IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 コラボ最終話です。最後までお楽しみ下さい!




コラボ7 初恋ノ記憶(10)

 

 IS学園のグラウンドでは、牙也達が一夏達の帰りを待っていた。その場に居合わせた牙也や箒、束や簪達に加えて、クロエから話を聞いた千冬達もそこにいた。一夏達がイマジンを追い掛けてからこちらの時間は大して進んでいないが、その場に居合わせているメンバーは皆心配そうに三人の帰りを待っていた。すると、何処からともなく汽笛が鳴り響いた。

 

 牙也「……帰ってきたな」

 

 牙也がそう言って空を見ると、空に歪みのようなゲートが開いて、そこからゼロライナーが飛び出してきた。勢い良く飛び出してきたゼロライナーは、螺旋を描くように地面に降りてきて牙也達の目の前に停車。そして車両のドアが開いて、

 

 一夏「戻ったぜ!」

 

 中から一夏が降りてきた。

 

 牙也「お帰り、イマジンは……倒せたみたいだな」

 カルマ「はい、無事に撃破出来ました。これで鈴さんはもう大丈夫です」

 

 後から降りてきたカルマのその言葉を聞いて、他の面々も安堵のため息を吐く。

 

 一夏「ところで鈴は?鈴は大丈夫なのか?」

 シャルロット「落ち着いて、一夏さん。鈴は今医務室のベッドに寝かせています。単に気を失っただけですから、心配しなくても大丈夫ですよ、じきに目が覚めます」

 一夏「そっか……ああ、良かった……!」ヘナヘナ

 

 それを聞いて一夏はその場にへたりこむ。

 

 千冬「一夏。お前は早く凰の所に向かって一緒にいてやれ。大事な彼女なのだろう」

 一夏「ああ、ありがとう千冬姉。アガレスさんもありがとうございました、鈴の事を助けてくれて」

 カルマ「お礼を言われる程の事はしていませんよ。それよりも、早く鈴さんの所へ行ってあげて下さい」

 一夏「はい、ありがとうございます!」

 

 一夏はお礼を言って走り出そうとしたが、不意に立ち止まって箒を見た。すると懐からホオズキロックシードを取り出して箒に手渡した。

 

 一夏「これ、返すよ。ありがとう、役に立ったよ」

 箒「そうか、それなら良かった」

 

 箒がロックシードをしまってから一夏を見ると、一夏は変わらず箒を見つめていた。

 

 箒「一夏?どうかしーー」

 

 箒が声を掛けようとした時、一夏がそっと箒を抱き締めた。その行動に、全員が驚いて一夏を見る。

 

 箒「い、一夏……?」

 一夏「……本当にありがとな、箒。そんで、ごめんな。箒の好意に、答えてあげられなくて」ギュッ

 

 そう呟くと、一夏は箒を抱き締める手に軽く力を籠めた。すると箒も同じく一夏を抱き締めた。

 

 一夏「箒……?」

 箒「全く……まだ引き摺っていたのか?私は大丈夫だと言っただろうに……何か思う所でもあったのか?」

 一夏「……」

 

 一夏は何も言わなかったが、箒は何かを察したのか一夏を抱き締めたその手で軽く彼の頭を撫でた。

 

 箒「その事を後悔しているのなら、キチンと最後まで鈴の事を愛してやれ。これは、同じくお前を好きになった者からの、切なる願いだ」

 一夏「箒……」

 箒「さ、私から言えるのはこれだけだ。早く鈴の側にいてあげろ、一夏」

 一夏「箒……ありがとう」

 

 一夏は小さく頭を下げると医務室に向かって駆けていった。それを見送る箒の肩に、牙也がそっと手を置く。

 

 牙也「……よく頑張ったな」

 

 その言葉に箒がハッとして牙也を見ると、牙也はにこやかな顔で箒を見つめていた。それを見た箒はゆっくりと牙也に近づき、そっと牙也を抱き締めながら牙也の胸辺りに顔を埋めた。その頭に、牙也がそっと肩に置いていた手を置く。

 

 牙也「泣きたいならしっかり泣け、そんで全部吐き出してしまいな」ナデナデ

 箒「っ……ああ……ああああ……うあああ……!」グスグス

 束「箒ちゃん……強くなったね」サスサス

 

 牙也のその言葉で耐えきれなくなったのか、箒は牙也の胸の中で泣き始めた。箒の後ろからは束がそっと手を伸ばして背中をさする。暫くの間、箒はずっと嗚咽を漏らしながら泣き続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鈴「う、ううん……」

 

 体にかけられた毛布の感触に気づき、鈴は目を覚ました。重く感じる体をゆっくりと起こすと、どうやら医務室のベッドに寝かされていると分かった。

 

 鈴「えっと……確か今日は一夏と一緒にデートに行って、色々買い物して、喫茶店で休んでて……それから確か……」

 ??「あら、目が覚めたのね」

 

 その声に鈴がその方を向くと、

 

