コズミックプリキュアS   作:k-suke

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第37話 ライバル大激突(前編)

 

 

 

 

 

ソーラとゆうの戦いを止めようと、松葉杖を突きつつ必死に現場へと向かったランだったが全ては手遅れだった。

 

ソーラは四季 ゆうことキュア・デッドに完膚なきまでに叩きのめされ破壊されてしまった後だった。

 

 

ラン「ソーラさん!! しっかりして!! ソーラさん!!」

 

ランは必死に呼びかけるも、手足がもげ落ち完全に達磨状態になってしまっていたソーラは、機能停止寸前になってしまっておりなんとか絞り出すといったように答えた。

 

 

ソーラ「ラ…ランちゃ…ん… ご、ごべ…んね… 私… 何に…でき…くて… 怪…までざ、て… 豪くん、ぼ、アヤバ…お、て…」

 

 

ラン「何いってるの!! 私ももちろん豪だってそんなこと気にして無いわよ!! 変な遺言みたいなこと言わないで!!」

 

 

ソーラの意識を保たてようと必死になって呼びかけていると、けたたましいブレーキ音とともに一台の車が突っ込んできた。

 

遠藤「ラン!! ソーラは無事か!?」

 

ラン「あっ、おじいちゃん!! 早く!! ソーラさんが今にも壊れちゃうから!!」

 

車から飛び降りてきた遠藤博士だったが、ソーラの惨状を見て言葉を失った。

 

 

遠藤「こ、こりゃひどい!! せめて応急修理だけでもせにゃ…」

 

 

遠藤博士が持ってきた工具箱から各種の道具を取り出し、ソーラの応急修理を始めたのを確認すると、ランは松葉杖のおぼつかない足取りで立ち上がった。

 

 

遠藤「ま、待て!! どこに行くつもりじゃ!?」

 

ラン「止めなきゃ… リーフさんとダイーダさんを… ゆうさんを… こんな戦いどっちが勝っても虚しいだけだもの!!」

 

 

 

そう言い放ったランの見据えた先には、ビルの屋上や壁を足場にして飛び交う三人のプリキュアの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リリーフ「チェンジハンド・タイプブルー!! エレキ光線発射!!」

 

 

ビルの間を飛び交いながらリリーフは両腕のマルチハンドを稲妻模様の走った青い腕に換装し、電撃光線をデッドに向けて連射した。

 

 

だが、デッドもまた三次元的な動きを駆使した回避行動を取り見事なまでに避け切った。

 

リリーフ「くっ、さすが…」

 

 

敵ながらあっぱれと舌を巻いていると、デッドはエアークラフトの力を利用して猛スピードで大鎌を振りかざして突っ込んできた。

 

 

ダイダー「リーフ、危ない!! チェンジハンド・タイプレッド!!」

 

 

すかさずダイダーは両腕を一回り大きなゴツゴツした赤い腕に換装し、その攻撃をなんとか受け止めに入った。

 

 

 

 

ダイダー「ぐ、ぐうっ…」

 

このレッドハンドは片手でも大型トラックを持ち上げるほどの怪力があり、全長十数メートルあるドラフターをも軽々と振り回せる。

 

 

だがそれほどのパワーのある腕を持ってしても、デッドの一撃はなんとか受け止められるというレベルのものであった。

 

 

 

デッド「賞賛する。さすがは私の叔母だ。数多の世界を回ったがやはり貴様達でなければ戦い甲斐がない」

 

嬉々としてそう告げると、デッドは鍔迫り合いをしていたダイダーを蹴り飛ばした。

 

 

ダイダー「うあっ!!」

 

 

 

そうしてバランスを崩したところを目掛けて、デッドの右手のマシンガンが火を吹いた。

 

 

ダイダー「ぐうううっ!!」

 

とっさに防御こそしたものの、デッドのマシンガンは普通の人間が浴びれば一瞬で肉塊になるレベルの威力がある。

 

 

いかにダイダーといえどもただでは済まず、ダメージを受けて縮こまってしまった。

 

