IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

54 / 174
 原作の臨海学校って色々大混乱だったような……束さん来たし。今回はまだ福音戦には入りませんのであしからず。
 紅椿?ちゃんと出すよ!




第26話 幸運ト不運ハ紙一重

 三人称side

 

 シュラ「この辺りだな……まさかブルーベリーロックシードがこれ程に反応するとは……。一体何が……?」

 

 ヘルヘイムの森を歩くシュラ。手に持っているのは、青く輝きを放つブルーベリーロックシード。さらにロックシードからは、真っ直ぐに青い光が伸びて道を示している。シュラはそれを頼りに森の中を進んでいく。

 

 シュラ「む?あの辺り、なにやら騒がしいな……こんな時間にインベス達が騒ぐとは、一体……?」

 

 ロックシードが指し示す方向から、なにやら大きな音が聞こえる。その音の中には、どうやら爆発音が混じっているようだった。シュラはその方向へ足を進めたーー。

 

 

 

 

 

 

 牙也「…………」ムクリ

 牙也「…………」ボケッ

 牙也(夢か……)

 

 夢だった。牙也が窓を見ると、まだ夜明けには早かったようで、空はまだ暗い。

 

 牙也(あの夢……シュラの記憶?しかもあいつが手に持ってたのは、ブルーベリーロックシード…………一体何を意味してるんだ……?)ウーム

 

 箒「……んむ……?牙也……?」ムクリ

 牙也「ああ悪い、起こしちまったか。もう少し寝てな。まだ夜明けには早い」ナデナデ

 箒「そう……か…………zzz」バタッ

 

 時計を見ると、時刻はまだ午前三時半過ぎ。どうやら早く目覚め過ぎたようだ。喉の渇きを覚えたのか、牙也は荷物の中からお茶のペットボトルを取り出して飲んだ。

 

 牙也「」フゥ

 

 ペットボトルの蓋を閉めて一息。そして牙也は、先程の夢をもう一度思い出していた。

 

 牙也(……戻ったら、シュラの奴に聞いてみるか。ま、どうせ適当に流されるだろうが……)

 

 そう考えて、牙也は再び布団に潜り込み、眠りについた。

 

 

 

 

 

 朝ーー。

 

 牙也「」モグモグ←頭に包帯巻いてる状態

 箒「」ショボン

 牙也「……何時まで悄気てんだよ、俺はもう良いって言ったろ?」

 箒「……お前が許しても、私は許せんのだ……」ドヨーン

 箒は机に突っ伏していた。

 

 鈴「おはよ」

 セシリア「おはようございます」

 シャルロット「おはよう」

 ラウラ「おはよう……って、篠ノ之は何故朝からそんなに悄気ているのだ?」

 そこへ鈴達が朝食を乗せたお盆を持って近付いてきた。

 牙也「……聞かないであげてくれ」

 箒「私からも頼む……主に私が原因なのだ……」ドヨヨーン

 鈴「……大方察したわ」

 セシリア「その頭の包帯が何があったか物語ってますわ」

 シャルロット「あ、あはは……」

 ラウラ「?」

 ラウラだけはこれを理解出来ず、小首を傾げていた。

 牙也「それよりお前等も早くご飯食べろよ?この後に実習か何かあるんだろ?」

 鈴「そうだった、急がなきゃ!」

 鈴達も慌てて朝ご飯を食べ始めた。

 

 

 ちなみに牙也と箒に何があったかを簡潔に纏めるとーー

 

 

 

 

 

 箒が寝ぼけて牙也の布団に潜り込む

 →箒が牙也を抱き締めて抱き枕状態(牙也の顔が箒の胸に埋まっている状態)になり、そのまま寝る

 →夜が明けて箒が起きる

 →寝ている牙也の顔が自身の胸に埋まっている事に気付く

 →恥ずかしさと怒りで大混乱

 →思わず近くにあったジュースの空き瓶で牙也をぶん殴る

 →殴られた衝撃で牙也が起きる

 →箒、牙也との言い合いで自分が寝ぼけて牙也の布団に潜り込んでいた事に気付く

 →牙也をふと見ると、頭から出血

 →また大混乱

 →千冬が起こしに来る

 →状況を見て千冬も大混乱

 →牙也の説明で事情を知り、取り敢えず治療

 →治療後、箒が土下座で謝罪、牙也はこれを許す

 

 という事があった。

 

 

 

 

 千冬「……相部屋のコンビを間違えたな。すまん」

 牙也「今さらですよ。こればかりは俺もどうしようもないですから。不可抗力ですよ、不可抗力」イテテ

 牙也は包帯を巻いた頭を擦りながら自嘲気味に話した。現在、牙也は朝食を終えて千冬と話している所だ。

 千冬「怪我自体は傷が浅かったから大した事はないが、今日一日は包帯巻いて様子見だ」

 牙也「へいへい。今日は海岸で座禅でもしてますよ」

 牙也はそう言って部屋に戻っていった。

 千冬「牙也が座禅か…………束に頼んでイタズラしてみようか」

 良からぬ事を考えてた千冬であった。

 

