幼女戦記×編隊少女   作:アル・ソンフォ

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更新が遅くなり、申し訳ありません。
当初のここに投稿する予定の話を没にし、書き直したため遅れてしまいました。


第15話:検証会

「君たちはよく頑張ってくれた。お陰で今日もフーファイターを撃退することができた。さあ、食べてくれ」

 藤堂司令官がねぎらいの言葉と共に、出席者に出したものは資料ではなくケーキであった。一戸瀬補佐官もそれに合わせるように珈琲を用意する。唖然とするターニャをよそに皆は普通にケーキを食べ始めた。横を見れば、副官であるセレブリャコーフ少尉もちゃっかりをケーキを頬張っている。

 ターニャはケーキを見つめていた。資料は司令官の執務机に置かれたままだ。司令官はみんながケーキを食べる様を無言で見ている。

 

「デグレチャフ少佐、どうしたのかな。」

藤堂司令官が声をかけてきた。

「遠慮はいらないよ。私は甘いのが若干苦手でね。貴官もそうだったのなら、別なものを用意したが。」

「はい、いいえ、そうではありません。小官は戦闘検証会と聞いておりましたが、お茶会の間違いでありましたでしょうか」

横でセレブリャコーフ少尉がむせている。慌てて、テーブルにケーキの皿を戻し。姿勢を正している。

 

「少佐、そう生真面目である必要はないぞ。」

藤堂司令官は周りを見てくれというジェスチャーをする。

 ターニャは改めて見まわして気付いた。司令官以外、少女と言って差支えのない女性ばかりがいる。いかつい軍人然とした将校も、会議のたびにひどく眼と鼻にくる紫煙も漂っていない。

「いかに、フーファイターと戦えるのは君たちのようなFF耐性をもつものとはいえ、本来ならば君たちは護られる側のはずだ。確かにフーファイターとの戦いは絶え間なく続いている。だが、検証の前にケーキを食べる時間ぐらいとっても罰は当たらないだろう」

なろほど、藤堂司令官は女性中心の組織であることに配慮すべきと言外に指摘している。ターニャは帝国と同じようにしようとしたことは良くなかったなと反省する。

「失礼しました。余裕を持つことも必要ですね」

ターニャは、珈琲に口をつけ、ソファーによりかかった。皆がケーキを食べ終わるまでゆっくりしよう。そうだ、第二〇三航空魔導大隊の諸君は停戦の日々を満喫できているのだろうか。

 

 検証会が始まると、ユンカース大尉も鳩森少尉も姿勢を正して資料見ている。ターニャはその姿を見て反省していた。女性の士官もいたとはいえ男性社会の帝国軍と女性中心のこの基地とでは対応を変えるべきだった。前世の人事経験を思い出せば容易に思いつくことを忘れていたとは、軍人に染まり過ぎているなと思う。

 しかし、場所が変われども、軍人であることは変わりはないのだ。軍人らしくあり続けよう。

「・・・以上のことより、今回のフーファイターの行動は、デグレチャフ少佐の光学術式に反応した威圧偵察と考えられる。また、デグレチャフ少佐の戦闘能力であるが・・・・・」

 藤堂司令官が、資料を見ながら語る。

 なるほど、今日の敵はあの光学術式が呼び寄せたというわけか、だが、精神汚染の危険性を顧みずエレニウム九五式を二回も使用しなくてはならない敵が出てくるとはどういうことだろう。ターニャは存在Xの悪意を感じずにはいれない。

 

「となると、演習などによる新型魔導具の運用データの収集は困難になるということでしょうか?」

「いや、今回は私の魔導具に対する理解不足が原因だ。思いがけない戦闘を誘発させたことは素直に謝罪しよう。むしろ、今回の戦闘で収集されたデータからは想定以上の能力を発揮していることが示唆されており、少佐の戦闘能力に対する調査は重要性を増したとさえいえる。今後のデータ集積の件については、本基地でFF研究に従事しているDr.エリノアが協力してくれる。彼女に任せれば、そういった問題は解決してくれるだろう。明日、打ち合わせよう。」

