ツインテールとゲームで世界を守る。【とりあえず凍結】 作:熊0803
楽しんでいただければ幸いです。
《KNOCK OUT FIGHTER‼︎》
逆さにされたガシャットギアデュアルのダイヤルから最初に変身した時のように絵柄が空中に浮かび上がり、パーフェクトパズルの時と同じ男の声でゲーム名が宣言される。同時に、パラドクスの背後にディスプレイが出現した。そこには、パーフェクトパズルのポップなものとは真反対の荒々しい筆文字で『KNOCK OUT FIGHTER』と記され、燃え盛る炎と格闘家のようなグローブとハチマキをつけた赤い男が映し出されている。
《The strongest Fist!! Round one……ROCK&FIRE‼︎ The strongest Fist‼︎ Round one……ROCK&FIRE‼︎》
これも同様に一定の言葉がテンションを上げるようなBGMとともに戦場に響き渡り、パラドクスの隣にいるテイルレッドの闘争本能にも火をつける。ダイヤルを回した本人であるパラドクスも獰猛な笑みを浮かべ、かけていた白丸メガネを外して頭上に放り投げると口を大きく開け、再びその言葉を口にした。
「大変身!」
《Dual Up!!》
上下反対になったデュアルアップスターターが押し込まれると、黒画面のパーフェクトパズルを模した戦士の絵柄が赤く輝き、今度は赤き戦士へと豹変する。それをちらりと横目で確認し、パラドクスは笑んだまま腰のギアホルダーにガシャットギアデュアルを挿し直した。
《Explosion HIT‼︎ KNOCK OUT FIGHTER‼︎‼︎‼︎》
変身音声と心を滾らせる音楽ががその場にいた全員の耳を打ち、パラドクスの大きな肩部装甲が両肩から分離して空中に浮かぶ。するとその下から金のレリーフの入った炎を模した肩パーツが現れ、それに合わせるように反転して両腕にナックルとなって装着された肩部装甲は紅蓮色に染まっていた。次に胸部装甲の絵柄が変化して炎を模したグラフィックとなり、最後に青いリーゼントが毛先から灼熱の如き色に染まる。
「おぉぉぉぉっ!」
パラドクスの雄叫びに反応して熱気が吹き上げてリーゼントだった髪が全て逆立ち、虚空を漂っていた白丸メガネがハチマキへ一瞬で変貌すると彼女の額へと収まった。そうして、ようやくパラドクスのもう一つの姿…『仮面ライダーパラドクス ファイターゲーマー』への変身は完了した。
「おぉっ、カッコいいなそれ!」
「へへ、だろ?ーーさあ、遊ぼうぜ!」
「良かろう、来いっ!」
男子特有の格闘技好きからキラキラした目を向けてくるテイルレッドに笑い、パラドクスはナックルを打ち付け合うと凄まじい速さで突進してゆく。レッドも慌ててそれに並んだ。
「オルァッ!」
「そりゃぁぁぁっ!」
「「モケェーーッ!?」」
炎を纏うレッドの大剣ーーブレイザーブレイドと、それ同様ナックル…マテリアライズスマッシャーの特殊発火機構《マテリアバーナー》によるパラドクスの炎拳がアルティロイド達をなぎ倒していく。テンションマックスな二人にとってリザドギルディ以外など雑魚であり、面白いようにアルティロイド達は空に打ち上げられ粒子となって消えていった。
「モケー!」
「レッド、スイッチ!」
「了解!」
いつもゲームをする時の合図とともに、レッドが剣を振りかぶった後に飛びかかってきたアルティロイドをパラドクスが殴り飛ばす。と、今度はそれの隙を突くように突撃してきた敵をレッドの剣が斬り伏せた。
「サンキュ!」
「こっちこそな!」
二人は短い合言葉で超連携を成し、パラドクスは天性の才能と正斗から学んだ格闘術で、レッドはあるバグスターにより昔鍛えられた剣術と愛香の家の道場で習った柔術を巧みに使い次々と機敏に立ち位置を変えてアルティロイド達を屠っていく。それに付随して、赤のツインテールとハチマキでまとめられた赤髪が激しく揺れた。それはまるで〝炎〟舞の如く。
