コズミックプリキュアS   作:k-suke

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この話を執筆したのは、魔法つかいプリキュアの最終回よりしばらく前です。


そのため公式とは設定が違っていますが、そこはご勘弁を。


第26話 輝け!! シャイニーダイヤモンド(後編)

 

 

 

 

 

 

 

トラウーマ「無駄なことを!! 何度立ち上がろうとも貴様らなど!!」

 

変身し立ち向かってくる四人に対して、イラついたように砲撃を雨あられと行ったトラウーマだが、全てことごとくかわされてしまった。

 

 

トラウーマ「な、何? どういうことだ!?」

 

つい先ほどとはまるで動きが違うプリキュアを見て驚愕したトラウーマにマジカルは堂々と言い放った。

 

マジカル「この歌が私たちに力をくれるのよ!! もうあんたなんかに負けないわ」

 

 

 

 

トラウーマ「歌だと!? こんな子守唄に何の力が!!」

 

バカにするように吐き捨てたその言葉とともに放たれた巨大なニンジンのような弾頭を片手でさばいて跳ね返すとともに、フェリーチェは毅然として言い返した。

 

フェリーチェ「いいえ、ただの歌ではありません。人を思いやる優しさ、受け継ぎたい思い、自分の弱さを認める強さ、諦めない心。それ以上の想いのこめられたものです。これほどに素晴らしいものはありません!!」

 

 

 

トラウーマ「黙れ!! あんなくだらん女に育てられた右も左もわからんバカな女の歌にそんな力があるはずがない!!」

 

目の前の現実が受け入れられないのか、必死に否定するように叫びながらどす黒い光線をミラクルとソーラーに向けて発射した。

 

 

ミラクル・ソーラー「「!!!」」

 

 

光線によって闇に覆われていったミラクルとソーラーを見て、ニンマリといやらしげな笑みを浮かべたトラウーマだったが

 

 

ミラクル・ソーラー「「〜っ!! ハァッ!!」」

 

 

ただの気合だけでかき消されてしまい愕然とすることになった。

 

 

トラウーマ「な、なぜだ? こんなことがあってたまるか!! 闇の王たるこの俺が、貴様らなんぞに!!」

 

 

ミラクル「人の想いを利用して踏みにじろうとするような人に、私たちは絶対に負けない!!」

 

ソーラー「大切な人との思い出を歪めたような人を絶対に許すもんか!!」

 

 

トラウーマ「ほざけー!!」

 

 

 

激昂とともにミサイルが乱射されてきたため、さすがに捌き切れなかった四人はとっさに身を伏せた。

 

 

マジカル「くっ、さすがにやるわね。なら…」

 

 

マジカルはリンクルストーン・ペリドットをはめたステッキを振りかざした。

 

マジカル「リンクル・ペリドット!!」

 

その呪文とともに葉の吹雪を放ち、トラウーマを包み込もうとした。

 

 

ミラクル「私も!! リンクル・ガーネット!!」

 

ミラクルも負けじとリンクルストーン・ガーネットをステッキにはめ、地面に大きな波を起こした。

 

 

トラウーマ「甘いわー!!」

 

しかし、葉の吹雪は一息で吹き消され、大地の揺れも力づくで抑え込まれてしまった。

 

マジカル「ああっ!!」

 

フェリーチェ「こちらの力が上がっていても向こうの強さには変わりはない… こちらの攻撃も通じないとは…」

 

歯噛みをしたフェリーチェにミラクルは心折られることなく告げた。

 

 

ミラクル「諦めちゃダメ。周りからみんなで攻撃すれば…」

 

 

ソーラー「周りからみんなで… それに宝石… そうだ!!」

 

 

何かを考えていたソーラーだが、ついに点と点とがつながったというように声をあげた。

 

 

マジカル「どうしたのよ、急に?」

 

 

ソーラー「いい手があるの。少しだけ時間を稼いで」

 

フェリーチェ「何か、有効な手立てがあると?」

 

 

フェリーチェの質問に、ソーラーは力強く頷いた。

 

 

ミラクル「よし、わかった。お願い、ソーラー!!」

 

 

ソーラーに全てを託すと、ミラクルたち三人は三方に散らばりトラウーマを牽制し始めた。

 

 

トラウーマ「何をやろうと無駄だ!! この闇の王たる俺に小手先の技など無意味だ!!」

 

