IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結) 作:神羅の霊廟
早いもんで、もう原作2巻に入りました。
フランスとドイツからの転校生。IS学園に、また新たな風が吹く……………………
第12話 黒兎ト侵食者、邂逅ス
箒side
久しぶりだな、篠ノ之箒だ。会議が終わった後、一晩の間私は改めて「戦う」事について考えさせられた。牙也が暴露したインベスの「正体」についての一言が、私の心に今も突き刺さっている。神社での一件の時は、恐らく私達を気にしてあえて言わなかったのかも知れない。だが、あの一言ほど胸に突き刺さった言葉は今までなかった。
まさかインベスの「正体」が、 だったなどと――――
千冬「――――――の、篠ノ之っ!」
その言葉で、私は我に帰った。顔をあげると、千冬さんが出席簿を持って仁王立ちしていた。
千冬「私が話している時にボケッと考え事か?人の話はちゃんと聞いておけ!」
バシッ!
「っ!…………すみません、ちふ――――織斑先生」
千冬「…………はあ、気持ちは察するが、あまり気に止め過ぎるなよ。確かにあいつの暴露は衝撃的過ぎた。私もまだ整理がついていないからな。だが大事なときに、ショックで戦えません、何てことにはなってほしくないのだ。プレッシャーをかけるようで悪いが、あれを相手に対等に戦えるのは、お前達しかいないのだからな」
そう言って、織斑先生は教壇に戻っていった。
千冬「では山田先生、HRを」
真耶「はい。皆さん、今日は転校生が来ています!それも二人です!」
「え………………」
『えええええええええ!!!!!!!!』
ああもう、いつものごとく叫び声がうるさい。
千冬「静かにしろ!」
織斑先生の一喝で瞬時に鎮まった。
真耶「それでは入ってきてください!」
??「失礼します」
??「………………」
入ってきた二人の転校生は――――
「金」と「銀」という表現がよく似合っていた。
箒side end
三人称side
??「シャルロット・デュノアと言います。フランスの代表候補生をしています。日本での生活は初めてなので、迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いいたします」
シャルロットはそう挨拶して頭を下げた。クラスの女子からは、「よろしくね!」「何か手伝えることがあったら手伝うよ!」などの言葉が飛び交った。
千冬「静かにしろ!まだもう一人いるのだぞ」
真耶「み、皆さんお静かに~!」
またも一喝で鎮まった。
千冬「挨拶をしろ、ラウラ」
ラウラ「はい、教官」
千冬「そう呼ぶな、私はもうお前の教官ではない。ここでは先生と呼べ」
ラウラ「はっ!」
ラウラと呼ばれた少女は、
ラウラ「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
名前だけ名乗った。
ラウラ「………………」
真耶「え、えと、それだけですか?」
ラウラ「それだけだ」
淡白にそう言って、ラウラは春輝の席に近づいた。
春輝「やあ、初めまして。これからよろ――――」
ラウラ「っ!」
バシッ!
