IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 活路を見いだす為に、人は前に進むーー。そして、掴んだ先にーー




第43話 急襲

 

 ドンドンーー

 

 パンパンーー

 

 IS学園の空に、花火の音が鳴り響く。雲一つなくよく晴れたこの日、遂に学園祭が開幕した。多くの家族連れやIS関連の企業関係者などが早くから訪れており、まだ始まったばかりであるにも関わらず賑やかである。

 

 そしてここ一年一組主宰のメイド喫茶では、

 

 「お帰りなさいませ、ご主人様♡」

 「何をお食べになりますか?本日はこちらの『純愛パンケーキセット』がお薦めとなっております」

 「えへへ~、もっと撫でて~♡」

 

 隣の二組の中華喫茶とバトルしているかのごとく、客の取り合いとなっている。

 

 「いらっしゃいませ~!」

 「本日は胡麻団子がお薦めですよ~!」

 「肉まん二つですね、畏まりました~!」

 

 どちらも盛況のようで、接客の生徒も調理の生徒も狭い中を縦横無尽に動き回っている。朝からフル稼働とでも言おうかーー。

 

 

 

 

 セシリア「メイド喫茶、大成功ですわね!こんなにもお客様が来てくださるとは……!」

 ラウラ「自分で言うのもなんだが、発案して良かったと思うぞ」

 シャルロット「セシリア~、ラウラ~!料理出来たから持っていって~!」

 セシリア「分かりました!」

 ラウラ「どんどん運ぶぞ!」

 

 清香「行ってらっしゃいませ、ご主人様♡」

 静寐「はい、『萌え萌えメイドのご奉仕セット』ですね、畏まりました~♡」

 さゆか「お待たせしました~、『ロマンの星☆あ~んセット』です♡」

 

 

 

 

 

 一方の二組はーー

 

 「鈴ちゃん、注文入ったからここに伝票置いとくね!」

 鈴「分かったわ!はい、胡麻団子と肉まん完成したよ、誰か烏龍茶と一緒に持ってって!」

 「はーい!」

 鈴「ところでお客さんの入りはどう!?」

 「一組と接戦みたい!向こうもこっちも同じくらい入ってきてる!」

 鈴「オッケー、どんどんお客さんをさばくわよ!」

 

 鈴が中心となって軽食の調理が進められ、その腕を存分に発揮して多くの料理を次々と作っている。最早プロ顔負けの能力発揮だ。

 

 「お待たせしましたー、肉まん二つと烏龍茶になりまーす!」

 「いらっしゃいませ!何名様ですか?」

 「誰かレジおねがーい!今手が離せないから!」

 

 一組も二組も、襲いかかってくるかのように次々と来る客を次々とさばいていくーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 鈴「っはー!取り敢えず一段落したわ……」グデー

 セシリア「こちらもですわ。本当に大盛況でしたね」

 シャルロット「飲み物買ってきたよ、全部スポドリだけど」つスポドリ数本

 ラウラ「ありがたい、朝から動き回ってクタクタだ……」ウケトリ

 本音「お疲れ様~」

 時間はあっという間に過ぎて、お昼もだいぶ過ぎた頃。それぞれのお店のお客の数がようやく数人でなんとかなる程になったので、朝から働き詰めだったセシリア達はようやく休憩に入った。

 鈴「よく考えたら、明日もこんな感じになるかもしれないわね」

 シャルロット「大盛況だったからね、一組も二組も」

 ラウラ「明日もか……一層奮起せねばな」

 本音「頑張ろ~!」

 セシリア「ところで、皆さんはこれからどうなさいますか?私はお昼ご飯を食べた後は、更識さんの四組の演劇を見に行こうかと思っておりますが」

 ラウラ「私は他の店を色々回るぞ」

 シャルロット「僕も演劇見に行こうかな」

 本音「私も~。かんちゃん見てみたいから~」

 鈴「あたしもラウラと同じかな」

 セシリア「ではここで一旦お別れですわね。ではまた後程」

 セシリアはシャルロットと本音と共に体育館に向かった。

 ラウラ「さて、私も行こうか」

 鈴「気を付けなさいよ。迷子になったら洒落にならないわよ」

 ラウラ「私はそこまで馬鹿ではないぞ、凰よ……」

 ラウラはブツブツ文句を言いながら行ってしまった。

 鈴「さ、あたしも行こうかな……って、あれは……!」

 

