IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 最終章、始まります。




最終章 ヘルヘイムノ統率者
第69話 悲シミノデート


 

 箒「デートに行くぞ、牙也!」

 牙也「唐突だな」

 

 今日は土曜日。そして今の時刻は朝6時ちょうど。いつも通りの時刻に起きた牙也は、いつものように朝練を終えた箒から唐突にデートに誘われた。

 

 牙也「デートに行くのは構わんけどさ、当てはあるのか?」

 箒「ん?まあ鈴達から色々アドバイスを貰ってる。それに以前ラジオに出た時にシャルロットから色々聞いたからな」

 牙也「ラジオ……ああ、あれか。てか向こうのシャルロットにそんな事聞いてたのか」

 箒「う、うむ……牙也と共に沢山楽しめたら、と思ってな////」カァ

 

 箒は恥ずかしいのか顔を真っ赤にしながら言う。すると牙也は箒の腕を掴んで引き寄せ、優しく抱き締めた。

 

 箒「き、牙也?////」

 牙也「……ごめん、しばらくこうさせて。今凄く箒が愛おしく思えてな」

 箒「っ!?////……ふふ……そうかそうか……私の事をそんなに……って、こんな事していると時間が……!」アタフタ

 牙也「嫌か?」ボソッ

 箒「!?////」ビクッ

 

 耳元でボソリと一言。それだけで箒は顔を更に真っ赤にしながら牙也の胸に顔を埋める。

 

 箒「あ、朝御飯の時間までだぞ?♡////」

 牙也「ん♪」ナデナデ

 

 その後約束通り朝御飯の時間までこの態勢のまま過ごしたのだが、長時間抱き締められた上に撫でられ続けていたせいで、箒の顔はしばらく蕩けっぱなしになり、朝御飯の為に食堂に向かうと鈴達に散々に弄られたとか。ちなみにこの時の箒の事を、後に鈴はこう話したという。

 

 鈴「いつになく締まりのない顔だったから驚いたしよく覚えてるわよ……てかよく考えたら、一夏に抱き締められてる時のあたしも、もしかしたらあんな感じだったのかしら……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 午前10時。学園と本州を結ぶ電車に揺られて本州に上陸し、牙也と箒は取り敢えず駅周辺をぶらぶら歩いていた。

 

 箒「なあ牙也、何処か行きたい場所とかあるか?今日は私が奢ってやろう」

 牙也「奢るって……それは流石に箒に悪いよ。それに何処か行きたい場所と言われてもねぇ……箒と一緒なら何処へ行っても楽しいし嬉しいからーーってやばっ」

 箒「ば、馬鹿者////そんな事を簡単に言うものではないぞ……馬鹿////」

 牙也「あ、あはは……////ごめんごめん、それなら一つ行きたい場所があるんだけど」

 箒「何処だ?」

 牙也「ボウリング場!」

 箒「ボウリングか……私も最近ほとんどやってないな。よし、では行くか!」

 牙也「おー!」

 

 

 

 

 

 

 

 ROUN○1ーー。

 

 牙也「っしゃあ!思い切り転がしてピンをなぎ倒すぜ!」

 箒「なぎ倒すって……」ニガワライ

 牙也「てな訳で、第一投!」

 

 牙也が元気良く投げた球はーー

 

 

 

 ガコンッ

 

 

 

 ガーターにin。

 箒「おい牙也。いきなりガーターとはどういう事だ?流石にこれは格好悪いぞ」

 牙也「言うな……俺だって分かってるんだよ、格好悪いってさ……さっき元気良く投げたのが恥ずかしいわ……」ガクー

 

 その後はなんとかスペアで挽回した。

 

 箒「よし、次は私だな」

 牙也「頑張れよー。ストライク取ったらキスしてやるぞー」

 箒「キッ……!?////」ボフッ

 