 鈴「晴岡先生……私、一体……」

 ??「デネブって人ーーあれ人なのかしらーーが慌てて連れて来たのよ。何があったか覚えてる?」

 

 白衣を着た女性ーー学園の養護教諭の晴岡琴音(はれおかことね)が椅子に座った状態で鈴を見ていた。

 

 鈴「えっと、確か……あ……私、レゾナンスで雪だるまに襲われて……」

 琴音「(雪だるま?)え、えっと、まあそんな感じかしら。デネブって人が言ってた事とほぼ同じみたいね、ちゃんと覚えているのなら大丈夫かしら。怪我はしてないけど、念のため今日は医務室に泊まっていきなさい」

 鈴「……はい」

 

 コンコン

 

 琴音「開いてるわよ」

 一夏「失礼します」

 

 医務室のドアがノックされ、一夏が入ってきた。急いで来たのか、息が上がっている。

 

 琴音「あら織斑君。ナイスタイミングね、今目を覚ましたところよ」

 

 琴音が目配せした方を見ると、鈴が小さく手を振っていた。

 

 鈴「一夏……」

 一夏「鈴……!良かった……!」

 

 一夏が鈴に走り寄って鈴を優しく抱き締めた。突然の事に鈴は「ひゃっ」と小さく悲鳴を上げるが、すぐに落ち着いて一夏を抱き締め返した。その光景に琴音はクスッと笑みを溢す。

 

 琴音「それじゃ私はちょっと席を外すわね。後は二人でごゆっくり」ヒラヒラ

 

 すると何を思ったのか、琴音は手を小さく振りながら立ち上がり、そう言ってそのまま医務室を出ていった。二人だけとなった医務室に静寂が訪れる。

 

 一夏「鈴……何があったか覚えてるか?」

 鈴「え、ええ……」

 

 鈴は一夏に何があったか事細かに話した。

 

 一夏「……多分だけど、鈴は気づかない間にアガレスさんが言ってた『イマジン』と契約してしまってたんだと思う。今回鈴が襲われたのはその為だろうって、アガレスさんはそう言ってた。思い当たる事はないか?」

 鈴「えっと、うーん……あ、そう言えば……二日前、セシリアと少し話をしてからの記憶がちょっとだけ途切れてるような……」

 一夏「二日前か……じゃあ多分それだな。アガレスさんに伝えておくよ」

 

 一夏は携帯電話を取り出して牙也のスマホにメールを送った。牙也にその情報を送ったのは、カルマのメールアドレスを知らないので、代わりに牙也からカルマに情報を伝えてもらう為だ。送り終えて携帯電話をしまうと、一夏は鈴を見た。鈴は今回の事について大方察したのか、頭を下げてしょげていた。

 

 鈴「……ごめんね」

 一夏「鈴……?」

 鈴「ごめんね、一夏。あたしのせいで、折角のデートが台無しになっちゃった。知らなかったとは言え、あたしがあんな怪物と契約していなければ、こんな事には……」

 一夏「鈴は悪くない!」

 

 鈴のその言葉に、一夏は声を張り上げた。珍しく声を張り上げた一夏に、鈴がびっくりして顔を上げる。

 

 一夏「確かに今回の事は、鈴が知らぬ間にイマジンと契約していたから起きた事だ。けど、それはイマジンが鈴の了承も得ず、勝手に鈴と契約したから起こった事。鈴は何も悪くないよ。だからそんなに自分を責めないでくれよ、お願いだから」

 鈴「一夏……」

 一夏「それに、デートならまた今度やり直せば良いだろ?もう二度と出来ないわけじゃないんだからさ、またデートに行こうぜ、な?」

 鈴「……ありがと」

 

 鈴は俯いた状態のまま一夏に抱き付く。その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

 

 鈴「ごめんね、一夏……ごめんね……!」

 一夏「良いんだよ、鈴……鈴は何も悪くないから……」

 

 暫くの間、鈴は一夏の胸の中で泣き続け、一夏はそんな鈴をずっと慰めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一夏「落ち着いた?」

 鈴「ええ……みっともない姿見せちゃったわね」

 

 三十分程経って漸く泣き止んだが、鈴はまだ一夏に抱き付いていた。

 

 一夏「良いよ良いよ、可愛い鈴が見れたからさ」

 鈴「かわっ……!?////わ、忘れて////」

 一夏「いやだね♪」ギュッ

 鈴「にゃ、にゃう~////」

 

 暫くじゃれついていた二人だったが、不意に一夏が鈴から離れて椅子に座り直した。鈴がそれをキョトンとして見つめていると、

 

 一夏「鈴。俺から鈴に、言いたい事がある。よく聞いてくれ」

 鈴「う、うん……」

 

 急に真面目な顔付きになって一夏が話し始めた。

 

