IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 始まります。




第63話 Who are you?

 

 箒「ーー」ドサッ

 

 一瞬血の気が引いたように顔が白くなり、箒の体はゆっくりと俺に倒れかかってきた。何事かと思い箒の体を受け止めると、右手に大量の血がべっとりと付いていた。見ると箒の心臓部には、巨大な剣が深々と突き刺さっており、それが心臓を貫通して俺の心臓をも貫通していた。

 

 「ーーコフッ」

 

 自分の体からの激痛を理解した時、俺の意識はそこで途絶えたーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「牙也さん!?箒さん!?」

 

 俺が二人の様子がおかしい事に気づくのには時間など掛かる筈もなかった。イチカを無事に撃破して他の皆とハイタッチし、ふと牙也さん達の方を見ると、二人が仲良く抱き合っているのが見えた。仲が良いんだな……そんな事を考えながら一瞬瞬きをしたその時、異変に気づいた。二人が抱き合ったままゆっくりと倒れ始めたのだ。目を凝らして見ると、箒さんの背中に見覚えのある巨大な剣が突き刺さっているのが見えた。俺の声に気づいたのか他の皆も牙也さん達の方を見た。

 

 『牙也ッ!!』

 『箒(篠ノ之さん)ッ!!』

 

 全員が急いで駆け寄ろうとすると、それを許さないかのようにバグスター戦闘員が再び現れた。そしてその後ろに、倒した筈のイチカが現れた。

 

 「お前……さっき倒した筈だろ!?」

 イチカ「いつ俺が倒されたと言ったよ?こんな事も見越して、最初から俺は戦ってなかったのさ。『俺』はな」

 一夏「『俺』は……?どういう事だ!?」

 イチカ「ふっ……こういう事さ!」

 

 《分身!》

 

 なんとイチカはエナジーアイテム『分身』を使って自分をもう一人作っていた。つまり俺達が倒したのはただの分身体で、今目の前にいるこいつ、つまり本物じゃない。今の今まで本物は何処か別の場所で俺達を静観していたのか……マジかよ……!

 

 イチカ「ハハハハハ……!残念だったなぁ、せっかくのチャンスを不意にしちまってよぉ……ま、当然だよなぁ、所詮神には誰も敵わないんだからなぁ、ククク……!」

 一夏「てめぇ……!」

 イチカ「ああ……残念だ、非常に残念だッ!!もっと骨のある奴かと思ったらこの様だ。つまらねぇな!!」

 

 イチカはつまらなさそうに倒れている二人に近寄って、二人の体を踏みつけた。気を失っているのか反応はないが、イチカはそんな事お構い無しに踏みつけ続ける。

 

 千冬「貴様……!二人に何をした!?」

 イチカ「聞いて何になるよ?どうせお前等皆これから絶版するってのによぉ……あれか、遺言ってやつか?」

 ゼロ「こんな所で遺言なんか書く気は無いわよ。次こそ大人しく倒されなさい!」

 イチカ「ハハハハハ……無理な相談だな。お前等ごときじゃ、俺は倒せない」

 「やってみないと分かんねぇだろッ!!」

 

 俺はストライクバスターカリバーで斬りかかるが、イチカはバグルドライバーⅡを取り外してBボタンをこちらに向ける形で右手のグリップパーツに装着。ガシャコンバグヴァイザーⅡ・チェーンソーモードにした。そしてストライクバスターカリバーをチェーンソーで弾き飛ばし、追い討ちで蹴りを入れてきた。

 

 「がっ!?っ、くそおっ!」

 

 《Sonic Wave》

 

 《Sonic Wave Final Full Break!》

 

 俺はすぐに立ち上がり、チップを一枚エナジーバイザーに装填して大きくパーに開いた右手をイチカに向ける。その右手からは超音波が発され、バグスター戦闘員を蹴散らすが、

 

 イチカ「その程度で俺は倒せねぇよッ!!」

 

 《反射!》

 

 イチカは『反射』のエナジーアイテムで超音波を跳ね返してきた。跳ね返された超音波が俺を含めた全員に襲い掛かるが、なんとか全員が武器を構えて防御するなどして耐え抜いた。

 

 千冬「全隊、なんとしても牙也と篠ノ之を救い出せ!急げばまだ間に合う筈だ!」

 

 千冬さんが他の教員に命令して救出に向かわせ、自身もバグスター戦闘員に攻撃を仕掛けようとするが、

 

 イチカ「ギャーギャーギャーギャー喚くなよ……これから絶版になる屑共がよぉ……さて、これとこれと、あとこれだな」

 

 《伸縮化!》

 

 《マッスル化!》

 

 《マッスル化!》

 

 イチカ「これより……お前等を全員絶版するッ!!」

 

 《キメワザ》

 

 《Critical Crews-Aid》

 

 「まずい……!全員防御の態勢を!!」

 一夏「任せろ!」

 

 《スターフルーツスパーキング!》

 

 「よし、俺も!」

 

 《Protect Metal》

 

 一夏さんがカッティングブレードでロックシードを三回切って星型の盾を構え、俺はチップを一枚エナジーバイザーに装填した。盾はオーラを纏って巨大化し、俺の体は鋼鉄のような色合いになる。一夏さんが俺達を守るように盾を構え、その後ろに俺が一夏さんを支えるように立つ。これなら必殺技も、なんとか防げる筈……!