 

ソーラー「やってみなきゃわかるもんか!! 幾ら何でもバラバラになればおしまいでしょう!! 今考えた私の新必殺技を見せてあげる!!」

 

 

マジカル「えっ? い、今考えた?」

 

 

不安しかないその言葉に皆が戸惑う中、ソーラーは意識を集中させて叫んだ。

 

ソーラー「行くよ!! モードディヴィジョン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

その掛け声とともにソーラーは立体映像投影装置を起動させ、髪の色が赤と青と黒になっている三体の分身を作り出した。

 

 

 

そして分身完了するとともに、四人になったソーラーはトラウーマに四方から組みついた。

 

 

ソーラー「エネルギー全開、フルパワー!!」

 

そのままトラウーマを上空まで持ち上げていった後、トンボを切って距離をとった。

 

 

 

フェリーチェ「あの人、一体何を…」

 

 

続けてソーラーはクロムスティックを二本とも取り外し、先端から光のビームを発射した。

 

ソーラー「ビームライン・シュート!!」

 

トラウーマの四方に陣取った四人のソーラーが同じようにビームを発射した結果、ビーム同士がちょうど正方形を描いた。

 

 

トラウーマ「な、何をする気だ!?」

 

 

さらにソーラーは今度はスティックをそれぞれ上下に向けてビームを放ったため、トラウーマを閉じ込めるようにビームを辺にした正八面体が完成した。

 

 

ソーラー「インフィールドゾーン完成!!」

 

 

 

 

 

 

そのビームの正八面体 インフィールドゾーンの頂点からは閉じ込められていたトラウーマに対して強烈なプラスエネルギーが電撃の嵐のように降り注いでおり、相当のダメージを与えていた。

 

 

マジカル「す、すごいエネルギーだわ。おまけにあの空間から外にそれがまるで漏れないなんて…」

 

 

 

ソーラー「プリキュア・シャイニーダイヤモンド…」

 

地面に着地したソーラーが腕を構えているのを、ダメージを受けて歪んでいる視界の端に捉えたトラウーマは、この先どうなるかがわかり必死に懇願した。

 

トラウーマ「ぐああぁ… や、やめ〜…」

 

 

 

 

 

 

しかし、ソーラーは無情に指をパチリと鳴らした。

 

ソーラー「フィニッシュ!!」

 

 

次の瞬間、インフィールドゾーンの中で目もくらむばかりの強烈な閃光とともに大爆発が発生し、トラウーマの末期の悲鳴が盛大な爆発音の陰でかすかに聞こえた。

 

 

トラウーマ「ギャアアア!!!」

 

 

 

ソーラー「や、やった… うまくいった…」

 

緊張の糸が切れたか、分身も消滅しソーラーはがっくりと膝をついてしまっていたが、どこかやりきったというような充実した笑みを浮かべていた。

 

 

ミラクル「すごい…」

 

フェリーチェ「もしかすると今のが…」

 

マジカル「ええ、水晶さんのお告げの光のダイヤモンド…」

 

凄まじい光景に半ば呆然としていたミラクルたちはそうするだけでやっとというようにポツリとつぶやいた。

 

 

 

そんな中、かろうじて燃え残ったらしいトラウーマのシルクハットがひらひらと舞い落ちてきた。

 

そのシルクハットをそっと受け止めたソルシエールは、悲しそうな顔をして一撫でした。

 

ソルシエール「トラウーマ…」

 

 

 

 

ソルシエール「皆すまなかった。私の弱さゆえに迷惑をかけてしまった」

 

申し訳ないというように深々と頭を下げたソルシエールに皆は明るく告げた。

 

フェリーチェ「いえ、頭を上げてください」

 

ミラクル「いいんだよ、もう」

 

マジカル「あなたの思いは伝わったから」

 

 

 

ソルシエール「思い…そうか…」

 

フッと笑みを浮かべるとソルシエールは澄み渡った青空を眺めてつぶやいた。

 

ソルシエール「もし、許されるのなら… 私も先生のように子供に魔法を伝えるような仕事がしたい。先生ほどうまくできるかわからないが…」

 

 

豪「へー、いいじゃんそれ」

 

ラン「頑張ってください」

 

ソーラー「きっとできますよ。私にだって、なんとかかんとかできてるんですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソルシエール「何!?」

