちらに澄んだ瞳を向ける。
「おぬし達、先程から親しく話しているみたいだが、もしや知り合いであったか」
「な! 親しくありませんこんな男と! 敵です敵! 以前から私の行く所に現れては陰湿な嫌がらせをし続けて来るストーカーなんです!」
「人の悪行を勝手にねつ造するな、アンタなんかのストーカーするなら神器の素材にストーカーするわ。俺はただここにいるワン公からレアドロップを取りに来ただけだ、正直アンタなんかとは一秒たりとも顔を合わせたくない」
「私だって同じよ! これ以上面倒事が増える前にさっさと消えなさい! いや消えて下さい頼むから! これ以上面倒事増やさないでお願いします!」
茂茂の言葉にすぐさま反応してアスナはすぐにムキになり、これ以上コイツといたら将軍に変な誤解をされると思い、キリトの体をグイグイと押してあっち行けと怒鳴りつける。
しかし彼女の行動に茂茂は静かに「よい」と短く呟き
「詳しくは知らんがその者は余を救ってくれた恩人だという事は確固たる事実である、ならば余からの頼みとして、今日ばかりは敵と味方という立場を忘れ、皆仲良くこの世界を楽しもうではないか」
「そんな! いくらなんでもそれは承諾いたしかねます! この男は常に周りに厄災を振り撒く悪魔です! 他人に嫌がらせをして愉悦に浸る魔王なんです!」
「なぁ、一体俺はアンタの中でどんだけはた迷惑な存在になってんだ? 言っておくが俺なんかまだマシな方だぞ、ウチの銀髪天然パーマの方がよっぽど大魔王と評されるぐらい外道なんだからな」
いくら将軍の頼みであろうとこの男と仲良くする事なんて死んでもごめんだと主張するアスナに、キリトはめんどくさそうに髪を掻き毟りながら茂茂の方へ振り返り
「ていうか本当に誰なんだよこの男、いいから説明してくれよ、主にどうして頑なにブリーフ以外のモノを見に付けないのかという所を重心的に説明が欲しいんだけど」
「その点については私も知りたいぐらいよ……というかあなた、念のために聞くけどテレビとか観ない方?」
「全く観ないな、精々家主がいつも見ている天気予報ぐらいだ」
「なるほどね、それならこの方の御顔を見てもピンと来ない筈だわ……」
将軍と言えど茂茂は滅多に表に顔を出す機会は早々滅多に無い。
極まれにテレビで少しだけ映る機会があるのだが、テレビ自体全く観ないキリトからすれば今ここにいる将軍の顔を見てもすぐにはわからないのであろう。まあこの国で使われている紙幣に描かれている彼の御尊顔を見ればすぐにわかってしまうと思うが……
「あまり表沙汰にしたくはないんだけど……この方を助けてくれた恩はあるし一応話しておいてあげるわ、けど絶対に他言無用よ、もし周りにバレたらこの世界がパニックになる危険だってあるんだから」
「いいからもったいぶらずにさっさと教えてくれ、一体誰なんだこのブリーフマンは」
「……将軍様」
「あぁなんだ将軍様か、なんだよ散々引っ張った割には全然大した……え、将軍様?」
こちらに顔を近づけて耳元で小声で呟くアスナに、キリトはヘラヘラと笑い飛ばそうとするがすぐにピタッと表情が固まる。
「……将軍様ってもしかして……江戸城のてっぺんにいるあの将軍様?」
「徳川家14代目の征夷大将軍・徳川茂茂様よ」
「……そういえばアンタ、前にリアルで会った時に将軍様と知り合いとか言ってたっけ?」
「今回はその縁がキッカケで私がこの世界の案内役をやっているのよ」
「あーなるほど、へぇ~……」
目の前にいるこの御方こそが天下の将軍・徳川茂茂公……
しばし頭の中で冷静にそれを理解しようとフル回転させながら、キリトは黙って頷いて……
「でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!? 将軍!? このほとんど素っ裸で平原に仁王立ちしているこの男が将軍!?」
「うむ、余は将軍である、将軍だから将ちゃんと呼んでくれ」
「いやいや嘘だろ! こんな人前で裸を堂々と晒す様な変態が! 俺達庶民の上に立つ存在だなんて絶対に考えられない!」
「ちょ! 将軍様の御前でなんて失礼な口利いてんのよあなた! いい加減にしないと本当に首飛ばされるわよ!」
冷静に理解しようにもやはり混乱と疑惑の方が勝ってしまい、キリトはブンブンと激しく首を横に振りながら、目の前の男が将軍・茂茂などと到底思えずにアスナに向かって真っ向から否定し始めた。
