IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結) 作:神羅の霊廟
オリジナルロックシード、出せませんでした。本当にごめんなさいっ!(土下座
次回こそ出せるよう頑張ります。
では、どうぞ!
牙也side
「すみません、お見苦しいところを見せてしまって」
卵粥を食べ終わった僕は、二人に礼を言った。
箒「気にするな、久しくご飯を食べていなかったのだろう?」
束「そうそう、気にするようなことじゃないよ、いいもん見させてもらったし」
そう言われて僕は嬉しいやら恥ずかしいやらで顔を真っ赤にした。そんな僕を見て、ポニーテールの少女は苦笑いし、ウサミミの少女はケラケラ笑っていた。
「本当にありがとうございました、えっと…………」
束「あっ、名前名乗ってなかったね~、私は天才・篠ノ之束様なのだ~」
箒「天災の間違いでしょう…………私はこの天災の妹の箒だ。よろしくな」
束「箒ちゃんひどい!」( ̄□ ̄;)!!ガビーン
「あ、あはは………よろしくお願いします、箒さん、束さん………ん?束………まさか、ISを作ったっていうあの篠ノ之束さんですか!?」
束「ん?そだよ~束さんだよ~。どうかしたの?」
「いえ、父さんからよく貴女の話を聞いていたので………」
束「父さん?ねえ君、その父さんとやら、何て名前?」
そう聞かれて、僕は躊躇いがちに答えた。
「雷…………雷隼也と言います。ファクトリー雷の社長でした」
束「……………え?」
あれ?束さんがきょとんとしている。どうしたのかな?
束「…………ねえ君。まさか、君の名前、『牙也』じゃないの?」
え?何でこの人、僕の名前を知ってるの?
「はい、そうですが」
そう言って束さんを見ると、
箒「ね、姉さん!?」
束さんは、大粒の涙を流していた。そして、泣き顔のまま突然僕に抱き付いてきた。
「た、束さん!?」
僕は訳が分からなかった。突然泣き出して、突然抱き付いてきたのだから尚更だ。
束「…………ごめんなさい…………ごめんなさい…………ヒグッ…………ごめんなさい…………ヒグッ…………」
束さんは、しばらくの間泣きながら僕に謝り続けていた。
牙也side end
三人称side
しばらく泣き続けていた束は、泣き止んだ頃に泣いてしまったその訳を牙也と箒に話し始めた。
それによると、牙也の両親は束とは「白騎士事件」以前から交流があり、IS設計の費用や設計するための施設を貸し出すなど、束のIS開発に大きく貢献していた。束はこれに報いるために、牙也の両親の会社である『ファクトリー雷』にIS用武装の技術提供をしていたのだ。しかし、これをよしとしないIS委員会のタカ派の幹部達が、そのデータを盗むために会社を襲撃。異変に気付いた束が現地に向かったが、時すでに遅く、会社は崩壊。データはすべて盗まれた後だった。その後、4人の中で唯一遺体が見つからなかった牙也を長年探し続けていたが、情報の一つも挙がらず捜索を打ち切っていた、ということだった。
束「会社襲撃を企てた委員会の幹部達は、私がそいつらの悪事を世界にばらしたことで全員罷免されたよ。でも、私はこれによって大事な理解者を、恩人を失った。あの日から、私はこれ以上ISを作ることが怖くてしかたがなかった。同時にまだ生きているであろう君に会うのが怖かった。早くに気付かなかったとはいえ、君の両親は私が殺したようなものだからね」
牙也も箒も、束の話を黙って聞いていた。最後に束はこう付け加えた。
束「牙君、私は貴方に許してもらおうなんて考えてない。寧ろ、どんな罰でさえも受け入れるつもりでいる。ただ謝りたかった。たとえそれによって私が貴方に殺されることになったとしても。だから…………ごめんなさい。貴方の『家族』を永遠に奪ってしまって」
そう言って、束はまた頭を下げた。
三人称side end
牙也side
束さんの話を、僕はただ黙って聞いていた。箒もまた、姉の話を黙って聞いていた。束さんが話し終わって、しばらくは静寂が部屋を包み込んでいた。僕は束さんに問いかけた。
「束さん。貴女今、『どんな罰でも受け入れる』って言いましたよね?」
箒は驚いて顔を挙げ、束さんは黙って頷いた。
「なら、僕からの罰を、甘んじて受けてください」
そう言うと、束さんの体はビクッと震え、箒は自分の手を固く握りしめた。
「僕が貴女に科す罰。それは――――」
「生きてください。生きて、この世の中を変える努力をしてください」
牙也side end
箒side
牙也から姉さんへの罰の内容を聞いて、私も姉さんもきょとんとしていた。そんな私達を気にも止めず、牙也は話を続けた。
牙也「貴女は自分が犯した罪に向き合おうとしている。そんな人を僕は罰することなんて出来ませんよ。それに、貴女が作ったISによって、世界は女尊男卑の世に変わってしまいました。それをどうにかしないまま貴女が死ぬというのはおかしいでしょう。もし貴女がその罪を背負い続けるというのならば、その罪の現況となったこの世界を変える為に行動を起こすなんて容易いでしょう?もしこれができないというのなら、貴女は一生『負け犬』ですよ?それでもいいんですか?」
姉さんは、黙って牙也の話に耳を傾けていた。その手は震えていた。が、その震えもすぐに止まり、姉さんは立ち上がって叫んだ。
束「やってやるよ……………やってやるよ!私は天才、出来ないことなんてない!それが私の罪なら……………私は一生背負い続ける!もう私は逃げない。私の罪と向き合い続けて、この世の中を変えて見せる!」
私には、姉さんのその目には闘志の炎が燃え盛っているように見えた。すると姉さんは、おもむろに私の方を向いて、頭を下げて言った。
束「お願い、箒ちゃん。お姉ちゃんに力を貸して。この世の中を変える為には、私一人じゃ無理がある。箒ちゃんにも罪を背負わせるようで申し訳ないけど、箒ちゃんの力も必要なの。だから――――」
「心配しないで、姉さん」
私は姉さんの言葉を遮って言った。
「姉さんの気持ちはよく分かった。だから、私も一緒に背負うよ、姉さんの罪を。変わってしまったこの世界を、元に戻す為に。一人じゃ無理でも、私達が一緒なら、絶対大丈夫、だよ」
そう言って笑顔を返した。すると、姉さんはまた泣き出した。でも今度は、
束「ありがとう…………ありがとう…………!」
と、感謝の意を込めながら。
箒side end
今回はここまで。次回は、原作に欠かせないあの少年の登場です!
お楽しみに!