竿魂   作:カイバーマン。

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空洞虚無さんから頂いた支援絵です


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銀時=アリス
新八=キリト
神楽=ユウキ
定晴=銀時

の恰好にチェンジしています、意外とキリトが違和感ないですね……

え、定晴……え? え?


そして更に春風駘蕩さんからもイラストを頂きました。。


【挿絵表示】


仮想世界での近藤さんと直葉です、な、なんでこのコンビ……?

愉快で素敵なイラストを毎度描いて下さりいつもありがとうございます!






第五十層 タマキュア勝利! 私達こそヒロイン!

シリカの相棒である幻竜種・ピナを無理矢理強奪したウンベールとライオス

 

そこへ血盟騎士団であるアスナと友人の神楽が現れたのだが

 

ピナを奪った彼等はなんと央国星の皇子の傍付き、つまり高い権力を持つ天人だったのだ。

 

己の地位の高さを誇り、そして傲慢にこちらを見下してくる彼等には、

 

流石に天人との良好的な関係を築きたいと思っているアスナでもカチンと来ていると

 

そこへ彼女達が現れた

 

どこぞの日曜日に朝からやってる女の子向けのアニメに出て来る様な、戦うヒロインみたいな恰好をした

 

 

 

 

失礼だがかなり年をお取りになっている熟女二人組が呼んでも無いのに颯爽と現れたのだ。

 

「私達はこの世界で日夜悪と戦うスーパー美少女ヒロイン!」

「タマキュアデース!!」

「ふざけるなぁどこが美少女ヒロインだ! 鏡で自分の顔をじっくり拝んでみろ! どう見ても貴様等はただのゲテモノモンスター……おごろッ!」

 

 

短気な性格のウンベールがピナを手に掴んだまま、彼女達がヒロインだと自称するのはおかしいと正論を説こうとするも、それをすかさず飛び蹴りかまして止めたのは

 

光の使者・タマホワイト

 

「女の子ヲ傷ツケル様ナ事言ウナンテ許サナイ!!! 慰謝料三億円払イヤガレ不細工野郎!!」」

「ウンベール!! 全く油断しおって……!」

 

顔面を蹴られてあっさりとやられてしまうウンベールにタマホワイトが中指立てて叫んでいる、もはやヒロインだと自称する者の行動とは思えない。

 

そして速攻でやられた不甲斐ない彼にライオスが舌打ちしてる隙に、ウンベールが手に持っていたピナがいつの間にか解放された。

 

「クェー!」

「あー私のピナが帰って来ましたー! 良かったーあの人のおかげですー!」

「!?」

 

ようやく解放されてパタパタと小さな羽を動かしながらすぐにシリカの方へと舞い戻るピナ

 

シリカもまた嬉しそうに戻って来たお友達を嬉しそうに抱き抱えながらタマホワイトに感謝しているのを

 

傍で聞いていたアスナが目をギョッとさせて表情を強張らせる。

 

「どうしよう、私が相手が央国星の天人だからって手をこまねていた隙に……あの子の竜を助けるという大切な仕事を先取りされちゃった……」

「なんなのよもう、これじゃあ私達が介入した意味なんかほとんどないじゃないの」

 

せっかく正義の行いをするという立派な仕事を務める機会であったというのに……

 

ピナを助けられたのは素直に嬉しいが、それを自分で達成できなかった事にアスナがショックを受け神楽も呆れてため息を突いていると

 

「オイ、ソコデ指咥エテ見テルダケノお前達」

「!」

 

そんな所で不意に話しかけてきたのは、先程ウンベールに華麗なキックをかましたタマホワイト。

 

いきなり濃い顔をこっちに向けて片言で話しかけて来た彼女にアスナが驚いてるのも束の間

 

完全にこちらを見下した嘲笑を浮かべながら勝ち誇った顔で

 

