IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 いや~、そろそろ梅雨の時期ですね~。私は閉めきった部屋で毎晩蒸し暑さと戦っております。
 え?クーラー付けろって?いやいや、クーラー付けても暑い時は暑いんですよ。皆さんは熱中症に気をつけて下さいね。

 では、始まります!




コラボ7 初恋ノ記憶(3)

 

 牙也「こ、皇族!?」

 

 次の日の朝。隣で朝食を食べている箒からカルマの事を聞いて、牙也は思わず飲んでいたお茶を吹き出しそうになった。

 

 牙也「マジか……俺昨日思い切りタメ口で話したぞ」

 箒「私だってそうだ。それを聞いた後謝り続けたぞ、本人は気にしてなかったようだが」

 牙也「はぁ……俺も後で謝らなきゃな」

 カルマ「何を謝るんですか?」

 

 その声に牙也達が振り向くと、カルマとデネブ、それに刀奈が朝食を乗せたお盆を持って立っていた。

 

 牙也「アガレス……いや、アガレスさんか。いえ、昨日の貴方への態度の事ですよ」

 カルマ「昨日の……ああ、そういう事ですか。それでしたら昨日篠ノ之さんにも言いましたが、別に気にしなくても構いませんよ、皆さん知らなかった事ですから。それに皇族と言っても、私達がいた世界での事。この世界ではその皇族という称号は通用しませんから」

 牙也「ですが……」

 カルマ「気負わなくて良いんです。あとあまり堅苦しい言葉遣いはちょっと苦手で……いつも通りの喋り方で構いませんよ」

 デネブ「カルマもそう言ってるんだ、普通にしたらどうだ?」

 牙也「……アガレスがそう言うのなら。やっぱり敬語は疲れるな、少し緊張する」

 カルマ「やはりその喋りの方が、貴方にはしっくりきますね、えっと……」

 牙也「あ、名乗ってなかったな。俺は雷牙也だ、よろしく頼む、アガレス」

 カルマ「改めまして、カルマ・アガレスです。こちらは相棒のデネブ、それとご存知でしょうが更識刀奈です。よろしくお願いします、雷さん」

 牙也「俺の事は牙也で良いよ。そっちの方が呼びやすいだろ?まあ取り敢えず座りなよ、あとは朝飯食べながら話そう」

 

 牙也がそう促すと、カルマ達は「失礼します」と言って牙也の隣に座った。

 

 カルマ「牙也さんは学園の生徒ではないようですが……何故こちらに?」

 牙也「俺はここに用務員として雇われたんだよ。普段は学園中を掃除して回ってる」

 刀奈「IS動かせないの?」

 牙也「ああ。ま、それは表向きだけどな」

 デネブ「どういう事だ?」

 牙也「昨日話したヘルヘイムに理由があるのさ。話すと時間掛かるが……」

 セシリア「牙也さん、向かい側よろしいですか?」

 

 そこへセシリア達もお盆を持ってやって来た。

 

 牙也「お早うさん、別に俺達は構わんぞ」

 鈴「それじゃ失礼するわね!」

 

 するとセシリアに続いて鈴達も座っていく。席順は食堂の出入口から見て右側にカンナ、箒、牙也、カルマ、刀奈、デネブ。その向かい側にラウラ、シャルロット、セシリア、鈴、一つ空けて簪、本音が座った。

 

 箒「一夏はどうした?」

 鈴「まだ料理が来てないから、先に席を取っといてって頼まれたのよ。多分そろそろ来る筈なんだけど……」

 

 一夏『鈴~、何処だ~?』

 

 鈴「あ、一夏!こっちこっち!」ブンブン

 

 朝ご飯を食べに来る生徒達で賑わう食堂を生徒達の間を縫うようにやって来た一夏に、鈴が立ち上がって手をブンブン振って場所を示す。

 

 一夏「悪い悪い、遅くなったよ。あれ、この人は?」

 牙也「昨日の騒ぎで俺達と一緒に救出された人達だ。カルマ・アガレスさんと彼の相棒のデネブ、そして更識刀奈だ」

 一夏「アガレスさんにデネブさん、刀奈さんか。織斑一夏です、よろしくお願いします」

 カルマ「カルマ・アガレスです。歳は19ですのでお間違いなく」

 一夏「え、アガレスさん19なんですか?牙也より一個年上ですね」

 デネブ「という事は牙也は18なのか!カルマと同い年かと思ったぞ、見た目大人びているからな!」

 牙也「そんなに大人びてるか?」

 一夏「背が高いからじゃね?」

 

