IS×仮面ライダー鎧武 紫の世捨て人(完結)   作:神羅の霊廟

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 コラボ第7段は魔女っ子アルト姫さんの『IS 時を預かる者』です。ライダー以外の世界にばかり行ってたので、久し振りにライダー関連の描写を書くんだよな……まあ取り敢えず、生ぬるい目でご覧下さい。




異世界旅行 思ワヌ帰還、時ノ氾濫
コラボ7 初恋ノ記憶(1)


 

 記憶ーー誰しもが持つ物。

 

 

 

 

 

 時間ーー止まる事なく進み続ける物。

 

 

 

 

 

 ブレーキもない列車の如く時間は進み、その中にいくつもの記憶の塊を荷物として乗せていく。勿論その列車は一人一両。膨大な量の記憶をお客として乗せ切れない程に乗せ、記憶の列車は走り続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、とある世界には存在する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その記憶に干渉出来る存在がーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、それらを粛清する者もまたーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ??「……ふぅ。今日も時の流れは順調ですね」

 

 とある荒野。そこには数本の線路が敷かれ、その上を列車ーー列車と言うには奇抜過ぎる見た目だがーーが走る。その列車は先頭が牛を模した見た目で、二両目が黄色い鳥のような見た目であった。

 

 ??「デネブ、そちらの様子はどうですか?」

 デネブ「問題ないぞ、カルマ。今日の時間の動きも順調だ」

 カルマ「そうですか、それは良かった」

 

 その列車の先頭車両ーー牛を模した見た目の列車の運転席では、カルマと呼ばれた青年が何故かバイクに乗った状態でデネブと呼ばれた全身黒の服に身を包んだ巨体の男と会話している。

 

 ??「カルマ様~♪」ダキッ

 

 とそこへ、水色髪の少女がバイクに乗った状態のカルマに抱き付いた。

 

 カルマ「刀奈、危ないですよ。今は一応ゼロライナーを運転中なのですから」

 刀奈「ぶぅ~……良いじゃないですか、たまには。それにもうお仕事も終わったのでしょう?」

 カルマ「ええ。ですが甘えたいのでしたら、向こうに戻ってからの方がーー」

 刀奈「私は今が良いんです!今こうさせて下さい!」ギューッ

 カルマ「ふぅ……刀奈には叶いませんね」

 

 刀奈と呼ばれた少女にべったりくっつかれ、カルマは苦笑いを浮かべる。と、

 

 デネブ「ん?カルマ、ちょっと見てくれ」

 

 デネブが何かを発見した。

 

 カルマ「何か不審物でも見つけたのかい?」

 デネブ「いや、不審物と言うより……不審な線路だ」

 カルマ「線路?」

 

 デネブのその言葉にカルマがデネブが指差す方向を見ると、確かに線路があった。しかしその線路は、何故か沢山の蔦が巻き付いていた。

 

 カルマ「確かに不審だね……あんな線路、見た事がない」

 デネブ「どうする、カルマ?調べに行くか?」

 カルマ「そうですね……行ってみましょうか。時を預かる者として、少し気になります。何かがこの先にある筈でしょう」

 刀奈「えー!カルマ様~、私との約束は~?」

 カルマ「勿論ちゃんと果たしますよ。ですがその前に、一仕事やってからですね」

 刀奈「ぶぅ~……約束ですよ?」

 カルマ「ええ。デネブ、あの線路に進路変更しますよ」

 デネブ「分かった」

 

 三人を乗せた列車ーーゼロライナーは、本来の線路を外れて蔦が巻き付いた線路を通っていく。すると、

 

 

 ビーッビーッビーッ!!

 

 

 デネブ「っ!?カルマ、ゼロライナーに異常が!」

 カルマ「何!?くっ、引き返して下さい、これ以上進むのは危険だ!」

 デネブ「無理だ、完全にゼロライナーの機能が故障している!」

 カルマ「くっ、このまま進むしかないのですか……!刀奈、しっかり何かに掴まっておいて下さい!」

 刀奈「は、はい!」

 

 全機能を失ったゼロライナーは止まる事も出来ず、蔦が巻き付いた線路を突き進んでいく。そしてゼロライナーは、その先の目映い光の中に飲み込まれたーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一夏「うおおおおおおっ!!」

 

 《スターフルーツオーレ!》

 

 牙也達の世界。牙也達三人が異世界へと旅立って、既にこの世界の時間で二ヶ月は経過していた。その間の学園の守備は学園唯一のアーマードライダーである千冬と一夏、そして亡国企業から派遣されたザックが担っている。一夏はカッティングブレードでロックシードを二回切り、スターカリバーでビャッコインベスを叩き斬った。

 

 一夏「よし、討伐完了!千冬姉、こっちは終わったよ」

 千冬「こちらも討伐完了だ。ザック、お前は?」

 ザック「問題ねぇよ、これくらいなら余裕だぜ!」

 

 三人は揃って変身を解除し、千冬が学園長と束に討伐完了の報告をした。

 

 一夏「牙也達が旅立ってもう二ヶ月か。三人とも、今どんな世界にいるんだろうな?」

 千冬「さあな。だが牙也の事だ、篠ノ之に多大な迷惑を掛けているだろう」

 一夏「迷惑掛けてる事前提かよ……」

 ザック「ハッハッハァ!あいつなら大丈夫だろ!根拠ねぇけどな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな他愛ない話をしている時、突如轟音が響いた。その轟音のせいなのか、周囲の大地が大きく揺れる。