「コッカラ先ハ私ガメインヒロイントシテ活躍スルカラ、ヒロインニモナレネェお前等ハスッコンデロ、ブス」

「あぁぁぁぁ!? なんですってぇぇぇぇぇぇぇ!?」

「てんめぇぇぇぇ! 原作ヒロインの私達を差し置いてメインヒロイン名乗るとかナメてんのかゴラァ!!」

 

急に腹黒い事を言いながら罵って来たタマホワイトに対し二人はすぐにカチンと来た様子で額に青筋浮かべながら怒鳴り出すと

 

ヨロヨロと起き上がろうとしているウンベールの方へアスナと神楽はギラッと目つきを変えてすぐに駆け寄って

 

「人のモノを奪うチンピラ天人の成敗なんて私達でも出来るのよ! ほら見なさい! これが血盟騎士団の力よ!」

「死に晒せアルゥ! 私達がヒロインであると証明する為の生け贄になれウンコベール!!」

「げふ! お、おい! 私の名前はウンベールだぞ! コは付いていな……うげぇ!!」

 

半ば八つ当たりに近い形でアスナと神楽に踏みつけられまくるウンベール。

 

必死に起き上がろうとするがそれを許すまじと二人は踏みつけるのを一行に止めない。

 

「ラ、ライオス殿! 助けて下さい! コイツ等さっきまで大人しかったクセにいきなり我等に攻撃を!!」

「フン、やはり地球人風情は野蛮で好かん、まさか一時のテンションに身を任せて我等に手を出すとは、ここまで愚かであると呆れてモノも言え……」

 

目の前で仲間がやられているのもお構いなしに、ライオスは未だ余裕な態度を取りながら、フッと笑って肩をすくめたその瞬間

 

「タマキュア! ジェノサイドパーンチ!!」

「ん? ふんごぉぉぉぉぉ!!!」

 

他人を見下して鼻を高々と伸ばすいかにも高慢ちきなライオスの顔面に

 

タマホワイトの相棒、タマブラックがスカッとする程の強烈な拳を飛び掛かりながらお見舞いして豪快にぶっ飛ばしたのだ。

 

顔面でズザーッ!と地面を滑りながら最後に倒れるも、ライオスはすぐにガバッと起き上がって振り返る。

 

「き、貴様何をするか! 我々を誰だと思っている! 我々は央国星の……!」

「はん、テメェ等がニコチャン星だろうがキンニク星だろうが知ったこっちゃないんだよ私等は」

「な、なんだと!? ってああ! 俺の大事なチャームポイントォォォォォ!!」

 

やられてもなおまだ何か言おうとするライオスだが、タマブラックは知った事かといった感じで歩み寄ると

 

彼の大事な触角をむんずと掴んでそのまま引っ張って彼を強制的に立たせる。

 

「いいかい? どこの星だろうがどこの国だろうがルールってモンがちゃんとあるんだよ、アンタ等が何者であろうがこの国じゃ盗人は即お縄さね、ルールを破っちまったらケジメつけんのが通りってもんだろ?」

「放せぇぇぇぇぇ!! 俺の! 俺の大事なチンコが千切れるぅぅぅぅぅぅ!!!」

「威張り腐ってるヒマがあったら! 世の中の筋ってモンを一から学び直して来いクソガキィィィ!!」

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! チンコ千切れたァァァァァァァァァァ!!!」 

 

央国星の象徴たる触角を説教しながら容赦なく引き千切るタマブラック。

 

仮想世界なので痛みは無いモノの、己が地位を誇示する為の大事な部位を引き千切られては

 

流石に今までドヤ顔で余裕アピールしていたライオスもショックで金切り声を上げてしまう。

 

「俺のチンコがぁ! おいウンベールお前のを寄越せ! 俺より多少小さくても無いよりマシだ!」

「いやだぁ! 央国星においてチンコ無き者その星の者にあらずという言葉をお忘れですかライオス殿は! 俺まであなたと一緒に堕ちるなんてまっぴらゴメ……ってあぁ!! 小娘貴様ぁ!!」