 

大団円となった次の瞬間、ソルシエールの手にしていたシルクハットが突如として黒い光を放ち飛び上がった。

 

 

ミラクル「えっ?」

 

マジカル「何?」

 

 

突然の事に皆が戸惑う中、シルクハットは圧縮されていき黒い水晶となっていった。

 

 

ソーラー「!! あれはまさか、ダーククリスタル!?」

 

ソーラーが驚愕の声をあげるとダーククリスタルは飛んでいき、上空に浮かんでいたセーリの手に収まった。

 

 

セーリ「ダーククリスタル生成完了…と。もう少しはやれるかと思ったが所詮は不良品か」

 

ソーラー「セーリ!! それはどういう意味!?」

 

 

 

フェリーチェ「強大な闇の力を感じます。一体あの方は…」

 

豪「姉ちゃんや俺たちが戦ってる相手だよ。でもそれより…」

 

ラン「ええ、今の言葉どういう意味なの?」

 

セーリの言葉に疑問が浮かぶ中、あざ笑うかのような言葉が響いた。

 

 

パーリ「どうもこうもねぇ。こいつはもともと俺たちがいろんな次元にばら撒いた自立プログラムの一つ。世界を暗黒に染めるための端末。ただの道具だ」

 

 

マジカル「なっ!?」

 

セーリ「まぁそれなりに性能はいい方だったはずだが、愚にもつかん女にあっさり封印され、何も為すことのできなかった失敗作さ。恥ずかしい限りだ」

 

 

ミラクル「し、失敗作… あれで…」

 

 

トラウーマは今まで自分たちが戦った相手の中でも最強に近かった。

 

それを失敗作と言い捨てられたことでミラクルは愕然とした。

 

 

 

パーリ「いや、そうでもないな。ダーククリスタルが一つ作れると思ったのが、あいつが作ったヤモリと合わせて二つできたからな。十分期待以上の働きはしてくれたよ」

 

 

 

全く感謝の念を感じさせないその言葉に、ソーラーとフェリーチェは噛み付いた。

 

 

フェリーチェ「あなた方は… 一体あの人たちをなんだと思っていたのですか!?」

 

 

セーリ「ん? ただの道具だ。あちこちに同じようなものをばらまいたからどんなのがいるかもほとんど覚えていないがな」

 

パーリ「こいつもたまたま思い出しただけだ。それでなければいちいち覚えていられるか」

 

 

なんの感傷もなく淡々と語る二人にソーラーの怒りが爆発した。

 

 

ソーラー「あんたら… 覚えられないほどそんな奴らを作ってあちこちにばらまいて… どうしてそこまでして世界を暗黒に染めたいのよ!!」

 

パーリ「なぜ俺たちが世界を暗黒に染めようとしているか、か。おいなんでだ?」

 

セーリ「さぁな? なんでなんだろうなぁ、わかるか?」

 

パーリ「おいおい俺が質問しているんだ。 俺に聞くなよ」

 

 

バカにするような笑いとともに告げた二人についに全員我慢の限界がきた。

 

ミラクル「許せない… そんな軽い気持ちで多くの人を苦しめて!!」

 

ソルシエール「よくもぬけぬけと!!」

 

 

 

セーリ「許してもらうつもりもない。じゃあな」

 

その怒りをさらりと流し、ソルシエールの繰り出してきた魔法もあっさりと防ぐと、もう用はないとばかりにセーリは姿を消した。

 

 

パーリ「はっ、そういえば魔法で思い出したが、ずっと昔に作ったやつがいたなぁ。確か終わりなき混沌、デウスマストとかいう」

 

 

マジカル「!! それは!?」

 

 

パーリ「まぁ、何もできないまま宇宙の彼方に封印されたやつだ。今更復活しようと興味はないが、この失敗作よりは出来がいいかもな。せいぜい気をつけな」

 

忠告というより嘲笑するように言い捨ててパーリもまた姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

豪「今のデウスマストって…」

 

 

マジカル「終わりなき混沌… 私たちが戦ってるやつよ」

 

ミラクル「うん。もしかしたら…」

 

フェリーチェ「早く戻らなければ!!」

 

モフルン「大変モフゥ!!」

 

 

 

ミラクルたちは慌てて魔法の水晶を取り出して、魔法学校と連絡をつけた。

 

