IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結) 作:神羅の霊廟
コラボ第5段、厳正なるくじ引きの結果、再び悪維持さんとのコラボです。
コラボ作品は、『ナイトローグ提督とブラッドスターク副官が東都鎮守府に着任しました。』です。ビルドの力を得た艦娘達との出会いは、果たして何を三人の目に見せるのかーー。
コラボ5 抜錨!Build Up Fleet Girl's (1)
『スカイウォールの惨劇』ーーそれは、大帝国日本という国で起こった現象で、とある天才物理学者が名付けた。
数年前、突如日本の中心にあたる場所に謎の黒いキューブ状の物体ーー通称『パンドラボックス』が現れ、その場に不時着。と同時に、ボックスの側面のパネル『パンドラパネル』が外れて日本各地に散らばって地面に突き刺さった。パネルはやがて巨大な壁『スカイウォール』を作り出し、日本という国をそれぞれ東都、北都、西都の三つに分断してしまった。
それだけならまだ良い。さらにパンドラボックスは、不可思議なガス『ネビュラガス』なるものを放出し、そのガスによって『スマッシュ』という怪物まで誕生させてしまった。しかしネビュラガスの影響はこれだけに留まらず、ガスは海にまで侵食を開始。やがてガスによって、『深海棲艦』なる怪物さえも生み出してしまった。これら二種類の怪物はやがて、日本への侵攻を開始する。
これらの事態に対処する為、東都、北都、西都の三勢力トップは第二次世界大戦にて活躍した駆逐艦・軽巡洋艦・重巡洋艦・航空母艦・戦艦と言った軍艦の力を宿した少女達『艦娘』を集め、各地の沿岸に拠点となる鎮守府を置き、艦娘達を統率する提督を着任させてこれらの未曾有の脅威に立ち向かっていた。
今語ったのは、いくつも存在する世界の中に存在する、とある世界の物語。そして今、この未曾有の出来事に直面しようとしている三人の少年少女がいたーー。
??「おーい石動ー、何処だー?」
??「ん、エイトか。こっちだ、工廠だ」
??「ああ、いたいた。何してたんだ?」
ここは、東都に置かれた鎮守府の内の一つ、東都第六鎮守府。鎮守府の敷地内にある工廠と呼ばれた場所に、二人の青年の姿があった。
??「ああ、追加でシースライドシューズを作ってたんだ。今後俺達みたいな奴が出てこないとも限らないからな、念押しで作ってたんだ」
??「へえ……お前らしくもない」
??「どういう意味だコラ!?」
??「そのまんまの意味だ」
??「この野郎!」
黒髪の青年はこの東都第六鎮守府提督の氷室影徳、赤髪ロングに眼鏡をかけた青年は影徳の副官で技術開発局主任の石動惣輔である。一通り惣輔をからかい終えた影徳は、自身が使っているシースライドシューズの点検を始めた。
影徳「あの日以来、奴等の襲撃は無くなってるな」
惣輔「そうだな。これが嵐の前の静けさじゃなければ良いんだが……」
影徳「そういうのを『フラグ』と言うんだぞ」
ドオオオオオオンッ!!!