それを見たデッドは隙ありとばかりに再び飛びかかっていった。

 

 

リリーフ「ああっ!! させるもんか!! プリキュア・レインボール!!」

 

ビルの屋上に着地したリリーフは、ダイダーの危機にそうはさせじと虹色の玉を亜音速で投げつけた。

 

 

 

デッド「!!!」

 

 

その虹色の玉の直撃を受けたデッドは大きく吹き飛ばされたものの、空中でくるくると回転して姿勢を立て直し、地上に難なく着地した。

 

 

 

 

 

 

リリーフ「ダイーダちゃん、大丈夫!?」

 

ダイダー「ありがとう、なんとかね。にしても…」

 

 

こちらもまた、なんとか着地して体勢を立て直したものの、いっぱいいっぱいに近かった。

 

 

ダイダー「あんたね!! こんなことしてなんの意味があるの!?」

 

自分たちと違って余裕綽々といったように大鎌を構えているデッドを見て、ダイダーは我慢の限界というように叫んだ。

 

 

デッド「愚問に回答する。私はプリキュアを破壊する死神。そしてお前たちがプリキュア。それ以上の意味も理由もない」

 

 

相も変わらない、よくいえば一本気 悪くいえば身も蓋もない答えに二人は悔しそうに顔を歪めた。

 

ダイダー「全く変わらないわね、そう言うところは…」

 

リリーフ「悔しいなぁ… あんな立派な人たちがこの世界のために作ったものが、この世界の役に立たないなんて… もしもセーリやパーリたちドラフターと戦ってくれたら…」

 

 

デッド「肯定する」

 

二人のつぶやきにデッドは淡々と返事をした。

 

 

 

 

ダイダー「えっ?」

 

リリーフ「今なんて…」

 

 

デッド「再度回答する。あの端末ならば既に私が処分した」

 

リリーフ「なっ!?」

 

 

予想外の展開に驚きの声をあげたリリーフだったが、ダイダーには今のセリフが引っかかった。

 

ダイダー「ま、待ちなさい!! あれが端末… あなた何か知ってるのね!!」

 

 

何かデッドは知っている。

 

そう判断して問い詰めようとしたが

 

 

デッド「肯定する。だがそんなことに意味はない。貴様らとの勝負の邪魔にならないようにしただけだ、行くぞ」

 

聞く耳持たないと言わんばかりにデッドは大鎌を振りかぶって飛びかかろうとした。

 

 

 

 

 

 

ラン「やめて、ゆうさん!! リーフさんもダイーダさんも!!」

 

そこに松葉杖をつきながらもなんとか駆けつけたランの、悲痛な叫びが響いた。

 

 

ダイダー「ラン?」

 

リリーフ「ダメだよ!! そんな体で出てきちゃ!!」

 

 

よたよたとしたおぼつかない足取りのランを見て、危険だというように二人は叫び

 

デッド「同意する。ランここを離れろ。お前をそれ以上戦いに巻き込みたくはない」

 

デッドもまた淡々とした口調ながらも、ソーラやリーフ、ダイーダに対する態度とは全く別人のように優しくランに対して避難を促した。

 

 

 

ラン「離れるもんですか!! 戦いをやめるって約束してくれなきゃテコでも動かないからね!!」

 

 

リリーフ・ダイダー「「…」」

 

固い決意の表情とともに言い放ったその言葉にリリーフとダイダーは何も言えなくなり顔を見合わせ、デッドもまた攻撃をためらうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひとまず止まった戦いを見てランは安堵したように小さく息を吐いたが

 

ラン「ふう… とりあえず止まったけど… これからどうしよう…」

 

一体これからどうしたものかと考えていたところ、急に空が暗くなってきた。

 

 

 

リリーフ「何?」

 

ダイダー「さっきまで晴れてたのに!?」

 

 

突然のことに皆が戸惑う中、デッドは空を見上げつつ淡々と呟いた。

 

デッド「…起動確認。もう少し時間に余裕があるかと思ったが」

 