 

ミラクル「校長先生、聞こえますか!!」

 

校長『どうしたのじゃ? そんなに血相を変えて突然。何かあったのか?』

 

 

 

ソーラー「わぁすごい。あんなボールに人が映ってお話ができるなんて!! 魔法ってすごいんだね」

 

その光景を見て無邪気にはしゃいだソーラーだが

 

 

ラン「どこが…」

 

豪「ただのテレビ電話じゃん…」

 

この二人は冷めたものだった。

 

 

 

 

 

マジカル「い、いえ。こっちはなんとかなったんですけど。そっちに…」

 

フェリーチェ「デウスマストが、その眷属が何かをしようとしているかもしれません。私たちはすぐに戻りますので!!」

 

 

慌てた口調で必死に状況を説明したミラクルたちだったが、水晶に映る校長は難しい顔をしていた。

 

 

校長『う〜む、だが君たちをその世界に送り込んだ時にも説明したように別の世界に行くには魔法の扉に相当の魔力がかかる。回復するにはまだあと一週間ほどかかるぞ』

 

 

マジカル「そんな… もしその間に何かあったら…」

 

 

青い顔したマジカルだったが、ソーラーが優しく肩に手を置いた。

 

ソーラー「大丈夫だよ。あなたたちがいないぐらいですぐに闇に染められちゃうようなヤワな世界じゃないでしょ。ねっ」

 

 

校長『ん? そなたは?』

 

ソーラー「あっ、はい。キュア・ソーラーって言います。この三人には色々助けてもらって…」

 

 

校長『なるほど、その世界のプリキュアということか。 うむ、彼女のいう通りじゃ。たとえ君たちがいなくとも、わしたちでできる限りのことはする。心配はしないでくれ』

 

 

諭すような校長の言葉に、ミラクルたちも納得し少し落ち着いた。

 

 

ミラクル「わかりました」

 

マジカル「でも出来るだけ早くそっちに戻ります」

 

フェリーチェ「それまで、よろしくお願いします」

 

校長『うむ、任せておくのじゃ』

 

 

 

そうして通話は切れ、皆も一息つくように変身を解除した。

 

ことは「はーっ… 取りあえず落ち着いたね」

 

みらい「うん。校長先生を信じよう」

 

リコ「そうね。今はそれしかないか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

豪「でもさぁ」

 

そこに豪がふと話を振ってきたため、全員振り返った。

 

 

豪「元の世界に帰るのに一週間かかるってことでしょ。その間あんたたちどうすんの?」

 

みらい「へっ?」

 

 

素っ頓狂な声をあげたあと、みらいたちは改めてそのことに気がついた。

 

 

リコ「そうよ。私たち一週間帰れないってことじゃない。その間どうするの!!」

 

ことは「ど、どこか魔法で寝るところを作るとか」

 

みらい「こんなに寒いのに外で寝たら風邪ひいちゃうよ」

 

 

慌て始めたみらいたちを見て、豪とランは顔を見合わせた。

 

 

豪「うちは無理だぜ。女三人も四人も泊めるのに、さすがに親ごまかせねぇよ」

 

ラン「…ま、当然そうなるわよね」

 

 

仕方ないというようにため息をついたランが、パニックになりかけていたみらいたちに声をかけた。

 

 

ラン「あ〜…うちでよかったらど〜ぞ。ど〜せ一週間だけですし、おじいちゃんと私とソーラさんだけで多少持て余してますから」

 

リコ「ほ、本当? 本当にいいの?」

 

ラン「ええ。状況が状況ですし」

 

 

みらい「よかった。でも他の世界のお友達のところに泊まるなんてワクワクもんだぁ!!」

 

ことは「わくわくもんだしー!!」

 

モフルン「わくわくもんモフゥ!!」

 

ソーラ「ウンウン。ランちゃんてばやっぱり優しいね」

 

 

ホッとしたように喜びの声をあげたところで、ランが口調を強めた。

 

ラン「ただし!! その代わり」

 

 

リコ「え゛っ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠藤平和科学研究所

 

 

 

豪「しっかし、今年はまた派手に飾ったなぁ」

 

研究所全体に張り巡らされたクリスマスイルミネーションを見て豪は感心したように呟いた。

 

 