「うわ、なんか掴んだら簡単に取れたアル」

 

アスナ達にボコられながらもライオスの頼み事を断固として拒否しようとするウンベールだったが

 

彼の頭を掴んでその触角を掴んでいた神楽は、うっかり彼の立派なブツもプチッと引き抜いてしまった。

 

今彼の触角は神楽の手の中で痙攣しながらまだ動いている。

 

「ピクピク動いて気持ちワル、アスナ姐欲しい?」

「いらないわよそんなグロデスクなの! ばっちぃからさっさと捨てなさい!」

「はーい」

「小娘ぇ! 俺の大事なチンコをグロデスクだのばっちぃだのとよくも……! ああ! ホントに捨てたぁ!! てか潰したぁ!!」

 

嫌悪感丸出しのアスナに言われて素直にポイッと捨てる神楽は、目の前で触角を取り戻そうとするウンベールの前でそれを容赦なくグシャリと足で踏み潰してしまった

 

「ああ何てことだ! 俺までもライオス殿と同じチンコ無き者……オカマになってしまったではないかぁ!!」

「我等に暴力をふるい更にはチンコまで奪うとは……地球人! これは最早国際問題では済まされない! 我々央国星への宣戦布告とみなしていいのか!」

「あーうっさいうっさい、宣誓布告だろうがなんだろうが勝手に受け取っておくれ」

「ヨクワカンネェケド私達ガ何カお前等二アゲタンナラ、お前等モナンカ寄越セヨ! 金ダ金! 今スグ持ッテ来ンカイコラァ!」

「この期に及んでまだ奪うつもりか貴様等は! ええいもう勘弁ならん!」

 

大事な触角を奪われ激しい憤りを隠さずに怒り狂うライオスとウンベール。

 

そしてこちらが央国星と地球の戦争が始まると脅しても、このタマキュアコンビは全く怖がるどころか更に搾取しようとする始末。

 

遂にライオスは完全にブチ切れて、目の前にメニュー画面をピッと出現させて何かの準備を始める。

 

「やるぞウンベール! この屈辱をこ奴等下等種族に倍にして返さねば! 我々、引いては央国星そのものの威信に関わってしまう!! こうなってはハタ皇子から預かった”アレ”を呼び出すしかない!」

「ア、アレですとな!? しかしアレは皇子でさえ制御できない程のモノですぞ! 我々で奴を操る事が出来るのですか!」

「やらねばならんのだ! 我々は生まれながらにして国を護る為に育てられたエリート中のエリート! ここでむざむざと敗北する事などあってはならん! ならばいっそ! コイツを使って賭けに出るまで!」

 

とっておきの切り札でもあるのか、アイテム欄から何かを取り出そうとするライオス。

 

そしてピッと指で画面を押すと、彼の手元にお湯が入ってる思われるポットが出現する。

 

「ウンベール! 奴を!」

「わかりました! 私はどうなっても知りませんので何かあったらライオス殿一人の責任という事で!」

「え! 今お前なんつった!? 俺を見捨てて自分だけトンズラするとか言わなかった!?」

 

ドサクサに自分だけは責任逃れようとしているウンベールにライオスが聞き返そうとするも

 

ウンベールはさっと胸元のポケットから1匹の小さなあるモノを取り出した。

 

「ぎー」

 

それは非常に不細工な、まるでタコのような姿をした珍妙な生物だった。

 

「は? なんだいそのちっこいタコは? もしかしてそれが私達を倒す最終兵器だって言うのかい?」

「フハハハハハハ! ナメているのも今の内だぞタマキュアよ! コイツは皇子の大切なペットであり特別に我等が預かっていたのだ! そしてコイツの恐ろしさをこの場で教えてやる!」

 

ウンベールの手の平に収まる程の小さなタコモンスターに、タマブラックはいつの間にか吸っていたタバコの煙を吐きかけながら疑問視していると

 

