IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 続きです。




ウワ、ショタ強イ(後編)

 side箒

 

 きばや「うにゃー!いたいいたい!」ジタバタ

 「こら、じっとしてろ!余計に目にシャンプーが入るだろう!」

 

 食堂にいたほぼ全員が鼻血を出してぶっ倒れるという事件が起きてから少し時間が経ち、私は部屋のお風呂にきばやと共に入っていた。本来は一人くらいしか入れない広さのお風呂場だが、ちっこくなったきばやと一緒に入る場合は大して気にならない広さに思える。それよりも取り敢えずきばやを落ち着かせねば。さっきからじたばた暴れて手が付けられない。

 

 「まったく……こんな事なら、姉さんにシャンプーハット作ってもらえば良かったな」

 

 そんな事をブツブツ言いながら、私はきばやの髪を洗う。それにしても、小さい頃からこんな特徴ある癖っ毛だったのだな。そんな事を考えながら、私はきばやの頭の上からシャワーを浴びせた。ある程度泡を落とすと、きばやは頭をプルプルと小刻みに振って水滴を散らしてきた。

 

 「こら、水滴を散らすな。後でしっかり拭いてやるから我慢しろ」

 「びしょびしょ~……」

 「シャワーを浴びたのだから当然だろうに……ほら、湯に浸かれ。ちゃんと百数えるのだぞ?」

 「は~い」

 

 そう言うときばやは湯に浸かってちゃんと百数え始めた。良い子だな……可愛いな……♡

 

 きばや「?ほうきおねえちゃん、なに?」クビカシゲ

 「……いや、何でもない(そんな仕草をするな……襲いたくなる////)」ナデナデ

 

 きばやの圧倒的可愛さに悶々としながらも、のんびりと時は過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日。

 

 セシリア「おはようございます、篠ノ之さん。きばやさんをお貸し願えますか?」

 「朝早くから唐突だな」

 

 部屋にセシリアがやって来て、きばやを貸してくれと頼みに来た。まあ断る理由は無いし……

 

 「まあ別に構わんぞ。ただ、昨日みたいに鼻血出さないように気をつけてな、きばやが多少だが怖がっていた」

 セシリア「その辺りは抜かりありませんわ。対策を考えておりますので」

 「それなら良いが……とにかく気をつけてな。それと、今日辺り効果が切れて元に戻る筈だから、その辺りも忘れずにな」

 セシリア「はい、それではお借りしますね。さぁきばやさん、セシリアお姉ちゃんと一緒に朝ご飯食べに行きましょうね」

 きばや「ほうきおねえちゃんは、ごはんたべないの?」

 「私も後から行くから、先にセシリアお姉ちゃんと朝ご飯食べて来なさい」

 きばや「は~い。はやくいこ、せしりあおねえちゃん」オテテギュッ

 セシリア「はい♪きばやさんはお任せ下さいね、篠ノ之さん」

 「ああ」

 

 セシリアはきばやに引っ張られる形で部屋を出ていった。さて、身嗜みを整えたら、私も朝ご飯のついでに様子を見に行こうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シャルロット「はい、あーん♪」

 きばや「あーん♪ムグムグ……おいしい♪ありがと、しゃるおねえちゃん!」

 シャルロット「どういたしまして♪(可愛い可愛い可愛い可愛い~♡)」

 セシリア「はいきばやさん、スープですよ。熱いので私がふーふーして差し上げますわ。ふー、ふー……はいどうぞ♪」

 きばや「んっ……んっ……おいしいおいしい♪せしりあおねえちゃん、ありがと♪」

 セシリア「っ!?////い、いえ、どういたしまして////(ああ、そんな純粋な目で見られたら、私……////)」

 

 私が食堂に来た時、きばやはセシリア達に囲まれて朝食という名の餌付けをされていた。ショタ化したきばやの可愛さに何人かやられているようだが……まあ気にしない。私もその一人だから。皆鼻血が出てないだけでも奇跡に思えてくる。

 

 ラウラ「あれに加わらないのか?」

 

 その声に振り向くと、ラウラが腕を組んで呆れた顔をしながら立っていた。

 

