IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 国民的テレビ番組『笑点』でメンバー及び司会者として活動していた桂歌丸師匠がつい最近お亡くなりになりましたね……『笑点』は大好きな番組だったので、なんか寂しいです。

 そんな事を考えていると、何故か無性にこのハーメルンにて笑点をやってみたくなりました。現在調整中です。




第55話 嘆キノ一手

 

 「では二人とも。名前と年、それとここに来るまでの経緯を話してくれ」

 

 医務室では流石に色々聞くのは無理だと察した私は場所を移し、一先ず取調室に二人を連れてきた。そして二人をパイプ椅子に座らせ、私もテーブルを挟んで向かい側に座る。そして二人にそう言うと、

 

 『分かりました』

 

 同時に二人は返事して、まずは少年の方から話し始めた。

 

 ??「僕は夜月雅樹と言います、天童杯学園の生徒です」

 「天童杯学園?なんだその学園は?」

 

 そんな学園など聞いた事もない。隣にいるパーカーを被った誰かも首を傾げているように見える。

 

 雅樹「え、知らないんですか?あんなに有名なのに……」

 「待てよ……ああ、そういう事か」

 

 一つ思い浮かぶ事があった。天童杯学園など聞いた事がない。しかし目の前にいる少年は、それがあると言っている。つまりこの少年は……

 

 「ならば別の質問をしよう。お前がここに来るまでに何があったのか、具体的に話してくれ」

 雅樹「はい。俺はいつものように、学園の友人達と下校していたんですが……突然頭上にジッパーみたいなのが開いたかと思うと、抵抗する暇も無く吸い込まれてしまって……気づいたら、ここのアリーナにいたんです」

 「なるほど……」

 

 決まりだな、これは。という事はーー

 

 ??「……私も、彼とほぼ同じ。家で人形の掃除をしてたら、頭上に同じようにジッパーが開いて……人形がどんどん吸い込まれていったのを追い掛けて、私も飛び込んで……気づいたらここに」

 

 やはりな、パーカーを被った子ーー彼女も、クラックに吸い込まれてここに来たのだな。

 

 「よく分かった。では、夜月だったな。単刀直入に言おう、お前が言う天童杯学園という学園は、存在しない」

 雅樹「……はい?」

 「つまりこういう事だ。お前達二人はそのジッパーを通って、別世界に来てしまった、という事だ」

 雅樹「別世界!?」

 

 夜月は酷く驚いていた。しかし隣の少女は無表情。ううむ、感情が読めん……

 

 ??「……つまり私達は、元々いた世界からこの世界にワープしてしまった、という事ですか?」

 「その通りだ、えっと……」

 ??「……アリス。アリス・セブンス・レストロイ。それが、私の名前」

 「そうか。では夜月、アリス。お前達にはしばらくこの学園で生活してもらう。念のため監視付きだが」

 雅樹「監視付き、ですか?」

 「一応部外者扱いだからな。それに帰る手段が無い以上、ここに住むしかないだろう」

 ??「……気遣い、ありがとう」

 「礼はいい。すぐに部屋を用意するからちょっとここでーーああしまった。部屋掃除担当がダウンしているのだったな……仕方ない、後で私が住んでいる寮監室に案内する、しばらくは私と共に生活だ」

 雅樹「マジですか……」

 「不服か?」

 雅樹「出来れば一人部屋が良いです。知らない女性と一緒に寝るなんて……」

 「ここは女子校みたいなものだからな、もしここの生徒に見つかったら、何されるか知れた事ではないぞ」

 雅樹「やっぱ寮監室で良いです」

 「アリスも異論は無いか?」

 アリス「……ない」

 

 結局その日は牙也は目覚めず、篠ノ之も治療後そのまま寝てしまった為、私も二人を伴ってそのまま寮監室に戻って寝てしまった。その際目の前に夜月がいるにも関わらず、アリスと揃って服を着替えようとして夜月に全力で止められたのは余談だ。

 

 

 

 

 

 

 

 次の日の朝、学園近くの海沿いを歩いていたのはシャルロットとラウラであった。

 

 シャルロット「あ~、気持ち良い~♪」

 ラウラ「そうだな。いつもは朝練等でこんな事する暇もないのだが、たまにはこういうのも良いな」

 

 波の音が静かに響く海岸を、二人はのんびりと歩いていた。この日は昨日の騒ぎもあって休日となり、二人は暇をもて余している状態だった。

 

 ラウラ「牙也はまだ目が覚めないのか……篠ノ之は意識があったから良かったようなものの……」

 シャルロット「まああんな大怪我負ったんだし、仕方ないのかもしれないけど……早く目が覚めてくれないかな……あれ?」

 

 ここでシャルロットが何かに気づいた。

 

 シャルロット「ねぇラウラ。あそこ、誰か倒れてない?」

 ラウラ「む?本当だ、行ってみるか」

 

 二人が倒れている駆け寄ってみると、倒れていたのは女性で、流されてきたのか全身びしょ濡れであった。顔を確認すると、二人はとても驚いた。

 