 

高笑いを笑い上げながら手に持ったポッドからお湯を出してそれをそのモンスターにかけるライオス

 

するとどうであろう

 

「ぎ、ぎぎぎぎぎ……」

 

あんなに小さかったモンスターがお湯をかけられた途端みるみる肥大化し……

 

 

 

 

 

 

「ぎょわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「な、なんだって!? あのチビダコが一瞬で!」

「超巨大ナ化け物二変ワリマシター!!!」

 

手の平に収まるモンスターが一瞬にして、山の如く大きな巨大モンスターに変貌する。

 

それに人相もさっきまでとは比べ物にも鳴らない程凶暴さが増しており、何本もの触手が辺り一帯を破壊しながら暴れ始める。

 

突然の出来事にアスナ達も慌てて後方に撤退せざるを得ない。

 

「あ、あれってもしかして異業種!? 地球圏内のEDOには出現しない凶悪な怪物型モンスターじゃないの! あんなのこっちに持ち込んで来ちゃダメなのに!」

 

異業種というのは地球産ではなく他の星でEDOをプレイしてる場合にのみ出現する外来産モンスターだ。

 

基本的には地球に持ち込む事はきつく禁じられている。

 

アスナが必死に走りながらその生物の事を説明していると、その隣を定春に乗った神楽とシリカがサッと横切って行く。

 

「うえぇ、あんな怖くて大きいの私も初めて見ました~」

「そうね私もあそこまで大きいモンスターは初めて……てか私も乗せてよ!」

「これは一度離れてから状況を見定めて討伐する必要がありそうね」

「ワン」

「いや見定める前に私も乗せてよ!」

 

一人必死に走ってる自分を置いて

 

俊敏に動ける定春にまたがって優雅に逃げている神楽と後ろに座るシリカをアスナが叫びながら追いかけるのであった。

 

 

 

 

 

アスナ達が一時撤退をしている頃

 

タマキュアはまだその場から逃げずにライオス達と対峙していた。

 

彼等の背後にいるタコ型モンスターは、異業種という名の通り見た目もスケールも半端ないインパクトである。

 

「ふーん、こいつはたまげた、まさかこんなモンを隠してやがったとはね」

「素直ニ驚イテヤッタンダカラ感謝シロヨ」

「フハハハハハ! 見たかタマキュアよ! これぞ皇子から賜ったお湯をかけれたちまち超巨大エイリアンと化す凶悪なモンスター! ペスだ!!」

「さあペスよ! 我々に代わってあ奴等を完膚なきまでに叩き潰すのだ! この辺り一帯を塵に変えても構わん!!」

「ごわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ライオスとウンベールに言われるがままに、超巨大エイリアン・ペスは鋭い牙を剥き出しにし目をギョロギョロと動かしながら、所かまわず何十本モノ触手を手当たり次第に振るい始める。

 

砂漠地帯である為、建造物やプレイヤーもいない場所であったので被害はないが、それでも地形そのものを変える程の暴れっぷりだった。

 

当然そんな暴れているペスの足下にいたライオスとウンベールも

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!! 止めろペス! 我々にも攻撃するなぁ!!」

「あ、暴れても良いと言ったが我々まで巻き込むなペスぅッ! お手! お座り! ちんちん!!」

「あがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

降り下ろされる触手を必死に避けながら慌ててペスから離れようと逃げ出す二人。

 

それもその筈、ペスはご主人である皇子の命令さえも聞かないのだ、彼等の事情など知ったこっちゃない

 

「た、助けてくれぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

「フン、こりゃあお笑いだね、テメーで呼んだクセに扱いこなせないと来たもんだ、挙句の果てにこっちに助けを求めるとは大した天人様だよ、アイツ等は」

「ペットノシツケモ出来ナイバカ共ニハお似合いデスヨ。ペッ!」

 