「おお……!研ぎ澄まされた剣閃と荒々しい拳撃に合わせ空を舞うツインテールと赤髪……今俺は、神話世界の楽園に迷い込んだ錯覚を覚えたぞ!」
「「安心しろ、それは間違いなく、絶対に錯覚だ!!!」」
感極まった様子で世迷言をほざきながら涙を流すリザドギルディにハモってツッコミを入れ、二人は最後のアルティロイドたちを空の彼方へとぶっ飛ばした。そのままリザドギルディのほうへと向かっていく。リザドギルディもさすがに惚けるのはやめ、両手を突き出して光線を放つことで応戦した。
「ほっ、よっと、そいっと!」
「うおっ、とと!危ねえ!」
レッドとパラドクスたちはそれを紙一重で回避しながらリザドギルディへと肉迫していく。途中何度か被弾したが、パラドクスは炎拳で相殺し、レッドは受けた運動エネルギー、すなわち衝撃を分子レベルで介入して殺しきる《フォトンアブソーバー》によって防ぎ切る。
「フッ、恐るべき奴らよ!久方ぶりに戦士としての高揚が湧き上がってくる!だが、まだやられぬぞォォォォ!」
リザドギルディの雄叫びとともに背中に陳列していた無数のヒレが分離し、薄い光の帯のようなもので操られながら空高く飛び上がった。それは一つ一つが意思を持ったように飛び、二人に襲いかかってくる。
「ハッ、そんな飛び道具でやられるかよ!」
「だぁぁぁぁぁぁ!!」
だが、それさえも二人はことごとく撃ち落としていった。もとよりファイターゲーマーは攻撃力と反応速度を重視した形態であり、その真価を堂々と発揮している。
「素晴らしい!素晴らしいぞ!今日のこの日は未来永劫忘れぬであろう!すまぬが、記念写真を頼む!テイルパラドクスの方も幼女ではないが良しとしよう!こう、両肩にこてんと頭を預けてだな、ぬいぐるみをーー」
「「いい加減にしろ、この変態がぁ!」」
ハモりツッコミ再び。剣と拳がリザドギルディの顔に振るわれ、リザドギルディの巨体は大きく吹き飛ばされた。
「俺が二人で写真を撮るのはエムだけだ!覚えとけ!」
意味を知っているものからすれば白昼堂々と惚気をかましたパラドクスはギアホルダーからガシャットギアデュアルを引き抜き、ダイヤルを元に戻し、もう一度ノックアウトファイターの方へ捻る。そしてそのままギアホルダーに装填する。
《KIME-WAZA‼︎ Dual GASHAT‼︎》
ガシャットギアデュアルより甲高いややハスキーな声で音声が発せられ、パラドクスのマテリアライズスマッシャーに極大の炎が灯った!
《KNOCK OUT CRITICAL SMASH‼︎》
「そろそろ決めさせてもらうぜ!」
「俺も!!オーラピラーーーーー!!!」
脳内に現れた情報に従い、レッドも叫ぶとそれに呼応するようにブレイザーブレイドの剣尖にバスケットボール大の炎が現れる。剣を振りかぶり、レッドはリザドギルディに向かって炎を投げ放った。オーラピラーと呼ばれた炎球はリザドギルディの目の前で爆発し、螺旋を描いてその曲の周りを取り巻く。そして、天高く昇る円柱のように変化した。
「何ィッ!?」
「ーー
レッドが大きな声で叫べば、ブレイザーブレイドの柄や装飾部が展開した。そして剣身から炎が吹き上がり、その長さを倍ほどにも伸長させる。腰のアーマーもスライドし、スラスターのように炎を吹き上げた。
「「オォォォォォォォッ!!」」
二人は今まで以上の速度でリザドギルディ目掛けて突進する。両者の気迫に反応するように、レッドはブレイザーブレイド、パラドクスはナックルの炎がどんどん大きくなっていき、加速に合わせてそれは空中に尾をひく。
「ハッ!ラァッ!!!」
「グォォォォォ!?」
パラドクスがまず右拳をリザドギルディのみぞおちにお見舞いし、瞬時に左拳でアッパーカットをかます。するとリザドギルディの巨躯は宙へ浮き上がり、そこへレッドの必殺の一閃が炸裂する!!!
