IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 福音との戦いは佳境へーー。




第29話 轟ク福音ノ嘆キ

 三人称side

 

 《ブルーベリーオーレ!》

 

 《シークヮーサーエナジースカッシュ!》

 

 下級インベスを紫と黄緑の斬撃波が斬り裂いていく。が、下級インベスの数は減る様子を見せない。

 牙也「ちっ、数が多すぎる!千冬さん、大丈夫か!?」

 千冬「こっちも苦しくなってきたぞ!」

 牙也「仕方がない、こいつで行くか!」

 

 《マツボックリエナジー》

 

 《ロック・オン》

 

 《ミックス!ブルーベリーアームズ!侵食者・Hell・Stage!ジンバーマツボックリ!ハハァーッ!》

 

 牙也「久々のジンバーアームズだな」

 

 《ジンバーマツボックリスカッシュ!》

 

 牙也「オラオラオラオラオラオラオラァ!!」

 

 牙也は紫炎と影松・真を構え、連続で突き攻撃を繰り出した。それぞれの武器を模したオーラがインベスに向かって飛んでいき、次々と突き刺さって爆散させていった。

 牙也「もういっちょ!」

 

 《ジンバーマツボックリスパーキング!》

 

 牙也「ハァァァァァ……ダッ!」

 牙也は紫炎と影松・真を振り回しながらインベスの群れに突入した。

 

 牙也「ソラソラソラソラソラソラァ!!」

 

 インベスの群れの中を進み、乱舞するように武器を振り回す牙也。その攻撃は次々とインベスの体をとらえていく。斬り裂き、突き刺し、薙ぎ払い、止まる事なくインベスを攻撃する。やがて牙也の周囲にいたインベスは全て爆散した。

 

 千冬「ふっ、私も負けてられないな」

 その様子を自身も戦いながら見ていた千冬は、ホルダーにぶら下げた別のエナジーロックシードを手にした。

 

 《ミラベルエナジー》

 

 千冬「これを使う時が来たか」

 

 《ロック・オン》

 

 《ソーダァ!ミラベルエナジーアームズ!Light Load!Light Load!Li-Li-Li-Li-L-L-L-L-Light!》

 

 新たなフォーム【ミラベルエナジーアームズ】を顕現させた千冬は、ソニックアローを構えて矢を放った。矢は一匹のインベスに突き刺さったかと思うと、その勢いのまま後ろにいた他のインベスをも巻き込んで吹き飛ばしていった。

 千冬「ふむ、悪くないな。だが体への負担が大きいのはな……」グッ

 そう言って千冬は少し震える拳を握っていたが、そうしている間にもさらにインベスが千冬に襲い掛かってきた。

 千冬「邪魔をするな!」

 

 《ミラベルエナジースカッシュ!》

 

 千冬「はあっ!」

 シーボルコンプレッサーを押し込んで黄色のエネルギーをソニックアローにチャージし、回転斬りの要領で斬撃波を飛ばす。襲い掛かってきたインベスは、斬撃波に一刀両断されて爆散した。

 千冬「これで終わりか」

 

 《ロック・オン》

 

 《ミラベルエナジー》

 

 間髪入れず、ミラベルエナジーロックシードをソニックアローの窪みにセットし、弓を引く。

 

 千冬「吹き飛べ!」

 

 ソニックアローから放たれた矢が、残りのインベスを全て呑み込んだ。そして、海岸に起こる大爆発。爆発の煙が晴れると、インベスは全ていなくなっていた。

 

 牙也「取り敢えず片付いたが……」

 千冬「牙也、これをどう見る?」

 牙也「多分今のインベスは、誰かが意図的にここに出現させたんでしょうね。恐らく……」

 千冬「福音を暴走させた者、か」

 牙也「ええ。とにかく引き続き、警戒をしておきましょう。千冬さんは一旦戻って、福音の方を見ていて下さい」

 千冬「分かった、牙也も気を付けろよ」

 千冬は変身を解除して旅館に戻っていった。牙也も変身を解除し、福音がいるであろう方向を見た。

 牙也(杞憂だとは思うが……なんか嫌な予感がするぜ……)

 牙也は険しい顔をして、その方向を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 『La~♪』

 春輝「ちいっ!」

 その福音は現在、一人先行した春輝と戦っていた。福音は『銀の鐘(シルバー・ベル)』からビームを放って攻撃して来るが、春輝は白式のスラスターを全開に吹かせて縦横無尽に空を飛び回り、ビームを回避していく。そして隙有らば斬り掛かって福音にダメージを与えていく。

 と、そこへーー

 

