IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 蝕vs隷汽、始まります!




コラボ3 果実ノ勇士ト煉獄ノ使徒(6)

 

 三人称side

 

 蝕vs隷汽

 

 牙也と鬼崎の戦いも白熱していた。牙也が紫炎を振るうと、鬼崎は隷汽ガントレットでそれを防ぎ、蒼鋼狼の牙剣(ウルフファング・エッジ)で攻撃した。牙也も負けじと無双セイバーを抜いて逆手に持ち、これを受け止めた。

 

 鬼崎「やはり強いですね……貴方が戦闘員を相手していた時も思いましたが、あれだけの数を一人で相手にするのは僕でも骨が折れるのですが……」ガッ

 牙也「まあ普段からあれよりちょっと少ない位の数のインベスを相手していたからな……対複数戦は意外と慣れてんだよな」ガキンッ

 鬼崎「そうでしたか、それならあの強さも納得がいきますね……」

 牙也「……俺は強くなんかねえよ」ビュッ

 鬼崎「え?」ギャリィッ

 牙也「俺は、いつまで経っても弱いまんまだ。ずっと守られ続けてきた。そしてその度に大事な物を失ってきた。これからも多分、それが続いていくかもしれない。そんな恐怖とも戦ってるんだよ、俺は」ガッ

 鬼崎「恐怖、ですか……」ガキンッ

 牙也「そして同時に、俺はこのアーマードライダーの力にも恐怖を抱いている」

 鬼崎「え?」

 牙也「こういう力ってのは、大抵人一人簡単に殺せる物だ。もしこれを使って人を殺めたとなれば、そいつはもう『ライダー』だなんて名乗れないさ。俺はそれが怖い。いずれは、これを使って人を殺してしまうかもしれない。そんな恐怖が俺にまとわりついてんだよ」ヒュンッ

 鬼崎「人を殺める恐怖、ですか」ガッ

 牙也「そう、そしてそれは、力の使い方を間違える事への恐怖でもある」

 鬼崎「成る程……」

 牙也「この世には様々な力がある。物を作る力、人を守る力、そしてーー」

 鬼崎「ISを動かす力、ですか」

 牙也「ご名答。だがそれらは全て、一歩踏み違えれば国一つ滅ぼすだろう。そういう物を、俺達は使ってんだ。それに気付いてる奴が、果たしてどれだけいるか……」ヒュンヒュンッ

 鬼崎「……」ガッガッ

 牙也「ま、俺の持論だけどな。あ、そうそう。話は変わるが、ブルーベリーロックシードの使い方、決して間違えんなよ」

 鬼崎「?何か不都合でも?」

 

 

 

 

 牙也「俺が使ってるブルーベリーロックシードはな、『呪われたロックシード』とも言う。使う度に体力を、精神を、果ては使用者の命さえ奪い去っていく危険物なんだよ」

 

 

 

 鬼崎「命、ですか……!?というか、そんな危険な物を貴方は使って……」

 牙也「ああ。他にも沢山のロックシードがあるが、これとヨモツヘグリはロックシードの中でも随一の危険物だ。取り扱い注意だぞ」

 鬼崎「は、はあ……分かりました」

 こんな会話をしている間も、二人はちゃんと戦いを続けている。

 鬼崎「では、僕もそろそろ本気で行きましょうか!来い、チュラ!」

 

 ピィィィィィーーーー

 

 鬼崎は懐から白いホイッスルを出して吹いた。すると、

 

 カサカサカサーーーー

 

 何処からか機械的な風貌をした蜘蛛が現れた。

 牙也「蜘蛛?」

 鬼崎「僕が開発した使い魔ですよ。名前は巨毒蜘蛛槌(タランチュラ・ハンマー)」

 その蜘蛛は鬼崎の手に乗っかり、瞬時に大槌に変形した。

 牙也「ハァーー。こりゃまた……」

 鬼崎「さあ、行きますよ!蜘蛛の毒糸(スパイダー・ショック)!」ビシュッ

 大槌の柄から蜘蛛の糸が伸び、紫炎の刀身に巻き付いた。あっという間に紫炎の刀身は糸に覆われてしまった。

 牙也「ありゃ。蜘蛛の糸って頑強だから、取るの面倒なんだよな……」ベリベリ

 鬼崎「あ、その糸、人体を衰弱させる毒があるんですが……」

 牙也「え、そうなの?何ともないんだが……」ベリベリ

 鬼崎「あ、あれ?おかしいな……」ハテ…

 鬼崎は毒が効かない事に首を傾げていた。その間に、牙也は紫炎に絡まった糸を全て取り払った。

 牙也「あーくそ、手が蜘蛛の糸でネバネバするー。気持ち悪ぃ」

 鬼崎「むう、ならこっちはどうでしょうねぇ。巨毒の爆弾(アシッド・ボム)!」

 今度は大槌から毒の玉が形成された。鬼崎は大槌を振るってそれを牙也に向けて打った。

 牙也「ぶへっ!?」

 毒の玉は牙也に着弾して弾けた。すると、牙也の周囲を毒の霧が覆う。

 牙也「くっ、これも毒か……!ぐ……がはっ!」

 毒に犯されたのか、牙也が苦しみ出して、膝をついた。

 牙也「ぐ……が、あっ……!まだだ……まだ、この程度で……ゴホッゴホッ!」

 鬼崎「こっちは効くみたいですね……さて、どうしましょうか」

 鬼崎は大槌を構えてゆっくりと牙也に歩み寄る。

 牙也(……やれやれ、絶体絶命ってか……っくそ、力が入らねぇなぁ……)

 牙也は紫炎を杖代わりにしてやっと体を支えていられる状態。毒の廻りが早く、大分弱っていた。

 牙也(……だが、こんなところでくたばる気はないね…………まだ、終わっちゃ……いない…………!)