「グランドーーブレイザアアアアアアアアアア!!!!!」
炎刃はオーラピラーをすり抜け、そのまま真っ直ぐリザドギルディの脳天から股間まで一気に両断した。弾け飛ぶ熱波。レッドが着地しリザドギルディが地に落ち、しかし最後の意地とでも言うようにフラフラと立ち上がる。全身から放電させ、苦悶の声をあげながらも異形は笑った。
「ふははははははは、素晴らしい!これほど素晴らしい幼女と戦士に討たれるのなら男として、武人として本望というもの!だが、やはり惜しい!ツインテイルズよ、最後にせめてぬいぐるみを持って記念写真をーー」
最後の最後まで世迷言をほざきながら、リザドギルディは派手に爆散した。ゲームエリアを展開していたことにより爆炎は最小限に抑えられ、特に周囲への被害はなかった。
《K.O.‼︎》
やがて炎が収まると唯一残ったのは、リザドギルディの魂の結晶ーー
「うし、一件落着ってとこだな」
「おう!」
レッドがパラドクスとハイタッチしていると、愛香から通信が入った。それに従い辺りを見渡すと、ある場所に金属の輪っかが浮いているのを見つける。彼女いわく、これによってツインテール属性の
「よっと」
そんな軽い掛け声とともに振るわれた剣で、輪っかは両断され粒子となり消える。それと同時にすでに回収されたツインテール属性たちが本来の持ち主の元へと戻っていった。すると、剣も役目を終えたと言うように炎となって大気に消える。
「……あの、助けていただいてありがとうございます」
一件落着とレッドが応用に頷いていると、いきなり後ろから声をかけられた。びくっと飛び上がりながら振り返れば、ずっと二人の戦いを見ていた慧理那が高貴さの漂う仕草で礼を示す。それにレッドは当然のことをしたまでと答え、パラドクスは肩をすくめた。
「お二人とも、とても素敵な戦いぶりでしたわ!特にレッドさんはまだ幼いのに、本当に勇敢で、力強くて……わたくし、感動しました!」
「そ、そう言ってもらえると嬉しい、かなー?」
「おいおい、声震えてんぞ。動揺しすぎだろ」
ガッチガチの様子で受け答えをするレッドの肩を、いつの間にかパーフェクトパズルの姿に戻ったパラドクスが軽く叩いた。呆れたように笑う彼女を、慧理那は何かを探るような目で見つめる。
「……その、一つ質問をしてよろしいでしょうか?」
「ん?オレにか?」
「はい……あなたは、もしかしてパラちゃーー」
「お嬢様ァァァァァァァ!!!」
慧理那の質問は、途中で遮られた。駐車場を対角線上に切り裂くように、リムジンが猛スピードで走ってきたからだ。リムジンが大層なブレーキ跡を残して停まると、中から大量のメイドが飛び出して彼女へ駆け寄ってくる。それを見たレッドはまずっ!?と呟き、パラドクスもやれやれと首を振る。
「…つーわけで、その質問の答えはまた今度だ」
「………また、お逢いできますか?」
「オレの心が踊ったらな♪」
「ーー俺も、君がツインテールを愛する限りいつだって駆けつけるよ!」
決め台詞を残し、二人はスーツの力を持って高速でその場から立ち退いた。慧理那の表情が、あまり芳しくなかったことには気づかずにーー
●◯●
戻ってきたパラドと総二が変身を解除し、疲労困憊といった様子の総二に愛香が肩を貸しながら俺たちは転送装置を用いてアドレシェンツァに帰還した。その際、トゥアールが愛香に貧乳ネタで絡み、地面とファーストキスをしていたがどうでもいい。むしろ地球にI LOVE YOUを示せてよかったのではないか?なんてアホなことも考えた。
そして現在、日が沈もうかと言う時間。俺は他のメンバーと一度別行動を取り、用事を済ませたので総二の部屋へと戻ってきていた。
「すまない、マスコミの対応に追われていた」
扉を開けるやいなやそう言えば、全員お気になさらずーと返してくれる。気のいい友人たちに笑みをこぼしながらパラドの横へ座り、自分がいない間のことを聞いた。途中総二の母親…未春さんに見つからないよう裏口から入ったのにトゥアールが遊びにきた男友達のように平然と挨拶をしようとして愛香にシメられた話もあったが、忘れたことにする。
状況確認を終え、俺が情報を整理し終えると総二が右腕のブレスレットを一瞥し真剣な表情でトゥアールへと質問を投げかけた。
「説明してもらえるよな、これが一体なんなのか、そして君が誰なのか」
