IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 今回は、この小説の根底の一部に触れることになります。
 低い文才で何とかまとめたので、最後まで読んで頂けると嬉しいです。
 それではどうぞ!



第11話 深キ傷、渡サレタ黒ト赤

 

 牙也side

 

 「…………あんたか。8年ぶり、だったか」

 シュラ「うむ、あの日からもうそんなに経つか…………」

 

 目の前にいる怪物――――『オーバーロード・シュラ』と話している間、俺は会っていなかった8年を思い出していた。世捨て人として生きていたその日々は、あまりにも大きな傷をその身に刻んでいた。女とすれ違うだけで呼び止められ、「目の前を歩いた」と言う理由だけで殴られたりした。

 とても払えないような値段の物を奢らされたりもしたし、酷いときには犯罪者に間違えられたりもした。とにかく沢山の屈辱を味わい、苦虫を噛み潰してきた。

 そしてそんな日々の中に、あまりにも多くの虐げられてきた人を見てきた。中には、力を求めてヘルヘイムの森に入り、怪物となって帰ってきた人もいた。その度に俺は思った。

 「この世界は、壊れてしまった」と。

 

 もちろん、その8年の間もアーマードライダーとして戦ってきた。しかし当時の俺は、家族を失った事もあってただ漠然とした意思で戦っていたから、時にはインベスに殺されそうになったりもした。女尊男卑の世による屈辱も重なりに重なって、篠ノ之神社に流れ着いた時には、体も心もボロ雑巾同然であった。

 しかし、そこで俺は長く味わっていなかった「温もり」を思い出した。そして初めて箒達の前で変身した日、俺は決心した。

 「俺は、あの日味わった温もりを守るために戦おう」と。

 

 

 

 

 

 

 シュラ「――――ねん、少年よ。どうかしたか?」

 

 我に帰ると、シュラがその鋭い目で俺の顔を覗き込んでいた。

 

 「ああ、悪い。あんたに会っていなかったこの8年を思い出していたんだ」

 そう言って、俺はベッドに寝転んだ。

 

 シュラ「そうか…………」

 シュラはそう言ったきり、黙り込んでしまった。

 

 「ところで、何の用で来たんだ?」

 シュラ「ああ、少し知らせたい情報があってな。それと、渡したい物がある」

 「知らせたい情報?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 シュラ「最近この世界とヘルヘイムの森が繋がっている部分を調べてみたのだが、この世界側から無理やり繋げられた痕跡が見つかった。恐らく今回の一件は、此方側の人間が仕組んだ事だと思われる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「………………………………何?」

 その情報を聞いて、俺は思わず体を起こしていた。

 シュラ「その痕跡は、普通に見れば判別できないように巧妙に隠してあった。まあ私からすれば無駄な事だったがな」

 そう言って、シュラはベッドに座り直した。

 シュラ「まあ、此方側の世で有名なかの『天災』とやらの仕業ではあるまい。戦極ドライバーの解析が出来なかった者が、あそこまで巧妙に証拠を隠せる訳がない」

 「そうか……」

 俺は少し安堵の息を洩らした。だが、それだと疑問が残る。

 「…………とすると、誰なんだ?誰が、何のためにこの世界とヘルヘイムの森を繋げたんだ?」

 シュラ「それはまだ分からぬ。此方も引き続き調査を続けるが、万一の時も想像しておかなければなるまい」

 「………だな」

 

 黒幕が誰か分からない以上、安易には動けない。今後は水面下で調査するのが一番安全だ。

 

 「あ、話は変わるが、俺に何か渡したいものがあるって言ってなかったか?」

 シュラ「ああ、これを渡すのも、今回ここに来た目的だからな」

 そう言って、シュラは懐から黒くて四角いロックシードと赤いロックシードを取り出して、俺に差し出した。

 「これは……?」

 シュラ「いずれはそれの力を必要とするときが来るだろう。だから今のうちに渡しておく。今は使えぬが、時が来ればそのロックシードが目覚めるようになっている」

 

 シュラから受け取った二つのロックシードをみると、それには何のマークもない。試しに解錠してみたが、何も起きなかった。

 

 「…………なるほどな。今はただ持っておけ、ってか」

 シュラ「そう言うことだ。では、私は戻るとしようか。あまり此方には長居出来ぬのでな」

 そう言ってシュラは立ち上がり、クラックを開いた。

 

「あ、そうだ。シュラ、このロックシードを持ってきたのは、あんたなのか?」

 俺はチェリーロックシードをシュラに見せた。

 シュラ「ああ、少年が寝ている間にこっそりと付けておいた。よく寝ていたから、作業は容易かったぞ」

 「不法侵入だろうが!」

 シュラ「今さらではないか」

 「ぐっ…………」

 シュラ「まあ、今後もこっそりと付けておくかもな。使える力は少しでも多い方がいい」

 「………………はあ、分かったよ。ただし、あんたはなるべく姿を見せないようにしろよ。此方の世界の女は、あんたらインベスやアーマードライダーを敵視している。見つかったり捕まったら何されるか分からんよ」

 シュラ「分かっている。それではな」

 そう言ってシュラは帰ろうとしたが、急に振り向いた。

 

 シュラ「そう言えば、少年の名を今まで聞いてこなかったな」

 「そう言やそうだな。牙也だ、雷牙也」

 シュラ「ふむ。良き名を持ったな、牙也よ。それでは、また会おう」

 そう言ってシュラは今度こそクラックをくぐって帰っていった。

 

 

 

 

 

 シュラが帰っていくと、俺は急に脱力感に襲われた。

 (はあ、今日は色々ありすぎて疲れたよ。時間も遅いし、今日はもう寝るとしよう)

 そう思いつつ、俺は眠りについた。

 

 

 

 

 

 牙也side end

 

 

 

 

 





 シュラより渡された二つのロックシードの意味は………?

 次回、あの二人がIS学園に編入、そして牙也の周りには不穏な空気が……………………


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