影・惣『ッ!?』
突如何処からか爆発音が響いた。二人は工廠を飛び出して辺りを見回す。しかし、敵の姿は何処にもなかった。
惣輔「敵はいないな……となると、何処かでガスか何かが爆発したのか……?」
影徳「多分そうだろうな。石動、念の為電達にすぐに動けるように指示を出しといてくれ」
惣輔「あいよ、エイトはどうするんだ?」
影徳「少し辺りを見てくる。スマッシュがいそうな気がしてな」
??「ぽい~!てーとくさーん!」
そこへ、一人の少女が走ってきた。その少女は亜麻色のストレートヘアで、黒を基調としたお嬢様風のセーラー服を着用している。
影徳「夕立?何か見つけたのか?」
夕立「ぽい」コクリ
夕立と呼ばれた少女は変わった返事をして頷いた。
夕立「近くの廃墟が、突然爆発したっぽい!てーとくさん呼んできてって、川内さんが!」
影徳「近くの廃墟か……分かった、案内してくれ。石動、行くぞ」
惣輔「へいへい分かりましたよ、氷室提督殿」
そう言って二人はそれぞれ何やら変わった形をした銃とボトルのようなものをポケットに入れ、夕立の案内の下廃墟に向かった。
影徳達が爆発音を聞く数刻前の事、その廃墟ではーー
牙也「ほいっ」
箒「はっ」
牙也達三人が、その廃墟の一室に降り立ったところであった。
牙也「さて、お次の世界は……ここ廃墟か?」
箒「そのようだな、随分とボロボロだ。長らく人が住んでいないのだろう」
カンナ「ですが、当分の拠点としては使えませんね……ここまでボロボロになっていては危険です」
牙也「だな。一旦ここを出て、他に良い所がないかーー」
ズシンッ
『ッ!?』バッ
突然聞こえた大きな足音に三人が振り向くと、そこにいたのは鳥のような嘴に鋭い爪が特徴の怪物と、白黒で両腕がプレス機を思わせる怪物がいた。
牙也「なんだこいつら!?」
カンナ「明らかにインベスではありませんね……どうしましょうか?」
箒「逃げ場がない以上、取る手段は一つだろう」
牙・箒『叩き潰す』
二人は戦極ドライバーを腰に装着し、ロックシードを解錠した。
《ブルーベリー》
《マスカット》
《ロック・オン》
牙・箒『変身!!』
《ソイヤッ!ブルーベリーアームズ!侵食者・Hell・Stage!》
《ハイー!マスカットアームズ!銃剣・ザン・ガン・バン!》
零とレオンにそれぞれ変身した二人は、紫炎とマスガンドを構える。
箒「私があの鳥みたいな怪物を相手する。牙也はそっちの白黒を頼むぞ」
牙也「任されたぜ、カンナは隠れてろ」
カンナ「お気を付けて」
そしてそれぞれが相手する怪物に向けて駆け出した。
箒は廃墟の二階の一室で怪物を相手している。マスガンドの斬撃に加えて、タイミング良くトリガーを引いて追加攻撃する。斬撃を当てる毎に銃口から弾が放たれて怪物を仰け反らせる。しかし怪物も負けじと両腕の爪を振り回し、嘴のようなもので刺突攻撃してくる。
箒「くっ……爪の攻撃はともかく、あの嘴が厄介だな」
怪物の爪攻撃は避けたり防いだりするのは簡単だからさほど苦にはならない。だが、嘴の刺突攻撃は不意を突いて使ってくるので反応しづらく、箒は避けるだけで精一杯だった。
箒「あの刺突攻撃さえ使えなく出来れば……そうだ!」
箒は何を思い付いたのか、イチジクロックシードを解錠した。
《イチジク》
《ロック・オン》
《ハイー!イチジクアームズ!爆撃・ヤッハッハアッ!》
箒「これでも食らえ!」
そしてイチジグレネードをあろうことかーー
ブスッ
『!?』
ドオオオオオオンッ!!
