IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 戦いに正も悪もなしーー。




第34話 待チ受ケル悪夢

 牙也「……何者だ、お前等」

 ??「初めまして、でしょうか。こうやって顔を合わせるのは」

 牙也「そうだな……おい織斑。お前はさっさと旅館に帰れ。そんで処罰を受けてこい」

 春輝「はあ?僕に命令しないでくれるかな?こんな奴等、僕一人で充分さ!」

 牙也「止めておけ、お前ごときじゃ勝てない相手だ」

 春輝「なっ……!?お、お前……ふざけーー」

 

 

 その瞬間、ソニックアローから放たれた矢が春輝の頬を掠めた。頬が少し切れて、血が流れる。

 

 

 牙也「とっとと帰れ……次は当てるぞ……」

 春輝「ひっ!?……わ、分かったよ!」

 牙也の強烈な殺気に当てられた春輝は、青い顔をしながらその場を離脱した。それを確認した牙也は、ふぅ、とため息をついて二人を再び見据えた。

 牙也「待たせたな、あいつが邪魔だったもんで手間取ってた」

 ??「いえいえ、お気になさらず。別に待ってませんので」

 牙也「そうかい。で、お前等は何なんだ?」

 ??「そうですね、まずは自己紹介しておきましょうか」

 細身の男は、手に持ったライフルを背中に背負ってから自己紹介を始めた。

 

 

 ギリア「僕はギリア・フレイアと言います。それでこっちのマッチョが……」

 ザック「ザック・ヴァルフレアだ!よろしくな、ハァッハッハァ!」

 牙也「…………そいつの無駄に暑苦しいテンション、なんとかしてほしいんだが」

 ギリア「えっと…………諦めて下さい。まあ立ち話もなんなので、こちらに来て下さいよ」

 ギリアが自分達が乗っているフィールドに牙也を手招きする。が、

 牙也「……罠仕掛けてんじゃねぇだろうな……?」

 ギリア「ああ、やっぱり疑いますよね……大丈夫ですよ、別に罠で倒すとか捕獲するとか考えてませんから」

 牙也「嘘ついたらみじん切りにするからな」

 そう言いながら、牙也はゆっくりとフィールドに近づいていく。勿論常にソニックアローを構えて迎撃が出来る状態でだが。やがて牙也はゆっくりとフィールドに降りた。

 牙也「……嘘ではなかったようだな」

 ギリア「そりゃまあ……罠なんかで貴方を倒すなんて、あまりにもつまらないですし」

 ザック「ハッハッハァ!男なら黙って肉弾戦だぜぇ!」

 ギリア「ザック、貴方は少し黙っていて下さい」

 ギリアはザックを黙らせると、牙也に向き直った。

 ギリア「コホン、失礼……では、本題に入りましょうか」

 牙也「ああ……この間、ヘルヘイムの森で俺を撃ったのはお前で間違いないな?」

 ギリア「ええ、僕です。主より貴方を殺せとの命を受けまして」

 牙也「何故?」

 ギリア「貴方という存在が危険と主から聞いているからです」

 牙也「へぇ……お前は俺の事を何か知っているのか?」

 ギリア「まあある程度は」

 ギリアはライフルを撫でながら言った。

 ギリア「とは言っても、何故主が貴方を狙うのかまでは詳しく知りませんがね。仕事の性質上、依頼主の秘密には深く入らないようにしてまして」

 牙也「つまり、その主の事はお前もよく知らないって事だな」

 ギリア「そう考えていただければ結構です。さて、それではーー」

 ギリアとザックはおもむろに、懐から何かを取り出した。それはーー

 

 

 

 

 牙也「戦極ドライバー……!予想はしていたが、やはりお前等も……!」

 

 

 

 

 牙也達と同じ戦極ドライバーだった。ドライバーを腰に付け、ロックシードを取り出して解錠する。

 

 

 《グァバ》

 

 《アンズ》

 

 《ロック・オン》

 

 

 二人がそれぞれのロックシードをドライバーにロックすると、二人の頭上にクラックが現れ、中から巨大なグァバとアンズが出現。さらに周囲にはファンファーレが鳴り響く。

 

 

 ギ・ザ『変身!』

 

 

 《カモン!グァバアームズ!Hunt of Bogan!》

 

 《カモン!アンズアームズ!Power of Fighter!》

 

 カッティングブレードでロックシードを切ると、ギリアにグァバが被さり、緑のライドウェアが出現した後にグァバが鎧のように展開。一方ザックにはアンズが被さり、黒いライドウェアが出現した後にアンズが鎧のように展開した。

 牙也「グァバにアンズか……やれやれ、生きて帰れる保障をことごとく潰して来やがる……」

 ギリア「貴方を潰す事が私達の任務なので」

 ザック「ハッハッハァ!俺の筋肉に押し潰されろぉ!」

 牙也「やだよ暑苦しい」

 ギリアが変身した『アーマードライダーギルド』はボウガン・グァバライナーを、ザックが変身した『アーマードライダーバルカン』は両腕のグローブ・アンズクラッシャーを構えた。牙也は一旦ブルーベリーアームズに戻り、薙刀・紫炎を構える。

 ギリア「なるほど、それが蝕……」

    (ですが妙ですね……『あれ』の気配が無い……何故でしょう?)

