IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結) 作:神羅の霊廟
取り敢えず戦闘は今回で終了。予定では次回にコラボが終了します。最後までお付き合い下さい。
牙也「アアアアアア……!」
気味の悪い声を上げながら、牙也は爆撃を受けて多少焦げ付いた髪を左手でバリバリと掻く。そして右手に装着したガシャコンバグヴァイザーをビームガンモードにし、さらに撃剣ラヴァアークを出現させて左手に持つ。
牙也「なあ、知ってるか……?生きてる奴を傷付けて良いのはさ……自分が傷付く覚悟を持った奴だけなんだぜ……?」ニヤリ
ヲ級「ッ!?」ゾワッ
全身に悪寒を覚え、ヲ級は思わず後ずさる。杖を握る掌に汗が溜まっていく。体の震えが止まらない。目の前にいる牙也を恐れている事が自分でも分かる。
ヲ級(馬鹿ナ……!何故ダ……!?何故奴ガ恐ロシク感ジル……!?何故奴ヲ、我ハコレ程ニ恐レテイルノダ!?)
自分でも分からない。自分が牙也を恐れている事は分かったが、それが何故なのか。何故自分がこれ程に目の前の化物ーー牙也を恐れてしまっているのか。ヲ級には全く分からなかった。
ヲ級(ト、トニカク今ハ奴ヲ倒ス事ニ集中ーー)
牙也「はいちょっと失礼」
ヲ級「ッ!?」
ヲ級が気が付いた時には既に遅い、目の前にいきなり牙也ーーいや、化物がいた。そして遅れてやって来た鈍痛。見ると化物が持っていた撃剣が腹部に根元まで深く突き刺さっている。これでヲ級はようやく意識がスパークして、現在の状況を理解した。
牙也「おらっ!」
ヲ級「グフッ!?」
突き刺さった剣が抜かれ、そこに蹴りが入る。派手にぶっ飛んで海面に転ばされたところに、至近距離からガシャコンバグヴァイザー・ビームガンモードで滅多撃ちにされる。体のあちこちにビームによる穴が複数空き、激痛というものでは収まらない程の痛みが走る。
牙也「ハハハハハ……全身穴だらけになって、随分風通しが良くなったな」
ヲ級「ゴッ……ガバッ……!」
血を吐きながら、ヲ級は杖を使って無理やり自分の体を立ち上がらせた。そして杖を振り残りの艦載機全てを牙也に差し向ける。が、それを見て牙也は、
牙也「……ククッ」
笑っていた。牙也の目に映っているのは、大量の艦載機が自分に向かって飛んでくる光景。普通なら絶望的状況だろう。しかしそれを見てなお、牙也は心の中で笑っていた。
牙也「良いねぇ……その最後まで足掻こうとする姿勢、嫌いじゃないぜ……けどーー」
途端に、艦載機は全て落とされた。それはほんの一瞬の出来事だった。艦載機のちょうど真後ろに複数の小型クラックが開き、そこから槍のように蔦が伸びてきて艦載機に突き刺さり、他を巻き込んで誘爆していく。落とされた艦載機は、ボチャンと音を立てて海に沈んでいく。
ヲ級「ナ……馬鹿ナ……!」
ヲ級は信じられないというような目で牙也を見る。牙也と目が合った時、牙也が一言。
牙也「……相手を間違えたな」ニッ
ヲ級「ッ!?」ゾワッ
その言葉にまたも悪寒を覚えるヲ級。それを庇うように、リ級やホ級、ト級が現れて砲口を向ける。
牙也「成る程……仲間意識ってのは、ちゃんとあるんだな。けど……」
牙也が左手を伸ばして深海棲艦達に向けると、蔦が深海棲艦達の砲口や体に絡み付き、身動きを封じた。そしてそれを待っていたかのように、小型クラックから蔦が伸びてきて、深海棲艦達の体を貫いた。
リ級「ガッ……ハッ……!」
蔦の槍で止めを指され、深海棲艦達は次々と沈んでいく。それを見ながら、
牙也「……彼女らと比べれば、あまりにも脆い仲間意識だな。ああ、空しいなぁ……」
寂しそうに牙也は呟いた。そしてその冷徹な目を、今度はヲ級に向けた。
ヲ級「ヒッ!?」ゾワッ
またも向けられたその視線に恐怖し、ヲ級は思わずへたりこみ尻餅をついてしまった。そして完全に理解してしまった。こいつには絶対に勝てない、勝てる訳がないと。そして呪った。この化物に喧嘩を吹っ掛けた自分自身を。
ヲ級(カ、勝テナイ……!コンナ……コンナ濃密ナ殺気ヲ向ケテクル奴ニ、勝テル訳ガナイ……!)