ラン「まぁね。いっぺんやってみたかったんだけどさ、私だけじゃ無理だから今までできなかったのよね」

 

ソーラ「それで、みらいさん達に魔法で手伝ってもらったんだ」

 

みらい「そうだよ。ちょっと大変だったけど、こういうのって楽しいよね」

 

ことは「うん。すっごく綺麗だし」

 

リコ「まぁお世話になってるわけだし、これぐらいわね。それに私たちにしてみれば簡単なことなわけだし」

 

 

ソルシエール「迷惑をかけたせめてもの詫びだ。それに昔先生と一緒に飾り付けをしたことを思い出す」

 

苦労しながらも楽しみつつ、無邪気に笑いつつ、どや顔をしつつ、昔を懐かしみつつ飾り付けを続けていく子供達を見ながら遠藤博士はぽつりと呟いた。

 

 

遠藤「しかし水臭いのう。一言言ってくれればこれぐらいしてやったのに」

 

どうして今まで言わなかったというような遠藤博士の言葉に、ランはあっけらかんと告げた。

 

 

 

ラン「決まってるじゃない。おじいちゃんなんかにこんなこと頼んだら家全体が打ち上げ花火になりかねないもの」

 

遠藤「あのなぁ!! お前はいつになったらわしを信用するんじゃ!!」

 

ラン「そうね。柄物の服が綺麗に「真っ白」になるような洗濯機を作らないようになってからかしら。あれは本当に驚きの白さだったわ」

 

 

ぐうの音も出なくなってしまった遠藤博士を慰めるようにみらいがとっさに声をかけた。

 

みらい「あ〜…元気出してください。そ、そうだリコだって昔は失敗ばっかりだったけど、最近はうまく魔法が使えますし」

 

リコ「なんでそこで私が出てくるのよ。まぁ努力の賜物だから当然だけど」

 

ことは「また、いろいろお手伝いしますよ」

 

 

 

それを聞いて遠藤博士は即座に立ち直った。

 

 

遠藤「おお、そうじゃ!! 七転び八起き、失敗は成功のもと。またお主達の魔法というものを研究させてくれ。いやぁ科学者冥利につきるわい」

 

やる気を取り戻した遠藤博士は、今にもスキップしそうな勢いで研究所内に準備をしに行った。

 

 

みらい「優しいおじいさんだね」

 

ラン「まあね、ちょっと変わってるけど」

 

豪「俺たちの自慢のじいちゃんさ」

 

 

自慢げに遠藤博士を語る豪とランを見て、ソルシエールは憧れるような目つきをした。

 

ソルシエール「優しくも厳しさと正しさを兼ね備え、常に前を見ている素晴らしい人だ。私もああいう人間になれればいいが…」

 

ことは「なれるよ、きっと」

 

リコ「校長先生もあなたを是非とも教師として魔法学校に招きたいって言ってたわ。頑張ってください」

 

 

ソルシエール「ふっ、ありがとう」

 

 

 

 

ソーラ「会ったばかりの人にもこんなに褒めてもらえるなんて、やっぱり先輩達が言ってた通りの立派な人達だよ。ウン」

 

その通りだというように頷きながらソーラは想いを馳せた。

 

ソーラ(先輩、私は今でも先輩達は無事だって信じてます。この人達みたいにもう一度三人で戦える日まで、あんなやつらにこの世界を闇に染めさせません)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

甲子市上空 静止衛星軌道上 ブルペノン

 

 

 

パーリ「さてとダーククリスタルも予定より増えたわけだし、そろそろ次のドラフター候補を探すか」

 

セーリ「じゃあ俺はそれと並行してあの男を探してくるとしよう。あいつも役立たずよりはマシなもんになりそうだしな」

 

 

パーリ「ああ、パーフェクトって名乗っていた自称次元皇帝の使いっ走りか。まぁそれなりのものにはなりそうだし、しばらく利用してやってもいいな」

 

 

他人事のように会話を続けたセーリとパーリだったが、ふと真剣な顔つきになった。

 

 

パーリ「しかし、あいつら最近よく尋ねてくるが、なぜ俺たちはここまでして世界を暗黒に染めようとしているんだ?」

 

セーリ「さぁな? なんでなんだろうなぁ、わかるか?」

 

パーリ「おいおい俺が質問しているんだ。 俺に聞くなよ」

 

 

 

 

続く


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