目の前でたった一匹のモンスターによる蹂躙が繰り広げられているというのに

 

暴れ回るペスに襲われながらまだ生きている様子のライオスとウンベールを眺めながら

 

タマブラックは吸っていたタバコをポイッと捨て、タマホワイトは不快なモノを見たかのように唾を吐く。

 

「けどコイツをこのまま見過ごすってのは良くないねぇ、このままこの大ダコに暴れてもらっちゃ他のプレイヤー方にもいい迷惑だ」

「ナラ話ガ早イデスネ、私達デサッサト片付ケレバイインデスヨ」

「やれやれ、いっちょエイリアン退治でもやってみるかぃ」

 

そんな事を気楽に言いながら戦う美少女戦士・タマキュアはペスの方へと向き直ると、同時にダッと砂を蹴って

 

「いくよタマホワイト! まずはアイツを大人しくさせるよ!」

「ワカッタワ! タマブラック!」

 

そう叫び合うと二人は果敢にも真正面からペスに向かって特攻を仕掛ける、しかし

 

「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

「イヤァァァァァァァァン!!」

 

タマキュアを敵と認識したペスが、何十本モノ触手を全く違うタイミングで次々と彼女達に降り注いだのだ。

 

その怒涛の連続攻撃をまともに食らったタマキュアは服がボロボロになりながら後方にぶっ飛ばされてしまう。

 

「あー! あの化け物コンビが化け物にやられてるアル! このままだとあの二人が大ダコの触手にかかってあんな事こんな事されるという読者サービス展開になっちゃうネ!!」

「それは確かにヤバいわね、読者の方達が吐瀉物撒き散らしてクレーム殺到モンじゃない……」

 

そんな彼女達を少し離れた場所で眺めているのはアスナ一行。

 

「うおぉぉぉぉ頑張れタマキュアァァァァァァァ!!」

「頑張ってくださいタマキュアさ~ん!」

「ピー!」

「ワンワン!」

「え、どうしてそんなみんなでタマキュアを応援しているの……? 私だけ流れについて行けないんだけど」

 

神楽とシリカ、おまけにピナと定春まで何やらタマキュアを応援するかのように叫び出すので

 

一人状況を理解出来ていないアスナが怪訝な表情を浮かべていると、神楽がシレッとした顔で彼女の方へ振り向いて

 

「アスナ姐知らないアルか? 本家の映画だと、画面上で戦ってる連中が、観ているガキ共からの声援を貰って復活するパターンがよくあるみたいネ、だから私達も応援するヨロシ、ほらアスナ姐も」

「えぇ~……」

 

一体何処でそんなのを覚えたのだろうと真顔で説明する神楽にアスナは戸惑いの表情を浮かべつつ

 

ペスを相手に苦戦を強いられているタマキュアに向かってこっ恥ずかしそうに

 

「が、頑張ってくださいタマキュアさん……」

「もっと声を出すアル!」

「頑張ってくださいタマキュアさん!」

「もっと感情込めて!」

「頑張れタマキュアァ!!」

「もっと必死さを出して!」

「頑張れタマキュアァァァァァァァ!!」

「ページ数まだ残ってるのに締め切り前夜にちょっとだけ仮眠取ろうとしたら! 起きたら夕方でしかも携帯には編集部からの着信が沢山あった時の漫画家の気持ちで!!」

「ぐぁんばぁれタマキュアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

 

最初はボソボソ声であったのに、神楽に言われる度に徐々にその声は大きさと力強さが増し

 

最終的には神でも悪魔でも誰でもいいから助けて下さいと藁にも縋る思いをよりリアルに再現して見せるアスナ

 

その声援に効果があったのか、先程倒れていたタマキュアが傷だらけになりながらもゆっくりと起き上がり

 

「私達は!!」

「負ケナイ!!」

 

そう強く叫ぶと二人は天に向かって、いつの間にか取り出した徳利を掲げて

 

