コズミックプリキュアS   作:k-suke

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第3話 大逆転!! プリキュア復活(前編)

 

 

 

 

甲子市 市街地

 

 

 

 

この甲子市は中堅規模の街であり、それなりに人口も多く、発展もしている。

 

日が沈み、街灯に火がつき始めた頃、その市街地のど真ん中に、突然巨大な馬のような怪物が出現して暴れまくっていた。

 

 

当然、ビルは破壊され帰宅しようかとしていた人々は悲鳴とともに逃げ惑っていた。

 

 

そして、パワードスーツを装着したレスキューチームもまた駆けつけていたが、ビルの瓦礫に押しつぶされた人々を救助したり、避難誘導の手伝いをしたりするだけで手一杯であり、とてもではないがその怪物に対処することなどできる状況ではなかった。

 

 

そんな大混乱の状況でも、たくましくレポートをするレポーターがいた。

 

 

「テレビの前の皆様ご覧ください。つかの間の平和を破り、突如として出現した謎の巨大怪物。 これはまさか、かの次元皇帝パーフェクトと名乗る者たちの再来なのでしょうか。 果たして我々は一体どうなってしまうのでしょうか?」

 

 

カメラマン「ちょ、ちょっと。そろそろやばいってせっちゃん。俺たちも避難しないと!!」

 

 

このせっちゃんと呼ばれたレポーターは、突撃レポーターとして有名な甲斐(かい) 節子(せつこ)

 

もともと、そのキャラクターから人気のあったレポーターだが、Dr.フライの衝撃の真実を突き止め、プリキュアとも関わることがあったということで今やかなりの人気レポーターとなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

もっとも、かなり無茶なレポートをするのは相変わらずのようで

 

節子「ぶぁか!! 危険だからって逃げるようなマスコミがいるか!! 最後の最後まで命をかけて真実を報道するってプライドがないのか!! それでなくても最近キャラの被った後輩が出てきて私の仕事奪い始めてるってのに… ほら行くぞ!!」

 

 

 

マスコミとしてある意味正しく、かなり危険な発言をしてカメラマンを引っ張り回していた。

 

 

 

 

そして案の定そんな彼女たちに対して、馬の怪物の攻撃で崩れてきたビルの瓦礫が飛んできた。

 

 

節子「へっ?」

 

 

突然のことにさしもの節子も一瞬ぽかんとしてしまい、逃げ出すのが遅れてしまった。

 

 

カメラマン「せっちゃん!!」

 

 

そしてカメラマンの叫びに、瓦礫が彼女を押しつぶそうとしたところでようやくそのことに気がついたが、すでに逃げられる状態ではなかった。

 

 

 

 

「あっぶな〜〜〜い!!」

 

 

しかし押しつぶされる直前、何かが飛び込んできたことで、何とか潰されずに済んだ。

 

 

 

 

節子「あ、あいたたた… な、何なのよ。 あん?」

 

結果的に助かったとはいえ、思い切り突き飛ばされる格好になり全身を強く打ちつけてしまった節子は、痛みに顔をしかめながなら起き上がった。

 

 

気を取り直したところで辺りを見回した節子だったが、そこで瓦礫に頭から埋まってしまっていた少女の姿が目に入った。

 

 

「sjo- sjo- a;dla@ た〜す〜け〜て〜」

 

 

節子「ったく、しょうがない。ちょっと我慢しなさい、よ」

 

どこかみっともない格好で埋まってしまっていた状況に呆れながらも、仕方ないというように節子はその少女の足を掴んで引っ張り出した。

 

 

 

 

 

 

ソーラ「ぷっは〜っ!! おかげで助かりました。おめでとうございます」

 

節子「はぁ? ったく、なんなのよあんた。とりあえず助けてもらったんだからありがとうでしょ。まぁこっちもありがとうだけど」

 

そのトンチンカンな挨拶に、節子は訳がわからんというような表情と共に一応礼を言ったが、それを聞いたソーラははたと気がついたように真剣な顔になった。

 

 

ソーラ「ああそうだった、早く逃げてください。あの怪物は私が、このプリキュアがなんとかします!!」

 

 

 

その言葉に節子もまた食いついた。

 

 

節子「プ、プリキュア!? あんたが!? ってそういえばあんた、プリキュアにそっくりじゃない!! よーし頑張ってきなさい!!」

 

 

一応プリキュアの一人だった四季ゆうにそっくりのソーラを見た節子は、彼女のことを信用し、そう言って送り出した。

 

 

 

もっとも

 

節子「よっしゃー!! 独占中継よ。プリキュア復活、カメラ回して早く!!」

 

自分の仕事を忘れないあたりさすがであった。

 

 

 

 

 

一方、市街地を破壊している馬型怪物の前に堂々立ったソーラは毅然とした態度で言い放った。

 

 

ソーラ「破壊と暗黒の怪物ドラフター!! これ以上の破壊はこのプリキュアが絶対に許さない!!」

 

 

 

節子「おおーっ!! テレビの前の皆さん、ご覧下さい。新たなプリキュアが今ここに敢然と怪物に立ち向かっていきます!!」

 

 

 

節子の興奮気味のレポートの中、ソーラは馬型怪物 ドラフターへと飛び掛った。

 

 

 

ソーラ「タァアアア!!」

 