 

 

 

 少し時間が経って旅館近くの海岸。一年生達と教員が集まり、授業が始まろうとしていた。

 千冬「ではこれより、専用機組とその他に分かれて実習を行う。専用機組は私に、それ以外は山田先生に付いて行け」

 『はいっ!』

 二グループに分かれてそれぞれの作業が始まる。箒達専用機を持たない生徒は、真耶の指導の下量産機を乗り回している。専用機組は、春輝を除いた全員が新たな武装を試したり、新しく追加されたパッケージをダウンロードしたりしている(春輝は千冬が戦闘指導中)。とそこへ、

 

 束「ち~~ちゃ~~~~~ん!!!」ヒューン

 

 突然束が降ってきた。そして地上ギリギリでパラシュートを開いて華麗に着地した。

 

 束「ほいっと!やあやあ諸君、こんにちは!」

 セシリア「あら、篠ノ之博士。お久しぶりですわ」

 鈴「あ、束さん!お久しぶりです!」

 束「やっほーい鈴ちゃん!皆も久しぶり♪新パッケージのダウンロードは進んでる?」

 シャルロット「皆今ダウンロードしてる所です」

 束「うんうん、それは良かった!後でダウンロード手伝ってあげるよ!ところでちーちゃんは?」

 ラウラ「教官ならあそこに」

 

 春輝「うおおおおおおおおおおおっ!」ゴォッ

 千冬「甘い!」ガキンッ

 春輝「ぐあっ!」ドサッ

 千冬「その程度か!?」

 春輝「くそっ、まだだぁぁぁぁぁぁ!!」ゴォッ

 

 束「なんだ、あいつの指導中か。ほっとけば良いのに」

 鈴「そりゃ一応弟ですからね。しかも初の男性操縦者という肩書きを持ってる」

 セシリア「その肩書きを悪用する未来が見えるのは私だけでしょうか?」

 一夏「……それ多分皆も考えてると思うぜ」

 鈴「あ、一kーーって何それ!?」

 そこに合流した一夏は空中を浮遊する機械的な椅子に座っていた。

 一夏「これか?束さんがこういう時の為に作った車椅子の代わりだ。名前は…………何だったっけ?」

 束「【浮遊椅子フワちゃん三号】だよ!」

 『……ネーミングセンスが……』

 束「言わないで!文句は作者にーー」

 牙也「束さんメタいメタい!」

 一夏「おお、久しぶりだな、牙也!って、その頭どうした?」

 牙也「久しぶりだな、一夏。後、頭については聞かないでくれ」

 一夏「お、おう……」

 束「そう言えば箒ちゃんは?」

 簪「篠ノ之さんは別行動です。専用機持ってないから」

 束「あ、そっか。アーマードライダーだからついつい……」アハハ

 

 千冬「来てたのか、束」

 そこに指導を終えた千冬が来た。

 束「ちーちゃんお久!というわけで再会のハグをーー」ガバッ

 千冬「後にしろ」ガシッ←アイアンクロー

 束「いだだだだだ!ちょ、ちーちゃんギブギブギブ!」パンパンパン

 一夏「千冬姉、それくらいに……」

 千冬「ふん、今回は一夏に免じてこれくらいにしてやる」ペイッ

 束「あふんっ!」ベシャッ

 千冬「久しぶりだな、一夏。足の方は大丈夫か?」

 一夏「大丈夫だって!これくらい何て事ないよ」

 千冬「そうか……すまないな、本当に」

 一夏「何度も言ってるだろ、千冬姉は悪くないってさ。今こうやってちゃんと生きてるんだから、別に何も問題ないさ」

 千冬「一夏…………ありがとう」ギュッ

 一夏「おっと……良いって良いって」ギュッ

 

 

 牙也「家族愛、姉弟愛ってのは、良い物だな」

 鈴「そうね……本当に良い物ね」ウンウン

 ラウラ「ドイツにいた頃は、教官はあんな顔は決して見せなかったな。私の知らない教官の顔、か……」

 シャルロット「家族の前だからこそ出せる顔だね」フフフ

 セシリア「微笑ましいですわ」ニコニコ

 簪「仲良しなのは良い事……」ウンウン

 

 

 春輝「ふん、どこが微笑ましいんだか」

 

 

 そこに春輝も入ってきた。

 鈴「ちょっと、今良い所なんだから入ってこないでよ」

 春輝「辛辣だなぁ。ちょっとくらい話に入ったってーー」

 セシリア「生憎、余計な茶々を入れるような人の言う事を聞く耳なんて私達皆持ち合わせておりませんの」

 春輝「なんだと!?」

 ラウラ「ふん、これくらいの挑発に反応する辺り、一つも成長していないようだな」

 シャルロット「白式が可哀想だね。こんな人に使われてるなんて」

 春輝「てめぇら……!」グッ

 簪「私も……あんまり貴方とは関わりたく、ない……」

 春輝「くそがぁぁぁぁぁぁぁ!」バッ

 春輝が簪に殴りかかった。が、

 