「アンタもしかして俺をからかう目的でこんなの連れて来たのか!? こんな恥知らずなちょんまげ野郎を俺が将軍だと信じ込ませる為にわざわざ用意したんだろ! 騙されねぇぞ俺は!」
「そんなまどろっこしい手をあなた程度に使うわけないでしょ! この御方こそ正真正銘私達の国のトップ! 唯一無二の徳川茂茂様よ!」
「唯一無二のブリーフ愛好家の間違いだろ……そもそも将軍様が白ブリーフなんて穿く訳ないだろ、あんなもっさりブリーフ穿く訳ないだろ」
「将軍家は代々もっさりブリーフ派だ」
「なんだよ代々もっさりブリーフ派って……天下統一を成したあの徳川一族が揃ってもっさりブリーフ穿いてますとかそんな事実、悪夢でしかねぇよ」
目の前の相手が将軍などと到底信じられない様子で、ズバズバと失礼な事をぶつけまくるキリト。
これにはアスナも流石に血の気が引き、なんとかして彼を黙らせようとすぐに茂茂からグイッと引き離した。
「あの、言っておくけどコレマジの事だから……マジで将軍様だからあの方……頼むからホント止めて、私も頭下げるから、全力で土に頭こすりつけるからとにかく死ぬ気で謝りなさい……」
「なんだいきなり、なんか急にマジなトーンになってどうした……え? もしかして本当に将軍様? アレが? あの公然猥褻陳列罪を現在進行形で行っているパンツマンが?」
「いやだから下着関連の事にツッコまないで上げて、ちゃんと理由があるのよ……ブリーフしか穿いてない事にはちゃんとした理由があるのよ……」
「いやそこツッコまないと逆に可哀想だろ、どう見てもアレはツッコミ待ち側だろ、もう全力で見てくれと言わんばかりだろ」
とりあえず彼の格好に関しては詳しく追及するなと、厳しく忠告しながらここは一旦茂茂に土下座して謝ろうと聞かせるアスナ。
いくら敵対関係とはいえ、こんな形でキリトを亡き者にしてしまうのは流石に悪いと思ったのだろう。
だがアスナの思惑など関係なく、キリトはさっきからこっちを腕を組み、黙って様子を見ている茂茂にチラチラと振り返りながらしかめっ面を浮かべ
「大体冷静に考えて見ろよ、将軍と言えばこの国にとって何よりも大事な存在で、いわば国の主柱として君臨する忙しい御方なんだぞ? なんでそんなお人がEDOにフルダイブして、パンツ一丁のまま堂々と駆け回っているんだよ、おかしいだろ絶対」
「将軍様は確かに多忙な身だけれど少しの間でもいいから息抜きしたかったのよ……! その息抜きの場としてこの世界に遊びに来られたの、例えブリーフ一丁でも心は立派な将軍、誰からも憧れる存在であり続ける将軍様なのよ本当に……!」
「あんなの誰からも憧れねぇよ、露出狂からは憧れるかもしれないけどな、服だけでなく恥もプライドさえ脱ぎ去りし真の露出狂、完全究極変態・グレートモッサリとして後世に語り継がれるだろうさ」
「変なモンを語り継がせないで……! 確かに今はちょっと人としてどうかと思う点はあるし、ぶっちゃけ一緒に行動する事さえ私自身恥ずかしくて仕方ないけど……! 現実世界では本当に立派な志を持つ聡明な御方で……ってあれ?」
悪ノリしてきたキリトについ自分もうっかり本音をアスナがポロッとこぼしてしまっていると、ふと茂茂の方へ目を向けると、ずっと無表情だった彼の目下に光るモノが……
「なあ血盟騎士団の副団長さん、あれってもしかして……」
彼女と同じくキリトも茂茂の方へ目を細めて何かに気付いた。
黙り込む将軍の目がすこしウルウルと揺れ始めている事に
「泣いてね?」
「しょしょしょ! 将軍様ァァァァァァァァァ!!!」
「俺の見解が確かだと、アンタが「一緒にいる事さえ恥ずかしい」って告白した所でちょっと涙ぐんでだと思うんだが、アレ泣かしたのアンタじゃない?」
「え、私のせい!? ちょ、ちょっと待ちなさいよ! そもそも私よりもあなたの方が将軍様に散々無礼な態度取ってたじゃない! 絶対あなたの言葉に傷付いたんだわ! そうに違いない! という事であなた一人で責任取って切腹しなさい!」
「なんでそうなるんだよ! 人に罪を擦り付けるなんてそれが正義の味方のやる事か! あのおっさん泣かしたのは間違いなくアンタだから! アンタの言葉に傷付いたんだよどう見ても!」
「だから違うわよ! 将軍様泣かせたのは絶対あなたのせい!」
「いや絶対アンタのせいだから! 俺は悪くねぇ!」
