IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 恋愛関連の表現が難しいよ畜生!これが限界だよ!


 んんっ、失礼。それでも良いなら、引き続きお読み下さい。




第49話 遺言、ソシテ結バレル紅イ糸

 

 千冬「つ、つまりは……牙也とシュラは、元は同じ人間……!?」

 牙也「ええ。そして謎の生物の正体は、オーバーロードになる前、つまりまだインベスだった頃のシュラだったんです」

 

 牙也の口から語られた衝撃の真実に、一同は驚く事しか出来なかった。

 

 牙也「驚く事ばかり続いて申し訳ないのですが、話はまだ続きます。今までの話で薄々気づいている人もいるかもしれませんが……ゼロの正体はーー」

 簪「牙也さんの、お母さん……」

 牙也「ああ。そして、シャルロットやラウラ、果ては福音をインベス化させたのも母さんだ」

 ラウラ「牙也を倒す為には手段を選ばないほどに変わってしまったのか……たとえ、他人がどうなったとしても」

 牙也「今の母さんがそんな感じだ。もう今の母さんには人としての俺は見えてない。今見えてるのは、完全なる敵と認識した怪物ーーつまり怪物としての俺だけだ」

 鈴「で、どうすんのよ?まさか、あんたの命をあいつに差し出す訳じゃないでしょうね!?」ガタッ

 牙也「しねぇよ、そんな事。俺だって生きたいって思ってるさ、もう死ぬのはごめんだよ」

 鈴「それなら良いのよ」

 そう言って鈴はまた座り込む。

 

 

 真耶「ところで、一つ質問したいんですが……」

 牙也「何ですか?」

 真耶「あの……牙也君の隣にいる男の人は一体……?」

 牙也「ああ、これから紹介しますよ。狗道のおっさん」

 すると狗道が一歩前に進み出て言った。

 

 

 

 狗道「私の名は、狗道供界。この世界のISで言うと、ISコアの人格、とでも言おうか」

 

 

 

 その場にいたほとんどが供界の言う事を理解出来なかったが、

 束「なるほどね……お前、牙君が持ってるその紅いロックシードの中にいる存在って事なんだね」

 ISを作り出した束だけはそれを理解した。

 供界「まあ概ねその通りだ。正しくは、牙也のザクロロックシードを媒介として生きる元人間、もしくは幽霊とでも言おうか」

 セシリア「それでは貴方も既に死んでいるのですか?」

 供界「その通りだ。このザクロロックシードは、オーバーロード・シュラが牙也の為に残した『第二の心臓』であり、同時に私の心臓でもあるのだ」

 束「ちょっと待って、今『第二の心臓』って言ったね。どういう事?」

 牙也「それについては俺が説明します。今狗道のおっさんが言った『第二の心臓』は、おっさんが言ったように俺の三つ目の心臓とも言える物です。つまりこれが壊されたりすると、俺は死んでしまいます」

 千冬「待て、第二なのに三つ目とはどういう事だ?」

 牙也「俺の一つ目の心臓は、俺がまだ人間だった頃の心臓で、三つ目がさっき言ったザクロロックシード。では二つ目はなんなのか。実を言うと二つ目の心臓は、ブルーベリーロックシードです」

 千冬「む?つまりお前は今まで、その心臓の力を使って戦っていたという事か?」

 牙也「ええ。で す が、あの屑が勝手にブルーベリーロックシードを使用した事で、ブルーベリーロックシードは『第一の心臓』としての機能を失う事になりました」

 供界「そこで牙也をなんとか生かす為に、『第二の心臓』であるザクロロックシードーーつまり私が目覚めた、という事だ」

 轡木「なるほど……分かりました。他に誰か質問はありますか?」

 すると、一夏の手が上がった。

 

 一夏「牙也。箒の事なんだが、今回の戦闘でどうやらお前と同じように蔦を出せるようになったみたいなんだ。それに、箒が使ってるロックシードが変わってる事にも気づいた。どういう事か説明してくれ」

 牙也「ああ。箒が今まで使ってたマスカットロックシードは、元々はヨモツヘグリロックシードだったんだろうな。だけど、いきなりそれを箒に使わせたらさすがに体が持たない。そう考えて、シュラは一時的にヨモツヘグリの力をマスカットでカムフラージュしたんだろうな」

 一夏「だろうって……お前にも分からないのか?」

 牙也「こればかりはどうにもな。加えて蔦を出せるようになったのは、恐らくヨモツヘグリの自己及び他者に対する防衛本能みたいな物だと見てる」

 箒「自己防衛……」

 一夏「こんな事は思いたくないけど……箒もオーバーロードになった、なんて事は無いよな?」

 牙也「うーん……多分ヨモツヘグリの防衛本能がまだ残ってるだけだと思いたいが……如何せんその辺の話は俺もおっさんも分からんからな、暫く様子を見るしかないぜ」

 一夏「そっか……」

 

 轡木「他には何かありますか?」

 牙也「あ、すんません。俺から一つ個人的に報告……というか既に決めてた事があるんですが」

 轡木「何かな?」

 

