IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結) 作:神羅の霊廟
二パターン展開です。
「私の人形……」
イチカとか言う馬鹿のせいで無惨に斬り刻まれてしまった大切な人形の残骸を見ながら、私ーーアリス・セブンス・レストロイはあのバ神への怒りをフツフツと煮えたぎらせていた。人形は真耶と言ったかーーそんな名前の女性が全部集めてくれたのだが、直す事は出来なかったらしく、「ごめんなさい、私裁縫は苦手でして……」との事だった。引き裂かれて中の綿が飛び出ていたり、完全に真っ二つにされてしまっている人形達をじっと見つめ、私は奴をどう倒すか考えていた。
「磔にしてゲイ・ボルグで脳天を貫くか……それとも闇の炎で黒焦げにするか……はたまた村正の試し斬り用の藁にするか……選択肢は多い。奴が来るまで、ゆっくりと考えさせてもらうか」
ああ、忘れていた。ここはIS学園、だったか?そこの学生寮、という建物の一室ーー寮監室。千冬という女性が普段使っている部屋に、彼女と私、そしてもう一人が住んでいる。今千冬は仕事でここにはおらず、もう一人はここの生徒に絡まれて連れて行かれた。御愁傷様、とでも言うべきか……。そう考えているとドアがノックされた。
「失礼します、織斑先生は……あら、貴女は」
部屋に入ってきたのは、縦ロールに整えた長い金髪に透き通るような碧眼の少女。一瞬だけ身構えたが、彼女に覚えがあったので構えは解いた。
セシリア「はじめまして、私はセシリア・オルコットと申します。貴女は確か……」
「……アリス。アリス・セブンス・レストロイ」
セシリア「そうそう、アリスさんでしたね。つかぬことをお聞きしますが、織斑先生はどちらに?」
「……仕事と言っていた」
セシリア「そうですか。だとしたら職員室かしら……教えてくださってありがとうございました、アリスさん」
「……礼なんか、いらないから」
と、彼女ーーセシリアという少女の目が、私の足元に向いた。そこに散らばるのは、バ神にズタズタにされた私の大事な人形達。
セシリア「その人形は……何かあったのですか?」
「……ここを襲った奴にこうされた。真耶という者が出来る限り集めてくれたが……」
セシリア「そうでしたか……」
彼女は何かを考えていた。すると、
セシリア「それでしたら、私がその人形を直して差し上げましょうか?」
「……何?」
予想していなかった一言が彼女の口から出てきた。直す?こんなにボロボロにされた、人形達を?
「……出来るのか?」
セシリア「軽い応急処置程度にはなりますが……どうでしょうか?」
「……ならば、頼もうか」
願ってもない事だ、私の大事な人形を直してくれるとは。彼女は「ちょっとお待ち下さいね」と言って、一旦部屋を出た。数分後、彼女は何かを持って戻ってきた。手持ちサイズの鞄だ。それを開けると、中には裁縫用の針や糸がぎっしり。裁縫セットだろうか。ともかく私はバラバラになった人形を彼女に差し出すと、彼女は人形の手足から縫い始めた。手、足、体、頭、動物系の人形の尻尾。一つ一つのパーツを綿を詰めて縫い直し、そしてパーツを縫い合わせて繋いでいく。そうして暫く修繕を続けること一時間ーー
セシリア「ふぅ……いかがでしょうか?多少元より不恰好になってしまいましたが、大体元には戻りました」
「……これは驚いた。完璧とまではいかないが、きちんと修繕できている。凄いな」
セシリア「ふふ、お褒めの言葉ありがとうございます。それにしても……こんなに沢山の人形を持ってらっしゃるなんて、アリスさんは余程人形がお好きなのですね」
「まあ、な……暇な時は大体人形達と戯れているからな」
セシリア「ふふ、可愛いですわね」
「かわっ……!?////そ、そんな事は……!////」
セシリア「いえいえ、可愛いですわ。戦いに明け暮れていたとは言え、やはり内面は女の子なのですね、少しほっとしましたわ」
「そ、そうか?おかしくないか?」
セシリア「まさか。人の趣味をとやかく言うつもりは毛頭ございませんし、それに女の子らしい趣味だと私は思いますわよ?」
「そ、そうか……(女の子らしい、だと?そんな事、今まで考えた事もなかった……)」
セシリア「それにしても……」ジーッ
何やら彼女が私をじっと見てくる。なんだ、何か私の顔に付いているのか?
セシリア「……良い。良いですわ、この小柄な見た目!そしてその鋭い目付き!こんな素晴らしい逸材を逃す訳にはいきませんわ!デュノアさん!」
シャルロット「呼んだかい?」ヌッ
な!?こいつクローゼットの中から現れただと!?私が気づけなかったとは、不覚……!
