IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 始まります。




第61話 運命ハ託サレタ

 

 俺が救援に駆け付けた時、既に敵戦闘員は全くおらず、その上空ではアリスがイチカ相手に善戦していた。イチカの武器生成能力がアリスの攻撃スピードに全く追い付けてない。改めて思うが、アリスはやはり強いな。

 

 箒「牙也、出来たのか?」

 「いや、もう一仕上げが必要でな……物を持ってこうやって出てきた次第だ。おいアリス!そいつをこっちに寄越してくれ!」

 アリス「……まだ殴り足りないのだが」

 「用が済んだら返却するよ、少しの間で良い」

 イチカ「おいコラ!俺はてめぇらの玩具じゃねぇんだよ!」

 

 イチカがなんか怒ってるけど無視無視。するとアリスは「……早くしろよ」と言ってイチカをこっちに蹴飛ばしてきた。隕石の如き速さで俺達の目の前の地面に墜落したイチカ。やがて土煙を上げながら、「野郎……神たる俺をこんな目に遭わせやがって……!」と怒りを露にしながら立ち上がってきた。

 

 「さて……次は俺が相手になるぜ?」

 イチカ「ケッ、俺に一撃も与えられなかった奴が何をほざくかと思ったら……寝言は寝て言いやがれ!」

 

 イチカはバグルドライバーⅡをガシャコンバグヴァイザーⅡ・チェーンソーモードにして攻撃を仕掛けてきた。同時に武器も生成して攻撃しようとしているようだが、アリスがその武器全てを生成された傍から破壊している。アシストどうもな。バグヴァイザーⅡによる攻撃は紙一重で回避し、俺はじっと機会を伺う。少しでも隙が出来れば上等だ。と、突然横から二体のバグスターが乱入してきて、イチカを守るように立ちはだかった。さっきまで蔦で縛ってたのに、拘束を自力で解いたのか……!それにしても……

 

 「簪……本音……!」

 

 これが箒が言ってた『Noise Solomon』ガシャットで生まれたバグスターか……こいつらを見ると、益々イチカへの怒りが込み上げてくる。

 

 「二人共……もう少しだけ、待っててくれよな。すぐに、助けてやるからな」

 

 俺は一先ず撃剣ラヴァアークを二本取り出して構える。機会はすぐに訪れる、絶対に逃してはいけない。そう考えて、俺はバグスターに攻撃した。二体のバグスターは腕でラヴァアークの斬撃を防ぎ、反対に拳で攻撃し返してきた。それをやはり紙一重で回避して再びバグスター達を蔦でさっきより強く縛り上げると、

 

 イチカ「野郎ッ!」

 

 バグヴァイザーのチェーンソーが襲い掛かってくる。今変身してないから、あれに当たったら大怪我じゃ済まないな。二本のラヴァアークでチェーンソーの刃に当たらないように受け流し、逆にその腹に蹴りを入れる。イチカが後ろに転がり一瞬俺から視線が外れた隙に、俺は『アレ』を取り出し、そして一気にイチカに接近する。イチカが立ち上がってきたタイミングで、追撃のタックルをブチ当ててやった。イチカはまた吹き飛び、いつの間にか地面に降り立っていたアリスの足元まで転がった。それをアリスが足で踏みつけて止め、首根っこを掴んで無理やり立ち上がらせる。

 

 アリス「……もういいか?」

 「OKだ。後はそいつは好きにしな」

 

 そう言うとアリスは小さく頷いてイチカを上空に放り投げると、自分も上空に飛び上がった。多分またしばらくは、あの二人は上空で激戦を繰り広げるだろうな。奴が向こうに躍起になってる間に、簪と本音を助けなきゃ。俺はバグスターを二人から引き剥がす為の準備を始める。俺が新たに取り出したのは、戦極ドライバーと何も描かれていないブランクのロックシード、それにーー

 

 

 

 箒「そ、それ……ガシャコンバグヴァイザーと、ゲームガシャット!?」

 

 

 

 ブランクガシャットを差し込んだガシャコンバグヴァイザーだ。そしてバグヴァイザーに必要な情報を入力すると、ブランクガシャットが光りだしてガシャット全体を包み込む。そして光が晴れると……

 

 

 