 

 イチカ「雑魚が……そんなショボい防壁で、俺の攻撃を防げると思うなッ!!」バギッ

 一夏「っ!?しまっーー」

 

 

 

 

 

 

 『うわああああああああ!!』

 

 

 

 

 

 

 一夏さんの作った星型の防壁はあっさりと粉々に砕かれ、伸縮化で伸びた右足がその場にいたほぼ全員を捉えた。イチカが勢い良く右足を振るとあちこちで大爆発が起き、俺達は全員派手に吹き飛ばされて変身が解除されてしまった。

 

 イチカ「ハハハハハ!!憐れだな、無謀にも神の攻撃を受け止めようだなんてよ!!俺のレベルは一兆だぜ、受け止めようなんざ無理なんだよ!!」

 ゼロ「一兆、ですって……!?」

 千冬「馬鹿な……!?そんなふざけたレベルなど……!」

 イチカ「あるのさ、今、ここにな!さぁて、流石にもう飽きた……後始末はこいつらに任せるか」

 

 《Noise Solomon》

 

 イチカがガシャットを起動すると、またもノイズやバグスター戦闘員が出現して、ボロボロの俺達を取り囲んだ。くそっ……これが俗に言う絶体絶命ってやつか……!なんとか立ち上がって変身しようとするが、体へのダメージが大き過ぎて立ち上がる事すら出来ない。

 

 イチカ「じゃあな、憐れな屑共。せいぜいお前等の愚かさを呪うが良い」

 

 そう吐き捨てて、イチカは牙也さん達の方へと歩き始めた。ボロボロの俺達では、奴を追い掛ける事すら出来ない。ここまでか……!

 

 アリス「……手間をかけさせるな」

 

 突然聞こえたその声と同時に、周りにいたノイズやバグスター戦闘員が一瞬で全て消滅した。その声の主は、黒いパーカーにボロボロのローブを着た小柄の少女。

 

 千冬「ア……アリス……!お前、今まで何処に……!?」

 アリス「……奴の様子を探ってた。途中から奴の様子が少しだけおかしく感じたから、少し離れた場所から観察してた」

 「見てたのなら、さぁ……せめて加勢くらいはしてくれよ……!」

 アリス「……さっきの一撃で、全員戦闘不能になるよりかは、まだこっちの方がマシ」

 「ごもっともだけど……!」

 

 尤もな言葉に呆れながらも、俺はアリスに文句を言う。だけど、劣勢である事には変わりない。アリス一人で、果たしてどこまで通用するのか……

 

 イチカ「ッ!?いない、いない、いないッ!!奴は……雷牙也は何処だッ!?」

 

 何やらイチカの奴が騒がしい。聞くに、さっきまで倒れていた筈の牙也さん達がいなくなったみたいだ。まさかアリスがこっそり安全な場所に運んだのか?

 

 アリス「……私は何もしていない」

 

 俺の考えている事が分かったのか、アリスがそう反論してくる。じゃあ誰が……?

 

 イチカ「何処だッ!?雷牙也は、何処にいるッ!?」

 

 

 

 

 

 ??「ここですよ」

 

 

 

 

 アリスとは別の少女の声が聞こえた。その方向を見ると、白いワンピースに白い長髪とアホ毛が特徴的な少女がおり、その後ろには牙也さんと箒さんがいた。突き刺さっていた剣はいつの間にか抜かれ、出血も治まっている。あの子が治療したのかな?

 

 イチカ「おいガキ。そこを退きな、今なら怪我させるだけで許してやるよ」

 ??「ガキ?貴方みたいなガキにガキと言われても説得力がありませんね」

 イチカ「んだと?嘗めた口訊くと、ただじゃ済まねぇぞ?」

 ??「嘗めた口、ですか……貴方よりかは私の口調はまだ普通だと自負していますよ」

 イチカ「そうかそうか。つまりお前は……ここで死にたいって事なんだなッ!!」

 

 イチカはガシャコンバグヴァイザーⅡ・チェーンソーモードで少女に斬り掛かった。しかしそれを振り下ろそうとした途端、少女がイチカに向けて右手を翳すと、その攻撃は見えない壁によって阻まれた。

 

 イチカ「障壁だと!?」

 ??「牙也様達には、貴方ごとき指一本触れさせません。それにしても……貴方の攻撃は単調でつまらないですね。それでは……私が、戦い方をお教えしましょう」

 

 少女はそう言うと、懐から何かを取り出した。それはイチカが使ってるようなゲームガシャットが二本くっ付けられたような見た目で、ダイヤルが付いている。色は片方が紫を基調とし、もう片方は薄緑を基調としている。少女はそれを手に持ち、ダイヤルを右に回した。

 

 《Ancient Creator》

 

 《Let's Making Ancient Field!Let's Making Ancient Field!》

 

 少女の背後に、謎のゲーム開始画面が現れ、エナジーアイテムがセットされた。イチカは何が起きているのか理解出来ていないのか、キョロキョロ周囲を見ているその顔には明らかに焦りが見えていた。

 

 イチカ「なんだそれは……何なんだお前は!?」

 

 ??「私を知りたければ……私を倒してみたらどうですか?そうしたら分かるかもしれませんよ……?変身」

 

 《Dual Up!》

 

 《Maker Maker Cosmic Make!Maker Maker Natural Make!Maker Maker Oll Make!Let's Summon Ancient Creator!!》

 

 ガシャットを起動すると、ガシャットからパネルが飛び出してきて少女を通り抜けた。すると少女の姿は、頭部はサラサラとした白い長髪に人の眼球のような鋭い複眼、首回りはマフラーが巻かれ、体は見た目巫女のような服装で胸部にはゲージのようなものがある。謎の仮面ライダーは腰のホルダーにガシャットを差すと、その巫女装束をはためかせ、イチカに向けて右手を差し出す。

 

 ??「さぁ……始めましょう。貴方の結末は、私の手の中にあります」

 

 

 

 

 

 

 

 





 次回もお楽しみに!


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