IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 闇に覆われた世界の真実を見つけ出せーー。




コラボ4 Avenger's Girl(4)

 牙也「うらあっ!!」ドドドドンッ

 

 オーバーロードとなった牙也は、ガシャコンバグヴァイザー・ビームガンモードと撃剣ラヴァアークで教員部隊と戦っていた。束になって襲おうとする教員や遠距離から攻撃してくる教員には、バグヴァイザーの赤い銃口から光弾をばら蒔くように放って牽制し、それでも接近してきた教員には、左手に持った撃剣ラヴァアークで応戦して斬り裂いていく。怒り狂った牙也の斬撃はISの装甲を易々と叩き斬り、放たれた光弾は着弾する度に大きな火花を上げて装甲を焦がす。

 

 教員A「な、何なのよこいつ!?」

 教員B「こ、こんな奴に敵う訳がないわ……!」

 教員C「怯むな!まだ数ではこっちが有利なんだ!」

 

 教員部隊は第三者から見ても分かるほどに押されていた。さっき教員の一人が言っていたように、数では教員部隊の方が圧倒的に多い。が、牙也にはそれを補う要素が二つあった。

 

 牙也「どらああっ!!」ズバッ

 

 まず一つ目に、牙也自身が持つ化け物としての並外れた戦闘能力だ。襲いかかってくる教員一人一人の動きを少しも観察しないにも拘わらず、一発であっさりと攻撃パターンを見抜いて回避し、カウンターで斬撃を繰り出していく。そしてビームガンから光弾を放つ際にも、何人襲いかかってこようが関係ないかのように、一発も撃ち損じる事なく正確に光弾を当てていく。

 これらは全てオーバーロードとしての力があるが故に出来る事なのだが、それを引いたとしても牙也の戦闘能力は高いと言えるだろう。何せISを展開した状態の春輝を、生身の状態で蹴飛ばした事だってあるのだから。

 

 牙也「だぁらっしゃああああ!!」

 

 そして二つ目は、実戦経験だ。今はISを纏った人間と戦っているが、元々牙也はIS学園に入る前からずっとインベスと戦っている。それも時には百体を超える数だって相手にした事があるのだ。インベスをはじめとした怪物は、様々な攻撃をしてくる。だからその都度、その敵に対しての動き方などをその場で考えていかなくてはならないが、牙也の場合はそれが毎日と言っても過言ではないくらいに戦闘を繰り返していた。その度に研鑽し、修正し、そしてフル活用する。牙也には、ちょっとやそっとでは負けない程の経験を兼ね備えていた。

 一方教員部隊はどうか。今まで一般人同然だった人間に「すぐに戦え」と言って剣を渡し、目の前にいる実力者と戦うよう促す、果たしてそれで勝てるのか?

 

 

 

 答えは『否』である。

 

 

 

 牙也「手応えがない……あまりにも軽すぎるぜ」

 

 玄人vs素人の戦いは、ものの数分で教員部隊のほとんどが牙也に撃墜される形であっさり勝負がついた。

 千冬「あの人数の教員部隊をたった一人で、しかも無傷だと……!?なんなのだ、奴の常人離れした戦闘力は……!?何者なのだ、奴は……!?」

 教員部隊があっさり全滅させられた事に千冬は驚きを隠せず、正昌に至ってはビビっているのか尻餅をついて動けない。

 正昌「な、何なんだよ……!?こんな奴がいるなんて聞いてねぇぞ……!?」

 牙也「ふぅ……」チラッ

 牙也は溜め息を一つつくと、今度は尻餅をついている正昌に目を向け、そして一歩ずつ歩き出した。

 

 牙也「さて、そこのお前……覚悟は出来てんだよな……?」

 

 《ギュ・イーン!》

 