先程からずっと自分に関してキリトとアスナがヒソヒソと言い合っている事を黙って見ていた茂茂だったが
溜まりに溜まった悲しみが遂にポロリと目から溢れてしまったみたいだ。
天下の将軍・徳川茂茂公が一人傷付き寂しく泣いてる中
二人の若き剣士はそんな彼を放置して誰が悪いのかと醜く争い続けるのであった。
そしてその頃、ほんの少し離れた場所で
とある男もまた茂茂の様に涙を流していた。
「む、無理でござるよぉぉぉぉぉぉ!! 僕にあんな怖いモンスターなんて倒せっこない!」
「甘ったれんなぁ! 私がやれって言ってんだからやるんだよトッシー!!」
「嫌だぁぁぁぁぁ!! だって怖いんだも~~~ん!!!」
トッシーと呼ばれた男は見る限り、ちょっと前に茂茂が身を張って呈して助けてあげたオタク風の格好をした人物であった。
そしてその場にうずくまって怯えた様子で泣き叫ぶ彼の尻を蹴りつけながら怒鳴っているのは
彼よりもずっと小柄で、軍用ヘルメット被った金髪の女の子であった。
「こんのバカチンが! そうやってビービー泣いてちゃ何時まで経っても一人前になれないよ! はい、という事でもう一回ソロでトガーシ×ハンターやっつけに行こうか」
「絶対無理でござる! 一層とはいえあのモンスターは五十層突破した猛者でもソロはキツいと言われてる猛獣!! 僕なんかじゃただ食われるだけに決まってるじゃないかフカ氏! 一人前になるとか僕はそんな事どうでもいい!」
「トッシーがどうでも良くても、”もう一人”のトッシーさんはそれを絶対に許さないんだよねぇ」
こちらにケツだけを向けたまま反論するトッシーに、彼にフカ氏と呼ばれた少女・”フカ次郎”は眉間にしわを寄せて首を傾げていると、そこへ彼女と同じぐらいの小柄な全身ピンクの衣装に身を包んだ少女が歩み寄って来た。
「どうなのフカ、と言ってももう見た感じダメダメなのはわかってるんだけど」
「いやーホントにダメダメですなー、とことんヘタレだわトッシー、たかがトガーシ×ハンター一匹にビクついちゃってからに」
「いやトガーシ×ハンターが相手なら私等でもキツいし絶対無理だって……」
フカ次郎のスパルタ教育法に少女がジト目で異を唱えていると、彼女がいる事に気付いたトッシーは急いで彼女の方へと這いずるように駆け寄っていく。
「助けてレン氏ィ!! フカ氏が僕をまたイジメるんだ! 僕はただこの世界で二次元を愛する同志を探したいだけなのに!」
「あーそう大層な夢だねー、でもそう言われても私達はあなたにかかってる”呪い”を解かないと、”もう一人のあなた”に私達がやってる不正行為をバラすって脅されてるからさ、いい加減さっさと自立して欲しいなー……」
レン氏こと”レン”は苦い表情を浮かべながら足元にすがるトッシーに疲れたようにため息をついた。
思えば彼とは随分長い間こうして共に行動しているが、一向に成長しない事にいい加減うんざりして来ている。
しかも……
「あ、そういえばレン氏、ちなみに今期のアニメでの僕のイチオシはズバリ「けものフレンズ2」、レン氏にも是非チェックして欲しいなと思って、製作側が変わってしまったのは非常に残念ではあるが、前回の勢いに乗って上手くやっていければ、きっと覇権獲得間違いなし故」
「うわ、また勝手に自分の世界に入って唐突に変な話しだすんだから……けもの……? 何それ、フカ知ってる?」
「あぁ、なんかあったねそんなアニメ、けものになったロボットが敵味方に別れて惑星で戦うっていう奴でしょ、敵側の恐竜のリーダーが好きだったわー、あれ? ドラゴンだっけ?」
「いや多分それじゃないと思うんだけど……」
またいつもの、唐突にアニメトークをし始めるトッシーのノリには、アニメ物にてんで疎いレンは全くついて行けない様子、フカ次郎に至っては別のアニメ作品を思い出して懐かしむ始末だ。
「アニメとかどうでもいいからさっさと呪いを解く事に集中しようよ、はぁ~……私はただこの世界をちっちゃくて可愛くなった姿で遊び回りたいだけなのに、なのにどうしてこんな事を……」
「まあまあ良いじゃないの、こっちで発散してもらえればリアルでの支障も減るみたいだし、このまま気長にじっくりこのヘタレオタクを教育してやりましょうや」
「そうは言ってもこれからどうすんの? またトガーシ×ハンターに単騎突撃させんの? もしくはピトさんに預けちゃう?」