 

 

 

 

 

 一夏「いやー、久々に地面を踏み締めたよ。ずっと車椅子だったから新鮮だなぁ、この感覚」

 弾「ははは……でも良かったな一夏、義足が付けられて」

 数馬「鈴が見たらどんな反応するかな」

 蘭「まず一夏さんに飛び付いてくると思いますよ。あんだけ甘い空間を無意識に作れるんですから」

 一夏「あはは、鈴だったらやりかねnーー」

 鈴「一夏~♡」ガバッ

 一夏「うおっ!?っと、やっぱり鈴か!」ウケトメ

 鈴「にゃ~♡」カオグリグリ

 突然飛び付いてきた鈴を、一夏は優しく受け止め抱き寄せた。

 蘭「ほら、やっぱりこうなりました」ニガワライ

 一夏「あはは、蘭の言う通りだったな」

 鈴「あら、弾に数馬に蘭!久しぶり!」ギューッ

 弾「久しぶりだな!元気そうでなによりだぜ!」

 蘭「お久しぶりです、鈴さん。この度は学園祭に誘ってくれてありがとうございます」

 鈴「良いのよ別に。楽しんでる?」

 数馬「ああ、面白いものばかりで飽きないな」

 鈴「そう、良かったわ。早くあんたらも良い人見つけなさいよ」

 弾「畜生、鈴に言われるとなんでか腹立つ!」

 数馬「諦めろ」

 蘭「私は諦めました」

 そんな談笑をしていると、

 

 

 

 

 箒「一夏……!」

 

 

 

 箒が駆けてきた。

 一夏「箒……!大丈夫なのか、部屋から出てきて」

 箒「まだ本調子ではないがな……姉さんの様子は?」

 一夏「ああ……まだなんとも。後でクロエが連れてくる予定だけど……」

 箒「そうか……だが良かった、一夏が歩けるようになって……」

 一夏「ありがとな。けど……」

 鈴「一夏」フルフル

 一夏が何か言おうとしたが、鈴がそれを制す。

 一夏「……そうだな。今言うのは駄目だよな」

 弾・数・蘭『?』

 話に着いていけていない三人は揃って首を傾げた。

 箒「まあとにかく、学園祭を楽しんで行ってくれ」

 弾「ああ、そっちも頑張ってな」

 箒「ありがとう」

 箒は一礼して去っていった。

 弾「なあ、何の話をしてたんだ?」

 鈴「え?ああ、こっちの事よ、気にしないで。さ、色々見て回りましょ!」

 一夏「そうだな、折角なんだし楽しまなきゃな」

 五人はそろって歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 箒「今のところ異常なし……」

 箒は学園祭を楽しみつつ、学園警備の任を全うしていた。二組の店を見に行った時にもらった肉まんを食べながら、裏通りなどを見て歩く。

 箒「さて、ここはもう大丈夫だな。次に行こう」

 ??「あの、もし」

 箒「?」

 箒が後ろを向くと、黒髪長髪の女がそこにいた。

 ??「篠ノ之箒さん、で間違いないですよね?」

 箒「そうですが……貴方は?」

 ??「あ、申し遅れました。私、こういう者です」

 女はそう言って懐から名刺を出して箒に差し出した。

 箒「『株式会社メシア・ロード』代表取締役、狗道茜さん……メシア・ロードと言うと、最近あちこちの会社と吸収合併して大きくなりつつある企業ですね」

 茜「ご存知のようでなによりです。さて、突然ながら本日は、篠ノ之さんに良い話を持って来ました」

 箒「はあ……それはどのような話でしょうか?」

 茜「ここではなんなので、広い場所で話しましょう。さ、こちらに」

 茜は箒に移動するよう促すが、

 箒「そちらは確か校舎の裏手に出る筈ですが。広い場所でなら、こちらに行かないと」

 箒は警戒してか、別方向に向かうよう促す。すると女は「ふふっ……」と笑みを見せて言った。

 