「「ナッツキスチョコ柿の種! 渇き物なら再利用!」」

 

呪文のような言葉を揃えて唱えると、二人は虹色の光に身を包まれて

 

「タマブルーム!!」

「タマイーグレット!!」

「「「「「へ、変身したァァァァァァァ!!!!」」」」」

 

ペスの被害に最も遭っているライオスとウンベール、離れた所で見守っていたアスナ・神楽・シリカの声が一つに揃った瞬間であった。

 

どういうスキルを使ったのかは知らないが、二人の衣装はより豪華に、そして何よりインパクトも更に強まってより一層カオスな進化を遂げていたのだ。

 

そして新たな衣装へと変わりトランスフォームを為した二人は手に持っている徳利をくっつけて同時にペスへと向けて……

 

 

「お客様は!!」

「神様デス!!」

 

その瞬間、徳利の先から解き放たれるまばゆい光が巨大な光線となり

 

「ぎにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

巨大エイリアン・ペスの口の中へと入り、そのまま凄まじい威力を維持したまま身体を貫き断末魔の雄叫びを上げさせたのだ。

 

まさかの必殺技をまともに食らったペスは、自分が持っているHPを一瞬にしてゼロにしてしまい

 

その巨大な図体を赤色の光の粒子へとなって、フッと消滅していった。

 

「た、助かったのか……ってあぁしまったぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ライオス殿ぉぉぉぉぉぉ!!! ハタ皇子から預かった大事なペットを失ってしまいましたぁぁぁぁ!!」

「こ、この失態をどう報告すれば……!」

「ライオス殿! 私はあなたに命令されただけなので何も悪くありません! という事でこの失態はライオス殿が全部悪いという事でよろしいですかな!?」

「おいウンベール貴様ふざけんな! 何がよろしいですかな?だ! 何もよろしくないわ!!」

 

ペスに下敷きにされてすっかりボロボロになっていたライオスとウンベールは起き上がると

 

すぐに自分達が央国星の皇子のペットを勝手に放ってしかも殺させてしまった事に気付いて大慌て

 

「おのれぇタマキュア! よくも我々が皇子に預かったペットを殺してくれたなぁ!!」

「今回は見逃してやるが覚えていろぉ!!」

 

そんな悪役のお約束的な台詞を言い放つと、二人はすぐ様スタコラサッサとこちらに背を向けて必死に逃げていく。

 

「そっちこそ次会った時は容赦しないんだから!」

「オトトイキヤガレクソッタレガ!!」

 

そんな彼等の情けない背中を眺めながら

 

タマブラックもといタマブルームと

 

タマホワイトもといタマイーグレットは

 

「「ハ~ハッハッハ!!!」」

 

互いに肩を組んで勝利を実感しながら楽し気に大声で笑い合うのだった。

 

 

 

 

 

「なんだか上手くやってくれたみたいアルな、アイツ等」

「凄かったですねー、見た目は凄いアレですけど……良い人達ですよねタマキュアさん」

 

そんな二人をまだ離れた場所から見ているのは神楽とシリカ

 

光線一発で消し炭となって消滅したペスと必死の形相で逃げていくライオスとウンベール

 

そして一件落着と言った感じで豪快に笑い合う彼女達を見て、なんとかなったのだとホッと一息突く。

 

「完全にアイツ等にお株奪われちゃったアルな、アスナ姐」

「……」

 

神楽が振り返りながら話しかけると、一人だけそっぽを向きながら腕を組んで立っているアスナがフンと鼻を鳴らす。

 

「悔しいけど負けたわ完全に……でもおかげで色々と教わらせてもらったわ。相手が誰であろうと慎重過ぎて何も動けないでいたら、それは何もしていないのと同じなんだって」

「そうネ、悪い奴は見つけた瞬間片っ端からぶっ倒せばいいアル、次あのキリトとかいう奴を見つけたら何も言わずにいきなり攻撃かましちゃえばいいヨロシ」

「いやそれもどうかと思うけど……まあ今回の出来事はアホらしくもあったけどいい教訓に……」

 