 一夏「……今回の件を解決するにあたって、俺はアガレスさん達と一緒に三年前の八月八日に向かったんだ。そしてアガレスさんとデネブの協力もあって、なんとかイマジンを倒せた。んでその後、俺はあの日の光景を近くから見ていたんだけど……」

 鈴「……箒の事?」

 一夏「ッ!?……はあ、やっぱり鈴にはお見通しか……そう、その通り。もう鈴は気づいてるかもしれないけど、俺はまだ箒に対する未練が残ってた事に今頃気づいたんだ。でも、さっき箒と話をした時、その事で箒はちょっとだけ俺を叱って、俺を前に押してくれた。あれでようやく、俺を縛ってた鎖を引きちぎれたよ。今ならやっと……やっと鈴の告白にキチンと答えられるって分かった」

 鈴「そう……良かった」

 一夏「あの日の告白は、鈴からしてくれた。だから……だから、今度は俺から言わせてくれ」

 

 一旦そこで言葉を切り、大きく深呼吸をしてから、一夏は鈴の目をしっかり見て言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一夏「一人の女性として、俺は鈴を愛しています。だからこれからも、俺の彼女ーーいや、俺の嫁として、一緒について来てくれますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鈴「……っ、グスッ……やっと……やっと聞けた。やっと、一夏の心からの告白聞けた……嬉しい……!」ギュッ

 

 一夏の告白に、鈴は感極まってまた泣き出し、一夏に抱き付いた。

 

 一夏「鈴、返事は……聞くまでもないよな?」

 鈴「当然でしょ……グスッ……!私だって、一夏のあらゆる事引っ括めて全部、大好きなんだから……!せいぜいあたしの尻に敷かれないようにしなさいよ!」グスグス

 一夏「善処するよ」クスッ

 

 そう言って一夏はもう一度鈴を抱き締めた。今度はさっきよりも強く、固くその手に抱き締める。もうずっと離さない為に。すると、

 

 鈴「……一夏」

 一夏「ん、なんだ鈴ーーうおっ!?」ガタッ

 

 鈴は何を思い付いたのか、一夏を抱き締めた状態からベッドに引き倒して、一夏の上にまたがった。

 

 一夏「り、鈴?」

 鈴「やっぱりさっきの言葉撤回するわ、尻に敷かれないようにってとこ」

 一夏「え?ど、どういうーー」

 鈴「いつまでも箒の事引き摺ってた一夏には、あたしが直々にお仕置きしなきゃね~♡」

 一夏「え、えっと……まさか……////」

 鈴「あら、可愛いお嫁さんに言わせる気なの?分かるでしょ、あたしが何を望んでるか」

 一夏「マジか……////で、でもここ医務室ーー」

 鈴「問答無用♡大人しくあたしの尻に敷かれなさい(意味深)♡」

 一夏「ああああああ!!////」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~医務室外~

 

 /ギシギシギシギシ\

 

 牙也(……撤退すべし、だな)ニガワライ

 

 ↑二人を呼びに来た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カルマ「さて……私達はそろそろ帰らなくてはいけませんね」

 千冬「なんだ、もう行くのか?」

 カルマ「元々ゼロライナーが直るまでここに居させてもらう気でしたからね。それにこれ以上ここに長居すると、私達の世界の皆さんを心配させてしまいますし」

 箒「そうですか。またいつでも来て下さいね」

 楯無「覚えてなさい!カルマ様以上に格好いい彼氏作るんだから!」

 刀奈「ふふーん!カルマ様以上の彼氏なんていないんだから!」

 デネブ「ま、まあまあ二人とも……」

 牙也「お~い」

 千冬「牙也か、やっと戻ってーーん、一夏達はどうした?」

 牙也「あ、あー、えっと……今お楽しみ中のようで……思い切り尻に敷かれて(意味深)ました」

 『あっ……////』

 牙也「ま、まあそう言う事だ。一夏達には俺から伝えておくよ」

 カルマ「わ、分かりました。それでは私達はこれで失礼します」

 牙也「ああ。また会えたら、一戦交えたいな」

 カルマ「その時は是非お願いしますね」

 

 そう言うとカルマはデネブと刀奈と共にゼロライナーに乗り込む。ドアが閉まると、やがてゆっくりとゼロライナーが動き出した。

 

 カルマ「たった数日ですが、お世話になりました!また会いましょう!」

 デネブ「また会おう!その時は全力で相手するぞ!」

 牙也「道中気を付けてな!」

 

 ゼロライナーはどんどんスピードを上げ、やがてゲートに入って消えていった。牙也達はゼロライナーが消えてもずっとゼロライナーが消えた空を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 





 コラボはこれにておしまいです。魔女っ子アルト姫さん、ありがとうございました!またこれからもよろしくお願いいたします。

 さて今後ですが、次は本編とリンクしたコラボの予定です。コラボする作者はまだ決まっておりませんが、決まり次第活動報告にて発表致します。コラボして下さる作者もまだまだ募集中です。どんな作品でも構いません、ドシドシメッセージをお願いします!それではまた次回!


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