IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 ライダーと怪物の協力関係って、意外と多いよね。
 アマゾンとモグラ獣人とか、龍騎とドラグレッダーとか、ウィザードとウィザードラゴンとか。

 何か………………すごいわ。





第20話 『君主』ノ降臨ト、反発ノ嵐(前編)

 

 三人称side

 

 楯無「貴方、何者?牙也君とは違うベルトを腰に付けてるけど、それは何?後貴方のそのロックシード、それと同じ物を何故牙也君達が使ってるの?」

 楯無は、赤零に続けざまに質問をぶつけた。

 赤零はそれに対し、ゆっくりとした口調で答えた。

 シュラ「我が名、『アーマードライダー赤零』。あの者達を支援する者だ。そして、我が腰に付けたベルトの名は、『ゲネシスドライバー』。この『エナジーロックシード』の力を制御する為のベルトだ」

 赤零は自身のベルトとエナジーロックシードを指差し、次いで蝕とレオンのベルトを指差した。

 シュラ「あの者達のベルトには、『ゲネシスコア』を付けている。ゲネシスドライバーに付けてあるこれだ。これを使うことで、戦極ドライバーで同時に二つのロックシードを使えるようになる」

 赤零は懐から予備のゲネシスコアを出してここにいる全員に見せた。楯無はそれを手に取り、蝕達を見ながら聞い

た。

 楯無「それじゃあ牙也君達のあの姿は、これを使うことで変身出来る新しいフォーム?」

 シュラ「そう考えれば良い。分かりやすく言えば、エナジーロックシードで通常のロックシードを強化しているのだ。それが反映されたのが、あの鎧だ」

 楯無「成る程ね」

 鈴「ところでさあ」

 するとそれを聞いていた鈴が、おもむろに質問してきた。

 鈴「変身解除して、あんたの顔、見せてくれない?ずっとその姿だと、怪しさ満点だから」

 シュラ「……確かにな。突然現れて、『私は味方だ』と言っても、誰も信じはしまい」

 そう言って、赤零は変身を解除した。

 

 

 

 『……………………へ?』

 蝕以外のそこにいる全員が、間抜けな声を挙げた。何故なら、そこに立っていたのは―――――

 

 

 

 シュラ「……ふう。これでいいか?」

 

 

 

 

 姿形も服装も、牙也そっくりの人間であったからだ。

 

 

 

 

 セシリア「…………双子…………ですの?」

 セシリアは驚愕を隠せず、

 鈴「牙也?え、じゃああっち(蝕)は誰?というかどっちが本物?」

 鈴は突然の事実に頭が混乱しており、

 簪「……そっくり」

 簪は、ただ純粋にそれしか言えず、

 楯無「(゚д゚)」ポカーン

 楯無に至っては現在放心状態である。

 

 一方、蝕とレオンも変身を解除して、こそこそと話していた。

 箒(牙也、どういう事だ!?あいつ、お前と瓜二つの姿をしているではないか!)

 牙也(シュラの奴が、人としての姿はあれにするって聞かなかったんだよ……)

 箒はシュラの姿を見て怒りを覚えており、牙也は頭を抱えていた。

 箒(しかし、理事長や千冬さん等にどう説明する?さすがに奴が『オーバーロード』であることを言う訳には……)

 牙也(確かにな。シュラの正体が知れたら、世界大戦物だぞ……)

 箒(しかし、私からは強く言えぬ。牙也、どうにか隠せるか?)

 牙也(俺も無理があるな……シュラの事だから、あっさりと白状しそうで怖い……あいつ、秘密を隠すの下手くそだから……)

 箒(……もしばれたら、どうする?)

 牙也(その時はその時だ。それに、楯無は暗部の家系だ。秘密を意地でも発見しようとするだろうし)

 箒(言えてるな)

 シュラ「何をこそこそと話してる?」

 そこに、向こうで色々話をしている鈴達を放っといて、シュラが話しかけた。

 牙也「おう、シュラか。何ってお前の事だよ、ここの人等に正体ばれたらどうするかって話」

 シュラ「どうせ私が口を割らずとも、あの者達が嗅ぎ回るだろう。それなら、先に言ってしまった方が良い。隠し通そうとして、後でばれて大騒ぎになる方が面倒だ」

 箒「では、正体を言うのか?」

 シュラ「そのつもりだ。かの『天災』も、私の正体を知ろうとしているだろう。そのためなら、奴は何でもするだろうからな。奴の引き起こす面倒に巻き込まれるのは、こちらとしても御免だ」

 箒「……確かに。姉さんなら色々やりかねないな……」トオイメ

 牙也「逃避すんな。お前の姉だろうが」ペシッ

 シュラ「姉さん?すると、お前は『天災』の妹……?」

 箒「ああ、姉さん――篠ノ之束は私の姉だ。それが?」

 するとシュラは、意を決して箒に尋ねた。

 シュラ「――後悔は、していないか?アーマードライダーとなり、只の人間ではなくなってしまった事に、後悔していないか?」

 すると、箒は決心した顔で答えた。

 

 

 

 箒「姉さんは今、あまりにも大きな自らの『罪』と戦っている。私は、姉さんと一緒にその『罪』を背負うと決めた。だから、姉さんが戦っているのに、私は何もしないのは嫌なんだ。それに、アーマードライダーになる事は、私自身が考えて決めたこと。後悔など、微塵もない!」

 

 

 

 それを聞いたシュラの顔は、

 シュラ「……ふむ。『天災』は、良き妹を持ったな」

 どこか嬉しそうであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 余談だが織斑春輝は、ラファールインベスが倒されたときの爆発に何故か巻き込まれ、アリーナの隅で気絶していた。

 

 

 

 

 

 

 

 三日後。

 教員部隊、国家代表・代表候補生がまたも理事長の召集で会議室に集まった(ラウラとシャルロットは未だ目覚めておらず、医務室で眠っている)。ただ、前回のクラス対抗戦と違う事があった。

 

 

 牙也(……視線が痛いな)

 

 

 皆と同じように椅子に座っている牙也―――

 

 

 シュラ(……鬱陶しい……!)