自分が出来なかった事を彼女達は簡単にやってくれた。地球人でありながら相手が天人であろうと立ち向かう……

 

少々危険な行動ではあったが、今回はどう見ても相手の天人が悪かったのだし、仕方のない事だとアスナは割り切って彼女達には罪は無いだろうと断定した。

 

アスナは潔く敗北を認めてフッと笑い、タマキュアに素直に健闘を称えようと彼女達の方へ振り返ると……

 

「ナンダお前等、マダコンナ所ニイヤガッタノカ、ブスハオ呼ビジャネェッテ言ッタダロウガ」

「うわ!」

 

一瞬にして目の前に現れたのは猫耳団地妻、もといタマイーグレット、更にもとい元に戻ったタマホワイト。

 

いきなりの出来事にアスナがビックリしているのも束の間、すぐに彼女の相方であるタマブラックも隣にスタッと着地する。

 

「私達の大活躍! 見ていてくれたかしら!?」

「え、ええまあ……」

「来週モマタ観テネ!」

「来週!? 来週もこんなのやるのあなた達!?」

「それじゃあさよなら!」

「困ッタ時ハスグニ私達ヲ呼ブノヨ!」

「いやちょ! 待って待って! 血盟騎士団としてあなた達にも色々と話を……!」

 

いかにも作ったかのような喋り方をしながら一方的に話し終えると

 

もっと詳しくタマキュアについて詳しく聞こうと手を伸ばすアスナを置いて二人は華麗に飛び立ってしまった。

 

飛行能力を持ってる所から察するに、二人ALO型なのだろうか……

 

夕日を背景に消えていく彼女達を見送りながら、アスナは手を下ろしてふぅと息を漏らす。

 

「やっぱりあの見た目は無いわよねぇ……」

「今から追いかけるアルか、アスナ姐?」

「いやいいわ、今日は見逃してあげましょう……私もう疲れたし……」

 

彼女達同じく飛行能力を一応持っている神楽が追いかけるか尋ねると、アスナは疲れた表情で首を横に振り、シリカを連れてその場を後にするのであった。

 

EDOに突如舞い降りたスーパーヒロイン・タマキュア

 

彼女達の存在は誰も知らない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい銀時ぃ! テンメェまた逃げようとしてんじゃねぇ! さっさと家賃払えクソったれぇ!!」

「うるせぇ! テメェに言われた通りユウキのガソリン代だけでも稼ごうとしてんだよこっちは! それぐらい待ってくれたって別に良いだろうが!」

「それぐらいって! こっちはどんだけ滞納されてると思ってんだこの腐れ天パぁ!!」

「オイテメェマタウチノガソリン飲ンダダロウガ!! イイ加減ニシロコノヤロー!!」

「あーめんごめんご、でも美味しかったよ、ありがと」

「礼ナンテイラネェカラガソリン返セコラァァァァ!!!」

 

 

 

 

 

 




記念すべき50話目……50話目なのに……!

という事でヒロインたちの大奮闘劇はこれにて終了。

次回からはなんと、一章丸ごと仮想世界でのお話となります


神器を造れる鍛冶師を遂に見つけた銀さん一行、しかしその鍛冶師はどうも言ってる事が胡散臭く……

その上アリスとの件で遂にユウキがブチ切れてしまい神器どころじゃなくなってしまう銀さん。

そしてキリトもまた、情報屋と共に神器の素材を探しにとある森へと赴き……

最強の武器を造るのはそう簡単じゃない、銀さん、そしてキリトが己の武を極める為に仮想世界を駆け巡る。

今回はいよいよ神器をメインに絡めていくエピソード多数、更に新キャラも続々登場予定、

獅子奮迅編、お楽しみに

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