 ターニャは一瞬準備不足であんな状態に置かれたのかと不快になったが、すぐに思いなおす。藤堂司令官も自分と同じくこの世界に飛ばされたいわば同じ被害者だ。しかも、反省することは臆することなく謝罪し、配慮さえ見せている。上官としては悪くはない。ターニャは配慮に対する感謝を口にする。

 

「司令官殿、配慮感謝します。ですが、今回、小官が撃墜したフーファイターはかなりの戦闘能力を有していたといわざるを得ません。あのタイミングを考えると偵察と思われた小隊は囮で時間差で我々を挟撃、しかる後突破を図ろうとしていたと思われますが」

「ええ、デグレチャフ少佐が後衛待機でなく、私達と共に敵小隊と戦闘状態であった場合、先手を取られ私達が撃墜されていた可能性がありました」

「たしかに、あの敵は強力な全体攻撃能力を有していたのである。防御も固く、2個小隊が撃墜覚悟で当たらなければ撃墜できなかったと言わざる得ないのである。警戒警報も出ていないのに不思議であるな司令官。」

「新型魔導具は、当初の見込みよりもエレニウム九五式の能力を引き出せていました。もし、想定以下であったなら、少佐殿でも今回の敵を撃破できたか不明です」

鳩森少尉もユンカース大尉も、強力な敵と認識しているようだ。セレブリャコーフ少尉もさらりと怖いことをいってる。ターニャは司令官の返答をまつ。

 

「いかにフーファイターとの戦闘が続いているとはいえ、あのような敵が出るのはイ・・、すまない、本部より警戒情報がでる。出ない状態であのような強力な敵が出現することは今まではなかった。今までにない異例の事態ともいえる・・・」

 藤堂司令官はそういった後、ふと、気づく、目の前にいていま言葉を交わしている相手は誰だ。ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐だ。じゃあ、なぜ、幼女戦記の登場人物である少佐が編隊少女の世界にいる。それは、自分がこのゲームを始めた理由、幼女戦記のコラボ企画ではないか。自分がこの世界に来る直前何をしていた。このゲームをしてガチャを回して少佐を引き当てた。そこで記憶が途絶えている。そして確か今回のイベントはAFFイベントと合同、イベントが始まっている状態ということか。一気に青くなった。

 

「司令官殿」「司令官」「司令官様?」「司令官殿」「司令官」

急に表情が固まった藤堂司令官に皆が呼び掛ける。書類の一点を見たままだ。ターニャは、何か重大な見落としがあったがと資料を再度見るが時に気になる記載はない。どうしたのだ。

 

「藤堂司令官殿、何かお気づきになったことでも」

ターニャは席を立ち、近づいて呼び掛ける。やっと、藤堂司令官は反応をかえす。

「一戸瀬補佐官、至急本部に連絡をとれ。AFF襲来の可能性ありだ。」

一戸瀬補佐官が通信室に駆けていく。藤堂司令官は覚悟を決めてみんなを見る。

「さあ、皆、これから忙しくなるぞ。でも、その前に腹ごしらえをしよう。三〇分後、食堂に集合だ。夕飯を共に取ろう。あと、デグレチャフ少佐、再度打ち合わせがしたい。夕飯後、再度司令官室にくるように。なお、副官の参加は認めない。」

 




おまけコント7:
デグさん:「なんでこんなに更新が遅くなった。エタったと思われるぞ」
作者:「申し訳ない」
デグさん:「で、理由は」
作者:「いえ、実は当初、検証会をこんな真面目な内容にせず、少佐殿に呆れさせる内容だったのです」
エミリア:「なに、私を馬鹿にするつもりだったのか。聞き捨てにならんのである。ユンカース家の名誉にかかわる問題なのである」
鳩森:「そうですよ、わたしだって平和のために戦闘に参加しているのに」
作者:「申し訳ない。」
デグさん:「なるほど、最初のケーキの下り部分はその名残か」
作者:「はい、そうです。すべて削ってしまって、ケーキを食べる機会まで取るのは流石にと思いまして・・・」
全員:「今回は許します。では、ケーキおかわり!」

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