 箒「春輝!」

 箒が合流した。

 春輝「箒!ちょうど良かった、あいつの気を反らしてくれ。僕が一撃加えてやる!」

 箒「待て、春輝!まだ鈴達が来てないぞ!私達だけでは無理だ!」

 春輝「そんな事言ってる暇があるなら、こいつをどうにかしてくれよ!」

 

 『La~♪』

 春輝「っ、攻撃が来るぞ!」

 箒「させるか!」

 箒は専用武装『雨月』と『空裂』を取り出し、それぞれからレーザーと斬撃波を福音に向かって撃ち出した。レーザーは右腕に、斬撃波は頭部に当たり、一瞬だが福音は怯んで攻撃の手を止めた。

 箒「一旦離れるぞ!」

 春輝「お、おい!……くそ、良い時なのに……」

 二人は一旦福音から離れた。

 春輝「なんで攻撃の手を止めたんだよ!?さっきのタイミングなら一撃入れられてただろ!?」

 箒「馬鹿者、あんな一瞬の隙を狙っては反撃されて落とされるのがオチだ!反撃されない状態で零落白夜を使うのだ!」

 春輝「あの程度の奴に僕が落とされるかよ!その証拠に、さっきまで一発も被弾してないんだからな!」

 箒「全くお前は……む、来たな」

 鈴「お待たせ!」

 そこへ鈴達五人が合流した。

 

 セシリア「大丈夫でしたか?」

 箒「ああ。少なくとも春輝は被弾無しのようだからな」

 春輝「ふん、あの程度なら避けるのは容易いさ」

 箒「はあ……ところで、随分早かったな」

 簪「オルコットさんの新型パッケージに乗せてもらって……」

 シャルロット「すごい性能だったよ、ビックリした」

 箒「そうか、ともかくこれほどに早く合流出来たのは良かった」

 鈴「とにかくこれからよ、問題は。まずは福音に確実な隙を作らなきゃ」

 ラウラ「貴様はすぐに福音に近付ける場所で待機しろ。後は私達がやる」

 春輝「分かったよ……」

 ラウラ「ここからの指揮は私が取る!皆は私の言う通りに動いてくれ!」

 箒・セ・鈴・シ・簪『了解!』

 

 いよいよ本格的な作戦が始まる。

 

 

 

 

 

 千冬「状況は?」

 真耶「少し予定外がありましたが、先程無事に全員が福音に接触した、と報告がありました。後は、皆さんを信じるほかありません……」

 千冬「そうか。福音のスペックを見るあたり、あいつらでは撃破はなかなか難しいだろうが……何故だろうな、あいつらならやってくれると考えている自分がいるのだ」

 真耶「私もです。何故か良く分かりませんが、皆さんなら大丈夫、と思えるんです」

 シュラ『さて、ここからだ……何も起こらなければ万々歳だが……』

 轡木『そうですね……無事を祈る事くらいですね、私達に出来るのは』

 

 

 

 

 

 

 

 ラウラ「撃てっ!」

 ラウラの号令と共に、弾丸やビーム、レーザーが福音を襲う。福音も負けじとレーザーを撃ち返して応戦する。

 ラウラ「散れっ!」

 その合図で全員があちこちに散らばり、福音の攻撃を避けていく。そして引き続き中距離・遠距離からビーム等を撃ち放つ。

 鈴「さすがね……やっぱ軍用と言うだけはあるわ!」

 セシリア「なかなか隙を見せてはくれませんわね……分かってはおりましたが」

 しかしさすがは軍用IS。耐久力も攻撃性能も箒達の持つ専用機の比ではなく、銃火器の攻撃もほとんど効いている様子を見せない。

 箒「じり貧だな……高火力の弾を当ててみるか?」

 鈴「それならあたしに任せて!龍砲の新しいパッケージがあるから!」

 ラウラ「よし、まずは福音の気を凰から反らすんだ。オルコット、デュノアは引き続き後方援護を頼む」

 セ・シ『分かりましたわ(分かったよ)』

 ラウラ「篠ノ之達は私と共に福音を、更識はそれに加えて凰の護衛を頼む。織斑はいつでも動けるようにな!行くぞ!」

 箒「分かった!」

 簪「任せて……!」

 鈴「なんとか頼むわよ!」

 春輝「早くしてくれよ!」

 

 

 三人称side end

 

 

 

 

 鈴side

 

 (……今のところ、まだ隙はないわね……)

 あたしは自身に飛んでくるレーザーを避けつつ、龍砲を撃つ機会を窺っていた。箒、セシリア、シャルロット、ラウラ、簪が次々とビームやレーザーを撃ち込んでいくが、まだ福音は怯まない。やっぱ硬いわね、軍用ISって。