 

 

 ―――の隣で濃密な殺気と苛立ちを出しながら座っているシュラに、会議室にいるほぼ全員の視線が向けられていた。だが、IS学園の面々からすれば『余所者』と捉えられる存在。

 

 ((((((………………そっくり………………))))))

 

 その姿が牙也そっくりである事を除けば。

 

 

 

 

 轡木「では、始めましょう。牙也君、報告を」

 牙也「了解、まずは――――」

 

 

 

 

 

 

 牙也「――と言ったところだ。詳しくは、全員に配った資料を各人読んでおいてほしい」

 轡木「ありがとう。所で牙也君、彼について話してくれるか?」

 轡木理事長は、そう言って牙也の隣に座るシュラを見た。

 轡木「更識君の報告によると、彼は新しいアーマードライダーらしいじゃないか。何故、今まで私達の前に現れなかったんだい?」

 牙也「それは「私が答えよう」っ、シュラ……」

 シュラが立ち上がって答えた。

 シュラ「まず私が今まで出てこなかったのは、この『ゲネシスドライバー』が完成していなかったからだ」

 シュラはゲネシスドライバーとエナジーロックシードを取り出して、机の上に置いた。

 シュラ「このゲネシスドライバーを使って変身するアーマードライダーは、ISに例えると第3世代にあたる。牙也達が使うのは、第2世代と第3世代の間くらいだろう。つまりは、私が変身するアーマードライダーは『最新型』とも言える」

 シュラはゲネシスドライバーとエナジーロックシードをしまった。

 シュラ「そして、もう一つ今まで出てこなかった理由がある。それが一番大事な部分だ」

 千冬「もう一つの理由?何だ?」

 千冬が聞くと、シュラはこう答えた。

 

 

 

 シュラ「私は、本当は人間ではない。インベスの最上位『オーバーロード』と言う、化け物だ」

 

 

 

 「「「「「「!?」」」」」」

 その暴露に、牙也と箒以外の全員が驚いた。無理もない。今まで自分達が戦ってきたインベスの最上位が、今目の前にいるのだから。

 教員A「な、なんであの化け物が!?」

 教員B「どういう事!?説明しなさい!」

 その場にいた教員や生徒達はその事実を聞いた途端、大混乱に陥っていた。中には、慌ててその場でISを展開しようとした教員・生徒もいた。そんな状況を軽く無視して、シュラは話を続けた。

 シュラ「『オーバーロード・シュラ』。それが、私の名前。本当ならこの事は隠し通すつもりでいたが、今回の一件でそうも言えなくなった。それ故に、今こうして皆の目の前に現れた次第だ」

 轡木「では君のその牙也君そっくりの姿は………………」

 シュラ「僭越ながら、牙也をコピーさせてもらった。本人は嫌がっていたがな」

 牙也「当たり前だコラ。勝手にコピーしやがって」ベシッ

 全員が驚きを隠せない中、千冬は牙也とシュラ以外で何故か箒が驚いていない事に気付いた。

 千冬「篠ノ之、お前は知っていたのか?」

 千冬が箒にそう聞いた。

 箒「私がこの事を知ったのは、ラウラ達の暴走の件の時、つい先程です。ただ『オーバーロード』の存在に関しては既に牙也から聞かされていました」

 千冬「そうか。牙也、『オーバーロード』の存在を今までに知っていたのは、他に誰だ?」

 牙也「俺と箒、束さんとクロエ、後一夏にも話したな。把握していたのは、それだけだ」

 牙也が答えると、

 楯無「何故今まで隠していたの?」

 今度は楯無が聞いてきた。

 楯無「どうして貴方は今まで、彼と――『オーバーロード』と繋がりがある事を隠していたの?」

 牙也「けっ、知れたことだ」

 対し、牙也は椅子に座っている状態で軽く伸びをしながら答えた。

 牙也「もし『オーバーロード』の存在が世間に知れたらどうなる?世界は意地でも、どんな手段を使ってでもシュラを殺そうとするだろう。まあ、易々とシュラが倒されるなんて事はないだろうが、俺はそれだけは避けたかった。シュラは俺とはある一件で協力関係にある。もしシュラが倒されると、その一件が解決出来なくなるからな」

 楯無「ある一件?」

 

 

 

 牙也「『ヘルヘイムの森』とこの世界が、この世界の何者かによって無理やり繋げられた事が分かってな。シュラは、それが誰の仕業か調べているんだ」

 

 

 

 

 

 「「「「「「!?」」」」」」

 これには箒も一緒になって驚いた。

 

 轡木「どういう事ですか!?『ヘルヘイムの森』とこの世界が無理やり繋げられたとは!?」

 轡木もこれには驚きを隠せず、シュラに問いかけた。

 牙也「俺も最近になってシュラの行動の真意を聞かされたからな。シュラ、話してくれるか?」

 シュラ「うむ、じゃあ話すとしようか。これまでの私の調査で、私が把握した内容を」

 

 

 

 

 

 

 三人称side end

 

 

 





 次回、後編。
 インベス騒ぎの原因を知ったIS学園の面々。
 彼らは、彼女らは、どんな答えを導きだすのか――――。

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