IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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コラボ4 Avenger's Girl(7)

 

 椿、箒、セシリアは協力してインベス達を蹴散らしていく。椿は右手の煉獄刀・紅蓮を振るいつつ左手のコルトガバメントM1911の弾丸でインベスを撃ち抜く。箒は戦極ドライバーが使えない為、背中から蔦を伸ばしてインベスを蹴散らしていく。セシリアは自身のIS《ブルー・ティアーズ》の主力武器、スターライトMk-Ⅲとビットで後方援護をしつつ、自身に寄ってきたインベスを短剣インターセプターで迎撃する。三人が救援に入った事により、数の差で押されていた亡国企業は段々持ち直していく。

 

 スコール「全く、まさかあの子達の世界の怪物がここに来るなんて……迷惑極まりないわよ」

 オータム「本当にな。けどあの二人がいて助かったぜ」

 M「多分残りは師匠達に任せておけば問題ないと思いますけど……」

 スコール「そうね……私達のISの損傷も激しいし、後は任せましょう。私達は怪我人の手当てを急ぎましょうか」

 

 

 

 セシリア「全く、次から次へと沸いて出てきますわね……」

 寄ってくるインベスを蹴散らしながら、セシリアはブツブツと文句を垂れた。

 セシリア「彼……牙也さんでしたかしら?彼があのクラックという隙間を早く埋めない限り、私達は不利のままですわ。彼には一層奮起していただかなくては……」

 空に大量に開いたクラックを次々と破壊している牙也に期待を寄せつつ、セシリアは近くにいたインベスを撃ち抜く。

 

 フシャアアアアーー

 

 が、倒せども倒せども、インベスは次々と沸いてくる。

 セシリア「しつこい御仁は嫌いですわ。これでも食らっておきなさいな……」

 その言葉と共に、セシリアの頭上に青い炎の球体が現れた。最初は小さな炎であったが、セシリアがそれに力を溜める事によって段々とそれは大きくなっていき、最終的には直径5mはあろう大きさになった。

 セシリア「泡沫の夢の中で……ゆっくりと眠りなさい」

 聖母の如き微笑みを見せながら、セシリアは頭上の炎の球体をインベスの群れに向かって投げつけた。球体はインベスの群れに向かってゆっくりと落ちていき、

 

 セシリア「では……ごきげんよう」

 

 着弾と共に、辺りのインベス全てを飲み込んだ。球体が着弾した地面は、炎が消えるまでの間ずっと青い炎で覆われていた。

 セシリア「ここはもうよろしいですわね。箒さん達の援護に向かいましょう」

 

 

 

 

 

 箒「ええい、ゼロの奴め……!煩わしい事をしてくれる……!」

 椿「全くだ。お前の言うゼロが誰かは知らんが」

 互いの背中を預け、溢れる程に出てくるインベスを相手する箒と椿ーーいや、二人の箒。蔦がインベスを打ち据えて弾き飛ばし、吹き飛んだインベスは煉獄刀・紅蓮の斬撃に斬り伏せられ、コルトガバメントM1911の銃撃に撃ち抜かれていく。

 椿「おい、蔦ばかり使ってないで、お前も奴みたいに武器の一つぐらい使ったらどうだ?」

 箒「悪いが、私は牙也のような武器は持っていないのでな。このように蔦で敵を払いのけたり捕まえたりするくらいしか出来ん」

 椿「そうか。ならば残りは全て私が請け負う、私に捕まれ」

 箒「捕まれば良いのか?」

 椿「早くしろ、お前の体が無事では済まん」

 差し出された手を握り締めると、椿は紅蓮の切っ先を下に向けて少し浮遊し始めた。

 

 椿「面倒だ、貴様ら纏めて消してやろう」

 

 その言葉と同時に、インベスがウヨウヨいる地面に巨大な亀裂が走った。椿が紅蓮を地面に突き刺すと、突如現れた亀裂はやがて大きく開いていき、裂け目の中はドロドロとした火焔が渦巻いていた。インベス達は逃げ出そうとするが、時既に遅し。次々と裂け目に落ちていき、憎悪の火焔に体を焼かれていく。

 

 箒「これは……確かに落ちたら体が無事では済まんな」

 椿「だから言っただろう……さて、そろそろ十秒だな」

 椿の言った通り十秒経過すると、火山の噴火の如く裂け目の中の火焔が吹き出して、インベス達を空中に吹き飛ばした。放り出されたインベスは、断末魔の叫び声を挙げながら爆発四散していく。地面の亀裂は、インベスが全て吹き飛ばされた後ゆっくりと閉じていった。それに合わせて椿と箒も地上に降りる。