 牙也はさらにガシャコンバグヴァイザーの向きを逆にして取り付け、ビームガンモードからチェーンソーモードに切り替えた。

 牙也「お前にも同じ目に遭ってもらおうかねぇ……」

 正昌「ひっ……や、止めろ!」

 千冬「正昌に手を出すな!」バッ

 動けない正昌を助ける為に千冬が牙也を攻撃しようとするが、

 

 

 シュルシュルシュルーー

 

 

 千冬「こ、これは……!?は、離せ……っ!」

 千冬の周囲から蔦が伸びてきて、千冬の両手足を拘束した。

 牙也「あんたは黙ってろ……」ギロッ

 千冬「っ!?」ビクッ

 左手から蔦を伸ばしながら、牙也は強い殺気を向けて一言告げる。そしてバグヴァイザーのチェーンソー部を正昌の左肩にゆっくりと近づけていく。

 

 

 

 一夏「止めろぉぉぉぉ!!」

 

 

 

 と、木陰から一夏が飛び出してきて雪片弐型を牙也に向かって振るう。

 牙也「ふん」ビュッ

 

 バキッ!!

 

 一夏「な!?」

 

 が、雪片弐型はバグヴァイザーのチェーンソーで易々と叩き斬られた。チェーンソーはその特性上、剣等の武器と鍔迫り合いなど起こさず一方的に切断できる。それを知らない一夏は雪片弐型が一撃で折れた事に驚きを隠せない。

 一夏「っ、くそっ!」バッ

 一夏は一旦牙也と距離を取る。そこへ、

 

 鈴「一夏、千冬さん!大丈夫!?」

 

 鈴も合流した。手には双天牙月を握り締めている。

 千冬「凰、手を出すな!こいつの実力は、クラス対抗戦でお前達を倒した奴と同等だ……!」

 一夏「っ、あいつと同等……!?」

 鈴「まさかこいつ、仲間……!?」

 牙也「あいつ……?誰の事だ?」

 千冬「決まっているだろうーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 紅星椿だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 箒「くっ……!」

 本音「ちょっと我慢してね……はい、できた!」

 こちらは、この世界の本音と鉢合わせしてしまった箒とカンナ。現在二人は本音に連れられて医務室に担ぎ込まれ、本音に加えて途中で居合わせたシャルル・デュノアに治療されていた。

 シャルル「それにしても酷い傷だね……それも何かで抉られたような」

 箒「すまないな、ここまでやってもらって。感謝する」

 本音「い~よい~よ、ほっとけない程の怪我だったからつい、ね」

 シャルル「ところでなんだけど……君達は一体誰なんだい?学園じゃ見かけない顔だけど……」

 カンナ「あ、あの……私達の事については、あまり深く詮索しないでいただけると……」

 本音「?」クビカシゲ

 事情の飲み込めない本音は首を傾げていたが、シャルルはカンナのその顔を見て何かを察したようで、

 シャルル「そっか、ごめんね」

 と言うだけに留めた。すると、

 

 カンナ「!」ピクッ

 

 カンナが何かを感じ取ったのか、医務室の奥に目を向けた。箒達もそれを見て同じように奥に目を向けると、

 

 牙也「ふぅ……やっと追い付いたぜ」

 

 突如クラックが開いて、中から牙也が現れた。

 本音「ひっ……!」

 シャルル「お、男の人……!?」

 突如現れた牙也を見て、本音は怖いのか物陰に隠れてしまい、シャルルも無意識に身構えていた。

 箒「牙也。大丈夫だったのか?」

 牙也「なんとかな。ここの世界の千冬さん達と鉢合わせしちまってな、時間を食っちまったよ」

 カンナ「ともかくご無事で良かったです」

 牙也「ああ。それにしても……」チラッ

 牙也はそこで言葉を切って、本音とシャルルを見る。二人共牙也に敵対心があるのか、警戒する素振りを見せている。

 箒「大丈夫だ、彼は私の仲間だ。手出しはしない、安心してくれ」

 シャルル「……それなら良いんだけど」

 そう言ってシャルルは警戒を解くが、本音はまだ物陰に隠れたままだ。

 カンナ「牙也様、これからどうしましょうか?」

 牙也「ここに長居は無用だ、すぐにここを離れるぜ」

 箒「何か大事でも?」

 牙也「ちょっとな。それと……」チラッ

 そう言って牙也はシャルルに顔を向ける。シャルルが再び見構えると、

 

