IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 今回の話は、牙也と箒が異世界へと旅立つ直前の話になります。短いですが、お楽しみ下さい。




第51話 旅立チ

 

 牙也「……これだな」ヒョイッ

 ヘルヘイムの森。ゼロによって今まで使っていた拠点が灰になってしまい、戦極ドライバーやゲネシスドライバーの製作は牙也が引き継ぎ、製作場所も学園の整備室に移った。束や一夏達に協力を仰ぎながら、少しずつではあるが使用可能なドライバーを着実に増やしていた。

 その牙也は現在、ヘルヘイムの森を探索しつつ、ロックシードの採取を行っていた。せっかくドライバーが完成しても、それを使うのに必要なロックシードが無いのでは宝の持ち腐れ。その為、たまにだが牙也が直々にヘルヘイムの森に赴き、ロックシード探しをしていた。

 

 牙也「ふうん……これは見た事ないやつだな。なんだろ?」カチャッ

 

 《カキ》

 

 ロックシードを解錠して頭上を見ると、巨大な柿が現れた。

 牙也「……これは持っていこう。当たりみたいだからな」

 まだ見ぬロックシードである事を確認した牙也はロックシードを施錠し、懐にしまった。既に長時間探索していたのか、牙也の懐には沢山のロックシードが入っていた。

 牙也「……よし、こんだけ集めれば大丈夫だろ。今日はここまでにして、帰るとsーー」ピクッ

 

 突然牙也が何かを感じとり、撃剣『ラヴァアーク』を構えて辺りを伺う。が、何処からも誰かが出てくる気配はない。

 牙也「気のせいか……?いや、今の感じ、確かにあの時の……」

 牙也はそう呟きながら辺りを見回す。

 牙也「今の感覚を感じた方向は……こっちか」

 牙也は周囲に警戒しつつ、その方向へと歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 やがて牙也は、ヘルヘイムの森に流れる川沿いに出た。が、その途中までの道のりには怪しい物や人間はおらず、牙也は溜め息をつきながらなんとなく川を見た。

 

 

 

 牙也「っ!あれは……!」

 

 牙也が見た先にあったのはーー

 

 

 

 

 

 

 牙也「このクラック……うん、これだ。これの気配を、俺はさっき感知したんだ」

 

 川のちょうど真上に開かれ、禍々しいほどに闇を吐き出すクラックであった。辺りに生える草花を見ても、その周囲にある植物だけが禍々しいほどの闇に覆われてしまっており、それを調べてみようにもこの闇が一体なんなのか分からない以上、触れるのは危険だと牙也は判断した。

 

 牙也「ひとまずロックシードを置いてくるか。これを調べるのはその後だ」

 

 牙也は一旦学園に戻る為、その場にクラックを開いて中に入った。クラックが一瞬にして閉じると、

 

 

 

 

 

 

 ??『……………………勇士よ、ここに来たれ。時は定まった。今こそ、勇士の魂を異なる輪廻に触れさせる時ぞ』

 

 

 

 

 

 そんな声が辺りに響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 箒「あ、お帰り♡」ギュッ

 牙也「ん、ただいま」ナデナデ

 箒「ん~♡」ゴロゴロ

 クラックから学園の整備室に牙也が出ると、早速箒が抱き着いてきた。それを優しく受け止め、そのまま牙也は近くの椅子に座り込んだ。

 カンナ「お疲れ様でした。紅茶はいかがですか?」

 牙也「あれ、カンナ?いつここに?」

 箒「ついさっきからだ。牙也は何か見つけたか?」

 牙也「ああ、新しいロックシードを一つ見つけてきたぞ」

 そう言って牙也は手に入れたカキロックシードを箒に見せた。

 箒「確かにこれは私達も知らないロックシードだな。後で試してみようか」

 牙也「そうだな。それと、一つ報告だ」

 カンナ「何かあったのですか?」

 牙也は探索中に見つけた、闇を吐き出すクラックについて話した。

 