逃げようにも腰が抜けているのか立ち上がる事すら出来ない。そうしている間にも、牙也はゆっくりと歩み寄ってくる。牙也は右手のガシャコンバグヴァイザーをチェーンソーモードに変え、左手には撃剣ラヴァアークを構えている。
牙也「よお……さて、懺悔の準備は出来たか?神様に祈り終えたか?……いや、化物が神様に祈ったところで無駄骨か。まあ良いさ、一思いに殺ってやるよ……」
今の牙也の笑みは、ヲ級からすれば死への片道切符に他ならなかっただろう。それほどに、ヲ級にとっての今の牙也への恐怖は大きかった。
牙也「さあ……Show Downだ」
そして牙也はラヴァアークを振り上げたーー
箒「牙也、それくらいにしておけ」
その声と共に、牙也の左手は誰かに掴まれる。牙也が後ろを振り向くと、箒が左手を掴んでいた。それを見て、牙也は元の姿に戻った。
牙也「箒……終わったのか?」
箒「ああ、別動隊は全て片付けたし、皆無事だ。さっき氷室や石動、川内と合流してきた。川内はカンナと吹雪、睦月、夕立を付けて先に帰らせたぞ」
牙也「そうかい。じゃあこいつを消す理由も無くなったな……良かったな、命拾いしてよ」ニッ
ヲ級「……ッ!?」ビクッ
牙也のその満面な笑みにビビったヲ級。箒はそれを見て頭に?を浮かべていたが、牙也が「ああ、ちょっと痛め付けてこうなっただけだ」と聞いて納得したのかそれ以上は何も言わなかった。すると牙也は武器を仕舞うと、ヲ級の頭を鷲掴み、その顔をじっと見ながら、
牙也「ほれ、とっとと帰りな。んで、トップにこう伝えろーー
『次来たら、海底に沈むだけじゃすまない』ってな」
ヲ級「ピイッ!?」コクコク
今度は悪魔のような顔を見てビビり、ヲ級は慌てて頷き、ボロボロの体を引き摺りながら逃げていった。
牙也「……ま、あんだけ脅しておけば大丈夫だろ。さ、戻ろうぜ」
箒「うむ……時に牙也よ、敵であれどもう少し優しく接する事は出来ないか?」
牙也「敵には恐怖を与えてなんぼだ。ただ……今回は流石にやり過ぎたな、ってのはある」
箒「これを機に自重してほしいぞ」
牙也「へいへい。あそうだ、箒」チョイチョイ
箒「?」
チュッーー ←箒の額にキス
箒「へ!?え!?な!?き、牙っ……!?////」
牙也「んー?今回のお仕事のご褒美ってな。お疲れ様」ナデコナデコ
箒「……////」プシュー
その後二人は無事に鎮守府に帰投したが、帰投して早々に先に影徳や惣輔と共に帰投していた駆逐艦達に「褒めて褒めて」とばかりに胸を揉まれて、また顔を赤くしたのは余談である。
次回、一応コラボ最終話。しかし、ハプニングがーー。