 

 ピーピーピー

 

 「あら?レーダーに別の反応が……って!あれは……!?」

 レーダーが反応した方を見ると、なんと一隻の船が沖合いを航行していた。なんで!?この海域は封鎖された筈よ!あたしは慌ててラウラと通信する。

 

 

 「ラウラ、大変!海上封鎖した筈なのに、船が通ってる!」

 ラウラ「なんだと!?まさか、密漁船か!?」

 「多分そうよ!急いであの船を避難させなきゃ!」

 春輝「そんなの放っておけば良いだろ!?今は福音の方だ!」

 ラウラ「馬鹿か貴様は!?私達が生き残っても、他に死人が出ては意味がないのだぞ!?」

 

 『La~♪』

 

 すると、突然福音が船に狙いを定め、レーザーを放った。いけない、船が!

 箒「不味い、福音が船に狙いを……!」

 シャルロット「僕達じゃ間に合わない!」

 簪「任せて……!新型パッケージ、『不動岩山』発動!」

 

 一番船に近かった簪が、船を覆うように広範囲防壁を張った。福音から放たれたレーザーは防壁に阻まれる。あー、良かった……。

 

 セシリア「簪さん、大丈夫ですの!?」

 簪「私は、大丈夫……!皆はこのまま続けて……!私は船を避難させるから……!」

 簪はそう言って、船を避難させに行った。

 ラウラ「すまない、更識!皆は攻撃の手を緩めるな!凰、行くぞ!」

 「任せなさい!」

 ラウラ「AIC、発動!」バッ

 

 ラウラが右手を福音に突き出して動きを止めた。けど、

 ラウラ「くっ、くそ……!凰、長くは保てない!早く龍砲を撃て!」グググ

 福音は必死になってAICを振りほどこうとして暴れてる。ラウラは抑え込むのに精一杯みたいね。となれば……!

 「了解!お熱いの、食らわせてやるわ!」ジャキッ

 ここは、確実に龍砲を当てなくちゃ!あたしは福音に狙いを定める。今までの龍砲と違い、弾が火炎弾のようになってるから、攻撃力が格段に違うのよね。

 「食らいなさい!」ドンッ

 

 ドガアアアンッ!!

 

 火炎弾は見事福音に着弾。でも、果たして効いてるのかしら……?煙が辺りを覆ってるから、どうなったか分からないのよね……。

 ラウラ「福音の動きが止まった!織斑、今だ!」

 春輝「やっと僕の出番か!行くぞ、白式!」

 

 どうやら上手くいったみたいね。後はあいつの攻撃が当たれば……!

 

 

 

 春輝「『零落白夜』!」ザンッ

 

 

 

 煙が晴れた時、あいつは福音を見事に斬り裂いていた。よし、福音も反撃してこないし、動く気配もない。まずは大丈夫ね!あら?福音の胸あたりの装甲から、何か出てるわね……。

 

 「ちょっと、福音の装甲から何か見えてるわよ?」

 箒「何?春輝、福音から出ている物を引っ張ってみてくれ」

 春輝「これか?……ってこれ、人の手だ!」

 セシリア「まさか、搭乗者の……!?」

 ラウラ「織斑、福音から彼女を引っ張り出せ!搭乗者がいなくなれば、ISは勝手に停止する!」

 春輝「言われなくても!」グイッ

 あいつが思い切りその手を引っ張るとーー

 

 

 春輝「おっと!」ドサッ

 女の人が中から出てきた。

 シャルロット「その人……間違いない、福音搭乗者のナターシャ・ファイルスさんだ!」

 セシリア「良かった……ご無事のようですわね」

 ラウラ「ふう……これで作戦は完了だ。後は福音を回収して戻るだけだな」

 春輝「へへん、僕達を相手するにはまだ100年早かったね!」ゲシッ

 箒「春輝、それくらいにーーっ!?春輝、どけ!」ドンッ

 春輝「わっ!?箒お前、何をーー」

 

 バシッ!

 箒「ぐあっ!?」

 

 え、何!?箒があいつを突き飛ばしたと思ったら、箒も誰かに突き飛ばされた!?一体何がーーって、あれは!?

 

 「蔦……!?まさか!?」

 セシリア「あれは、タッグトーナメントの時と同じ……!」

 福音の胸部装甲から蔦が伸び始め、全身を覆っていく。そしてーー

 

 

 

 

 

 

 『グアアアアアアアアアアアッ!!!』

 

 

 

 

 

 福音は、巨大な龍となった。

 

 

 鈴side end

 

 

 




 

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