 突然の事に箒はバランスを崩しそうになり、危うくボウリングの球を足に落としそうになった。落とさずに済んだものの、箒はワナワナと肩を震わせながら牙也を睨む。牙也も今のは自分の落ち度だと理解したのか、「悪い悪い」と罰が悪そうな表情で謝った。箒は「ふんっ////」と鼻を鳴らし、改めて球を転がす。勢い良く転がした球はレーン中央を転がっていき、その先のピンを全て倒した。お見事、ストライクだ。

 

 牙也「おー、ストライクだ!やるな、ほうーー」

 箒「んっ」

 

 箒はストライクなのを確認するとすぐに牙也に飛び付き、そのまま押し倒してキスをした。

 

 箒「ん……ちゅっ……んむっ……あむ……ぷはっ♡」

 牙也「んん……ほう、き……んちゅっ……ぷは……ったく、俺からしようとしてたのに……////」

 箒「ふふん、早い者勝ちだ♡」

 

 店員『甘ったるい……』サトウダバー

 カップル『畜生、ブラックコーヒーが旨いよ!!』ゴクゴク

 

 その後も箒がストライクする度に牙也にキスした為、最終的に店長に「こ、今後はお控え下さい……」と釘を刺された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所を移して、R○UND1の近くにあるファミレス。

 

 牙也「うまうま」

 

 牙也はミックスグリル定食を、箒はオムライスを注文してそれぞれ食べていた。

 

 箒「学園の食堂も良いが、たまにはこういう所での外食というのも良いな」

 牙也「そーだな。今度また来るか?」

 箒「それも良いが……私は牙也に手料理を振る舞って一緒に食べたいな」

 牙也「ん、良いな。是非とも是非とも」

 箒「ふふ……楽しみにしておくのだぞ」

 

 ??『ふふ、お二人とも仲睦まじいですね』

 ??『クロちゃん、シーッ!!』

 

 箒「?今の声は……」

 牙也「束さんとクロエか?」

 

 二人が隣の席に目を向けると、束とクロエがそれぞれステーキ定食と鉄火丼を食べていた。クロエの手にはビデオカメラが握られている。

 

 束「ご、ごめ~ん……邪魔するつもりは無かったんだけど……」

 クロエ「ご馳走さまです。それにしてもお二人のご様子を見ていると、私達も嬉しくなってきますね」

 箒「それはどうも……で、二人は今日は何しに街へ?」

 クロエ「お二人を追跡してデートのご様子を撮ってきてくれと、黛様と更識様に頼まれまして!」

 束「クロちゃん、それ言っちゃ駄目!」

 牙也「……まぁ良いや。束さん、これ食べます?」

 

 牙也は小さくカットしたハンバーグをフォークに刺して束に差し出した。

 

 束「え、良いの?それじゃ遠慮なく!」

 

 束は疑う事なくフォークに刺さったハンバーグを食べる。

 

 束「~~~~~!?」ジタバタ

 

 口を抑えてのたうち回る束を見て牙也はケラケラと笑った。

 

 牙也「引っ掛かった引っ掛かった!さっきのハンバーグ、こっそり一味唐辛子大量にかけておいたんだよ!」

 束「じだが、じだが(舌が、舌が)~~~~!!」

 クロエ「束様、お水です!」

 

 クロエから渡された水を一気に飲み干し、大きく深呼吸する束。そして涙目で牙也を見た。

 

 束「いたた……意地が悪いよ牙君!」

 牙也「あはははは、あー面白!」

 箒「ほら牙也、次は私からだ」

 

 すると今度は箒がオムライスを差し出した。

 

 牙也「ん、いただきま~す」

 

 牙也はそれを疑う事なく食べる。

 

 牙也「ゴホッゴホッ!?辛ッ!箒お前、オムライスにかけたのケチャップじゃなくてタバスコかよ!?」

 箒「ふふん、姉さんの仇は取ったぞ♪」

 束「グッジョブ 箒ちゃん!」

 牙也「畜生、箒だから安心してたのに~!!見事に騙されたよ……辛ッ!そして口が痛い!」

 