 

 牙也「一つ頼みがある。俺達がここにいた事、二人だけの秘密にしておいてはくれないか?」

 

 

 牙也はそう言って二人に頭を下げた。突然の事に二人は驚きを隠せないでいる。

 牙也「勿論無理にとは言わない。嫌なら断ってくれても構わないぜ」

 そう言うと、牙也は箒がいるベッドに近づく。

 牙也「とっととお暇するぞ。立てるか?」

 箒「大丈夫だ。ありがとう、デュノア、布仏」

 カンナ「ありがとうございました」

 二人に簡単なお礼を言うと、三人は揃ってクラックに飛び込んでいく。そしてクラックは完全に閉じて消えた。

 

 

 

 

 三人がいなくなった後で、やっと本音が物陰から出てきた。

 本音「怖かった~……怖かったね~、シャルルン」

 シャルル「…………」

 本音「……シャルルン?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 シャルル「……ねぇ、布仏さん。なんであの黒髪の女の子は僕達の名字を知ってたのかな?見た感じここの生徒じゃない筈なのに……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千冬「くそっ……」

 救援に来た別の教員に治療してもらいながら、千冬は悔しそうに木を殴り付ける。結局あの後牙也に瞬殺された千冬達であったが、牙也は止めを指さず、そのまま何処かに行ってしまった。敵に情けをかけられた事に苛つきを覚えていた千冬。がそれ以上に、

 千冬(奴め……あの言葉は何を意味している?何が言いたかったのだ?)

 千冬は牙也が去り際に残した言葉が気になっていた。

 

 

 

 

 牙也『運命ってのは残酷だな。時に、最悪の結末をお前らに見せるからな……ま、この世界の運命もそんなもんか。お前の身近にいる奴が、大きくねじ曲げちまったからなぁ……』

 

 

 

 

 千冬(何が言いたかったのかは知らんが、次は……次こそは、絶対に負けん!)

 拳を強く握りしめ、千冬はそう決心するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 牙也達三人は、ある場所に続く道を歩いていた。

 箒「ところで牙也。何か情報を手に入れたのか?」

 牙也「ああ。俺達がここに来る少し前、学園は亡国企業に襲撃されて訓練機を持ってかれてる。その時強奪組と別行動で動いていたのが……紅星椿だ」

 カンナ「あの黒コートが……!?」

 牙也「ああ。あいつがいたあのビルは、多分亡国企業の本部だったんだな」

 カンナ「そうでしたか……今考えると、生きて帰ってこれたのが奇跡に思えてきます」

 牙也「だな……それともう一つ。実はその際に、どさくさに紛れてオルコットが行方不明になったみたいなんだ」

 箒「セシリアが……!?」

 牙也「死体とかは出なかったから、恐らく誘拐されたんだろうな。今も捜索中だ」

 箒「そうか……この世界は、相当荒れているな」

 牙也「俺もそう思う。とにかく、この世界についてもう少し知らなきゃな」

 カンナ「はい。それで牙也様、私達は今何処に向かっているのですか?」

 牙也「そろそろ目的地に着く……おっと、ここだな」

 そう言って牙也はある一点を指差した。その方向を二人が見ると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 箒「こ、ここは……!」

 

 

 カンナ「まさか……亡国企業の本部……!?」

 

 

 

 

 

 

 最初に椿と交戦したあのビルがそびえ立っていた。

 

 

 

 

 




 コラボして下さる作者さんを、引き続き募集中です。


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