IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 何とか最新話の投稿が早めに出来ました(白目
 文才とネタがもっと欲しい…………
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 では、後編始まります!











第21話 『君主』ノ降臨ト、反発ノ嵐(後編)

 

 三人称side

 

 ここは、ある国にひっそりと建つ亡国企業(ファントム・タスク)の本拠地。そこのとある一室で、一人の女が手に持った一枚の紙に目を落としていた。

 

 ??「…………この事を、果たして上に報告して良いのかしら…………?」

 そう言いつつ、女――――スコールは自らが書いた報告書を机の上に置いた。スコールは、先日に邂逅したオーバーロード・シュラとの接触に関する報告書を書いていたのだが、いざ書き終わるとこれをトップに報告する勇気が無くなってしまった。ふう、とその口から溜め息がこぼれた。

 スコール(さて、本当にどうしたものかしら…………私としては、この事はいい気分になるような物じゃない…………かと言って、報告しないというのも組織に反することだし…………はあ、困ったわねぇ…………)

 自身の過去も関係してか、スコールはこれを提出する事に躊躇いを感じていた。

 オータム「迷ってるのか、スコール?」

 スコールが顔を上げると、そこにはいつの間に部屋に入ってきたのか、オータムとMが立っていた。

 スコール「ええ。これは、正直に言うと閉ざしておくべき内容よ。私達亡国企業の根底さえも揺らぎかねない。それほどに危険なもの」

 オータム「だから知らせない方が良い、と?スコールはそう考えているのか?」

 スコール「ええ、オータム。でも、だからと言って隠し続けられるような物じゃない事も事実。だから、どうすれば良いか迷ってるのよ」

 M「……」

 Mは相変わらず黙っている。だが、その顔には明らかにスコールを心配している様がよく分かった。

 スコール「はあ、困ったわね、本当。でも、どうすれば良いのかしら……?」

 スコールの問いかけに、オータムもMも答えられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 シュラ「以上が、私がこれまでの調査において把握した内容だ」

 一方こちらは、IS学園の会議室。シュラが自身の行っている調査の報告をしていた。

 「「「「「「…………」」」」」」

 シュラの報告を聞いて、会議室は静寂に包まれていた。まあ、当然だろう。インベスの出現が、この世界の誰とも知れぬ者によって人為的に起こされたのだから。

 鈴「シュラ、だったわね。それの黒幕に、見当はついてるの?」

 おもむろに口を開いたのは、鈴だった。

 シュラ「いや、見当をつけていた組織や人物はいたのだが、全て外れだった。いずれも、インベスはおろかヘルヘイムの森さえ知らなかった者ばかりだったからな。また一から調べ直しだ」

 シュラは頭をポリポリとかきながら答えた。

 千冬「人為的、作為的な結合、か……そいつは一体、何を企んでいる……?」

 千冬は、シュラの報告をもとに、思考を巡らせていた。

 牙也「まだ決定的な何かを掴めていないから、どうこうと結論を出すのは早計だ。一先ず今は、シュラに引き続き調査してもらうことにしよう。それで良いよな、理事長?」

 轡木「そうですね、まだ結論を出すのは早すぎます。有益な情報が入ってくるまでは、この一件は保留としましょう。ところで牙也君、ラウラさんとシャルロットさんの暴走の原因については何か分かりましたか?」

 牙也「そこら辺も、シュラに話してもらおうか。ロックシードの情報は、俺よりシュラの方が豊富だ」

 箒「丸投げか、牙也……」

 牙也「あれについては俺も知らないんだよ、察しろ箒」 

 箒「……はあ、全く。それでシュラ、あのロックシードは何なのだ?」

 箒の問いかけに、シュラは一呼吸おいて答えた。

 

 

 シュラ「まず金髪の少女から見つかったのは、ゴールデンロックシード。別名『黄金の果実』。これを手に入れたものは、世界を制する事ができると言われるほど、危険なロックシードだ。そして銀髪の少女から見つかったのは、シルバーロックシード。別名『白銀の果実』。ゴールデンロックシードと対をなすロックシードだ」