 カンナ「闇を吐き出すクラック……!」

 牙也「カンナは知ってるのか?」

 カンナ「はい……どうやら、時が来たようです」

 箒「時……?」

 カンナ「はい。お二人様、急いで出発の準備をして下さい。あのクラックは短時間しか開きません、あれを逃すと異世界に向かえなくなります」

 箒「何?」

 牙也「異世界……って事は、あれがその……?」

 カンナ「はい。お察しの通り、異世界への扉になります」

 牙也「そうか。よし、そうと分かれば!」

 箒「全く慌ただしいな……挨拶の一つも出来んとは」

 カンナ「仕方ありません、あれが開くのは最早気紛れと言っても過言ではありませんので」

 牙也「仕方ねぇや。書き置きの一つでもここに置いていこう」

 とそこへ、

 

 

 千冬「何をこそこそと旅立とうとしている?」

 

 

 

 千冬が整備室に入ってきた。

 牙也「千冬さん……」

 千冬「全く、お前達の事を私達がよく見ていないとでも思っていたのか?」

 箒「いえ、そういうわけでは……」

 千冬「ならばーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一時の別れの挨拶くらいはちゃんとやれ」

 

 その言葉と共に、一夏達いつものメンバーが整備室になだれ込んで来た。

 牙也「皆……」

 一夏「ったく、何も言わずに出ていくなんて無責任だぞ。一言声をかけてから行けよな」

 鈴「一夏の言う通りよ、皆あんた達の事心配してるんだから」

 セシリア「もう行かれるのですね……再会したばかりだというのに、少し寂しく思えますわ」

 シャルロット「大丈夫だよ、永遠の別れって事じゃないんだし、また会えるよ」

 ラウラ「必ず生きて帰って来い。臨海学校の時の二の舞だけはするなよ」

 簪「道中、お気をつけて……!」

 楯無「お姉さんも、ちゃんと帰って来るのを待ってるからね」

 牙也「皆……ありがとな。あと楯無、俺はお前より一つ年上だからな?」

 楯無「嘘!?」

 牙也「ガチだよ。ま、ちゃんと帰って来る事は約束する。千冬さん、俺達が留守の間、ここの守備を宜しくお願いします」

 千冬「ああ、ここは私達に任せて、お前達は安心して行ってこい」

 牙也「はい。皆も楯無を中心に頼んだぜ」

 楯無「任せなさい、お姉さんがいるから大丈夫よ!」

 箒「物凄く不安に刈られているのは私だけか?」

 牙也「いや、俺もだ」

 楯無「酷っ!?」

 簪「お姉ちゃん……現実逃避はダメ、だよ?」

 楯無「」チーン

 

 カンナ「お二人様、そろそろ行かなければ……」

 牙也「ああ、分かった。スコール達にも宜しく伝えて下さいね」

 千冬「任されたぞ」

 牙也「宜しくお願いします。それじゃーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 牙・箒『行ってきます!!』

 

 

 『行ってらっしゃい!!』

 

 

 

 挨拶を交わし、三人は牙也が開いたクラックの中に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 牙也「ほら、あれだ」

 箒「あれが、異世界への入り口……」

 

 三人が降り立った場所は、牙也があのクラックを見つけた場所から少し離れた場所だった。そこからゆっくりとクラックに近づいて様子を伺う。

 牙也「カンナ、どうだ?あれ大丈夫なやつか?」

 カンナ「はい、大丈夫です。ただ長くはあそこには立ち止まれません。一気に走り抜けて、クラックに飛び込まなければ……」

 牙也「了解了解。それじゃカンナは、一旦ロックシードに戻ってくれ」

 カンナ「はい」

 カンナが白騎士ロックシードになると、牙也はそれを腰に提げた。そして箒の方に向き直る。

 牙也「箒、ちょっと失礼するぜ」

 箒「え、何をーーうわっ!?」

 

 牙也は箒をお姫様抱っこすると、クラックに向けて走りだした。

 

 牙也「このままクラックに飛び込むぜ、しっかり捕まってろ!」

 箒「あ、ああ……////」

 ほんのり顔を赤らめながら、箒は牙也にしがみつく。そして箒を抱っこした牙也は、異世界への入り口であるクラックの中に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 そして、ここから始まるーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 形のない『何か』を探す旅がーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 はい、異世界旅行編の導入でした。今後牙也達は、他の作者さんが描く何処かの世界に現れるかもしれません。いつ、何処に現れるかは、ご自分の目でお確かめ下さい。お楽しみにーー。


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