 椿「あの裂け目も、どうやらほとんどが破壊されたようだな。奴の手際の良さには頭が下がる」

 箒「フフン、流石は牙也だな。牙也ならこれくらい易々と出来て当然だ」ドヤァ

 椿「何故お前が得意げなのだ……?」

 セシリア「あら、こちらは既に片付いていましたか」

 とそこへ、同じくインベスを片付けたセシリアと、治療を終えたスコール達三人、さらに三人の治療を手伝っていたカンナが合流した。

 カンナ「ご迷惑おかけしました、申し訳ありません」

 椿「気にするな、たまの運動くらいにはなったからな」

 オータム「ところで、もう一人の牙也って奴はどうしたんだ?」

 M「あれ、そう言われれば姿が見えませんね……」

 牙也「お~い」

 その声に全員が森がある方向を向くと、

 

 牙也「皆大丈夫か~……いてて」

 

 左肩を押さえながら、牙也が歩いてきた。

 箒「牙也!?その怪我は!?」

 カンナ「す、すぐに手当てを!」

 慌てて走り寄る二人を受け止め、牙也はその場に座り込んだ。怪我した左肩に、カンナが手を当てて治療を施す。

 

 牙也「ゼロの奴が中級のインベスを差し向けて来てな、下級しか出てこないと油断してたらこの様だ。ま、取り敢えずクラックは全部処分したから、もう大丈夫だろ」

 椿「驚いたな、お前の口から油断という言葉が出てくるとは」

 牙也「無縁に見えるのかい?だとしたら大きな間違いだぜ」

 スコール「まあ現にそうやって怪我している訳だからねぇ」

 牙也「まあな……っ!」ピクッ

 

 何かを感じ取ったのか、牙也は突然森の方向に目を向けた。

 牙也「本当突然来るよな、この感覚……もう開いたのか」

 箒「どうかしたのか?」

 牙也「この世界とはお別れって事だ。例のクラックがこの近くに開いた」

 カンナ「え、もうですか!?早く準備しなきゃ……!」

 椿「なんだ、もう行くのか?」

 牙也「ああ。やれやれ、慌ただしい出発だな……悪いな、散々引き摺り回しておいてこんな別れ方になっちまって」

 セシリア「お気になさらないで、時間があったらまたいらして下さいな」

 M「あんまり話せなかったのが残念ですけど、今度は私とも戦って下さいね!」

 箒「ああ、是非ともな。ところで私達の荷物は……」

 スコール「あら、ごめんなさい。私の部屋で預かってたわ、すぐに持ってくるから待っててね」

 そう言ってスコールは自分の部屋に向けて飛んでいく。

 牙也「早く持ってきてくれ、スコール。あれは時間になると消えちまうんだよ」

 オータム「それだったらここに暫く住み込んだらどうだ?」

 牙也「そうしたら毎日今日と同じくらいかそれ以上の数のインベスを相手する事になるかもな」

 オータム「やっぱ早く行け」

 

 スコール「持ってきたわよ」

 そこへスコールが三人の荷物を持って戻ってきた。

 牙也「ありがとさん。何か弄ってないよな?」

 スコール「別に何もやってないわよ。そんな事したら殺されるじゃ済まないでしょう」

 牙也「分かってるなら良い。それじゃ皆、世話になったな」

 箒「また来させてもらうぞ」

 カンナ「今後も頑張って下さいね」

 椿「次会った時は、容赦せん。全力でお前を倒してやる」

 牙也「やってみろよ。それよりも……」

 椿「なんだ?」

 

 

 

 牙也「……後悔してないよな?お前の選択に」

 

 椿「何を今さら。後悔など微塵もない、あるのは奴への殺意だけだ」

 牙也「……杞憂だったな。ま、しっかりやりな」

 束「箒ちゃんを宜しくね」

 牙也「俺達の世界の束さんからも、そう言われてますよ。それじゃ」

 

 そう言って牙也達は急ぎクラックへと走っていき、三人揃ってクラックに飛び込む。椿達はそれを微笑ましそうに見つめていた。

 

 

 

 





 最後が急ぎ足になりましたが、ふぷっちょさんとのコラボはこれにておしまい。ふぷっちょさん、コラボして下さりありがとうございました。この場でお礼申し上げます。

 コラボはまだまだ続きます。さて、次は何処の世界に現れるのかーー。


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