 「ああ、今はセシリア達に貸し出してるからな。セシリア達が存分に楽しんだら、私もあの中に入るさ」

 ラウラ「では私もオルコット達に加わろうか。昨日は散々な目に遭ったが、今日は耐えて見せるぞ!」

 

 妙な気合いを見せながら、ラウラはきばやの元に向かっていった。

 

 /グハッ!マ,マサカコレホドトハ……\

 

 /ワー!?ラウラガマタハナヂダシタ!\

 

 あ、また駄目だったみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 《非常事態発生!非常事態発生!生徒は直ちに避難して下さい!》

 

 

 

 

 

 

 突如警報が食堂に響き渡った。その途端に食堂は大騒ぎになり、次々と他の生徒達が避難を始めた。非常事態って事は……まさか、こんな時にゼロが襲撃してきたのか!?すると同時に私のスマホに着信があった。見ると姉さんからで、

 

 『ゼロが来たみたい!箒ちゃん達は急いで迎撃して!』

 

 と書かれていた。まったく、一番来てほしくないタイミングで敵が来るな……!私は急いで迎撃に向かった。

 

 

 side箒 end

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼロ「うふふ……さあて、雷牙也は何処にいるのかしら、織斑千冬さん?」

 

 アーマードライダーマルスに変身したゼロが、アーマードライダー白夜に変身した千冬にそう聞く。ゼロの後ろには大量の下級インベスが今にも襲い掛からんとしており、更にゼロの隣には配下らしき数人のIS乗りがいる。一方の千冬の後ろには、アーマードライダー閃星に変身した一夏、アーマードライダーバルカンに変身したザック、それにアーマードライダーシグルドに変身したスコールの姿があった。更に二人の上空では楯無率いる代表候補生や教員部隊がゼロ直属のIS部隊と激戦を繰り広げていた。

 

 千冬「すまないな、今ちょっとしたハプニングがあって戦線離脱している。相手なら私達がしよう」

 ゼロ「何よそれ?あーあ、つまんないわ。貴女達なんか、私一人にも及ばないって言うのにねー」

 一夏「牙也がいなくたって、俺達に出来る事はいくらでもあるさ!」

 ゼロ「うふふ、そうかしら。結局雷牙也頼みなんでしょ?インベスやヘルヘイムに関する知識も、アーマードライダーシステムも。雷牙也がいなければ、結局貴女達はただの雑魚。何も出来ないんだからねぇ」

 箒「それはどうかな?」

 

 そこへ箒が合流したーー背中にショタ化したきばやを背負って。

 

 千冬「おい篠ノ之!なんできばやをここに連れて来た!?」

 箒「す、すみません!こっちに来る途中できばやが『ぼくもいく!』って離れなくて……!」

 ゼロ(あらあら、こんな戦場に子供連れて来るなんて、随分と不謹慎ねぇ……ま、人質にでもさせてもらいましょうか)

 

 不意にゼロが配下に目配せすると、その配下がアサルトライフルを構え、箒の足元に向かって数発撃った。足元に砂煙が起こり、一瞬だが箒が目を反らした隙に、もう一人の配下がきばやの腕を掴んで拘束してしまった。

 

 箒「きばや!」

 ゼロ「はい、いただいたわよ。さて、雷牙也をーーってあら……この子随分と雷牙也にそっくりね。誰かさんとの間にできた隠し子かしら?」

 

 ゼロはきばやを抱き上げるときばやの顔をじっと見つめた。一方のきばやはと言うと、

 

 きばや「はなして!はなしておばちゃん!」ジタバタ

 ゼロ「お、おばっ……!?」

 

 ゼロの腕の中で暴れまわっていた。更にゼロに対して言ってはならない事を口にしてしまった。ゼロはわなわなと震えて、

 

 ゼロ「誰がおばちゃんですって!?私はまだ三十代よ!て言うかあんた!この子誰なのよ!?」

 箒「えっと、それはーー」

 束「私が説明するよ」

 

 そこへ紅椿を纏った束が降り立って、箒達を守るように立ち塞がった。

 