ラウラの右手が、春輝の左の頬を叩いた。春輝は突然の事に反応出来ず、ラウラの平手打ちの勢いで椅子から落ちた。
春輝「いたた………………いきなり何しやがる!!」
ラウラ「認めない。私はお前のような人間を、教官の弟とは認めない………………!」
春輝「何だと!?」
千冬「ラウラ、織斑、やめろ!」
ここで千冬が仲裁に入った。
千冬「ラウラ、お前の気持ちはよく分かるが、転校初日から問題を起こすのは頂けんな。織斑も、今はその怒りを抑えろ。あまり事は大きくなってほしくはないからな」
春輝「……っ、千冬姉がそう言うなら……」
ラウラ「申し訳ありません、教官」
二人はそれぞれそう言って席に座った。次いでシャルロットも、指定された席に座った。
そして、いつも通り授業が行われたが、ラウラはその間ずっと春輝を睨み付けていた。
三人称side end
牙也side
「なるほど、そんな事が………………」
千冬「ああ、私もこの事を危惧していたのだがな…………」
夕方になり、俺は今日一組で起こったことについて千冬さんと話していた。
「…………にしても、転校初日からそんな事出来るラウラって子に俺はびっくりしているよ」
千冬「ラウラは私がドイツで教官をしていた時の教え子だ。初めて会ったときのラウラは、『出来損ない』やら『失敗作』やら言われていたようで、ボロボロだったんだ。それを、私が二年で一隊の隊長に昇格するまでに育て上げたのだ。それ故に、ラウラは私を心酔している。心からな」
「だから、ラウラからすれば一夏達は千冬さんにすがり付く邪魔者でしかない、か………………」
千冬「いや、どうやら邪魔に思っているのは春輝だけのようらしい。理由までは分からないがな」
「へえ?」
それっきり千冬さんは黙ってしまった。
次の日。
俺は掃除のために、第3アリーナを訪れていた。表向きは用務員として雇われたのだから、ちゃんとそっちの仕事もしなけりゃならない。やれやれ、学園勤めも楽じゃないや。
それに、ここ最近は生徒達の俺をみる目が変わってきたように思える。悪い方向で。事あるごとに睨んでくるし、酷いときは足を踏まれたり、平手打ちされたりする。予想はしていたが、ここまで酷いとはね。
そんな事を思いつつアリーナのトイレの掃除をしていると、
ドォォォォォォォォンッ!!!!!!!
「あ?なんだ?ISが爆発でもしたか?」
トイレから出たところで、
箒「牙也!」
振り向くと、箒が此方に走ってきた。
「何かあったのか?」
箒「ラウラが鈴とセシリアに喧嘩を売ったようだ!二人が応戦したが、大きく押されている!このままでは二人が危ない!」
「何だと!?織斑先生にこの事は伝えたのか?」
箒「シャルロットに呼んでくるように頼んでおいた。すぐに駆けつけるだろう」
「そうか、それなら良い。俺達はラウラを止めにいくぞ!」
箒「変身するか?」
「そうでもしなきゃ、ラウラは止められまい!何せ代表候補生二人を圧倒してんだぜ!?」
箒「違いない!そうと決まれば!」
「おう!行くぞ!」
俺達はアリーナに向かって走り出した。
牙・箒「「変身!!」」
『ソイヤッ!ブルーベリーアームズ!侵食者・Hell・Stage!』
『ハイー!マスカットアームズ!銃剣!ザン・ガン・バン!』
二人の鎧武者が、再びアリーナに降り立つ。
牙也side end
ラウラside
私は今、二人のIS使いにレールカノンを向けている。イギリスと中国の代表候補生だったか、その目はまだ死んではいない。だが、彼女らの使うISはすでにあちこちが損傷し、機械部分が所々露出している。
鈴「くっ、ここまで強いだなんて………………」
セシリア「まだ、倒れる訳には………………!」
「ふっ、貴様等は所詮その程度の実力なのだ。安い挑発に乗ってしまった自分達の愚かさを呪うがいい!」
私は二人に向かってレールカノンを―――――
牙也「――――――させねえよ」
撃とうとしたところで、レールカノンの正面に誰かが立ち塞がった。
その人物は、全身を赤のスーツと紫の鎧で覆い、その手には薙刀といったか?刀身が湾曲した槍にも似た武器を持っていた。
「来たか……………………」
私は確信した。こいつが、そうだ。この学園に転校する前に、ドイツ軍を、私達を助けた紫の鎧武者。ドイツ軍のとある施設に突然現れた怪物を、一瞬にして倒した戦士。そして、今の声。間違える訳がない。忘れる訳がない。今、目の前に立っているこの鎧武者の、その名を、その姿を――――――。
「アーマードライダー、蝕……………………!」
ラウラside end
はい、ラウラと牙也が対峙しました。
次回、ラウラと牙也のバトル。
そして、あの大会が目前に迫る――――――