 一夏のその言葉に牙也は「なるほどな」と言ってお茶を啜る。

 

 箒「そうだ、セシリア。久し振りに練習に付き合ってくれないか?旅の間ほとんどISを動かしてないから、腕が鈍っていそうでな」

 セシリア「分かりましたわ、私も今日は練習をするつもりでしたので。いつものように厳しく行かせてもらいますわよ」

 簪「私も、参加して良い……かな?」

 箒「勿論だとも。鈴達はどうする?」

 鈴「それじゃあたしも参加させてもらうわ。久し振りに箒の腕前を見せてもらうわよ」

 ラウラ「私は午前中デュノアと買い物に行くから、今日は午後からになる」

 本音「私も練習に参加する~」

 牙也「俺は部屋の掃除があるから終わったら見に行くよ。それじゃお先に」

 

 そう言うと牙也は食器を片して食堂を出ていき、それに続くように他のメンバーもご飯を食べ終えて食堂を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 牙也「さ~てと……ささっと終わらせようかな」E.エプロン・バンダナ・マスク

 

 いかにも家政婦のおばさんみたいな格好をした牙也はそう言って、埃を大量に被った部屋を見渡した。

 

 牙也「取り敢えずまずは全体の埃を落とさないとな。それから拭き掃除と、備品整理と、電気系統が作動するかの確認と……ふむ、二部屋で三時間あれば充分かな。よし、始めっか!」

 

 牙也はまずはたきを取り出すと部屋全体の埃を落とし、それらを全て掃除機に吸わせた。それが終わると今度は部屋の床から壁から机やベッド等の備品に至るまで全てを拭き掃除。そして破損している備品を交換し、エアコンやコンロ等の確認。少しの手抜きもなくあっという間に二部屋全て終わる頃には、既に日が高く上っていた。

 

 牙也「ありゃ、もう昼なのか。時間が進むのは早いなぁ……腹も減ったし、掃除機とかの片付けは後にして、飯に行こうか」

 

 コンコン

 

 牙也「ん、誰だ?」

 カルマ『アガレスです。牙也さんがここにいると聞いたもので』

 牙也「入ってきて良いぞ、ちょうど掃除が終わったからな」

 

 そう言うとカルマが部屋に入ってきた。

 

 カルマ「うわっ、凄い綺麗ですね。新築の家の部屋みたいだ」

 牙也「掃除のプロにはこれでも負けるよ。二部屋とも掃除終わったから、順次荷物を持ってきなよ」

 カルマ「はい、それもそうですが……牙也さん、良かったらご飯食べに食堂に行きませんか?」

 牙也「奇遇だな、俺もこれから食堂に行くところだったんだ」

 カルマ「では行きましょう」

 

 カルマに促され、牙也はエプロンやバンダナを掃除機の上に置いて食堂に向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 カルマ「そう言えば……この世界の織斑君、学園の服装ではありませんでしたが、何故でしょうか?」

 

 食堂に向かう途中、カルマは一夏の服装について牙也に聞いた。確かにカルマと一夏が初めて会った時の一夏の服装は、私服の上から白衣を纏った姿であった。

 

 牙也「ああ、こっちの世界の一夏はISを動かせなかったんだよ。ちょっと訳ありで今は束さんのサポートをしてるんだ。んで、代わりにISを動かしたのが、一夏の弟。今は刑務所に放り込まれてるけど」

 カルマ「刑務所?」

 牙也「訳ありでな。ま、詳しくは詮索しないでくれるとありがたい」

 カルマ「はあ……分かりました。それにしても、さっきの牙也さんの服装、様になってましたね。あの有名なドラマを思い出しましたよ」

 牙也「俺は家政婦の○タじゃないぞ。それに髪も長くないし、あの人眼帯もしてないだろ」

 カルマ「ですがそれくらいお似合いでしたよ。髪伸ばしたらまさに女の子に見えるでしょうね」

 牙也「眼帯に長髪ねぇ……そんな女の子、果たしてーー」

 ラウラ「おお、牙也ではないか」

 

 とそこへ、ラウラとシャルロットが現れた。買い物帰りだったのか、買い物袋を沢山提げている。

 