「いやーあのドSなお姉様にトッシー渡したら、それこそ一生モンのトラウマ抱えるだけで終わっちゃうだろうね」
レンの無茶な提案にフカ次郎はヘラヘラと笑いながら「それはそれで見てみたいけどさ」と呟きつつ、ふとあるアイディアがピンと浮かんだ。
「あ、そうだ、ならここはいっちょ”アレ”やっちゃいますか兄貴? ほれ、元の人格がいつも現実でやってる」
こちらに人差し指を立てて、フカ次郎は面白いこと考えたと一つ提案する。
「人間同士での戦いって奴を思い出させるのはどうでしょうかねぇ」
「それってもしかしてトッシーに対人戦、つまりPVPさせるって事? いやいや絶対無理でしょ、そりゃ元の人格は正直私もカッコいいしちょっと憧れるぐらい強い侍だってのはわかってるけど、このトッシーにそれが出来るとは……」
「あーPVPでは無いんだよねー、私が言いたいのはつまり……両者合意の上で行う試合形式の決闘じゃなくてさ、こちらから突然喧嘩を売ってそのまま相手を殺しにいっちゃうパターンの方」
「まさかそれって……」
フカ次郎の提案にレンはすぐに察して眉をひそめた。それは確か初心者が集まるこの第一層では禁止されているあの……
「元人格のトッシーはガチの殺し合いをやり続けているんでしょ? だったらその時の動きを体に思い出させる為に、久々にやりますかPK」
「やっぱりそれか……」
プレイヤーキル、略してPK、プレイヤーがダンジョンやフィールドで同じプレイヤーに襲い掛かって倒す行動の事で、少々荒っぽいこの世界では至極当たり前に行われている事だ、しかし
「でもここ一層だよフカ、ここでは始めたての初心者がいるから無闇に人を襲うPK行為はしちゃいけないって血盟騎士団が注意喚起してなかった? バレたらマズくない?」
「そう簡単にバレはしないって、こんな初心者しか来ない所にノコノコと血盟騎士団が来る訳無いし、連中もヒマじゃないって」
この世界では色々とアウトローな事を行っているレンにとって血盟騎士団に目を付けられるのはあまり喜ばしい事では無いので、いくらトッシーに元の人格を思い出してもらう為だとはいえ、ここで堂々とPKするのはいささか不安だと表情を曇らせる。
しかし対照的にフカ次郎はニヤニヤしながら既にやる気スイッチが入っていた。
「初心者相手ならいくらトッシーでも簡単に殺せるでしょ、なんだかんだで私とレンで五十層まで到達させてやってんだし、ここらでちょっと彼に血生臭い戦場の味を思い出してもらおうじゃないか」
「とか言って本当は自分でも久しぶりに殺したいだけなんでしょフカは……」
「今宵の私の得物は、獲物の血を求めているんだぜ」
「うわ~しょーもないダジャレ……」
ドヤ顔で下らない事を言ってのけるフカ次郎に、レンが全く笑わずに無表情で感想を呟いていると、彼女達の話にようやくトッシがー気付いて起き上がった。
「フカ氏、レン氏、一体何を話しているのでござるか? ああ! さてはアニメの話でござるな! ならば僕から一つ! 僕が好きなフレンズは!」
「いや~フレンズの話はまた今度ね、ところでトッシーよ、私から君に聞きたい事があるのだが……」
期待の眼差しをこちらに向けてちょっと元気が出て来ている様子の彼に、フカ次郎は微笑を浮かべながらそっと彼に近寄る。
「こういう人の目が少ない場所で行動しているプレイヤーとか見かけなかったかな? フラフラと歩きまわっていていつでも闇討ち大歓迎ですよー的なマヌケなプレイヤーさんとか」
「プレイヤー? ならばちょうど先程、僕があの猛獣に襲われていた時に助けてくれた御仁がいたでござるな、見た目はブリーフしか穿いておらず、どっかで見たような顔でござったが……」
「ふんふんなるほどねぇ……」
「ブリーフしか穿いてないって何それ、ただの変態じゃん……」
トッシーの話を聞いてレンは絶対にそんな相手に関わりたくないと顔をしかめるが、フカ次郎の方は乗り気の様子でニヤリと笑い
「殺るか、ブリーフ狩り……」
「いちご狩りみたいに言うなっての!」
「ん? フカ氏? どういう事でござるかそれ?」
キョトンとしてよくわかっていない様子のトッシー、勢いよくツッコむレンを尻目に
フカ次郎はある人物にターゲットに狙いを定めるのであった。
トッシーの為としてではなく、一時の憂さ晴らしの為に
私はあのアニメならリョコウバトが好きです