IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 番外編第2段は、箒のある一日。

 少し時間を巻き戻します。



番外:episode箒 自覚セシ恋心

 箒side

 

 「牙也、いるか?」ドアコンコン

 私は今、牙也の部屋の前にいる。アーマードライダーになったはいいが、まだ私は牙也に勝てるほど強くはない。放課後等の空いた時間を使ってアーマードライダーとしての特訓を日夜行っているが、それでも足りない位だ(もちろん、ISの特訓もちゃんと行っている)。

 今日も今日とて特訓を行ったが、やはり牙也の強さは段違いだった。何十合と打ち合ったが、牙也に一太刀も与えられなかった。まだ私は未熟だと良く分かる。インベスの襲撃はまばらにはなっているものの、今の強さではいずれ起こるであろう最悪の事態に対処出来ないだろう。しかし、焦って力を欲せばラウラの二の舞だ。ゆっくり、だが確実に力を付けなければなるまい。

 そうして今日も特訓が終わって牙也が先に帰った後で、私はロッカールームで着替えていた。すると、一つのロッカーに牙也の上着を見つけた。恐らく牙也が忘れてしまったのだろう。

 ということで、私は牙也の部屋にやって来た。そしてドアをノックしたのだがーーーー

 (…………反応がない……いないのか?)

 確認の為ドアノブをひねると、扉が開いた。ゆっくりと中に入ってみると、電気は点いていた。

 「牙也?いないのか?」

 そう声をかけながら奥に進むと、

 牙也「Zzzzz」

 いた。どうやら牙也は、帰って来てすぐに寝落ちしたようだ。ベッドでスヤスヤと穏やかな寝息をたてている。

 「今まで色々あったからな。大分疲れていたんだな……」

 クラス対抗戦の一件があり、ラウラの暴走の一件があり、この二ヶ月の間は休む暇さえないほどだった。特に牙也は、資料作成やら映像解析やらで忙しい毎日だった。

 「お疲れ様、牙也」ファサッ

 そう言って、私は手に持った牙也の上着を毛布のように牙也にかけた。そして私は、牙也が眠っているベッドに腰掛けた。

 牙也「Zzzzz」

 「……フフッ」

 (……良い寝顔だな)

 牙也の寝顔には、まだ少年としてのあどけなさが残っており、少し可愛く思った。

 「…………誰も見てないな?」キョロキョロ

 私は少し冒険する事にした。牙也に近付き、その頭をそっと持ち上げ、私の膝に乗せた。膝枕というやつだ。

 「ほう、これはなかなか良いな」ナデナデ

 そう言いながら、私は牙也の頭を軽く撫でた。

 牙也「……んぅ」コロン

 「おっと……フフ」

 すると牙也は寝返りをうって、顔を私のお腹に向けてきた。

 「…………恥ずかしいものだな////」ナデナデ

 そう言いながらも、頭を撫でる手は止めない。だって楽しいから。

 (…………思えば、あの時からだな…………牙也の事が『好き』だと自覚したのは…………)

 

 

 ーー回想ーー

 

 『………………………………』グスグス

 

 牙也『どうかしましたか?』

 

 『っ!?…………ああ、牙也か…………実はな…………』

 

 

 

 牙也『…………成る程。一夏さんに…………』

 

 『ああ、告白した。が、見事に玉砕したよ。一夏には、すでに付き合っている子がいた。その子とのツーショット写真をみせてくれてな。とても良い笑顔だったよ、写真の一夏も、写真をみせてる一夏も。その時悟ったよ、私はその子に負けたんだと』

 

 牙也『負け、ですか…………』

 

 『ああ、一夏をどれだけ大事に思っていたか。その大きさに、私は負けたんだ。我ながら不甲斐ないな。ファースト幼馴染みと言っておきながら…………』

 

 牙也『……勝ちたくありませんか?その子に』

 

 『…………え?』

 

 牙也『…………大切な人を思う気持ちの大きさで負けたのなら、まだ勝てるチャンスはありますよ』

 

 『…………あるのか?そんな方法が?』

 

 牙也『ええ、あります。…………一夏さん以上の良い男性を見つけて、その人を一夏さん以上に大事に思う。それだけですよ』

 

 『…………それだけ、か?』

 

 牙也『はい、それだけですよ。見返すんです、その二人を。自分だって、こんなにも彼を思うことが出来るんだって、アピールする。それなら勝てるでしょう?』

 

 『…………見つけられるかな、私に』

 

 牙也『大丈夫です。見つかりますよ、必ず。箒さん程綺麗な人はいません。『篠ノ之束の妹』という宣伝文句を抜きにしても、必ず箒さんを心から思ってくれる人が見つかりますよ』

 

 『ッ!?綺麗、か?私が?』

 

 牙也『はい、綺麗ですよ』

 

 『…………そうか……綺麗か…………ありがとう、牙也。少し気持ちが軽くなった』

 

 牙也『どういたしまして』

 

 

 ーー回想 終了ーー

 

 

 (今となっては懐かしい思い出だ。牙也のあの一言がなければ、私は自暴自棄になっていたかもしれない)

 牙也は相変わらず、穏やかな寝息をたてている。その頬に私は手を添え、耳に顔を近付けた。

 

 「ありがとう、牙也。お前のあの言葉のおかげで、私は今、こうやって生きることが出来る。お前に会えて、本当によかった」

 そして私は、さらに言葉を繋いだ。

 

 

 

 

 「ありがとう、牙也。私は、お前の事がーーーー『大好き』だ」

 

 

 

 

 千冬『…………ほう、これはいい情報を手に入れた』

 「ファッ!?」ビクーン

 

 突然声が聞こえた。顔を上げるとーーーー

 

 

 千冬「私の部屋で、しかも相手が寝ている状態で告白とはな。ムードも何もあったものではないな」

 「お、おおお織斑先生!?いつから!?いつからいたんですか!?」

 千冬「ん?お前が牙也に膝枕をした辺りからだな。良い絵面だったぞ、写真に撮ったら」つスマホ

 「しゃ、写真も撮ったんですか!?そのデータ渡して下さい!姉さんに送られたら…………!」

 千冬「ほう、束の元に写真を送るか。それは考え付かなかったな。よし、早速送るとしよう!」トウソウ

 「お、織斑先生!それだけは、それだけは止めて下さいーーーー!」オイカケ

 

 

 

 

 後日、送られてきた写真を見た姉さんや一夏に盛大にからかわれたのは、また別の話です////

 

 

 

 

 箒side end

 

 

 




 第2段は箒でした!

 さて、早く読者さんのリクエストに答えねば…………

 では、次回もお楽しみに!

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