 ゼロ「あら、束ちゃんじゃない。久し振りねぇ」

 束「お久し振りですね、茜さん……」

 ゼロ「うふふ、随分と警戒されてるわね、私。まあ当然よね、敵なんだから。それで、この子は誰なのよ?」

 束「牙君だよ」

 ゼロ「へー、この子が雷牙也なのねー、随分とちっこく、なっ、た……?」

 

 衝撃の事実を聞いたゼロ。信じられない物を見るような目できばやを見、そして束を見た。束は何も言わず、申し訳なさそうな顔をしてただ首を縦に振る。それでゼロは察した。恐らく束が何かやらかしたのだと。

 

 ゼロ「……ちょっと、束ちゃん」

 束「……何ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼロ「……この子、私にちょうだい♪」

 

 

 

 『駄目に決まってんだろうがぁぁぁぁぁぁ!!』

 

 

 

 

 その後ゼロは「流石にあんなちっこくなった雷牙也とは戦えないわ。日をおいてまた出直してくるわね、次こそは雷牙也を倒すわよ!」と言い残して配下と共に去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 箒「はぁ、何故かどっと疲れが……」

 束「ごめんね、箒ちゃん。束さんのせいで……」

 箒「いや、あんな場所にきばやを連れて来てしまった私にも落ち度がある。別に姉さんだけが悪い訳じゃない」

 

 なんとか危機(?)は回避し、慌ただしかった学園も静かになった。結果オーライではあったものの、下手すればきばやの命に関わる事だったので、箒は束と共に姉妹揃って千冬達から説教を受けた。今はその説教も終わり、二人揃って箒の部屋に戻ってきていた。部屋のベッドでは、流石に疲れたのかきばやがスウスウと寝息を立てている。

 

 箒「気持ち良さそうに寝ているな……本当に無事で良かった」

 束「そうだね……牙君に何かあったら私……」

 箒「姉さん」

 

 箒はそこで束の言葉を遮る。「分かっている」とでも言いたげだった。それを察したのか、束ももう何も言わなかった。

 

 束「それじゃあ束さんはもう戻るね。牙君の事お願い」

 箒「はい」

 

 束はそう言うと、部屋の窓からピョイッと飛び出していった。それを見送り、箒は眠っているきばやの隣に座り、頭を軽く撫でてあげた。

 

 箒「……なぁ、牙也よ。私はお前がまだ小さかった頃の事を知らない。けど、今回こういう事があって、私は牙也のまだ幼かった頃の事が何となくだが分かったと思うんだ」

 

 箒「今考えてみると、私と牙也がこんな風にして一緒にいられるようになったのは、既に決まっていた事なのかもしれないな……」

 

 箒「……なぁ、過去の牙也。お前はこれから、幾多の困難にぶつかるだろう。そして幾多の仲間を得、幾多の力を得、そして何かを得て、失っていく。そんな毎日になるだろうな」

 

 箒「でも、苦しくなった時は思い出せ。お前の隣には、常に誰かがいる事を。たとえ離れ離れになっても、たとえもう二度と会えなくても、お前の隣には、常に誰かがいる。私もしかりだ」

 

 箒「お前の事を思ってくれている人達の事を、絶対に忘れるなよ。それがきっと、これからのお前を作り出していくだろうから」

 

 箒「だから……だから、私は待っている。未来にて、お前が私に告白してくれる事を。私の思いに、お前が答えてくれる事を。それまでは、暫しのお別れだ」

 

 箒「……さようなら、過去の牙也」チュッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日。

 

 一夏「牙也が部屋から出てこない?」

 箒「ああ……どうやら小さくなってからの事をはっきりと記憶しているようでな、ベッドの上で奇声上げながらのたうち回って、最終的に布団に潜り込んで丸まってしまったんだ。姉さんが必死に謝っているが……」

 鈴「牙也からすれば災難よね……あんな純粋で無防備な自分を見せつけちゃったんだから」

 

 

 その後数日、牙也はショックで部屋から出てこなかったという。

 

 

 

 

 

 




 哀れ、牙也……


 さて、ここで報告です。次回からの本編&コラボのストーリーにてコラボする作者さんがようやく決まりました!詳しくは活動報告をご覧下さいね。ではコラボして下さる作者さん、次回からよろしくお願いします!


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