 

 

 「……完成。さあ、あと一息だ。最後の仕上げと行こうか……!」

 

 

 

 

 ブランクガシャットはピンク色のガシャットに変化し、一頭身のキャラクターがラベルに描かれた。それを一旦バグヴァイザーから抜き取り、俺はそれを右手に持つ。

 

 「クロト……お前の力、俺に貸してくれ!!」

 

 そして意を決して、俺はガシャットを起動した。

 

 

 

 

 《Mighty Action X》

 

 

 

 

 ゲームガシャットが起動し、俺の背後に『Mighty Action X』のゲーム開始画面が現れる。本来のこれは、何処か懐かしさを感じる横スクロールアクションゲーム。そんな楽しいゲームを、まさか戦いで使う事になるとはね。そんな事を考えながら、俺はガシャットを再びバグヴァイザーにセットし直す。そして戦極ドライバーを腰に付けてブランクのロックシードをロック。

 

 イチカ「な!?なんでお前なんかがゲームガシャットを!?」

 

 あら、イチカはこのガシャットを俺が作り上げた事に驚きを隠せないようだ。まあそうだろうな、何せゲームガシャットを作れるのは、クロトとイチカくらいだしな。

 

 箒「まさか……!?止せ、牙也!!」

 

 真意に気づいたのか箒が止めに入ろうとするが、俺はやめない。こうしなきゃ、簪と本音は助けられないんだ……!

 

 

 

 

 

 

 「クロト……共に戦おうぜ!!」

 

 

 

 

 

 

 バグヴァイザーを胸に突き立てる。と、

 

 「ぐ……ががっ!?」バチバチバチッ

 

 体中にノイズが走り、鋭く重い激痛が全身を駆け巡る。全身の細胞が悲鳴を上げているように聞こえる……両腕には静電気が走り、少しだが体が透けている……これが、ゲーム病の症状か……ッ!

 

 箒「牙也ッ!」

 「来るな、箒!」

 箒「ッ!」ビクッ

 「来るな、お前も感染するぞ……!お前は、何も、するな……ッ、ぎ、あッ……!」

 雅樹「牙也さん!!」

 狗道「牙也ッ!!」

 

 体の中に、毒を直接流し込まれているような感覚を覚えながら、俺は更にバグヴァイザーを胸に押し付ける。するとさっきより余計に激痛が増し、俺の体を蝕んでいく。体は半分以上が透けて、全身の痛覚以外の感覚が徐々に抜けていく。俺は何度も意識が飛びそうになったが、その度に激痛が全身を襲って我に帰る。

 

 イチカ「ッ、ハハハハハ!!こいつ馬鹿だなぁ、自分の体にバグスターウイルス打ち込みやがった!!なんだ、自分がエグゼイドに変身しようってのか!?無理だよ、ゲーマドライバーは無い、ガシャットもそれだけ、ましてやお前にはバグスターウイルスへの抗体が無い!!そんな無意味な事をして、何になるってんだ!?お前もイーサの奴と同じだなぁ!!力を欲してガシャットを手にし、そして返って苦しむ羽目になる!!ハハハハハ、滑稽な事じゃねぇか!!ま、どう足掻こうが、運命なんざ変えられねぇんだよッ!!」

 

 アリスの攻撃をなんとか受け流しながら、イチカは俺を見て高笑いする。ああ……そうか。これが、ゲームガシャットの力を、無理やり体に打ち込まれる感覚……クロトの世界の箒ーーいや、イーサがその身で味わった痛み……!その痛みを感じながら、俺はゆっくりと膝をつく。

 

 「ッ、ハハハ……滑稽、か。なら、今みたいに、アリスにボコボコにされてるお前も、随分と滑稽だな……ッ、ぐっ……!」

 イチカ「何だと!?」

 「神を、自称しておいて……その様は、なんだってんだ……?もし、お前ごときが、本当に神、なんだったら……アリス一人、簡単に倒せる、だろ……?だがどうだ……今お前はアリスに劣勢を、強いられてる……!はっきり言って……クロトに倒された、のも……必然的、だったのかもな……!」

 イチカ「てめぇ……!お前ら!そいつを殺れッ!!」

 