セシリア「すぐにボーデヴィッヒさんのクローゼットの中の着せ替え用の服を全て私の部屋に持ってきて下さいまし!これより私の部屋にて、アリスさんの着せ替えタイムを始めますわ!」
シャルロット「了解、任せて!ついでにラウラも拘束してーーもとい、セシリアの部屋に連れて来るよ!」
セシリア「お願い致しますわ!」
おいこいつ、今確か拘束って言ったぞ!?凄まじく嫌な予感が……!私はこっそり逃げ出そうとするが、彼女に両肩を掴まれる。
セシリア「……逃がすと思いまして?大人しくすれば、酷いようには致しませんわよ?」
「ま、待て!私に何をするつもりだ!?」
セシリア「決まっているでしょう……貴女という逸材と、ボーデヴィッヒさんという逸材を、実際に着せ替えして比べてみるのですわ!双方共に、磨けば光る逸材と見て間違いございません。大丈夫ですわ、何も考えず全て私達にお任せ下さいね!」
「……拒否権は?」
セシリア「あると思いまして?」ニッコリ
「……ならば逃げるのみ!」ダッ
慌てて逃げ出そうと窓を開けると、肩に私と同じくらいの背丈の少女を背負い、何かアーマーのようなものを纏った先程の少女が目の前にいた。
シャルロット「逃がさないよ?」ニッコリ
「……慈悲をくれないか?」
シャルロット「そんなの無いよ?」
……ああ、終わった。
ギャアアアアアアアアアア!!
「……?何か叫び声が聞こえたんだけど気のせいかな?」
一夏「ああ、気のせい気のせい」
鈴「どうせまたラウラがセシリア達に着せ替え人形にされてるんでしょ」
どうも、夜月雅樹だ。今織斑一夏さんと凰鈴音さんの部屋にいる。この学園を襲った奴の驚異が無い間は普通に生活できるので、俺はこの学園で生活しているんだが……同じ部屋にいるのが、俺と同じく異世界から飛ばされてきた少女ーーアリス・セブンス・レストロイさんと、一夏さんの姉の織斑千冬さん。二人とも男の俺がいても気にせず服を脱いだりほぼ素っ裸で部屋をうろついたりと、流石に心臓に悪い事ばかりするんだよな……まだ一日だけしか一緒の部屋で寝ていないとは言え流石に俺が耐えられないので、一先ず助けを求めたのが一夏さんと鈴さん。けど一夏さん曰く、
一夏「ああ、それがいつもの千冬姉だからな……頑張れ、としか言えねえや」
との事。弟の一夏さんなら、あの人に対する何か良い考えが出てくるんじゃないかと思ったけど……駄目だったか。
鈴「まあまあ、あんたの世界に帰るまでの辛抱よ、我慢したら?」
なんて鈴さんは言うけどさぁ……その『元の世界に帰れる』のが何時なんだって話。下手したらずっとここにいる事になる。そうなったら俺は流石に耐えられないし、無事に元の世界に帰れたとしても、奈々と愛に知られたらなんて言われるかーーいや違うな、何されるか分かったもんじゃない。はあ、問題山積みじゃないか……。
一夏「まあまあ、そう悩んでないでさ、ゲームでもして楽しもうぜ?」
「ゲーム?何するんだ?」
鈴「ジャンルは色々あるわよ、あんた得意なゲームとか無いの?」
「ゲームなぁ……俺はあんまりゲームとかしてなかったからな……」
鈴「へぇ、珍しいわね、今時ゲームをあまりしないなんて。だったら教えてあげよっか?」
一夏「なんならやってみたいゲーム選んでくれよ。俺達が分かりやすく教えるぜ」
「ああ……じゃあこれを」
そう言って俺が手に取ったのは、某人気ゲームメーカーの大○闘スマ○シュ○ラザー○ってゲーム。なんか色々なキャラクターがパッケージに写ってて面白そうだったから、何となく手に取っただけだけど。一夏さんはそれをゲーム機にセットして起動した。
一夏「それじゃ、順を追って解説するからな」
その後大体の操作方法を教えてもらい、実際にプレイした。最初の内は操作に慣れるのに精一杯で一夏さん達に負けてばかりだったが、操作を完璧にマスターしてからは、段々と勝てるようになっていった。意外と楽しいな、ゲームって。
一夏「だろ?操作を覚えるまでが大変だけど、慣れれば結構楽しいぜ」
鈴「あんたももう少しゲームで遊ぶなりなんなりしたら?そういう事できる友達少ないんでしょ?」
一夏「鈴、余計な事言わないの」
鈴「あっ……と、ごめんね、言い過ぎたわ」
「いえ、大体彼女の言う通りで合ってますから。気にしなくて良いですよ」
こっちの世界ではゲームと言ったら『デュプリバトル』くらいだったからかな、こういうゲームが何故か新鮮に思えてくる。この際だから、色々なゲームをやってあいつらに自慢するのも良いかもしれないな。
一夏「じゃあ次はどれをやる?」
「じゃあこれで!」
それじゃ、今のうちにこの世界のゲーム、いくらか楽しませてもらおっか!
ヒグマチキンさんの『IS×仮面ライダー 仮面ライダー炎竜』にてコラボ実施中、是非ご覧下さい。
では、次回もお楽しみに!