 

 

 

 

 

 

 牙也「……異世界に向かいたいんだ。カンナの力を借りて」

 

 

 

 

 

 

 轡木「異世界……?一体どういう事ですか?」

 牙也「拠点の地下を調べてた時、シュラが俺に宛てた手紙を見つけました。そこにはこう書いてありました」

 

 

 

 

 

 シュラ『この手紙を手にした時は、恐らく我はもう消えてしまっているだろう。最後に我が牙也達の為にできる事と言えば、ドライバーを出来る限り多く作る事と、牙也に対してアドバイスをする事くらいだろう。

 

 さて、そのアドバイスだが、単刀直入に言う。

 

 

 

 

 カンナの力を借りて、異世界に向かえ。

 

 

 

 今のままでは、牙也達は恐らく黒幕には絶対に勝てん。お前達には、決定的に足りないものがあるからだ。それを見つける為に異世界に向かえ。その際一緒に連れていけるのは、篠ノ之だけだ。カンナには既に話を付けてある。牙也、篠ノ之、お前達二人の手で見つけ出せ。お前達に足りない何かを。なお、この手紙は読み終え次第焼き払え。誰にも触れられぬように』

 

 

 

 

 

 轡木「……シュラ君の遺言、か」

 牙也「そういう事です。俺も薄々は分かってました、このままではゼロに勝てないって。だから、探さなきゃならない。俺達に足りない何かを」

 轡木「なるほど……皆さんはどう思いますか?」

 全員が黙っていたが、

 

 

 

 

 鈴「牙也」

 

 最初に鈴が口を開いた。

 

 鈴「絶対に、無事に帰ってきなさい。それをちゃんと守ってくれるのなら、あたしは何も言わないわ」

 牙也「」コクリ

 千冬「私からも一言。必ず見つけてこい、その何かを」

 牙也「……はい!」

 束「箒ちゃん……」

 箒「……大丈夫だ、姉さん。私は死なない、必ず探しだしてくる。だから……」

 束「うん、待ってる。必ず帰ってきて」

 箒「はい!」

 轡木「皆、これで問題ないかな?」

 

 これには全員が頷いた。

 

 轡木「ところで牙也君達がいない間、ここの守備はどうするのかな?」

 牙也「全体的な指揮は千冬さんに一任したいと思ってますが……ザック、お前これからどうする気だ?」

 ザック「俺か?ここに残るぜ、俺にも何か手伝わせてくれよ」

 スコール「私達は一旦本部に戻って、この件を報告しなきゃいけないの。終わり次第またここの防衛任務に戻るわ」

 轡木「ではヴァルフレア君と亡国の皆さんにも守備任務に入ってもらうという事で宜しいですか?」

 牙也「はい、宜しくお願いします」

 轡木「では、今回の件につきましては箝口令を敷きますので、宜しくお願いします」

 

 こうして会議は終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シャルロット「まさか牙也さんがあの会社社長の息子だったなんて……」

 箒達は一旦牙也と別れ、寮に戻っていた。

 箒「牙也の実家は元々、姉さんのIS開発にも関わっていて、姉さんからすれば恩人同然だったんだ。あの事件で牙也以外の家族が全員亡くなったと聞いていたが……」

 鈴「妙ね……なんで母親だけ生きてるのかしら?遺体も見つかったんでしょ?」

 ラウラ「恐らく身代わりを使ったのだろうな。遺体を調べる者を買収するなどして、自分が死んだ事にした上で、牙也を狙い始めたんだろうな」

 セシリア「牙也さんは大丈夫なのでしょうか……敵とは言え元は家族、倒すなどと……」

 鈴「そうよね……牙也の決意が揺らがなければ良いんだけど……」

 

 <pppppーー>

 

 セシリア「あら、私のスマホですわ……もしもし?あら、相川さん。どうかなさいましたの?……あ、はい。今一緒におりますわ……え?今から食堂に?……なるほど、分かりましたわ、すぐに向かいます」

 

 

 鈴「どうかしたの?」

 セシリア「皆さん、ちょっとお耳を拝借……」ゴニョゴニョ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 牙也「うーん。すっかり片付けられたな」

 一方牙也は部屋に戻り、荷物整理をしていた。

 千冬「まあ仕方あるまい、お前は一度死んだ事になっているからな」

 牙也「それはそうですけど……」

 千冬「ああ、それと牙也。お前は今日から篠ノ之と同じ部屋になったからな。今すぐに荷物を全部持っていけ」

 牙也「はい?」

 千冬「なにやら楯無が裏で動いていたようだが」

 牙也「あいつ……後で処す」

 千冬「ほら、篠ノ之の部屋の鍵だ。ちゃんとノックして入れよ」

 牙也「分かってますよ」

 牙也は素早く荷物を纏めると、千冬にお礼を言って箒の部屋に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 牙也「えっと、確かこの辺り……あった」

 鍵に書かれている部屋番号をドアの部屋番号と照合し、間違いない事を確認した牙也は一旦その場に荷物を降ろし、ドアをノックーー

 