 

 

 

 

 

 

 茜「さすがはアーマードライダーね。そう簡単にはいかないようね」

 

 

 

 

 

 箒「!アーマードライダーを知っているのか……貴様は……!」

 茜「ふふっ、でもそれだけでは……私は倒せないわ!」

 箒はそれを聞いて、一旦バックステップで茜と距離を取った。すると、茜の背後から蔦が伸びて箒に襲い掛かってきた。しかし箒はそれを辛うじて回避したあと広い場所に出て、胸ポケットに隠したボタンを押してすぐにポケットに戻した。そこに狂ったような顔をして茜が出てきた。

 茜「うふふ……そう簡単には捕まらないわよね、そうでなきゃ楽しめないわ」

 すると茜は、懐からゲネシスドライバーとゴールデンエナジーロックシードを取り出した。

 箒「ゲネシスドライバー……!?なぜ貴様が!?」

 茜「うふふ、私を倒せたら教えてあげる。変身」

 

 《ゴールデンエナジー》

 

 《ロック・オン》

 

 《ソーダァ!ゴールデンエナジーアームズ!黄金の果実!》

 

 箒「っ!アーマードライダー……!変身!」

 

 《マスカット》

 

 《バナナエナジー》

 

 《ロック・オン》

 

 《ミックス!マスカットアームズ!銃剣・ザン・ガン・バン!ジンバーバナナ!ハハァーッ!》

 

 箒「貴様が何者なのか……意地でも聞かせてもらうぞ!」

 茜「ふふ……私の真の名は『ゼロ』……篠ノ之箒、貴女の命をもらうわ」

 

 箒はマスガンドを、茜ーーいや、ゼロはソードブリンガーをアップルリフレクターから抜いて構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千冬「っ!篠ノ之から侵入者ありのアラートだ!全教員はすぐに戦闘態勢に入れ!来場者の避難を最優先にし、全員の避難が完了するまでとにかく耐えろ!」

 箒からの連絡が休憩室にいた千冬に届くと、千冬はすぐに教員達に連絡を入れ、戦闘態勢を取らせた。

 真耶「織斑先生、大変です!」バンッ

 とそこへ真耶が飛び込んできた。

 千冬「山田先生、何かあったのか?」

 真耶「そ、それがーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 正体不明のISが、次々と学園に向かってきています!」

 

 千冬「なんだと!?くっ、まずいな……!専用機持ちにも連絡を入れ、そのISを抑えてもらうしかないか……!山田先生、専用機持ち全員に出撃の連絡を入れろ、大至急だ!」

 真耶「わ、分かりました!」

 真耶が慌てて出ていくのを見送った千冬は、

 千冬「今度は誰も死なせない……絶対に!」

 真耶が向かった方向とは逆の方向に駆けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 スコール「さて、行きましょうか」

 

 亡国企業本部。スコール率いる戦闘部隊『モノクローム・アバター』にも動きがあった。全員がISを纏い、今にもどこかを襲わんとしている。

 スコール「今回は貴方の一存で出撃するだけよ、それだけは忘れないでね」

 ??「ああ……別にそれで良い。だが忘れるな、もし約定を違えれば……」

 スコール「勿論承知の上よ。オータムもMも、準備は良い?」

 オータム「アタシは大丈夫だぜ」

 M「……いつでも」

 スコール「そう。それじゃ行くわよ、IS学園へ」

 

 黄金のISが、仲間を引き連れて飛び立った。

 

 

 





 次回、レオンとマルスが激突。しかし、ゼロの凶刃は学園を、箒を嘲笑うーー。


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