 牙也「……いたわ、ここに一人」

 ラウラ「……何の話だ?」

 牙也「こっちの話だよ、気にすんな。二人は買い物帰りか?」

 シャルロット「えへへ、二人で色々試着したりしてたらいつの間にかこんなに沢山買っちゃって……」

 ラウラ「また着せ替え人形にされたぞ……」グッタリ

 牙也「御愁傷様。俺達これから食堂に行くんだが、来るか?」

 シャルロット「えっと、誘ってくれるのはありがたいんだけど……」

 牙也「奢ってやろっか?どうせ買い物でお金使いすぎたんだろ」

 ラウラ「正解だ……すまんな、恩に着る」

 牙也「給料余ってるからな、気にすんなよ。取り敢えず袋全部置いてきな、席は取っとくからよ」

 

 

 

 

 prrrrーーprrrrーー

 

 

 

 

 すると牙也のスマホが鳴った。確認すると、束からの着信だった。

 

 牙也「もしもし?」

 束『あ、牙君?学園内にクラックが確認されたよ、場所は三年生の学生寮の近く。インベスはまだ出てきてないけど、念のためいっくんが先に向かってるから』

 牙也「三年の学生寮近くですね。了解、すぐに向かいます」ピッ

 ラウラ「インベスか?」

 牙也「まだクラックだけだ。念のためそこに向かうから、ラウラ達はアガレスと一緒に食堂に行っててくれ」

 

 そう言うと牙也は寮の窓から飛び降り、そしてクラックを地面ギリギリの位置に開いて飛び込んだ。

 

 ラウラ「相変わらず騒がしい奴だな、牙也は」

 シャルロット「それが牙也さんだもん、しょうがないよ。それじゃ僕達は食堂に行こっか」

 ラウラ「そうだな、アガレスさんも一緒にーーあれ?」

 

 ラウラが気づいた時には、既にカルマの姿はそこになかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カルマは牙也を追いかけて三年生寮に向かった。そしてその場所に辿り着いたところでカルマは何かを見つけ、咄嗟に建物の陰に隠れてそのまま様子を伺う事にした。カルマの目線の先にはクラックが開いており、その前には赤いスーツの上に星型の鎧を装着したライダーが同じく星を模した剣と盾を構えて立っている。

 

 カルマ(恐らくあれが、牙也さんの言っていた『クラック』でしょうね。だとしたら、あのライダーは一体……?)

 

 すると、クラックの中からインベスが次々と現れた。丸っこい見た目のインベスが一番多く、その後ろからは様々な見た目でカラフルな色合いのインベスが出てくる。そのライダーは剣を振るってインベスを次々と斬り裂いていく。とそこへ、新たに赤いスーツに紫の鎧を装着したライダーと薄緑のスーツに同じく薄緑の鎧を装着したライダーが加勢してインベスを攻撃し始めた。

 

 カルマ「なるほど、私の予想が正しければ、あのライダーは牙也さん達。だとしたら、あの数を相手するのは難しいでしょう。加勢しなければ」

 

 そう言ってカルマは一本のベルトを取り出して腰に巻いた。そのベルトは自動改札機を象ったバックルが付けられ、色が濃いめの緑などやや暗い印象を受ける。そしてカルマはベルト左側のケースからやや大きめの切符のようなカードを取り出した。それはカードに走る溝が緑色の面と黄色の面があり、カルマは緑色の面が正面になるように持った。そしてバックル上部のレバーを右側へスライドさせると、和風の効果音が流れ始めた。そしてーー

 

 

 

 

 

 

 

 カルマ「変身」

 

 

 《Altair Form》

 

 

 

 

 

 

 バックルにカードを差し込むと、音声と共にカルマの体を緑色のスーツが覆い、その上からYの字形にレールが走ったアーマーが装着された。そして頭部のレールからは後頭部から牛の頭のようなものが鳴き声を上げながら走ってきて、顔の正面に来ると変形して複眼の形となった。

 

 カルマ「今日の私の気分は……そうですね、新しい出会いに気分が高揚しています」

 

 そう言いながら、カルマは腰に提げた二つのパーツを合体させてボウガンの形にした。それを正面に構えると、インベスの群れに向かって走り出した。その際ボウガンから次々と矢を放ってインベスを蹴散らす。そしてインベス達の前まで来ると、カルマはそのボウガンを今度はパーツを差し換えてサーベルの形にした。それを地面に突き刺し、インベスを指差してこう言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 カルマ「最初に言っておきます……私はかーなーり、強いですよ?」

 

 

 

 

 





 ゼロノスはあれですね、初変身の際に雷落として木を真っ二つにしたシーンが個人的に一番好きです。皆さんはどのシーンが好きですか?

 ヒグマチキンさんの作品『IS×仮面ライダー 仮面ライダー炎龍』でのコラボも是非お読み下さいね。

 次回、共闘!


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