 

ラン「えっ、ゆうさん何か知って…」

 

 

次の瞬間、空を覆わんばかりに巨大な円盤が上空に出現した。

 

 

ラン「な、何あれ?」

 

あんぐりと口を開けたランだったが、リリーフとダイダーの表情は険しいものになっていった。

 

リリーフ「デッド、まさか!? あれが!!」

 

ダイダー「連中の本拠地…」

 

 

デッド「肯定する。連中の本拠地ブルペノンだ」

 

変わらぬ簡潔な答えだったが皆の疑問は膨れていった。

 

 

ダイダー「な、なんであんたそんなこと知ってるのよ!!」

 

デッド「回答する。私に取り付けられたマイナスエネルギーの波動を解析した結果だ。パーフェクトの一派を含めDr.フライに取り付けられたものの源流はあそこで作られたものだ」

 

 

リリーフ「Dr.フライ!? 待って、セーリもパーリもあなたが破壊したって… じゃあ今あれを動かしているのは!!」

 

 

 

デッドが嘘を口にするような存在でないことは、皆知っている。

 

ならばあの円盤を操縦している存在がなんなのかも簡単に予測がついた。

 

 

ラン「あいつ、全く進歩してないのね。何が天才科学者よ!!」

 

そうして吐き捨てたところに怒声が響いてきた。

 

 

Dr.フライ「黙らんか!! ケツの青いガキンチョが、わしを誰だと思っておるか!!」

 

 

その聞き覚えのある台詞回しの怒声にみんなして思わず振り返ると、そこにいたのは案の定だった。

 

 

ダイダー「Dr.フライ!! そんなボロボロでのこのこ出てくるとはいい度胸ね」

 

リリーフ「あんなので一体何をするつもりなの!?」

 

 

怒りの表情で詰め寄ったリリーフとダイダーだが、傷だらけでやっと立っているといった様子のDr.フライもまた、負けず劣らずの怒りの声で言い放った。

 

Dr.フライ「それはこっちが聞きたいわ!! 何者かは知らんがわしを成層圏から放り捨ておって!! 不死身のこのわしじゃからこそ、こうして生きておるというのに!!」

 

 

リリーフ「えっ…?」

 

ラン「あれ、あんたじゃない…の…」

 

ダイダー「じゃあ一体誰が…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆がキョトンとする中、上空からドスの効いた声が響いてきた。

 

 

 

(闇を… もっと闇を…)

 

 

リリーフ「!! 誰!?」

 

Dr.フライ「ヌゥッ!? この声は!!」

 

 

(光… プリキュア… 闇を払うもの… 我が主人の天敵… 抹消する)

 

 

その宣告とともに、円盤の下部からはボロボロとミサイルが降り注いできた。

 

 

 

ラン「えっ?」

 

ダイダー「いけない!!」

 

突然の物騒な言葉とともに投下されてきたミサイルに皆は一瞬反応が遅れ、特に走り出すことのできないランは完全に逃げ遅れてしまった。

 

 

 

だが、

 

 

リリーフ「うわっ!!」

 

ダイダー「デッド!?」

 

 

ミサイルが着弾するより早く、デッドの右手のマシンガンが火を吹き全弾暴発させた。

 

 

 

ラン「ゆ、ゆうさん…」

 

デッド「ラン、再度警告する。直ちにここを離脱せよ」

 

 

それだけ言いおくとデッドは上空の円盤を睨みつけた。

 

 

デッド「警告する。プリキュアを破壊するのは私の使命だ。邪魔をするならば容赦はせん!!」

 

 

 

 

そう宣告するとデッドは大鎌を携えて飛び上がり投下されてきたミサイルを片っ端から切り刻んで突撃していった。

 

 

リリーフ「ああっ!! ダイーダちゃん!!」

 

ダイダー「ええ!! ライナージェーット!!」

 

 

それを見たリリーフとダイダーも放っては置けないと、ライナージェットを召喚してブルペノンに立ち向かっていった。

 

 

 

続く


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