 しばらく辛さでのたうち回る事になった牙也であった。クロエが持っていたビデオカメラは箒が没収しておき、後で薫子と楯無を脅ーーもとい叱る為の素材として利用する事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 更に場所を移して、箒の提案により今度はゲーセンに向かった二人。

 

 箒「おお……これがゲーセンか」

 牙也「箒ってこういう所来た事無かったんだっけ?」

 箒「初めてだ……牙也、何から遊ぼうか?」

 牙也「まぁ時間はそれなりにあるし、まずはゆっくり店内を見て回ってから、気になったゲームをすれば良いんじゃないか?」

 箒「そうだな、そうしよう……っと、すまん、ちょっと……」モジモジ

 牙也「?ああ、そういう……分かった、そこのベンチで待ってるから行ってきな。確か奥の方だったと思うぞ」

 箒「す、すまんな……」

 

 箒は慌てて店の奥へと走っていった。牙也は「やれやれ」と一息つきながら、近くにあったベンチにドカッと座り込む。そしてスマホを取り出すとスマホゲームをやり始めた。

 

 

 

 ??「雷牙也様」

 

 

 

 と、突如横から声を掛けられた。牙也が顔を向けると、スーツ姿の若い女性がいつの間にか隣に座っていた。

 

 牙也「……何者だ?」

 ??「はい、私はゼロ様配下で秘書をしております、鳳榛名(おおとりはるな)と申します。以後お見知りおきを……」

 牙也「ゼロの秘書?何の用だ?」

 

 すると榛名は気まずそうな表情になった。牙也が首を傾げていると、

 

 

 

 

 

 

 

 榛名「……ゼロ様が殺害された事を、ご報告に上がりました」

 

 

 

 

 

 

 その報告に、牙也は目を見開いて榛名を見る。榛名はやはり気まずそうに言葉を続ける。

 

 榛名「つきましては、今後私達『メシア・ロード』は全権を雷牙也様ーーつまり貴方に移譲するように、と前社長のゼロ様の仰せにより、本日お伺いした次第です」

 牙也「そうか……会社のメンツは全員俺に従う事に賛同しているのか?」

 榛名「はい。トップを失った今、私達を自由に動かせるのは、ゼロ様のご子息ーーつまり貴方のみです」

 牙也「そうか……」

 

 牙也は項垂れて黙り込んでしまったが、すぐに顔を上げて榛名を見た。

 

 牙也「……分かった。取り敢えずお前達全員は、ほとぼりが覚めるまでは何処か都合のいい場所へと身を隠せ。俺が学園長達に掛け合ってみる」

 榛名「ありがとうございます……それともう一つお知らせがございます」

 牙也「なんだ?」

 

 すると榛名は封筒を懐から取り出して牙也に差し出した。牙也がそれを受け取って中身を見ると、中には青寄りの紫色をしたロザリオが入っていた。

 

 榛名「『それを持って、以前私が言い残した場所に来なさい』との事です」

 牙也「このロザリオを持って……?これに何の意味が……」

 榛名「分かりません。ですがそれを貴方に渡したという事は、それが何か特別な物なのではないでしょうか」

 牙也「特別な物、か……」

 榛名「そうだと私は思います。何か進展がありましたら、こちらにご連絡下さい。では用事は済みましたので、私はこれにて」

 

 そう言って電話番号が書かれた紙を渡すと榛名はさっさと行ってしまった。榛名のその後ろ姿には、どこか哀愁の念が見えたように思えた牙也であった。

 

 箒「お待たせ牙也、戻ったぞ……どうかしたのか?」

 

 そこへ箒が戻ってきた。何やら悲しそうな目をしている牙也を見て箒がそう聞くと、牙也は「……ちょっとな」と言ってはぐらかした。

 

 牙也「……せっかくゲーセンに来たんだ、楽しもうぜ、な?」

 箒「……そうだな、そうしよう」

 

 その後二人はUFOキャッチャーやコインゲームをして楽しんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 





 冒頭のラジオは『INFINITE・CROSS-Z』をお読み下さいね。

 次回もお楽しみに!


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