「す、すみません、私、男の人の部屋って入るの初めてで……えへへっ」
「死にたくなければ可及的速やかに説明を始めろ痴女」
「ちょっ、さっきからそれ向けるのやめてくださいよ!いつ撃たれるかわかったもんじゃないです!」
じゃあ撃たれないよう努力するんだな。
そこからトゥアールが性懲りも無くふざけ続け、愛香が肉体的ツッコミをかまし俺がバグヴァイザーのチェーンソーモードで脅してようやく説明が始まった。全く、こちとら地元だからという理由でマスコミに捕まって疲れているというのに。
そしてまず最初にテイルギアの解説がされたのだが……なかなかに高性能なスーツだった。装着者の
が、しかし。いくつか気になる点が。
「ウに点々が多くてくどい。エクセリオンショウツの説明は名前からして外したのはわかるが、必要になるかもしれない状況のために恥ずかしくとも記載しろ。あと愛香、説明が長いからといってキレて殴るな」
俺の指摘に愛香は気まずそうに謝り、だが痴女…間違えた、トゥアールの方は開き直りやがった。
「年頃の男の子はウに点々が大好物なんですよ!所詮男を知らないメンヘラ処女の愛香さんには理解できないでしょうけどね!」
「し、処女じゃないわよ!男の子の喜ぶことくらいし、知ってるもん!」
「あーはいはい、去勢はいいですから。あ、ちなみに私も一度も経験はありませんのでご安心ください」
「何がご安心くださいじゃこの露出過激女がああああああああああああ!」
よくわからない叫び声をあげながら愛香がトゥアールを背負いあげ、豪快な技で背骨を極めていた。なぜだろう、かなり過激なことを言っているのにかけらも興味すら湧かん。それにこの女、礼儀を欠きすぎにもほどがある。容易に他人の性事情を聞くな。
「ヒッグ……ホントだもん…私、総二の喜ぶことちゃんと知ってるもん…」
「ピンポイントだな。なあ総二?」
「ここで話振るか普通!?」
やかましい。お前の彼女だろう、お前が落ち着かせろ。あ、そう言えば愛香が泣くとあの人が飛んでくる可能性がある。今のうちにポッピーピポパポに止めるよう指示をしておくか。
「え、マジ泣きですか!?ど、どどどどどどうしましょう……ていうか、本当に総二様と!?何かの間違いですよね!?」
「間違いもへったくれもへちまもない。事実だ。そろそろ本筋に戻っていいか?」
総二が何とか愛香を落ち着かせ、テンパっていたトゥアールも拳骨で
「このガシャットギアデュアルは、俺から生まれた良性のエレメリアンであるパラドの能力を極限まで高め、なおかつ仮面ライダークロニクルで本来彼女の持つはずだった力を模倣したものだ。ガシャットは別タイプがいくつか存在し、他の良性エレメリアンたちが所持している」
「ちょちょちょちょちょ!待ってください!良性のエレメリアン!?どういうことですか!?」
いきなりゾンビのごとく復活したトゥアールに、それはイラつくこともなく答える。
実のところ、良性エレメリアンについては俺も完全には理解しきれていない。大まかに言えば俺の
「まあ、エレメリアンだろうがなんだろうがパラドが俺の最高の嫁であることに変わりはない。よって良性エレメリアンの説明はこれにて終了し、次の段階に移る」
何か言いたげなメンバーを目で制して、パソコンを取り出しガシャットギアデュアルの解説に移った。横のパラドがぽかぽかと殴ってくるが、ちょうどいい肩叩きになっているので放置して進める。
「とりあえず、これがガシャットギアデュアルの簡単な機能だ」
パソコンにガシャットギアデュアルの画像とともに各機能の説明が書き込まれていた。
01.CGハイパーモジュール…黒画面の部分
ガシャットギアデュアルに搭載されたデータを実体化する装置。
記録されているデータを元に、スーツや武器などをゲームエリア内に実体化させることが可能。
内部はブラックボックス化されており、開発者だけがシステムの根幹を把握している。また、異空間や別の場所にゲームエリアを展開し、使用者や周囲の人物、敵などを転移させる機能も備えている。
02.アウターガードケース…外装部分
ガシャットギアデュアルの内部機能を保護する外装パーツ。成型加工しやすい軽量かつ高強度の素材が使用されており、表面にはあらゆる物体、現象への耐性を高めるコーティング剤が塗装されている。
03.ガシャットラベル…シール部分