 「「「「「「世界を制する!?」」」」」」

 シュラ「私が解析したところ、どうやら二人はほぼ同じ時期にこのロックシードを体に埋め込まれたものと思われる。私達が対処していなかったら、あれはいずれ、二人の体を飲み込んでいただろう。それほどに危険なものだ」

 轡木「ほぼ同じ時期、とはいつの事ですか?」

 轡木が聞くと、シュラは、

 シュラ「そこまで詳しくは分からん。だが、これを埋め込まれたのがつい最近である、ということは分かった。私は引き続き、調査と並行してこれの解析を行う」

 と答えた。

 轡木「ロックシードを埋め込まれていた二人の容態はどうですか?」

 シュラ「一先ず、二人の体からロックシードの毒素を全て取り除いた。もう命に関しては心配はないが、暴走の影響もあるから暫くは寝たきりだろう」

 轡木「分かりました。では『理事長!』何でしょうか、織斑君?」

 すると、春輝が立ち上がって言った。

 春輝「こいつらの言っている事を、易々と信じるつもりですか!?もしかしたらこいつらがその黒幕かもしれないのに!?」

 春輝のこの言葉を皮切りに、

 教員A「そうよ、こんな化け物の言うことなんか信じないわ!」

 教員B「それより、こいつらのベルトをこちらで管理、いや、私達が使う方が良いわよ!」

 教員C「私達の神聖なISの前に男や化け物が立つなんて許さないわ!」

 一部の教員・生徒から、反発の声が上がった。

 牙也「現行のISで、勝てると言いたいのか?」

 教員A「ええ、そうよ!アーマードライダーなんて力、この世にあって良いはずがない!」

 しかしこれに対して、牙也達アーマードライダーは呆れて溜め息が漏れた。

 牙也「あんたらさあ、自分が何言ってるか分かってんの?」

 代表して、牙也が殺気丸出しで問いかけた。

 教員B「ど、どういう意味よ?」

 牙也「簡単なこと。そう言うってことは、『別にインベスに滅ぼされても問題ない』って言ってるのと同じだぞ?前にも言ったが、アーマードライダーにならない限り、インベスは倒せない。クラス対抗戦でのISの無力さを、あんたらはまだ分かってないのか?」

 牙也は「それに」と言って続けた。

 牙也「あんたらみたいに未だにISを過信してる人らに、この力は託せない。いや、あんたらにこれは、『絶対に使えない』と言っておこう」

 教員C「そんなはずないわ!神聖なISが使える私達が、アーマードライダーを使えない訳がない!」

 「「「「そうよそうよ!」」」」

 春輝「ふん、天才と呼ばれた僕に、不可能なんて無いんだよ!」

 牙也は「はあ…………」と溜め息を吐いて、懐から戦極ドライバーとブルーベリーロックシードを取り出した。

 

 牙也「だったら使ってみなよ、これを。本当に使えるなら、思い通りにこれを動かせるはずだ」

 

 箒「牙也!?」

 箒は驚いてそれを止めようとしたが、シュラに制された。

 シュラ「篠ノ之箒、お前もよく見ておけ。あれを他人が使おうとすれば、どうなるかを。お前が使っているものは、それだけ危険なものだということを、よく理解した方が良い」

 そう言って、シュラは自らの使うゲネシスドライバーとイーヴィルエナジーロックシードを取り出した。

 シュラ「これも使ってみろ。もし使えたなら、これをその者に渡してやっても良い」

 教員C「ふん、漸く渡す気になったのね!」

 教員B「最初からそうしておけば良かったものを…………」

 そう言って、春輝が戦極ドライバーとブルーベリーロックシードを、教員の一人がゲネシスドライバーとイーヴィルエナジーロックシードを二人から奪い取り、腰に付けた。

 春輝「凡人達はせいぜいそこで見ているが良い!僕がこれをあいつ以上に使いこなす様を!」

 教員B「やっと…………やっとだわ。やっと、この力を私が使う時が!」

 二人はそれぞれ、ロックシードを解錠した。

 