 

 

 

 

威勢のいい掛け声とともに大ジャンプしたソーラだったが、馬型怪物は首を一振りしてそれを跳ね飛ばした。

 

 

 

 

ソーラ「ふんぎゃー!!」

 

 

結果、情けない悲鳴とともに、大きく弾き飛ばされたソーラはそのままビルに叩きつけられ瓦礫の中に埋まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

節子「あ、あれ?」

 

あまりにもあっさり跳ね飛ばされてしまったソーラに、思わずきょとんとしたような声をあげた節子の横に、車でソーラを送り届けてきた河内警部も呆れ顔で頭をかきむしっていた。

 

 

河内「ったく一体何をやっとるんだ」

 

志夜「あれが本当にプリキュアなんですか? なんか違うような…」

 

 

 

 

節子「あら、河内警部」

 

河内「オォあんたか。すまんが話は後だ。あいつを助けてやらにゃ」

 

 

跳ね飛ばされてしまったソーラを助けようと駆け出していった河内警部達を見て、節子もまた仕方ないとばかりに駆け出していった。

 

 

 

 

ソーラ「ふっ、やってくれるじゃないのさ…」

 

なんとか瓦礫から這い出したソーラは、負けじと強がりを言っていたが

 

 

河内「本当に大丈夫かよ…」

 

節子「しっかりしてよね…」

 

 

ぴよぴよと目を回しながらの言葉には、不安以外存在していなかった。

 

 

 

ソーラ「大丈夫に決まってるじゃない。プリキュアだって無敵じゃないんだもの。はじめはやられたりするものなのよ…」

 

 

体の埃をパタパタと払いながら立ち上がったソーラは、再びファイティングポーズを取り馬型怪物に対して言い放った。

 

 

ソーラ「よくもやってくれたわね。倍にして返してあげるわ!!」

 

 

 

だがそんなソーラのことなど知ったことかというように、馬型怪物は巨大な蹄で彼女を踏み潰そうとしてきた。

 

 

ソーラ「なんの!!」

 

 

それをかなりギリギリとはいえなんとかかわし、怪物の懐に入り込むことに成功したソーラは、不敵に笑いながら大ジャンプした。

 

 

ソーラ「くらえ、悪魔め!! この私の正義の鉄拳を!!」

 

 

そして、ソーラの渾身のパンチが馬型怪物に対して炸裂した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ポクン…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソーラ「…あれ?」

 

 

ソーラのパンチは情けない音を上げ、怪物を倒すどころかダメージにすらなっていなかった。

 

 

 

そんなソーラの攻撃が鬱陶しく感じたか、馬型怪物は怒りに満ちたような雄叫びをあげると、ソーラを地面に叩きつけた。

 

 

ソーラ「きゃあああ!! ぶべ!!」

 

 

おかしな悲鳴とともにダメージを受けたソーラはなんとか立ち上がろうとしたが、馬型怪物はそんな彼女を再び踏み潰そうとしてきた。

 

 

ソーラ「くっ!!」

 

避けきれないと判断したソーラはなんとか蹄を受け止めようとしたが、そんなものは抵抗にもならずあっさり踏み潰された。

 

 

 

 

さらに間髪入れず、ソーラは馬型怪物に蹴り飛ばされボールのように弾んで行った。

 

 

ソーラ「な、なんで…?」

 

 

ボロボロになって転がり意識が遠のいていく中、うわごとのようにソーラはそうつぶやいた。

 

 

 

 

遠藤平和科学研究所

 

 

この研究所の奥には極秘の司令室のようなものが今なお常備されており、一連の戦いは、ソーラのアイカメラを通じてこの研究所にも一部始終が通信されていた。

 

 

とはいえ、あまりといえばあまりなソーラの戦いぶりに一同は呆れるやら慌てるやらであった。

 

 

 

ラン「な、なにあれ!? ものすごく強いじゃないあの怪物」

 

豪「いや、ありゃどっちかっていうと姉ちゃんの方が弱いんじゃね?」

 

 

遠藤「えぇい、見捨てるわけにもいかん!! 豪、アンチマイナーガンの準備をしろ!! わしらも助太刀に行くぞ!!」

 

 

アンチマイナーガン

 

かつての戦いの中、遠藤博士の製作した対怪物用のビームガンであり、殺傷能力及び物理破壊能力はないがマイナスエネルギーを簡易的に浄化できる優れものである。

 

 

豪「よ、よしわかった!!」

 

 

遠藤博士の言葉に二つ返事で頷き、アンチマイナーガンの準備をしようとしたところ、研究所の居間の方からガラスが割れる音が響いてきた。

 

 

ラン「な、何? 泥棒?」

 

豪「なんだよこんな時に!!」

 

遠藤「えぇい、次から次に厄介なことを!!」

 

 

ひっきりなしに起きる面倒ごとに、多少憤慨しつつ居間に向かったところ一同は目を見開いた。

 

 

ラン「ああっ!?」

 

豪「こ、これって!?」

 

遠藤「まさか!?」

 

 

 

そこに大切に保管されていたもの、この研究所にとっての最大の宝がカプセルから姿を消していたからである。

 

おまけに近くの窓ガラスは、部屋の中から何かが飛び出していったように割れていた。

 

 

 

第3話 終


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