IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 始まります。




裏話 黒リンゴ

 

 ??『ククク……さぁて、獲物は何処だ……っと』

 

 春輝の体を乗っ取った存在(以後偽春輝)は、黒いフードを全身に被り、目的の場所へと歩を進めていた。この先にはとある人物の墓があり、偽春輝はそこにあるであろう目的の物を回収せんとしていた。

 

 偽春輝『あの女が持つ黄金の果実、そして何処かに必ずある禁断の果実さえあれば、私は完全な復活を果たす……!その時こそ、人間共は私の手によって最期を迎えるのだ……!』

 

 偽春輝は不気味な笑みを浮かべながら、目的地へと進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やがて偽春輝は、山中にポツンと建てられた墓にたどり着いた。そこには女性が一人墓に手を合わせている。偽春輝は気づかれないようこっそりと女性に近づいていく。と、

 

 ??「私を殺して、黄金の果実を奪いに来たの?」

 

 女性が立ち上がったかと思うと、見透かしていたかのような口調で言いながら振り向いた。

 

 偽春輝『ああその通りだ、ゼロ。お前の持つ、黄金の果実のロックシードを頂きに来た。ついでにお前の命もな』

 ゼロ「そう……奪ってみなさいな、貴方の力で」

 

 ゼロはそう言って一瞬で『仮面ライダーマルス ゴールデンエナジーアームズ』に変身すると、ソードブリンガーをアップルリフレクターから抜いて偽春輝に攻撃を仕掛けた。

 

 偽春輝『ハッ、甘ぇよ』

 

 それを偽春輝は何処からか黒い刀を出して防いだ。刀身が一房の真っ黒いオレンジのようで、そこから黒い瘴気が溢れ出している。

 

 ゼロ「『ダーク大橙丸』……やはり貴方は……」

 偽春輝『フン、今さら気づいて何になる?今から死ぬお前が』

 

 偽春輝はダーク大橙丸を振るって反撃に出る。ゼロはそれをアップルリフレクターで防ぐが、あまりの一撃の強さに衝撃までは相殺出来ず、後ろに仰け反る。それを見逃さず、偽春輝はアップルリフレクターを蹴飛ばしてゼロの左手から離れさせ、更にダーク大橙丸の斬撃でゼロを斬り裂いた。

 

 ゼロ「くううっ!」

 

 斬撃でゼロは吹き飛ばされるが、なんとか態勢を立て直し、

 

 《ゴールデンエナジースカッシュ!》

 

 エナジーロックシードを一回搾って、斬撃を数回飛ばした。

 

 偽春輝『……甘いっつってんだろ』

 

 偽春輝が右手を翳すと、ソードブリンガーから飛ばされた斬撃が一瞬で真っ黒く染まり、斬撃がUターンしてゼロに向けて飛んでいく。

 

 ゼロ「っ!?斬撃が黒くなってーーきゃあああああああっ!?」

 

 Uターンで戻ってきた斬撃はゼロに直撃し、ゼロは吹き飛ばされ、ベルトとロックシードが外れて変身が解除された。

 

 ゼロ「くうっ……なん、で……」

 偽春輝『ハッ、分かってた筈だろ?どんなにお前が抗ったところで、こうなるだけってさ』

 

 偽春輝はそう言い捨てて、地面に転がったゲネシスドライバーとゴールデンエナジーロックシードを拾い上げる。

 

 偽春輝『こいつは頂いていく。じゃあな』

 

 そう言って、偽春輝はダーク大橙丸をゼロの心臓に突き刺した。

 

 ゼロ「コフッ……!」

 

 ゼロの心臓に深々と突き刺したダーク大橙丸を引き抜き、偽春輝はその場から去ろうとする。と、ふと墓に目を向けると、あの鍵のような形をしたロックシードが目に入った。

 

 偽春輝『へぇ……面白そうな物があるじゃないの。こいつも貰っていくぜ』

 

 偽春輝はそれを掴むと、不気味な笑みを浮かべながらクラックを開いて去っていった。

 

 さっさとその場から去ろうとするあまり、ゼロが最後に言っていた言葉を聞き逃した事に、偽春輝は最後まで気づかなかったが。クラックが閉じる直前、ゼロは偽春輝に向かってこう言っていた。

 

 

 

 

 ゼロ「……ふふ……馬鹿ね。全部芝居だと未だに知らずにいるわ……どこまで、馬鹿なのかしら……『ダークネス』って」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何処かの廃工場。そこにクラックが開いたかと思うと、中から偽春輝が出てきた。

 

 偽春輝『さて、これで終わりだ。こいつを解放するか』

 

 そう言うと偽春輝は春輝の体から離れ、春輝と同じ姿で実体化した。春輝の方は一瞬ふらついたかと思うと、すぐに意識を取り戻した。

 

 春輝「はっ!?俺は一体……それにここは……?」

 偽春輝『よぉ、目が覚めたか、俺』

 春輝「っ!?俺……だと!?」

 

 意識を取り戻した春輝は、目の前にいた自分とそっくりの人物に驚きを隠せない。一方偽春輝は「フン」と鼻を鳴らすと、懐に入れていたゲネシスドライバーとゴールデンエナジーロックシードを春輝に手渡した。よく見ると、ゴールデンエナジーロックシードの金メッキは、いくらか剥がれ欠けていた。

 

 春輝「おお……これが、お前が言っていた物……!遂に俺の物に……!」

 偽春輝『馬鹿、俺のじゃない。俺達の、だ』

 春輝「っと、そうだったな……これさえあれば、俺もお前もあいつらを越えられる……!」

 偽春輝『ああ、その通りだ。まぁこれだけではお前は物足りないだろうから、更にもう一つ力をやろう』

 

 偽春輝はそう言うと、廃工場の広いスペースから大量の蔦を伸ばした。蔦は少しずつ絡まって人形を模していき、やがて蔦が枯れてボロボロと崩れ落ちると、そこには緑や紅が特徴的な怪物が沢山現れた。

 

 偽春輝『これだけいれば大丈夫だろ。右からデェムシュ、レデュエ、デュデュオンシュ、グリンシャ、シンムグルンだ』

 春輝「す、凄ぇ……!こいつらオーバーロードか!?」

 偽春輝『ああそうだ。さぁ行くぞ、お前のその力を、あいつらに存分にぶつけにな!!』

 春輝「おう!絶対にあいつらを倒してやるぜ!変身!!」

 

 《ダークネスエナジー》

 

 《ロック・オン》

 

 《黒!ダークネスエナジーアームズ!黄金の果実!!》

 

 頭上のクラックから現れた真っ黒いリンゴを被り、春輝が変身したのはーー

 

 

 

 

 春輝「ハハハハハハハハハ!!これだ!これこそが、神に選ばれた者の姿だァッ!!」

 

 

 

 

 『邪』という文字を模したフェイスが特徴的なアーマードライダーであった。春輝が狂ったような笑い声を廃工場に響かせる中、偽春輝は満足そうな笑みを浮かべていた。

 

 偽春輝『(ククク……後はこいつをこのまま暴走させて弱ったところで体を乗っ取れば良い。順調だぁ……順調過ぎて怖いくらいだ……この私が復活するのも、最早時間の問題よ……!)』

 

 

 

 

 

 

 





 これで裏話はおしまい。

 そろそろ最終章に入っていきますので、皆さん最後までよろしくお願いします。それではまた次回ーー。


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