怪物の嘴にブッ刺した。嘴にブッ刺された事で、イチジグレネードは爆発し、怪物の顔が煙で覆われる。箒は一旦距離を取って、怪物の様子を観察していた。やがて煙が晴れると、
プスプスプスーー
怪物の嘴は派手に吹き飛んでおり、顔は煤だらけになっていた。しかも爆発を顔に零距離で受けた為なのか、足が覚束ないようでフラフラしている。
箒「これほどに上手くいくとは……他の誰よりも、やった私が一番驚いたぞ」ニガワライ
苦笑いしながら箒はアームズをマスカットに戻し、
箒「さて……ここに長居は無用だ。片付けるぞ」
《マスカットスカッシュ!》
箒「ハアッ!!」
怪物の顔に延髄蹴りを叩き込んだ。蹴飛ばされた怪物は廃墟の窓ガラスを粉々にしながら外に吹き飛んだ。地面に転がった怪物は暫く悶え苦しんでいたが、やがて大人しくなり、そして大爆発した。
箒「はあ、危なかった……とにかく牙也を助k『バキィッ』へ?うわあああああ!!」
牙也「ぜやあっ!!」
一方牙也はもう一匹の怪物を一階の台所に惹き付けて戦っている。狭い空間の中紫炎を振り回し、牙也は怪物を攻撃する。が、怪物は両手で紫炎を挟み込み、
バキィッ!!
牙也「は!?嘘だろ!?」
なんと紫炎の刃を粉々に砕いてしまった。それはさながらプレス機のようであった。
牙也「あんなのに挟まれたくねぇよ……こっちもパワーで押し返すしかねぇか」
《マロン》
《ロック・オン》
《ソイヤッ!マロンアームズ!Mr.Destroy!》
マロンアームズにフォームチェンジした牙也は、マロンストライカーのラッシュ攻撃で怪物を押し返していく。しかし怪物も負けじと両手をプレス機のように挟み込む攻撃で牙也に襲い掛かる。火花を上げる怪物の両手を掻い潜り、牙也は的確に一撃を与えていくが、
『!!』ドッ
牙也「がっ!?」
渾身のタックルを受けて壁に叩きつけられた。それを見逃さず、怪物は両手で牙也を押し潰しにかかる。牙也その両手をマロンストライカーでガードしてなんとか踏み留まるが、疲れの為なのか段々と押されていく。
牙也「くそっ、どうすれば……一か八かの賭けだ、やってみるか!」
《マロンスカッシュ!》
腕が塞がっているので左手から蔦を伸ばしてドライバーを操作し、その場に丸まる。すると牙也の体が毬栗のような形のエネルギーに覆われ、空中に浮かんで高速回転し出す。そのまま怪物に向けて突っ込み、火花を上げながら怪物の体を押し返していく。
『!?』ドッ
大きく押し返され、怪物は後ろに倒れ込んだ。が、再び立ち上がって攻撃をーー
バキィッ!!
箒「うわあああああ!!」
グシャッ
しようとしたところ突然天井が抜けて、二階で戦っていた箒が怪物に向かって落ちてきた。そのまま怪物はクッション代わりにされる。
箒「いたた……牙也、大丈夫か?」
牙也「箒こそ大丈夫かよ……あと箒、そこを退け。怪物がクッションになってる」
箒「え?うわっ!?」バッ
《マロンオーレ!》
箒が怪物の上から退いたのを見計らい、牙也は再びドライバーを操作。マロンストライカーにエネルギーを溜め、怪物に向かって走り出す。そして怪物が起き上がったところに、
牙也「終いだ」
渾身の一撃を腹部に叩き込んだ。怪物は廃墟の壁を突き破って外に飛ばされ、大爆発して消滅した。
牙也「はあ……なんでか知らんけど、物凄く疲れた」
箒「全くだ。あんな怪物、見た事がない……この世界に存在する特殊な怪物だろうか?」
牙也「多分な。さて、騒ぎになる前にお暇ーー」
バキバキバキィッ……!!
牙也「……おい。嫌な予感がするのは俺だけか?」
箒「奇遇だな、私もやらかした感がある」
牙也「しゃあないな……箒!」グイッ
箒「わっ!」
牙也は箒を強引に引き寄せて抱き締め、間髪入れずに蔦を伸ばして二人の周囲を覆うようにドームを作った。すると、
バキバキバキバキバキバキバキィッ!!
ドガジャアアアアアンッ!!
廃墟が倒壊し、ドームを覆い隠してしまった。
艦これはAC勢の作者です。