IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結) 作:神羅の霊廟
相変わらず恋愛には疎い作者です。問題なければお読み下さい。
箒「♪」ギューッ
牙也「」ナデナデ
現在牙也と箒は寄り添いながら、二人揃って食堂に向かっていた。その間箒はずっと牙也の左腕にしがみついており、牙也はそんな箒の頭をずっと撫で続けていた。
牙也「そう言えばさ、セシリアは何の為に俺を食堂に呼んだんだ?」
箒「ん~、秘密だ。食堂に着くまでのお楽しみだ♪」
牙也「む、そうかよ……ところでなんだけどさ……」
箒「なんだ?」
牙也「ちょっと言うの恥ずかしいんだが……あんまり引っ付いてこないでくれるか?皆に見られるのはちょっと……////」ポリポリ
箒「ふふっ……良いではないか、見られても。それとも、私がこうやって引っ付いてくるのは嫌いか?」ウワメヅカイ
牙也「うぐっ……そう言われると言い返せない」
箒「それとも、お前の理性が持たないか?」
牙也「こら////」ペシッ
箒「あうっ」
セシリア「随分呼んでくるのが遅いと思っていましたら……」
シャルロット「」サトウダバー
その様子を、近くの曲がり角からセシリア達が覗いていた。箒に牙也を呼んでくるように頼んだのだが、あまりにも遅いので呼びに来たのだ。
鈴「でも良かったじゃない。無事にあの二人が結ばれたみたいだし」
ラウラ「そうだな、あの二人の仲睦まじさは、恋愛に疎い私でももどかしかったぞ」
簪「篠ノ之さん……今までにない笑顔……輝いてる」
本音「ほーきちゃんがハッピーで良かったのだ~♪」
セシリア「そうですわね……さあ、私達は先に食堂に戻りましょう。あの空気を邪魔するのは失礼ですわ」
鈴「そうね、これ以上はシャルが持たないだろうし」
簪「デュノアさん、大丈夫?」セナカサスサス
シャルロット「だいじょばないよ……」ダバー
ラウラ「さあ、急いで戦略的撤退だ」
本音「お幸せに、なのだ~♪」
牙也(あいつら……)フフッ
こそこそと逃げるように去っていくセシリアを見て、牙也は苦笑を漏らした。
箒「む、どうかしたか?」
牙也「いや、なんでもないさ。それにしても……一気に吹っ切れたみたいだな」
箒「ふふっ、牙也のお陰だ。牙也が私への思いを打ち明けてくれなかったら、こんな風にはならないさ」
牙也「そっかそっか……あ、そうだ。これ、箒に返すぜ」
そう言って牙也は、ポケットからライムロックシードを取り出して箒に渡した。
箒「お守り……役に立てたか?」
牙也「勿論さ、ありがとな」ナデナデ
箒「んっ……牙也、もう少し強めに……」
牙也「こうか?」ワシャワシャ
箒「うむ♡」ゴマンエツ
そうこうしている間に、二人は食堂の前までやって来た。しかし、
牙也「あれ?妙だな……」
牙也は食堂の中が真っ暗である事に疑問を覚えた。
牙也「箒、ここで合ってんのか?」
箒「ああ、間違いない。ここに来るように言われていたのだが……おかしいな。ちょっと先に入って様子を見てみるぞ」
そう言って箒は牙也の返事も待たず、さっさと暗い食堂に入っていった。
牙也「あ、おい!……ったく、元気な事で」
苦笑いを浮かべ、牙也もまた箒を追いかけて食堂に入った。
牙也「おーい、誰かいないnーー」
パンパンパンッ!!
牙也「!?」ビクッ
と、突然食堂の明かりが点き、牙也は突然の眩しさに着物の裾で目を隠す。それを追うようにクラッカーの音がいくつも鳴った。突然の事に混乱したまま、牙也が目を向けると、
『紫野牙也さん、お帰りなさい!!』
食堂のカウンターの上には、でかでかとそう書かれた垂れ幕が掛けられており、食堂にはところ狭しと学園の生徒達が集合していた。その全員がクラッカーを鳴らして牙也を祝福する。食堂の長机には、あの短い時間の間に作ったのかと言えるほどに沢山の料理や飲み物が並べられ、美味しそうな香りや湯気を立てている。
牙也「ハハハ……おいおい、祝福にしては派手過ぎやしないか?」
セシリア「そんな事はありません。これくらい派手でなければ釣り合いませんわ」
セシリア達が前に進み出て、牙也を祝福する。
鈴「短時間で準備したから雑な部分もあるかもしれないけど、我慢してよね!」
シャルロット「学園の皆でこれ全部用意したんだよ」
ラウラ「今日はお前が主役だ、しっかり楽しんでいけ」
本音「牙っち、早く早く~」グイグイ
牙也「へいへい、分かったから引っ張るなって。ところで箒は?俺より先に中に入ったんだけど」
簪「あ……今ちょっと、席を外してて……」
牙也「ふーん……ま、深くは聞かないでおくか。それじゃ、楽しませてもらいますか!」
その後、ここに千冬達教員や束達も入ってきて全員で乾杯し、宴が始まった。料理研究会や食堂の料理人達か総出で作った料理を飲み食いし、さらにブラスバンド部のパフォーマンス等が行われた。学園全員でワイワイ騒ぎ、無礼講ではっちゃけまくり、全員が宴を楽しんだ。
その中で、楯無が炭酸飲料と間違えて教員用の酒の氷○を飲んでベロベロに酔っぱらい、一夏にキスしようとして鈴に背負い投げされたり、セシリアが特製ケーキを作って振る舞ったところ、学園の半分がぶっ倒れたり、束がなんたらホールドの状態で牙也に「あ~ん」をせがんだところ、牙也に梅干しを口に放り込まれて酸っぱさに悶えたり、色々カオスになっていたのは余談である。