 

 

 

 箒「牙也?」

 

 

 

 

 しようとした時、箒がやって来た。

 箒「どうした?千冬さんに部屋を追い出されたか?」

 牙也「あながち間違っちゃいないが……今日からお前と同室だって千冬さんから聞いたぞ」

 箒「な、何!?まさか……!」

 箒は慌てて鍵を開けて部屋に入る。見ると、今まで箒と相部屋であった鷹月静寐の私物は全て運び出されたのかなくなっていた。

 箒「……本当のようだな」

 牙也「入って良い?」

 箒「……入れ」

 箒に許可を得て、牙也はゆっくりと部屋に入る。

 箒「私は窓際のベッドを使っているから、牙也は壁側のベッドを使え。シャワーは基本的に牙也が先に使ってほしい。その他の事は、後でゆっくり決めるとしよう」

 牙也「了解」

 牙也は持ってきた荷物を床に置くと、中に入れていた私物を整理し始めた。ふと箒を見ると、箒の髪には牙也にとって見覚えのある桜の飾りが付いたヘアピンがあった。

 

 牙也「あれ?そのヘアピン……あ!?」

 箒「ようやく気づいたか……全く」

 牙也「あちゃ~、あの手紙見つけられたのか……書き終わってなかったから、まだ隠してたのに……」

 箒「いや、あれだけでも私は良かったぞ。それよりも……」ジッ

 牙也「な、何さ?」

 

 箒「あの手紙に書いていた事……全部お前の本心か?」

 

 箒は牙也をじっと見つめながら聞いた。

 

 

 

 

 牙也「…………ああ。あの手紙に書いた事は全て、俺の本心だ」

 

 

 

 

 箒「天地神明に誓って、か?」

 牙也「勿論。あの手紙に嘘は書かない。俺の本心だけを書いてる」

 箒「そうか……」

 箒はそう言って黙り込んだ。

 

 

 

 

 

 箒「…………っ、うう……っ!」グスッ

 

 

 

 が、箒は耐えきれなくなったのか、声を押し殺して泣き始めた。

 牙也「ほ、箒!?す、すまん、俺何か嫌な事でも言ったか!?」

 箒「グスッ……違うのだ……私は、嬉しいのだ……っ!」ガバッ

 泣きながらそう言って、箒は牙也に抱きついた。

 牙也「ちょ、箒!?////」

 箒「嬉しかった……!臨海学校の後であの手紙を読んで、牙也が私を思ってくれている事が、嬉しかった……!」

 牙也「箒……」

 箒「臨海学校でお前が死んだと聞いたとき、後悔した……早くに私の思いを伝えておけば良かったって……!でも、牙也が戻ってきてくれて、嬉しかった……!」

 箒は泣きながら牙也をしっかりと抱き締める。

 牙也「箒……俺で、良いのか?俺は人間じゃなかったんだぞ……?それでも良いってのか?」

 箒「そんなの関係ない……!私は、お前が良いのだ……っ!」

 箒はなおも牙也を抱き締める。すると、

 

 牙也「」ギュッ

 箒「牙也……?」

 

 牙也も箒を抱き締め返した。その目は、箒と同じように涙で濡れていた。

 

 牙也「ありがとう……そんで、ごめんな……!お前の本心に、早く気づけなくて……!」ギュッ

 箒「牙也……!」ギュッ

 

 感極まって、箒も負けじと牙を抱き締め返す。暫くの間、二人はずっと抱き締め合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 箒「そ、それで……お前はどうなのだ?」

 ようやく泣き止んだ箒は、思いきって牙也に聞いた。

 牙也「ふふっ……そんなの、決まってんだろ?」

 牙也は笑顔を見せながら、箒にその顔を近づけてーー

 

 

 

 牙也「」チュッ

 箒「んんっ!?」

 

 

 

 優しく抱き締めながらそっとキスをした。箒は驚いていたが、やがてそっと牙也を抱き締め返し、

 

 牙也「ん……ちゅっ……んん……っ」

 箒「ん……んん……きば、やっ……んちゅっ……」

 

 すこし濃厚なキスをした。そして、互いの唇が離れると、牙也は箒の髪を手で優しく梳いた。そして箒を見て一言、

 

 

 

 

 

 

 

 

 牙也「こんな俺で良ければ……宜しく頼む////」

 

 

 

 ほんのり顔を赤くしながら言った。

 箒「牙也っ!」ガバッ

 牙也「うおっ!?////」

 それを聞いた箒は笑顔になり、思い切り牙也に抱き付いて必死に頬擦りする。

 箒「ふふっ……これから、宜しく頼むぞ♡」

 牙也「ああ、宜しくな」ナデナデ

 

 こうして暫くの間、二人は互いに抱き合ったままのんびりと過ごすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 箒「あ、しまった。オルコット達に食堂に来るように言われていたのだった」

 牙也「そうなの!?」

 

 

 





 次回、食堂で大騒ぎ。



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