ガシャットギアデュアルの両側面に貼られたシール。各ゲームのタイトルや登場キャラクター、開発会社である幻夢コーポレーション開発部のロゴなどが描かれている。
04.ディレクショナルサウンダー…スピーカー部分
ガシャットギアデュアルに搭載されたサウンドユニット。変身や必殺攻撃を実行する際に、選択中のゲームをイメージした効果音などを発する。ゲームエリア内にBGMを流すことも可能。
05.デュアルアップスターター
変身時に使用する実行スイッチ。ダイヤル操作後にスイッチを押すことで、選択したゲームのデータが読み込まれ、変身プログラムを実行する。
06.エリアスプレッダー
ガシャットギアデュアルに内蔵された空間生成装置。ゲームエリアと呼ばれる、データの実体化を可能としエレメリアンへダメージを負わせることを可能とする特殊空間を作り出すことができる。
07.アクチュエーションダイヤル
変身時や必殺技発動時に使用するダイヤル。変身を行う際はダイヤルを回して『パーフェクトパズル』と『ノックアウトファイター』のどちらかを選択する。
「なるほど…そういう作りになっているんですね」
「そうだ。次にーー」
それから俺は一通り、トゥアールにパーフェクトパズルとノックアウトファイターそれぞれの能力や共通している装備などのデータを開示し、その後大まかな現存している他のガシャットとそれらを持つ、俺が様々な方面で役割をもたせているバグスター…通常のエレメリアンはエレメリアン、良性エレメリアンはバグスターと区別することにする…たちのことを説明した。
ちなみに総二と愛香、両家と俺の両親はパラドを紹介するにあたり数年前にすでに知っていたので、エレメリアンが現れてもそこまで混乱することはなかったというわけである。
「ーーここまでで、大体の説明は終わりだ。何か質問は?」
「…なぜ、貴方はこれを作ったのですか?」
トゥアールがいい質問をしてくれた。その理由は明快単純、ゲームだけでは飽き足らない戦闘バカが何名かいるのと、いずれ現れるだろう脅威を退けるためだ。
「エレメリアンは通常、他者の属性力を摂取しなければ生きられない。それならば寄り集まり、より大きな力…組織となって計画的に人間の属性力を搾取するのでは?と考えたのだ」
その結果、それに対抗するために俺はガシャットギアデュアルや、例えば俺の持っている武器…ガシャコンバグヴァイザーなどを開発した。そして今日ついに、その恐るべき最悪の事態がやってきた。
「…あの。私、この世界に来るにあたって事前に情報収集をしたので、貴方のことも幻夢コーポレーションの社長として把握していて、つい先ほどもう一度経歴を調べ大体の素性を知ったのですが……改めて聞きますね。貴方人間ですか?」
突然失礼極まりないことを言って来るトゥアール。おい、それは初対面の相手に言うことじゃないだろう。
「それは俺が人外だと言ってるのか?」
「いやだって、どう考えても経歴おかしいでしょう!?ガシャットを生み出したのはまだしも、なんですかあれ!」
身を乗り出して訴えるトゥアールに、うんうんと頷く他のメンバー。まあ慣れてるし自覚しているからいいが、そこまで俺は桁外れな存在なのだろうか。いや、間違いなくそうなのだろう。
「俺が人外だというのは周知の事実だからもういいとして、まとめると俺たちはお前が現れる前にパラドたちによりエレメリアンの存在を知り、対策を立てていたということだ。はい、これにて俺の話は終わり。………さて、次は一番重要なこと…お前が何者かだ」
トゥアールはまだ色々と言いたそうだったが、すぐに何を言っても無駄だと悟ったのか座り直して言葉を発した。
「……私はこの世界の人間ではありません。異世界からやってきました」
「ふむ…予想通りだな」
「よ、予想通りなんですね……ただ、誤解なさらないでください。異世界とは言っても、正確には平行世界のようなものです。この世界とさほど変わりはありません。名称も違いますけど、この世界でいえば私日本人ですし」
「「マジで!?」」
総二と愛香の声がハモる。俺もこれには少し驚いた。なるほど、平行世界だと日本人には銀髪もいるのか。この世界でもクォーターやハーフだったら普通にいるが。
「既に
それから、トゥアールの敵の情報を交えた自分語りは始まった。
感想をいただけると嬉しいです。