そんな楽しい宴もたけなわとなり、外はすっかり夜になっていた。全員で後片付けして食堂を元の状態まで綺麗にし、今食堂に残っているのは、完全に酔い潰れた千冬と、千冬を必死になって起こそうとしている真耶、そしてそれを笑いながら眺めている牙也であった。厨房はまだ誰かいるのか、煌々と明かりが点っている。
真耶「もう、織斑先生ったら……全然起きませんね」
牙也「なんならそのまま引き摺って部屋に投げ入れて来たらどうですか?ずっとこのままって訳にはいかないでしょう。難しいなら手伝います」
真耶「あ、大丈夫ですよ。それよりも牙也君、もう遅い時間なんですから、真っ直ぐ寮に帰って下さいね。真っ直ぐですよ!」ビシッ
二度注意して、真耶は千冬を肩に背負い食堂を出ていった。
牙也「……こんな夜中に、しかも敷地内で寄り道するところなんか無いでしょうに……」ニガワライ
箒「牙也」
するとずっと厨房にいたのか、箒が何か持って出てきた。
牙也「おう、箒。宴の間ずっと厨房に籠ってたみたいだけど、なんか作ってたのか?」
箒「う、うむ……こ、これを……お前に」スッ
そう言って箒は、手に持っていたお皿を牙也の前に置いた。
牙也「これ……ショートケーキ?」
皿に乗っていたのは、八等分にカットされた手作りのショートケーキだった。しかし切るのを失敗したのか、断面が多少崩れている。
箒「うむ……牙也の好きな味とか、私はよく分からないのでな……初めて作ったこれを、お前に食べてもらいたくて……多少失敗したが」
牙也「失敗なんか気にしないさ、せっかく作ってくれたんだから。それじゃ、いただきます」
牙也はケーキを1カット取りそれを食べた。
牙也「ムグムグ……うん、旨い!美味しく出来上がってるよ」
箒「そうか……良かった。上手く作れたか心配だったのだ」
牙也「初めてでこんな美味しく作れるって凄いよな……ありがとな、俺の為に」ナデナデ
箒「う、うむ……////」
牙也「箒も食べてみるか?」
箒「う、うむ、いただこう」
箒もケーキを1カット取って食べた。
箒「……うん、旨い。自分でもよく出来たと思えるぞ」
牙也「だろ?あ、そうだ。箒、ちょっと」
箒「?」
牙也「ほい、あ~ん」
箒「っ!?////ま、またやるのか!?////」ボフンッ
牙也「いや~、あれ結構楽しくてな~、恥ずかしがりながら食べてくれる箒がまたーー」
箒「うう……////こ、今回だけだぞ?////」
牙也「へいへい、それじゃあ~ん」
箒「////」パクッ
牙也「どうだ?」ニコニコ
箒「……旨い////」モグモグ
牙也『ほい、それじゃもう一回、あ~ん』
箒『あ、あ~ん……////』
/ラブラブオーラムンムン\
??「ふふ……明日の一面、これで決まり!」
食堂の出入口から誰かが覗きながら写真を撮っている事にも気づかぬまま、牙也と箒は残りのショートケーキすべてを仲良く食べ終えた。
牙也「や~、楽しかった。それにしても疲れたな……」ゴキゴキ
箒「……そうだな////」カオマッカ
部屋に戻ってきてシャワーを浴び、牙也はベッドに座り込み肩をゴキゴキ鳴らす。箒は未だに赤面しており、倒れ込むようにベッドに座った。
牙也「さて、寝るとしようかね。箒、電気ーー」
箒「」ギュッ
牙也が部屋の電気を消そうとすると、箒が後ろから牙也を抱き締めた。
牙也「ほ、箒?////」
箒「牙也……一つ、私の我が儘を聞いてくれるか?」
牙也「なんだ?」
箒「き……今日だけは、牙也と一緒のベッドで寝たい////」モジモジ
牙也「!?////」ズキューン
(何この可愛すぎる子!?)
箒「だ、駄目か?」ウワメヅカイ
牙也「……ったく、そんな言い方されたら断れねぇよ……////」
牙也は「先にベッドに入っててくれ」と箒に言って、自分は電気を消しに行き、消し終わるとすぐにベッドに潜り込んだ。
牙也「それにしても、なんでこんなお願いしたんだ?」
牙也がそう聞くと、箒は牙也に寄り添いながら答えた。
箒「……また、離れてしまいそうで……また、私を置いてきぼりにして、牙也が消えてしまいそうで……それが嫌で嫌で……」
牙也「そっか……大丈夫だ、俺はここにいる。箒とずっと、一緒にいるさ」ナデナデ
箒「……ありがとう……ありがとう……!牙也、大好きだ……!」ギューッ
牙也「」ドキッ
ピクンーー
箒「き、牙也……////な、何か固いものが私に当たっているぞ……////」
牙也「す、すまん……////箒にそんな嬉しい事言われた上に、箒に抱き着かれて、つい……////」
箒「そうか……////な、なら私が責任を取らねばな////」ギュッ
牙也「ちょ、箒!?////」ビクッ
箒「私はこんな事するのは初めてだから……少し痛いかもしれんが……牙也をしっかり気持ちよくしてあげるぞ////」
牙也「……お手柔らかにな////」
その夜の間二人は深く繋がり合い、互いの温度を感じながら睦み合った。
次の日、牙也が箒にケーキを食べさせる写真が学園の新聞部が作った新聞にデカデカと載せられ、牙也と箒が朝から揃って顔を真っ赤にしたのは、これもまた余談であるーー。
はい、という訳で学園祭編も完結しました。という事で一つ報告がありますので、活動報告の方をご覧下さい。それではまたーー。