 すると、牙也のベルトのホルダーから淡い輝きが溢れだした。

 鬼崎「っ!?これは……!?」

 牙也「?」

 牙也がホルダーを見ると、輝きを放っていたのはーー

 

 

 牙也「ラズベリーが……!」

 

 

 ラズベリーロックシードだった。やがて輝きが失われると、それは見た目がエナジーロックシードに変わっていた。

 牙也「朧の奴め……余計なお節介をしてくれる……だが、今はそのお節介がありがたいな……!」

 牙也は震える手でゲネシスコアをベルトに付け、エナジーロックシードを解錠した。

 

 『ラズベリーエナジー』

 

 『ロック・オン』

 

 『ミックス!ブルーベリーアームズ!侵食者・Hell・Stage!ジンバーラズベリー!ハハァーッ!』

 

 新フォーム【ジンバーラズベリーアームズ】のお目見えだ。すると、牙也の体を水色の輝きが覆った。キラキラと輝くそれは、やがて牙也の周囲を包み、毒の霧をかき消した。

 鬼崎「な……霧が…………!」

 牙也「……体の毒が消えた……って事は《状態異常の無力化》が、ジンバーラズベリーの能力か……あいつには、助けられてばっかだな」フゥ

 牙也は呼吸を整えると、ソニックアローを構えた。

 牙也「さあ、続けるぞ!」

 鬼崎「……良いでしょう。来い、コドル!」

 

 ピィィィィィーーーー

 

 鬼崎は今度は緑のホイッスルを出して吹いた。すると、何処からか機械的な風貌のコンドルが飛んできた。コンドルは鬼崎の手に降り立ち、瞬時に弓銃の形状に変化した。

 鬼崎「森狩鳥の弓銃(クロスボウ・コンドル)……そちらが弓で来るなら、こちらも弓で行きますよ。蒼鳥の追撃(ブルーバード・ホーミング)!」

 鬼崎は青い鳥を模した矢を牙也に向けて放った。牙也もソニックアローから矢を放って応戦する。が、鬼崎の放った矢は追尾式の矢で、ソニックアローの矢とぶつかりはしたものの、一部が相殺されずにそのまま牙也に向けて突っ込んで来た。

 牙也「たちが悪いな!」ブンッ

 それらはソニックアローを振るう事で全て叩き落とした。牙也はソニックアローを振るって飛んできた矢を叩き落としながら、少しずつ鬼崎との距離を詰めていく。

 鬼崎「これ以上は……!はあああああ……!」

 鬼崎は弓銃に魔力を籠めた。

 牙也「……あれ、ヤバイのが来そうだわ……させるか!」

 牙也は一気に距離を詰めーー

 

 

 

 鬼崎「狩人の一矢(ハウンド・ショット)!」

 

 

 

 ようとしたが一足遅く、弓銃から魔力を溜め込んだ矢が放たれた。矢は牙也目掛けて突っ込んでくる。

 牙也「やっべ!?」バッ

 牙也はその場に立ち止まってソニックアローを構えーー

 

 

 ズルッ!!

 牙也「は?」

 

 

 ようとしたが、運が良かったのか悪かったのか、立ち止まった場所で足が滑り、

 

 

 ズデッ!

 牙也「んがっ!?」ゴッ

 

 

 豪快にスッ転んだ。んで頭を打った。鬼崎が放った矢は、スッ転んだ牙也の上を通ってそのまま海に落ち、その地点に爆発が起こった。

 鬼崎「( ; ゚Д゚)」エー…

 これには鬼崎も驚きを隠せない。牙也はと言うと、

 牙也「~~~~~~~っ!?」ゴロゴロ

 頭を打った痛みでのたうち回っていた。

 

 鬼崎(……なんか…………残念過ぎる……)アタマカカエ

   「あ、あの~。大丈夫ですか……?」

 牙也「くぁwせdrftgyふじこlp~~!?」ゴロゴロ

 鬼崎「」(あ、駄目な奴ですね)ガクー

 

 鬼崎は仕方なく変身を解除し、牙也の肩を持って立ち上がらせた。ついでに牙也の変身も解除した。

 鬼崎「ほら、大丈夫ですか?行きますよ?」

 牙也「あがががが…………す、すまん…………」ピクピク

 

 

 何とも締まらない結末であった。

 

 

 

 三人称side end

 

 

 





 牙也君ェ…………


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