 牙也「止めろ、馬鹿」スッ

 春輝「んな!?」ズデッ

 

 牙也が足を引っ掛けて転ばせた。春輝の顔が海岸の砂にめり込む。

 春輝「いてて……お前、何しやがる!?」←顔砂まみれ

 牙也「お前こそ何しようとしてやがる。都合が悪けりゃ暴力か?」

 春輝「黙れ!好き勝手言われて黙ってられるかってんだ!」

 牙也「お前……取り敢えず顔を洗えよ。砂まみれじゃ説得力無いぞ」

 春輝「誰のせいでこうなったと思ってやがる!?」

 牙也「俺だ」ソクトウ

 牙也・春輝以外『』クスクス

 

 牙也「そんなに暴れたいなら、相手してやろうか?」

 春輝「はっ、天才の僕に勝てるとでも!?」

 鈴(初めて戦った時にボコボコにされておいてよく言うわね……)ゴニョゴニョ

 セシリア(後で聞いたのですが、あの時はISを壊さない為に手を抜いてらしたのだとか)ゴニョゴニョ

 簪(屈辱で発狂しそうだよね……この事聞いたら)

 春輝「そこ、何か言ったか?」

 鈴・セ・簪『いえ、何も』

 

 春輝「凡才は天才の足元にも及ばない事ーーお前に教えてやるよ!」

 シャルロット(むしろ牙也さんが教える側な気が……)ゴニョゴニョ

 ラウラ(それは皆重々承知している事だろう……)ゴニョゴニョ

 一夏(あいつまだ自分の弱さを認めようとしないのかよ……兄として端から見てて、凄まじく情けなく見えるよ……)ゴニョゴニョ

 春輝「そこ、何か言ったか?」

 シ・ラ・一『いや、何も』

 

 牙也「そんじゃやるか。ルールは簡単、一本勝負で先に相手に一撃入れた方の勝ちだ」

 春輝「受けて立つぞ!」

 春輝は白式を展開した。

 牙也「俺はちょっと新しいロックシードを試すかな」

 

 《マロン》

 

 戦極ドライバーを腰に付け、新しく手に入れたロックシード『マロンロックシード』を解錠する。

 

 《ロック・オン》

 

 牙也「変身」

 

 《ソイヤッ!マロンアームズ!Mr.Destroy!》

 

 アーマードライダー蝕・マロンアームズに変身した牙也は、両腕についた棘付きグローブ『マロンストライカー』を構えた。

 

 春輝「オラァァァァァァ!!!」ゴォッ

 春輝はスラスターを全開に噴射して牙也に突撃。その際単一能力『零落白夜』を発動した。

 

 牙也「だから、敵をよく見ろっての」

 《マロンオーレ!》

 カッティングブレードを二回降ろしてグローブにオーラを集中させ、突撃して来る春輝の動きを見る。そして、

 

 春輝「だあぁぁぁぁぁぁ!!!」ブンッ

 春輝が雪片弐型を振り下ろすーー

 

 牙也「アホ」ヒョイッ

 のをあっさり避けて、

 

 牙也「……フッ!」ドゴッ!

 春輝「ガハッ!?」

 春輝の鳩尾に左フックを叩き込んだ。牙也の重い一撃で、春輝は盛大に吹き飛び、また砂に頭がめり込んだ。

 

 牙也「うーん、マロンは近距離戦特化だな……ま、使えなくはないし、持ってて損は無いか」

 千冬「ご苦労。後で篠ノ之と共に一戦交えないか?」

 牙也「是非とも」

 

 

 

 真耶「お、織斑先生~~!」

 

 

 

 そこへ、真耶が慌てた様子で走ってきた。

 真耶「大変です大変です大変dーーきゃっ!?」ズデッ

 砂に足をとられてコケた。顔が砂まみれだ。

 千冬「山田先生、取り敢えず顔を洗いなさい。砂まみれは流石に……」

 真耶「ふえ?あ、すみませんっ!」パタパタパンパン

 セシリア「どうかなさったのですか?」

 真耶「あ、はい!織斑先生、これが先程学園長から!」

 そう言って真耶は一枚の紙を千冬に見せた。

 

 

 千冬「成る程……一年生諸君に告ぐ!実習は中止!生徒は直ちに各部屋に戻りそこで待機せよ!なお、勝手に部屋を出たりした者は厳しい処罰が待っている物と思え!専用機組は私に付いてこい!」

 

 

 悪夢が、始まるーー。

 

 

 

 三人称side end

 

 




 『マロンストライカー』はナックルの武装『クルミボンバー』に棘が付いた感じですかね。裏拳とか食らえば本当に痛いですよ。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。