 ザック「ハッハッハァ!楽しみだぜぇ!!」

 牙也「こっちは楽しみじゃねぇよ……」

 ザック「それじゃギリア、俺から行かせてもらうぜ!」

 ギリアが返答するよりも早く、ザックがアンズクラッシャーで右ストレートを繰り出してきた。牙也はそれを紫炎で受け流し、空いた脇腹に蹴りを入れた。しかし、

 

 ザック「効かねぇなあ!!」ガッ

 牙也「ぐっ!?ちぃっ、筋肉野郎が……!」

 ザックはその右手で裏拳を繰り出して牙也を吹き飛ばし、蹴られた脇腹を軽く撫でる。そして異常が無い事を確認して、再び牙也に殴り掛かる。

 裏拳を受けた牙也は吹き飛ばされた勢いを使って一旦距離を取り、

 牙也「殴り合いなら、こっちにもピッタリなのがあるぜ」

 

 《マロン》

 

 《ロック・オン》

 

 《ソイヤッ!マロンアームズ!Mr.Destroy!》

 

 マロンロックシードを解錠。マロンアームズにチェンジした牙也は、マロンストライカーでザックを迎撃。拳と拳がぶつかり合う。

 

 ザック「ハッハッハァ!俺に肉弾戦を挑むか!面白ぇ!!」

 牙也「けっ、うるさい奴だな」

 ザックの馬鹿みたいに高いテンションにイライラしながらも、牙也は攻撃を続ける。

 

 ザック「おらあっ!!」ブンッ

 

 ザックは大振りな攻撃で力押しの戦法をとり、

 

 牙也「フッ!フッ!」ヒュッ

 

 牙也は軽快なフットワークでそれを回避しつつ一撃を当てていく。

 

 ザック「ハッ、ちょこまかと動きやがる!随分とショボい攻撃だな!」

 牙也「ほざけ、てめえの大振りな攻撃だってほとんど当たってねぇだろうが。それこそショボいだろうに」

 ザック「んだとコラ!?」

 互いを罵り合いながら殴り合いを続ける二人。それをギリアは羨ましそうに見ていた。

 ギリア「うーん、ザックばかり楽しむのは狡くないですか?」

 ザック「ハッハッハァ、良いじゃねぇか!今ぐらい俺にやらせろよ!」

 牙也「ご所望なら、相手してやろうか?」

 

 《ブルーベリー》

 

 《マスカットエナジー》

 

 《ロック・オン》

 

 《ミックス!ブルーベリーアームズ!侵食者・Hell・Stage!ジンバーマスカット!ハハァーッ!》

 

 牙也「ほれ、分身。これを使え」

 牙也(分身)「ああ」

 牙也はジンバーマスカットアームズにチェンジして分身を形成。その分身にオレンジエナジーロックシードを投げ渡した。分身はマスカットエナジーロックシードを外し、

 

 《オレンジエナジー》

 

 《ロック・オン》

 

 《ミックス!ブルーベリーアームズ!侵食者・Hell・Stage!ジンバーオレンジ!ハハァーッ!》

 

 オレンジエナジーロックシードを解錠して装着、ジンバーオレンジアームズにチェンジした。

 

 牙也「お前はそっち、俺はこっち。良いな?」

 牙也(分身)「了解。気を抜くなよ?」

 牙也「お前こそ」

 本体の牙也は再びマロンアームズにチェンジしてザックに向き直りステップを踏む。分身はソニックアローをギリアに向けて構える。

 ギリア「分身を作るとは……面白いですね」

 ザック「ハッハッハァ!そうでなきゃ面白くないな!」

 牙也「お前等には色々聞きたい事があってな……」

 牙也(分身)「ちょっと大人しくしてもらおうか……!」

 ギリア「面白い冗談を……では、こうしましょうか」バッ

 ギリアが左手を上げると、

 

 

 

 

 

 牙也「っ!フィールドが……!」

 

 

 

 

 突然フィールドが二つに割れ、それぞれに牙也(本体)とザック、牙也(分身)とギリアに分かれてしまった。ある程度の距離まで二つのフィールドが離れたところで、ギリアとザックはそれぞれの得物を構える。

 

 ギリア「これなら心置きなく戦えます」

 ザック「ハッハッハァ!やっとタイマンだぜ!」

 牙也(本体)「やれやれ……面倒臭いが、心が滾るぜ……!」

 牙也(分身)「同じく……久し振りに感じるこの高揚感、最高だぜ……!」

 

 ノリノリでファイティングポーズをとる二人の牙也。それを見て、ギリアとザックもニンマリとした。

 

 

 




 次回、二人の牙也が新たなアーマードライダーとバトルーー。


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