 イチカが剣を生成して投げつけると、剣はサラシキバグスターとノホトケバグスターを拘束していた蔦を切断した。拘束から解放されたバグスター達が俺に襲ってくるが、箒達がそれを許さない。

 

 「ッ、ハハハ……!運命は変えられない、だと……?違うな……!運命を変えられないのはな……運命を変えようとする努力を、誰もが怠っているからだ……!たとえ変えられないと分かってる運命でもな……変えよう、変えなくちゃいけないって考えて、行動に移さない限りな……運命なんざ変えられないんだよ……!」

 イチカ「ケッ、ならお前が今やってるそれも、運命を変える為の事か!?」

 「その、通りだよ、糞餓鬼が……!」

 イチカ「ケッ、言ったろ、無意味で無駄な努力だと!!俺がいる限り、世界の運命は俺の思い通りに動く……!たとえお前みたいな奴が抗おうとしてもな、所詮屑な人間では何も出来ないんだよッ!!」

 

 《高速化!》

 

 《マッスル化!》

 

 《マッスル化!》

 

 イチカはアリスに大量の武器を向かわせ、その隙に三つのエナジーアイテムを取ると、バグルドライバーⅡのBボタンを二回押した。

 

 《キメワザ》

 

 《Critical Crews-Aid》

 

 高速化で一瞬にして俺の目の前に立ち、

 

 イチカ「雷牙也ァ!!てめぇは絶版だァ!!」

 箒「牙也ッ!!」

 狗道「逃げろ、牙也!!」

 雅樹「牙也さん!!」

 

 バグスターウイルスの影響で動けない俺に向けて回し蹴りを浴びせるーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 事は、出来なかった。何故ならーー

 

 イチカ「て、てめぇ……神童クロト……!?」

 

 顔を上げると、そこには『仮面ライダーエグゼイド ムテキゲーマー』が立っており、イチカの回し蹴りをその腕で受け止めていた。そのままエグゼイドはイチカをガシャコンキースラッシャーで斬り裂き、イチカは生成された武器を片付け終えたアリスの所までまたも吹き飛ばされた。エグゼイドはそれを確認し、膝をついている俺に向き直る。そして俺に向かって右手を差し出した。

 

 「……クロト」

 

 その手を俺が同じく右手で握り締めると、エグゼイドは小さく頷いた。するとその体が粒子になり始めた。粒子は俺の体を伝って戦極ドライバーにロックされたブランクのロックシードに吸収されていく。やがて全ての粒子がロックシードに吸収されると、エグゼイドはまた小さく頷いて静かに消えていった。粒子を全て吸収したブランクロックシードは、やがて一筋の光と共に輝き始め、俺の全身を包み込んでいった。そして光が晴れると俺の右手には、エグゼイドの顔が描かれたロックシードが握られていた。

 

 「ありがとう、クロト。また、助けられたな」

 

 困ったような笑みが思わず出てくる。それを握り締め、俺はサラシキバグスターとノホトケバグスターに向き直る。

 

 「さぁ……New Game開始だ!!」

 

 俺は右手に持ったロックシードを解錠した。

 

 《エグゼイド》

 

 音声と共に頭上にクラックが開き、そこからエグゼイドの顔を模したアームズが出てきた。俺はロックシードを持った右手を左前に突き出し、両腕を左側から右側へ回す。

 

 

 

 

 

 「簪と本音の運命……俺が変えて、新たな運命を切り開く!!変身!!」

 

 

 

 

 《ロック・オン》

 

 

 《エグゼイドアームズ!ノーコンティニューで、ゲームクリア!!》

 

 

 

 

 

 ロックシードを素早く左手に持ち替えて高く掲げ、そのまま戦極ドライバーにロックし、カッティングブレードで切る。音声とエレキギターの音と共にアームズを被り、アームズが展開してエグゼイドに似た姿となった。これが『仮面ライダー零 エグゼイドアームズ』だ。剣とハンマーが一体化したような武器『ガシャコンブレイカー』を握り締め、俺は二体のバグスターに向けて手を伸ばす。そして手を伸ばしたまま、拳を握る。

 

 

 

 

 

 「ノーコンティニューで……クリアしてやるぜッ!!」

 

 

 

 

 

 

 





 次回もお楽しみに!


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