叙事詩の悪に私はなる!   作:小森朔

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どうしても書いてみたくなって始めました。
歴オタでアニメが好きな主人公が、もしインド叙事詩の悪になったらという設定。
異教の異分子が悪役になったら面白そう!という出来心からできたので、書きたくなったら長めに続くかも。
マハーバーラタは読んでいる途中なので、微妙なところがあるかも。


幼少期から原典
悪役って最高では?


彼女は考えていた。

 

もし、この悪役になることができたなら。

 もし、彼になって神相手に腕試しができるというのなら。

 もし、覆すことができるのなら。

 

 そんな妄想を楽しんでいた。

 たくさん積まれた課題という、その現実から逃げたいがために本を読み、妄想しながら手を動かす。

 もう少し、もう少しと叙事詩を読み切り、料理の本を読み、手芸をする。課題は少しずつは進めている。

 

 勉強は嫌いだ。でも、本を読んで空想に浸るのは好きだ。

 彼ならどう動くのだろう。

 この空白の部分でどう考えただろう。

 いっそ、体験でもできたら良いのに。

 

 それが叶えられるとも知らずに。

 

 

「あー!Fate時空のドゥルヨーダナになってみたいなー!」

 暑い暑いとクーラーが効き始めの部屋で、独りなのをいいことに大声で喚いた。

 馬鹿なことだ、ぐらいは分かっていても、どうしても気になってしまった。Fateシリーズを知るうちに気になった施し英雄。そして、それ以上に彼の側の長たる彼が。

 小悪党。でも、善政を敷いた名君になれる人。

 多少の悪など、政治には必要だろうに。彼女はそう思っていた。

 元々が歴史好き、本好き。それに最近異世界モノとか言われる小説で政治をするものも大好き。しかし宰相ポジション羨ましいな! と思っているような大学生。

 アプリゲームはあまり思うように進めていないものの、古代についても興味のある彼女はどうしてもそうした妄想をするのをやめられなかった。

 実際にやりたいとは微塵も思っていなかったが。

 

『善かろう』

 わんわんと脳内に木霊するように声が聞こえた。

「……ん?」

 おかしい、声が聞こえたような。いや、でも今日は家に誰もいないし。熱中症にでもなったのかね。

 

『善い』

『行ってくるが良い』

『私を楽しませてみよ』

 

 聞き間違いかな、と思ったが、そうではなかったようで。

 いきなり響いてきた声が、ブツブツ切れながらも意味を伝えてくる。

 女性の声だ。温かい、それに威厳が満ちた声。

 思わず傅きたくなる、声。

 

 ああ、思し召しなら従いましょう。やたらと信仰心のある自分が思う。

 

『征くが良い』

『増やせよ』

『地を満たせ』

『汝の生を供物とせよ』

 

 暑い、ああ、暑いなあ。

 ぼんやりとした頭で聞いた言葉はそれで最後だった。

 

 

 

「おめでとうございます!立派な男の子ですよ!」

「この子は厄災の子だ」

「いけません陛下!」

「殺せ、大きな惨禍を生む前に!」

「嫌です! この子は! この子は私の……!」

 

 

 

「愛していますよ、私の可愛い息子」

 

 

ああ、私は。

私は、あの神のために生きて、死なねばならない。




完結させたいとは思っていますが、FGOとアニメ版apocryphaの知識しか現状持っていないので、かなり歪な内容になるかもしれません。

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