幼女戦記×編隊少女   作:アル・ソンフォ

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短いですが、キリが良いので投稿します。
本日9月24日は第二〇三遊撃航空魔導大隊大隊長ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐の誕生日です。
皆様、お祝いしましょう。


第13話:帰投

「ゲホ、ゲホッゲホホヘ」

 ターニャは、久々に放った空間爆撃による沸騰魔力拡散爆発の黒煙と気圧の急変にむせながら、状況を確認していた。今の攻撃で残存魔力は帰投する程度しか残っていない。念のために呼び掛けた投降への反応もなし、黒煙の下から地表へ落ちていくちぎれた翼や大小の部品が敵機を打ち果たしたことを示していたるが、まだ、気を抜けない。

「まさか、フーファイターの操縦士は我々航空魔導士と同様に空を飛べたりするわけではないよな」

魔導反応で確認したいが、放った術式の影響で不能状態とは、しばし待つしかないだろう。

 

「う、嘘なのである。あの敵を一撃で・・・」

 エミリア・ユンカースは、目の前で起こったことが信じられないでいた。

 司令官から、空間爆撃警報などという聞きなれない警告と退避命令を受け旋回し敵フーファイターから距離をとった時、デグレチャフ少佐の神へ捧げる祈りの言葉と共に突如自分たちの機体にまで襲った衝撃、何とか機体の安定を取り戻したとき見えた光景は、黒く巨大でなおも広がり続ける爆煙であった。

 思わず無線で司令官と自分の小隊に呼び掛けるが、激しいノイズで通信ができない。一体、航空魔導士とは、デグレチャフ少佐とは何なのだろうか。エミリアは視界に広がる黒煙をただ見ているしかなかった。

 

「魔力反応測定限界突破、敵機反応消滅。」

 セレブリャコーフ少尉の報告と共に、ノイズが走り演算宝珠からの戦闘中継も途絶した。それでも、ここまで届いた爆音とここからでも目視で確認できるほどの爆煙を起こす威力だ勝利は確実だろう。

 藤堂司令官は思わず笑いだした。

「藤堂司令官殿、どうされたのですか。」

 セレブリャコーフ少尉が心配そうな顔で聞いてくる。戦闘指揮を執っている最中に指揮官が笑い出すのは、確かに異常だろう。でも、これは抑えられない。二回も展開した術式の威力を見て確信できた。デグレチャフ少佐の強さは規格外だ。ゲームのガチャで引き当てて出てきたばかりのLv.1の状態という代物なんかでは絶対ない。あのアニメの世界からその能力そのままにこの世界に来ていただけた本物のデグレチャフ少佐だ。

 いけないいけないここは司令官という立場に戻ろう。

「すまない、セレブリャコーフ少尉。少佐のあまりの威力を目の前にして狂喜のあまり笑い出してしまった。通信はまだ回復できないか?」

「はい、魔力ノイズの影響で通信の回復には一八〇ほどかかるかと。ですが、少佐殿の勝利は間違いありません。」

セレブリャコーフ少尉は明るい表情で言った。

 

 

 

 やっと爆発による黒煙が晴れたとき、ターニャはやっと敵機撃墜成功を確信した。空には、あの敵機も操縦士も見当たらない。念のため、魔力反応も確認したが無反応だ。九五式を全力で用いて二回の術式展開を必要とする強敵、あの恐ろしいまでに執拗であった協商連合の魔導士よりも厄介だったなど思いながら演算宝珠で司令官に呼び掛ける。なんと目まぐるしい一日だったのだろう。

「デグレチャフ少佐より藤堂司令官へ、敵機撃墜を確認。帰投許可を。」

まだ若干のノイズがあるが、すぐに返答がきた。

「デグレチャフ少佐、帰投を許可する。ユンカース小隊と共に基地への進路をとるように。見事な勝利だ。着任早々このような戦果を挙げるとはね、貴官の副官に珈琲を用意させておこう。」

「小官への配慮に感謝します。できればチョコレートも用意していただけると嬉しいのですが。何分、魔力を限界まで使い果たしておりますので。」

「承った。それぐらいお安い御用だよ。早く帰投したまえ。」

 

 流れ去った黒煙の向こうからユンカース小隊がこちらに向かってくるのが見えた。ヴァルハラなどいつでも行けてしまうご時世だ。今日は美味しい珈琲の待っている基地へ戻ろう。

 




おまけコント5:

デグさん:「今日9/24は私の誕生日だ。作者よ何か用意してくれているのだろうな?」
作者:「珈琲とアップルパイをご用意しました。どうぞ。」
デグさん:「うむ、まあ、おいしいではないか。んっ?」
ヴィーシャ:「ご相伴に与っています。パクッ」
デグさん:「セレブリャコーフ少尉、いつの間に。というか半分なくなっているではないか。おい!」
ヴィーシャ:「缶詰でないアップルパイが美味しくてつい」
作者:「お土産に1箱用意してあります。あとでお持ち帰りを(余、用意しておいてよかった…)」

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