 ラウラ「デュノア、こいつは……!」

 シャルロット「この人……なんでゼロが……!?とにかく医務室に運ばなきゃ!私はゼロを見てるから、ラウラは急いで織斑先生達を呼んできて!」

 ラウラ「分かった!」

 

 ラウラが学園へと駆けていくのを確認し、シャルロットはゼロを一先ず安全な場所へ運んだ。脈を確認すると、まだ息がある。

 

 シャルロット「それにしても、どうしてこんなボロボロになってるんだろう……?ゼロの強さは皆知ってる。けど、ここまでボコボコにされてるのは見た事ないよ……一体誰が……?」

 

 新たな敵の登場という最悪の予感を思い付いたが、一先ずそれはおいといて、今はゼロを見張る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 簪「……」

 本音「かんちゃん、心配?」

 

 一方こちらは簪と本音。中庭のベンチに座ってノートパソコンを弄っていた。現在整備室は束が拠点代わりとして使っている為にほとんど使えない状態で、簪は代わりとしてノートパソコンを使って自身のISの整備を行っている。勿論本音に手伝ってもらって、だ。しかし作業中簪はずっと上の空であり、見かねた本音が声を掛ける。だが返答は返ってこない。

 

 本音「……ぎゅー♪」ギュー

 簪「ふわぁ!?な、何!?」

 

 突然本音は簪に抱き付き、簪はびっくりしてノートパソコンを落としそうになった。

 

 本音「笑顔だよ、かんちゃん。沈んだ気持ちでいたら、牙っち目が覚めた時に悲しむよ?」

 簪「本音……」

 本音「だいじょぶだいじょぶ、牙っちならだいじょぶだって!ほら、笑顔笑顔!」

 簪「……ありがと。少し、楽になった」ニコッ

 本音「うんうん、やっぱりかんちゃんはこうでなきゃね!さ、頑張ろ頑張ろ!」

 

 

 

 

 《NOISE SOLOMON》

 

 

 

 

 突然電子音声が響いたかと思うと、簪と本音がまるで糸が切れたかのように倒れた。すると二人にノイズ状のものが発生して二人を包み込んだ。やがてノイズが晴れると、二人の姿は怪物に変わってしまっていた。二匹の怪物は、ゆっくりと歩き出して何処かへ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「すまないな、心配かけて」

 

 私の寝ているベッドを囲むクラスの皆に向けて、私は礼を言った。しかし皆は特に気にしていない素振りを見せ、「早く復帰出来ると良いね!」とか「怪我が治ったら今度一緒に遊ぼうね!」とか色々言ってきた。そんな彼女達に私は思わず小さく笑みを浮かべる。そしてその中に紛れている二人の少年少女ーー夜月雅樹とアリス・セブンス・レストロイに向き直る。

 

 「夜月とアリスもありがとう。お陰で助かった」

 雅樹「礼なんて……困ってる誰かを助けるのは人として当然だろ?」

 アリス「私はたまたまその場にいて介抱しただけ。礼はいらない」

 

 夜月は笑顔で言葉を返し、アリスは素っ気ない返事をする。夜月はともかくアリスは感情が読めないな……まあ助けてくれた事は勿論感謝しているが。

 

 「ところで、さっき千冬さん達が慌てて出ていったが……何かあったのか?」

 雅樹「さあ?でも大分焦ってたみたいだし、何かあったのは確かなんじゃないかな?」

 

 

 

 

 ガシャアンッ!!

 

 

 

 

 すると突然私の後ろの窓ガラスが割れた。辺りにガラスの破片が飛び散る。後ろを振り向くと、なんとそこには異様な見た目の怪物が二匹いた。他の皆はそれを見て大騒ぎになって次々逃げ出した。私が慌てて身構えると、怪物は私に掴み掛かってきて、私を外に引きずり出した。受け身を取って着地し、そのまま襲い掛かってくる怪物をいなしていく。しかし怪我が完全に治っている訳ではないので、痛みとの戦いにもなる。怪物は徒手空拳で私に攻撃してくるので、私はとりあえず怪物の攻撃を避ける事に集中する事にした。そして二匹の怪物のパンチを受け止める。と、

 

 

 

 

 

 

 ??「……タスケテ……!」

 ??「オネガイ……ダレカタスケテ……!」

 「ッ!?」

 

 

 

 

 

 

 今の声……まさかこの怪物は……!?すると怪物達は突然後ろに飛び退いた。その場所にノイズが発生し、そこから誰かが現れた。

 

 「貴様は……イチカ……!」

 イチカ「よぉ。随分とボロボロだなぁ……ま、俺がやったんだから当然か」

 「貴様!二人に何をした!?」

 イチカ「教えねぇよバーカ。ま、この二人は頂いていくぜ……じゃあな!」

 

 そう吐き捨てるとイチカは二匹の怪物と共にノイズとなって消えた。私以外誰もいなくなったその場に、虚しく風が吹く。

 

 「くそっ……!くっそぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 自分の弱さに、そして大事な仲間を奪われ怪物にされてしまった事に、私は地面を殴り付けて泣く事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 





 デデーン

 イチカ、OUT~


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