 

 一夏「千冬姉!」

 千冬「一夏とザックは先に轟音の響いた場所に向かえ!何か見つけた場合は、私達が合流するまでは迂闊に触るな!」

 ザック「あいよ!インベスだった場合は応戦すりゃ良いんだな!?」

 千冬「ああ。それと、出来る限りその周囲に生徒を近付けさせないようにしてくれ、何かあってからでは遅い」

 一夏「鈴達への連絡はどうする?」

 千冬「私からやっておく。それと念のためスコールに連絡をとる、近くにいる筈だ」

 ザック「了解、こっちは任せろ!」

 

 三人の連携プレーは早く、千冬は一旦校舎に戻り、一夏はザックが運転するヒガンバライナーで現場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その現場ーー学園のグラウンドには、カルマ達三人が乗ったゼロライナーが二両目が脱線・横転した状態でそこにいた。一夏とザックが到着した時、既にその回りには大勢の生徒が野次馬のように集まっていた。

 

 一夏「はいはい、皆離れて離れて!危ないから!」

 ザック「爆発するかもしんねぇぞぉ!怪我したくねぇなら早く離れな!」

 

 一夏達は到着するなり、野次馬で集まった生徒をゼロライナーから離れさせた。一夏達にはそれが一体何なのか分からない以上、触ったりするのは危険だと判断したからだ。

 

 千冬「一夏、ザック、どうだ?」

 

 そこへ千冬が真耶を始めとした教員数人と楯無を連れてやって来た。

 

 一夏「さっきの轟音の原因はこれで間違いないと思うけど……これ何だろう?何か列車みたいだけど」

 千冬「うむ……しかしこんな所に列車などと……一体これは……?」

 楯無「織斑先生、どうしましょうか?」

 千冬「……取り敢えず調べてみよう。私とザックで中を調べる、皆はここで待機してくれ」

 

 そう言って千冬は一両目の車両に近づき、乗降用ドアをノックした。

 

 千冬「おい、誰かいないのか?いるなら返事してくれ」

 

 しかし返答は返ってこない。

 

 千冬「返答なしか……何処か入れそうな入り口があれば……」

 一夏「千冬姉!こっち側から中に入れるよ!」

 

 反対側から一夏の声がする。千冬とザックが向かうと、一夏の言う通り一両目の反対側の乗降用ドアが半開きになっていた。衝撃で開いてしまったのだろうか。

 

 ザック「ここからなら入れるな。じゃあまずは俺から入る、あんたが後に続いてくれ」

 千冬「分かった、くれぐれも気を付けろ」

 

 まずザックが列車に飛び乗って内部を見渡す。が、特にこれと言って危険そうな物はない。

 

 ザック「危険な気配はなし、か……入ってきて良いぞ」

 

 ザックにそう言われ、千冬も列車に飛び乗った。

 

 ザック「俺は二両目を見に行く、あんたはこの車両をくまなく探してくれ」

 千冬「ああ。楯無と山田先生はこのまま待機して周囲に警戒しておくように」

 真耶「お気をつけて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千冬は一両目を探索していた。いつ何が出てきても良いように腰に警棒を忍ばせておき、ライトで列車内を照らしながら暗い車内を探索する。と、

 

 千冬「ん?あそこは開けてるな……運転席か何かか?」

 

 運転席らしき場所が目に入った。千冬は警棒を抜いて伸ばし、忍び足でその部屋に近づく。ゆっくりとそこを覗き込むと、

 

 千冬「!」

 

 誰かが倒れているのが見えた。周囲に危険物がない事を確認し、千冬は警棒をしまって倒れている人に近寄る。倒れていたのは三人。大柄で黒い服の男らしき人と顔立ちの整った青年、そして青髪の少女が一人だ。と、千冬はその内の少女に目を止めた。

 

 千冬「っ!?楯無……!?」

 

 倒れている少女の顔に、千冬は見覚えがあった。それは紛れもなく楯無だった。二人の青年は千冬には誰か分からない。脈に触れると、まだ三人とも生きている。

 

 千冬「救助者三名。何人か手伝ってもらおうか」

 

 一人では無理だと判断した千冬は一旦その場を離れ、乗降口まで戻ってきた。するとちょうどザックも探索を終えたのか慌てて戻ってきた。

 

 千冬「ザック、そっちは誰かいたか?」

 ザック「馬鹿野郎、誰かいたなんてもんじゃねぇよ!牙也達がいたぜ!」

 千冬「牙也だと!?この列車に乗っていたのか!」

 ザック「そっちは誰かいたか?」

 千冬「要救助者が三名だ、その内の一人が楯無にそっくりだ」

 ザック「更識の姉だと!?どうなってる……!?」

 千冬「とにかく六人を運び出す。事情は彼らが目を覚ましてから聞こう」

 ザック「あいよ!」

 

 こうしてゼロライナー内部にいた六人は千冬達教員によって救出され、即医務室に運ばれた。全員衝撃で頭を打っていたが、幸い全員が軽い怪我で済んだ。ゼロライナーは取り敢えず教員達がISと丈夫な紐を使って起こし、周辺を立ち入り禁止にしておく事にした。

 

 

 

 この偶然に偶然が重なった邂逅が、ある事件を起こす事になるとは、まだ誰も予想していなかったーー。

 

 

 

 





 牙也達三人が何故(というかいつの間に)ゼロライナーに乗車していたのかーーその理由はまた次回!


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