 『ブルーベリー』

 『イーヴィルエナジー』

 

 教・春「「………………変身!!」」

 

 『『ロック・オン!!』』

 

 『ソイヤッ!ブルーベリーアームズ!侵食者・Hell・Stage!』

 『血眼!イーヴィルエナジーアームズ!Blood eyes! Blood eyes!D-D-D-Deadly Souls!』

 

 

 春輝「ハハハハハ!!!見ろ、見事に変身したぞ!どうだ!」

 教員B「これが、アーマードライダーの力…………!これさえあれば…………!」

 

 バチィッ!!!!

 

 教・春「「グゥッ!?」」

 

 しかし突然、二人が苦しみ出して倒れた。

 

 春輝「な、何だ………………!?いきなり体が…………ぐ、ああッ!?」

 教員B「な、何よこれ………………ッ!?い、痛い痛い痛い!あ、頭がァァァァ!!!」

 さらに蝕と赤零からはそれぞれ、紫と赤黒いオーラが次々わき出てきた。

 教員A「な、何よこれ!?あんた達、何とかしなさい!」

 側で見ていた教員が牙也達に命令するが、

 牙也「断る。こいつらは『自分達なら使いこなせる』という絶対の自信を持っていた。これくらいなら、普通に耐えきれるだろう?」

 シュラ「牙也の言う通りだ。本当に使いこなせるなら、この程度、克服して見せろ!」

 二人はそう言うが、変身している春輝達は、すでに意識がないようだ。

 牙也「……この程度、か」

 シュラ「……つまらぬ。いらぬ自信を持っているから、そうなるのだ」

 牙也とシュラは倒れている二人に近づき、ロックシードをベルトから外して変身を強制解除させた。すると、体から吹き出していたオーラが一瞬にして消えた。

 それを見ていた他の教員・生徒は、青い顔をしてガタガタと震えていた。その後光景を軽く無視して、牙也は倒れている二人の首を掴み、

 牙也「誰か、この二人を医務室に連れていってくれ」

 と、その二人を近くにいた教員に預けた。

 倒れた二人は担架に乗せられ、何人かの教員と共に会議室を出ていった。

 

 

 轡木「牙也君、一体彼らに何が起こったのかね!?」

 轡木は牙也に説明を求めた。

 牙也「ブルーベリーロックシードは、他のロックシードと違って『使用者を選ぶ』んだ。選ばれなかった者は、さっきみたいな事になる」

 シュラ「イーヴィルエナジーロックシードは、それ自体に強い毒素を含んでいる。あの者は、それに犯されたのだ」

 轡木「では、あの二人は……」

 シュラ「いや、死にはしない。だが、しばらくの間体が不自由になるだけだ」

 シュラはそう言って、ベルトとロックシードを懐にしまった。牙也も、ベルトとロックシードを拾い上げ、同じく懐にしまった。

 箒「……私のベルトでも、他者が使うとああなるのか?」

 すると、さっきまであの光景を見て呆然としていた箒がシュラに問いかけた。対してシュラは、

 シュラ「いや、お前の使うベルトは、最初に付けた者にしか反応しないように私が設定している。つまり、お前にしか使えない、ということだ」

 と返した。

 牙也「これで、俺達が言いたかった事がよく分かったろ?俺達が使っているものは、それだけ危険なものだ。分かったなら、今後二度とあの二人みたいな事を言うんじゃないぞ」

 牙也のこの一言に、その場にいる全員が頷いた。

 

 

 

 

 三人称side end

 

 

 

 

 

 





 次回、牙也はラウラとシャルロットの元へ。
 牙也がラウラに言い放った言葉は、ラウラに届いたのか――――――?

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